2015/12/06 のログ
タマモ > ぞくりとする感覚、一種の身の危険を感じるような…そんなものを感じれば、目を開きそちらへと向けた。
…否、それだけではない、少し意識を向ければ…非常に危険を伴うような大きな気配。
もっとこう、普通な…何をもって普通かは分からないが、そんな相手だったらもっと気付くのが遅れただろう。
その視線の先には…その場に似合わないような奇妙な服装をした男性だ。

「………のぅ、お主。
今の妙な含みのある事を言ってくれたのはお主かのぅ?」

やれやれ、といった感じに気だるそうな視線。
こう…場に相応しくないような奇妙なものを発見したそれか。
殺気はないが妙な害意は感じる、そして決して小さくはない…むしろ大きな力を感じる、そんな相手。
はて、似たような感じをどこかで受けたような…
小首を傾げ、思い出すようにしながらも、油断無くそちらへと視線を向けている。

ハスタ > 魔王だから。それはもう。彼女の超感覚的知覚とやらが、おっさんの色々な危険性を察知したのだろうが、多分それは正解。
魔力だとか神性だとか、少なくとも人間でない事くらいは容易に分かるだろう。おっさんは宛ら歩く変態行為である。
場に相応しくないのも多分その通りで、普通どっかで魔王として為政でもしているべきだろうに、
このおっさん、魔王のクセにたった一人で観光旅行になんか行くんだから頭のネジが飛んでいる。

「んぅ?」

取り敢えず一つ言えるのは、嫌がられてそうだなあって事。
狐耳に尻尾を付けながら、何となくミレーっぽくない女の子らしきモノから向けられるのは、あんまり好意的ではない目線。
因みに妙な害意って言うと、多分視線に籠った変質者的なニヤけた顔だろう。多分。

「そうです、ボクです。おじさんです。…いやあ、しかし珍しいもんも居たもんだね。
化け狐の親戚かなあ?それとも妖狐ってやつか。何にしてもこりゃあ魂消た。こんな世界のこんな国に、まさか、ねえ?」

自身か、と問われたならひらっと手を仰々しく上げて下ろして夜中の薄らぐらさの中で自身の所在をアピール。
こっちはしかし、彼女がどういう存在かあんまりわかってない様子。
多分こんなんじゃないかって、それくらいに軽いノリで彼女の正体を発破がけしつつ、
警戒心ありげに視線は向けられているが構わず歩いて近づこうとして。

「ま、取り敢えず…出会えた記念にモフっても、いいっすか?」

大きな手の狙いは、狐らしき耳だった。

タマモ > 目の前の男性を見詰める少女の瞳がうっすらと鈍く輝き始める。
その言葉を聞きながら、相手の仕草の一つ一つをじっと見詰めながら…ふーっともう1度溜息。
あぁ、そうだ…やっと思い出していた相手が浮かぶ。
名前は忘れたが、山にあった採掘場で会った少女。
あの少女に近い何かを感じていたのだ。

「何とも…妙なノリをしておるのぅ?妾のおった場所に居た者を思い出すようじゃ。
それに、勘繰らずとも素直に聞けばちゃんと答えてやるんじゃがのぅ…?
そもそも、妖狐と化け狐は人間の物言いとしては被っておるぞ?」

表面心理を読もうとするも、やはり思ったとおりすべてを読み取る事が出来なかった。
とはいえ…同じ表現を出し正体を知ろうとする辺り、自身の事を細かくは分からないらしいか?
なので、きっぱりとそれを教えてやった。ついでに、素直に聞けば答えたって事も。

「お主はあれじゃろう、アスタルテという名の者を知っておるな?
それの仲間か何かではないかのぅ?
…後、断りを入れる事自体は素直で良いと言いたいが、そのモフってって表現…どうにかならぬか?」

思い出した名前を出し、問う。
ついでに、やはり何というか…言葉の端々に感じる別の世界にいた別の…だが似たような存在を思い出し、こめかみ辺りを抑えながらぽつりと呟いた。

ハスタ > 「…ふぅん。妙なノリねえ。」

おっさんの常人には理解しがたいテンション。一体自分と似た者とは。いや、そもそも彼女も異世界の者なのか。

「じゃ、ぶっちゃけ聞くけど狐たんは一体何者なんだい?んー…そうなんだ。
いやあ、どうにもね。おじさん狐狸妖怪についての知識はなくもないんだけど。あははは。」

聞けば答えてくれるらしいので、普通に聞いた。

「あー…アスタちゃんね。知ってる知ってる。ってかこの間会いましたよ。
仲間って言うか…ンー…なんだろね?同僚?同盟?盟友?まあ、そんな感じです。」

おっさんは、異世界につながりはあるが、しかして今ここに存在している。
仮に似たような存在があったとして、それはきっと、おっさんには恐らく関係し得ない存在なのだろう。
ただ、それ故に興味は沸くのだが。

「聞いた話、御嬢ちゃんはこの世界の存在じゃあないみたいだけど。そこんとこどうなんです?」

拒まれなければ彼女の狐らしき耳に掌を宛がい撫でまわすだろう。

「モフる、がダメなら…そうだねえ。でもさあ、ぶっちゃけその耳、モフモフしてそうじゃない?
ホラ、愛撫する、とかだったら何かあれっしょ?
しかしー…アレですね、おじさん雌犬と雌兎は見てきたけど、雌狐と言う発想はなかった。新しいね!」

