2015/12/20 のログ
魔王アスタルテ > 「まあ、魔術体系もまた独自色が強いオリジナルと言えるものも多くあるものだけどね。
 体の一部ね、分かりやすい例えだよ」
(これもまた、魔術も極めれば体の一部のように自在に操れるものでもある。
 また、ハスターが例えを出しているように、人間共が学校で習うようなよく広まっている魔術も多くある)
「化物の方はなんだか分からない。だけど、あの“黒幕”たる黒く禍々しい龍の正体……あたしなら分かるよ」
(それはアスタルテもよく知る心地の良い邪悪さ。
 アスタルテが神話の時代からよく知る者。
 その正体が分かっていたとしても、大抵の者にアスタルテは明かす気などない。
 だが目の前の魔王も同じく、古くから生きている魔王であり盟友だ。
 なのでアスタルテは、黒き龍の正体を明かす事にする)
「あれは……偽なる神ヤルダバオートの化身だよ」

「あははー♪ だけど、あたしはそんなイカしていないハスターおじいさんも決める時に決めるハスターおじいさんも大好きだよ♪
 そうだねー、あたしは昔から変わらない。
 変わってほしいところも、変わってくれないね……」
(アスタルテは、身長とか胸とか変わらない部分を虚しく思い、軽く溜息。
 普段気にしていないように見えて、案外気にしてる。
 だがそれは冗談を交えて、『アスタルテは昔のまま変わらずハスターおじいさんの隣に居続けている』事を意味している。

 そして指切りをし、ハスターとの約束を交わす)
「そうだね、無事に帰ろう!
 はなっから、あたしは生還も掴みとるつもりだよ。
 自殺願望とか、破滅願望とか、そんなのは一切ないからね」
(もしそういうのがあったら、それはそれで《憂鬱》っぽいんだろうけどね。
 無茶をしたとしても、単なる自己犠牲にならないようには出来る限り務める。
 そう簡単に、魔族の一大勢力《魔王軍》を率いるこのアスタルテが死んでなんていられないからね!)

「分かるよー、ハスターおじいさんとは永い付き合いだからねー。
 ハスターおじいさんも嬉しい事を言ってくれるね♪
 それじゃあ魔王二人、この状況を存分に楽しんじゃおっか♪」
(少なくとも、目の前にいる万を超えそうな化物を相手にするのは微塵も無茶ではないし、ましてや彼等に殺される程アスタルテも軟弱ではない。
 そしてもとより、背中を預けているハスターは死なない。というより、ハスターは生きているかどうかすら不明)

「これ程狩り尽くしても文句のない的もまた珍しいものだね!
 いくらでも潰しちゃえるよ♪」
(二柱の魔王にとっては、ただの雑魚でしかない化物の軍勢。
 まあその分数は多いんだけどね)
 
「そういえば、うち(魔王軍)に所属する《ウロボロス》という魔物は自分の尻尾を飲み込むのが好きな蛇だったね。
 さすがに自分の口までは食べないけどね……」
(なんと、ハスターの想像していたカオスな蛇は、魔王軍にいた。
 人材豊富な魔王軍である)

「まあ、神性に近い力……というより相反する力はあるね。
 あたしの場合は、原初の魔王だからこその混じりけのない深淵なる暗黒の力が、神性の変わりを補っている事になるかな」
(原初にして“純粋なる魔王”なので、神性をも跳ねのけてしまう。
 今や王国で忘れ去られしアイオーンの神話においても、アスタルテはまさしく魔族の象徴であり、そして邪悪そのもの。
 神をも殺した、神と相反する存在なのだ。

 振り返る事はないが、ハスターおじいさんは化物2000掛かりの術により、風となった体ごと閉じ込める形になっているようだ。
 その間に、《憂鬱のトラゲディ》で一瞬にして千もの化物の精神を蝕み、
 そして自ら自殺に追い込む)
「ハスターおじいさん。
 魔王というのはね、勇者に世界の半分……闇と絶望に満ち溢れた“悲劇”の世界を与えると同時に、
 野望に満ちたもう半分の“喜劇”を掴み取ろうとするものなんだよ。
 おぉー、ハスターおじいさんも取って置きを披露しちゃうんだね!」
(今尚、2000重もの結界がハスターを押しつぶそうとしている。
 しかしハスターおじいさんの生命力はやはり高く、圧縮する結界を押し返している。

 アスタルテもそうであるように、魔王クラスともなれば詠唱が不要なはずである。
 だがハスターはノリノリで詠唱を始める。
 彼のトレードマークと言える六芒星の魔方陣が出現し、結界が震える)
「“冥王”としての力がついに発揮されるわけだね」
(赤黒い霧が溢れり、結界が紅に染まった。
 回復魔法を逆回転すればどうなるか、当然アスタルテも知っている。
 傷を癒す回復魔法というのは、実のところ死と隣合わせでもあるのだ。
 やがてハスターは、ノリノリの詠唱を終えた。
 赤い線が結界をも突き破り、次々と化物の軍勢を襲っていく。
 生きるという言葉を否定するかのような線が、化物達を殺していく。
 結界を張る詠唱をしていた2000の化物が、まず死の槍の餌食となった。
 断末魔とも呼べない悲鳴をあげながら、化物は殺されていく)
「あははー♪ それは違いないね♪」
(まあ《憂鬱のトラゲディ》は、最凶の名を関する通り、
 “純粋なる魔王”が持ち得る、外道に外道を重ねるような力だからね。
 一瞬にして殺される方が、やはり楽だろう。
 アスタルテもまたドSである。
 最も、回復魔法を死の力に変えるのだから、魔術自体はそれはそれで外道だと言えるだろう。

 さすがの化物達も、もはや強すぎる二柱の魔王に怯える表情を見せる。
 だが今度は周囲4000の化物共が、各々大魔術と呼べるだけの規模のものを唱えだす。
 空からは雨のように降り注ぐは無数の巨大な隕石。もはや、この辺り一帯を巻き込む威力だろうか。
 地面からは、この辺一面に突然生えてくる無限の巨大な氷柱。
 そして所々、大気を爆発に変換しての攻撃。つまり、何もない所から突然大爆発を起こすのである。
 ついに自らの犠牲もお構いなしの一斉攻撃である)
「化物方は自滅覚悟なところを見ると、かなり躍起になってるね。
 出来る限り、あたし達ごと周囲を巻き込もうとかしているのかな?」
(アスタルテは地面から突き出される巨大な氷の棘を華麗に跳んで回避する。
 着地したところでまた氷柱が発生し、即ステップで切りかえて避ける。
 次に着地した場所で今度は大爆発が起こるが、その直前に一旦空中に逃れてまた着地。
 しばらく、その連続である。その動きは華麗なものであった。
 次第に、隕石も地上に迫っている)
「やっぱり、数を減らしていくしかないねー」
(アスタルテは大鎌を構えると、何もない空間に軽く振った。
 するとその空間が切り裂かれる。その先に広がるのは、謎の暗黒に満ちた空間であった。
 その空間の裂け目に、化物達は強力な引力により次々に吸い込まれていく。
 次第には、空間から無数の手が現れて、化物達を掴んで直接暗黒の中へと連れ込んでいく。
 ハスターとは逆側に空間の裂け目を空けているので、そちらに被害はないだろう。
 そしてそれは無論、ハスター側の残りの大魔術を発動している化物を任せるという事でもある)

「黒き龍がやっぱり優勢だもんね。
 すると、黒き龍は次に何をやらかしちゃうのかな」
(ヤルダバオート。君が描くシナリオ通りに、
 今は進んでいるのかな?
 そうしたら、この次はどんな事をやってくるれるのかな?
 アスタルテは心の中で、旧知ヤルダバオートに問いかける。
 無論、返ってくる答えなどない)
「あははー♪ もちろん、そんな観戦客が増えてもあたしは無問題だよー」
(何せ、化物は正体不明であるが、二柱の魔王に敵うはずもない者達なのだから)
 
「ロトちゃんみたいなメイドちゃん、欲しかったからね!
 それで、その機関というのは一言で言えば魔族の国の経済を大きく発展させるためのものだね。
 生産から物流まで、経済の幅広い分野で役立つ機関だよ。
 きっと、魔王軍領だけじゃなくて、魔族の国の更なる発展に繋がる。
 あたしはそう思っているよ。
 そしてその大役をロトちゃんに任せちゃうんだよ」
(嬉しそうに、ハスターの姪であるロトの事を報告する。
 未来有望な機関、そこにロトがリーダーとして君臨するのだ)

魔王ハスター > 「そうそう、体系がマイナーな魔術は、オリジナル要素が強い。自分だけの必殺技!かぁっこいいねえ。」

おっさんは、そういう隠し秘儀みたいなのが好きな奴である。

「…ほう、そうか。…それは一体。」

おっさんは、ヨソモノだった。故に、この世界の神話に関しては関わりを殆ど持たない魔王だし、
神話を知識として知っているとはいえ、それが何者か、分からなかった。ただ、禍々しい何かとしか。
彼女の様に、それらと面識があるわけでもないのだから当然の帰結だ。

「あれが…そうなのか。ヤルダバさんの。…へーえ。あれが、偽なる神。」

興味が、そそられる。当然だろう、この世界の神話で大きく語られる神の名前なのだから。
そして、彼女の言う言葉は、その禍々しさが、神の名を裏付ける証拠ともなっていた。

「おいおい、イカしてないおじいさんが好きってそりゃどういう事だい。
アッハッハッハ…ま、その…何だ。いつか大きくなるさ。」

彼女がこういう言葉を溢して、自身の小さな体に落胆することは、意外と少なくない。
その度におっさんは「いつか」って言うんだが…、結局、彼女はずっと変わらないまま。
一時もその金髪のちっこい幼女から姿を変えることなく、彼女は彼女のままで、おっさんの隣に居続けている。

「おう、分かってるさ!再確認さ!再確認っ!生きて帰って、また歌でも歌おうや!」

こうして、一つ結んだ約束で、おっさんはいつも通り、仄かに陽気さを帯びた。

「ヒャッハァ!二人しかいないけど全軍突撃ぃ!楽しんでいこうじゃん?"神殺し"と"冥王"のお通りよお!」

いつもの意気高揚。楽しくなってきた。
孫娘の様に大切な可愛い女の子。いくら握りつぶしても尚沸いてくる化け物共。
背中を預けて次から次へとなぎ倒していく。生死から超越して、尚もこの残機無限のスリリングな状況が楽しい。
食事は皆でした方が楽しい。仲の良い人と一緒にやったらもっとだ。赤い線が彼等を殺す。命を奪う。
理不尽な死。されど慈悲のある死。生きる力を失わせるような赤黒い血の線が、次々と湧き出て、彼等を殺す。
2000の化け物は、蒸発するさせられたかのように生を失った。

「…《ウロボロス》…。えっ。なにそれ。」

口をまんまるに開けて、そのシュールな絵図を想像した。笑った。
主に人材豊富すぎる魔王軍の人材豊富さに。

「そうそう、さっきの憂鬱の力。あれなんかも、神性…というよりは、この場合は魔性の方が良いのかね?何か違う意味になりそうだが。
兎も角、あんな技、誰にも真似できっこないっしょ?そういう事よ。」

純粋なる暗黒の力が為したあの精神世界。あれこそ彼女の神性に相反する力の一部と言えよう。
神殺しの名前で知られる通りだが、彼女は原初からある、完全な混じりけのない暗黒の魔王であった。

「ハッピーエンド至上主義って、ね。良いねえ、残ったもう半分、…頂いちゃいましょうか。」

そうして、御互いのとっておきの一つを見せたところだった。
だが、化け物はそれでも引き下がらない。
強力な土魔法である隕石の魔法。地面からは貫く大きく太いつらら。見た目何もない所から巻き起こる大爆破。

「さぁ、素敵なパーティの時間だ。」

半分半分。互いに背中を預け合った者同士、片方の軍勢を任せることになる。当然だ。これで良い。
お互い振り返らず、多数を斬り裂き屠って行く。何一つ間違いはない。一切寸分の違いなく、向こうとこちらで分け合う。
背中で大きな闇の魔力が広がるのを感じる。ステップとジャンプで躍動する彼女。
化け物連中は自分たちさえ巻き込んで、大魔法を撃ち続ける。4000の化け物による大合唱。
赤い霧が戻って収束していく。

「くく、キミらの命は、有効に使わせてもらおうかね?」

赤い霧は、彼等をただ理不尽に殺戮して、命と言う素材を言葉通り、集めていた。これが、生命の魔術。
その霊魂をたった一つ、取り出して、具現化する。生きる力を素材にして、自身の神性に、魔力に変える。

「風穴じゃあ、済ませねえよ?」

振り上げて、解放する。命をつなぎとめていた生。その力を、そのまま利用して。
生であったはずの力で、更に死を誘う。太陽が降ってきたかと錯覚するほどの高熱と、光。光でありながら、
黒と紫の、まるで蝶々でも思わせるような可憐で妖しいデザインの死の閃光。だが男だ。
降って沸く隕石を気体に変えて、地面から沸く氷を瞬時に溶かす。爆発だけはどうにもならないが、仔細問題なし。
いつかの時代、いつかの世界。核燃料物質なんて呼ばれるソレがあるらしいが、おっさんがやっていることは、それに非常に近かった。
ただし、プロセスも学問も違う。あれはウランが燃料で、こちらは命が原料だ。
そして、あれは化学の為す技で、これは魔学が為す技だ。
だが、その絶大な爆発的反応力は、非常に似ていた。
生命を奪い尽くす、ただそれだけのエネルギーを持った、冥府へ切符たる破滅の背筋も凍り付きそうな冷たくも熱い矛盾した地獄を上塗りする地獄の灼熱が、
大地を触れただけで抉り飛ばし、焼ける音と波動が揺れる音を上げて、無数の魔物を飲み込む。命を奪い、存在を消す。
そう、命とは恐ろしく強力な素材だ。たった一つで、これだけやるのだから。

「…あまり、良い事ではなさそうだ。」

客観的な観測だった。人も魔も、あの黒い龍は…。

「ああ、何。声援は負けそうだが、それ以外は負けまい?」

ただの遊戯で享楽だ。この二柱にしつこく襲いかかるから悪い。飛んで火にいる夏の虫。

「ほーぅ?そうだったのか。…経済を、そうか。あの子にはいい経験になるだろうな。
ああ、新しく作られた機関、それから彼女の活躍が、風の噂に乗って冥界にまでくる事を楽しみにしているさ。」

大都会へと送り出して、その大きな会社に勤めることが出来たことに等しい。
義理堅い彼女であれば、そんな大役だって、きっと頑張ってまかされる事だろう。

ご案内:「◇“千年の女王の都”ティルヒアorティルヒア城」から魔王ハスターさんが去りました。<補足:イカしてない服装の貴族風ながたいの良いおっさん。>
魔王アスタルテ > 「マイナーな体系というのと、あとは元々ある魔術体系から派生、もしくは発展させたものもオリジナリティが強くなるね。
 さすがハスターおじいさん、そういうの好きだねー」
(熟練した魔術師などなら、元々ある体系の派生系や発展系に辿り着いた者も多くいるだろうか。
 そもそも、この世界は魔術体系がかなり多いものだ。

 ヤルダバオートの名を明かすと、ハスターは興味がそそられているようだった。
 そしてアスタルテは、自分の唇に人差し指を持っていく)
「あまり無暗に広めていいものでもないだろうから、話しても良いと思った特別な相手以外にはナイショだよ」
(なにせヤルダバオートと言えば、マグメールでも信仰されている神の名だ。
 その化身があんなにも禍々しい存在だと広まれば、人々は混乱するだろうか。
 故に、あの黒い存在がヤルダバオートだという事は、無暗に広めるべきではない。
 故に、ハスターにもあまり広めないようお願いした)

「普段のハスターおじいさんも大好きって事だよー。
 そうだよね! いつか……きっと、大きくなるよね!」
(やはり物凄く素直に、真っすぐにその好意を示す無垢なる魔王。
 そして、永い間ずっとアスタルテはちっこいままだったので、もはや成長は絶望的。
 胸で、《怠惰》のベルフェゴールに負けているのだから、結構悔しい)

「そうだねー、またデュエットを組んじゃおう♪」
(神代からこれまでも、アスタルテは散々修羅場を乗り越えてきたからね。
 きっと約束は果たされるよ!)

「ひゃっは~♪ それじゃあ、どんどんいっちゃおっか~♪」
(背中を任せるは大好きなおじいさん。
 されぞ二人を囲むは、沸いて出てくる化物の軍勢)

「ハスターおじいさんが多分想像している通り、自分の尻尾を飲み込んで、輪の形になってるの。
 それが《永劫の大蛇》ウロボロス」
(解説も入れる。
 あの姿を思い出すと、アスタルテもちょっとくすっときた)

「まあ、真似は出来っこないね。
 なるほどねー」
(アスタルテは、ハスターの言葉に頷く。

「やっぱり、バッドエンドでは憂鬱になっちゃうからね!」
(まさしく《憂鬱のトラゲディ》の精神世界の如きである。
 あの精神世界は正直、自分では体験したくない……)

(4000体もの化物が大魔術をそれぞれ発動していく。
 止まる事のない大魔術での攻撃である。
 背後でハスターは、生命の魔術を発動しているようだ。
 化物の軍勢に、黒と紫の蝶々を思わせる光。
 雨のように降り注ぐ隕石は気体へと変えられていき、地面から無数に出る氷の棘も溶かし、
 冷たくそして熱い灼熱が、化物を飲み込みその命を消していく)

「生命を操る事ならお手の物だね、さすがハスターおじいさんだよ」
(アスタルテの空けた、まさしく暗黒に満ち溢れた空間の割れ目。
 そこに次々と化物達が飲み込まれていく。
 このまま二柱の魔王と化物の軍勢の戦いはしばらく続いていくのだが。
 倒した分だけ、化物はどこからもなく湧き出ていた。
 この化物達、結構しつこい。
 まあ、いくら湧き出たところで魔王達が化物の軍勢を蹂躙していくという結果になるのは変わりないのだが)

(あまり良い事ではなさそうだ。
 その言葉にアスタルテは、静かに頷いてみせる)

「そうだねー、彼等も数が数だけに声援は大したものだよー」
(まさしく、化物達は数を揃えたとしても、相手を間違えたのだ)

「ロトちゃんの活躍を楽しみにしててよー、ハスターおじいさん」
(アスタルテもまた、ロトにそれだけの大役を任せられると信頼していた)

ご案内:「◇“千年の女王の都”ティルヒアorティルヒア城」から魔王アスタルテさんが去りました。<補足:外見10歳、身長130cm。黒いワンピースを着て、悪魔の翼を生やす魔王。>
ご案内:「“千年の女王の都”ティルヒア」にタマモさんが現れました。<補足:名簿参照。>
タマモ > 白き龍の衝突によって空いた大穴、そこからふわりと舞い降りる少女。
その周りは幾つもの折鶴と、数個の魔術鉱石を護るように纏わせていた。

…この場にもすでに何十と言える折鶴が漂い、白と黒の戦いの妨害を妨げている。
静かに床に足を着き、手を払うように揺らげば己の身を纏っていた折鶴が城を中心に四方八方へと散っていった。
今、少女を護るものは魔術鉱石だけとなる。

「愚かしい…真に愚かしい者達、偽りを語るはこの国を陥れる黒き者達と同等と知るが良いのじゃ」

ぽつりと呟けば、ゆっくりと深呼吸をし…ぐっと体を屈めれば、再びその身を本来の姿へと変えていった。