それ以前に、彼女はそういう存在なんだろうが。分かっているのか分かっていないのか、深く頷きニヤけ顔。

タマモ > 「うむ、なんと言うかのぅ…何とも表現し難いのじゃ」

実際に言葉に表現しろと言えば確かに難しい、なので素直にそれは伝えておく。
とりあえず、良いか悪いかで言えば微妙に悪い方かもしれない。
まぁ、でもそこまでわざわざ言う必要もないと思い、後の部分は言わなかった。

「何者か…まさに今お主が勘繰った通りじゃぞ?妖狐、狐の化物じゃな。
………まぁ、化物という表現はあんまり好まぬ、妖狐としておいてくれると助かるのぅ?」

素直に聞いてくれたみたいだが、すでに自分でそれは言ってしまっている。
とういか、妖怪について知識があると自分で言っているじゃないか、そんな気分だ。
とはいえ、呼び方としては前者のが良いので前者を推してみた。
ついでに九尾の狐という呼び方もあるのを教えておいた、正確にはこちらだという事も。

「やはりか…その無駄に馬鹿でかい力、何者なのじゃお主等は」

そして、ふと自分の事は言いつつも相手の事を聞いてない。
そう思ったので問い返してみる。

「………お主、その話をどこで…?」

この世界の存在、その話を持ち出された時点でぴくりと表情が動く。
異世界から召喚された事は、この国の一部の者達しか知らないはずだ。
もっとも、その言葉も勘繰って出たものかもしれないが…つい反応してしまう。
ちなみに、伸びる手はぱしんっと閉じた右手の扇子でさらりと流される。

「む…むむむ…そう言われてしまうと…
いやちょっと待てお主、間違ってはいない、間違ってはいないがその雌という表現はやめいっ!」

うん、もふもふしてそうだ、とか言われれば反論できない、言葉に詰まった。
そして、ひたすら雌を連呼する男性。
元来は動物なのだから間違ってはいないのだが、なんとなく嫌だ。
ぺちりと痛くない程度で扇子で額を叩く、ツッコミ的な感じに。

ハスタ > 「…つまり…なんやねんそれ。」

名状し難いナニカ。腕組みしてニヤけ困り顔で眉を吊り上げて分からんと首を左右にゆっくり振った。
ただ、自覚はしている。常人には理解しがたいテンションであると。そしてそれが、微妙に悪い事であるとも。

「ふうん。そう。妖狐ねえ。こんな世界にねえ…へーぇ。」

九尾狐、と聞けば、ありゃ絶滅したんじゃなかったのか、とか素っ頓狂な事を言いながら、
実に微妙なようかい知識を御披露目しつつ、ううん、と唸る。
そういえば、尻尾は…と、彼女の背中を見て見たが、正直隠れているので分からなかった。
だがしかし、眼だけに頼らないのがおっさんである。おっさんは光魔法を極限までマスターしているので―――。

「本当に九本あるの?どれどれ?」

彼女の背中側をまるでスクリーンに映し出すかのように空間にポップアップする。
見えないアングルを可視化する素敵な魔法。これがおっさんの無駄魔法である。

「いちにいさん―――あ、ほんとだ、九本ある!」

一本一本指差して―――しかし本当に全部数えたんだろうか。三本目から凄く適当になった。
空中に浮かんだ彼女の後ろ姿をそのままに、話を続ける。

「ん?おじさんが何者か?しいていうならフェニックスみたいなもんだよ!まー…無駄にバカでかいから無駄なことにしか使ってませんけど。」

大嘘である。笑っている顔であれば嘘を吐いていると言われるが、
しかしこのおっさんは常に笑っているので表情の変化がイマイチ理解できないだろう。
そもそも何を言っているか理解できないかもしれないが、それはそういう物である。

「ん?…いやあ、ま、何となくね。こんな世界、それもこんな国に、妖の類なんていないっしょ。
それもあからさまに狐だからねえ。後は、勘。何かこう…違うなあって、それだけよ。」

発破をかけただけなのかもしれないが、何となしにと違和感はあった。この世界の存在としては、妙に浮いていると。
魔物でも人間でもない、これといった魔力はないが、その代わりにまた別の、妖力やら霊力やらと言った、
異界的な力みたいなものは、ありそうだとか。それは全くの気のせいかもしれないが。

「ナイス・ショット。」

と、流されたついでにもう片方の手も耳に伸ばしてみる。どうなるか結果は分かっているが。

「ほれほれ、おじさんにモフらせなさい。ああだこうだ言って逃げるんじゃない。
―――ほうほう、ナイスツッコミだ。
どうだい?おじさんとコンビ組もうぜ?今年の優勝は間違いなしだよ。」

おっさんは、基本的にボケ役である。故に彼女のツッコミ風な扇子の一撃を甘んじて受け入れてニヤける。
しつこく彼女ににじり寄って、意味不明な御誘いと共に肩を組もうとする。
いやにスキンシップの多い馴れ馴れしいおっさん。

「ってか寧ろさ。おじさんのペットにならない?ご主人様って、ホラ、呼んで頂戴?
いやあ、九尾の狐がペットだなんて、隣の奥様に自慢できちゃうわ。」

肩が組めたかどうかはさておき、おっさんはどっかから鎖のリード付きの首輪を手に顕現させた。
これが、錬金術であり、引いては無駄魔法である。

タマモ > 「…言うでない、妾とて言っていて分からんのじゃ」

まぁ、言っていた自分も分からないんだし、相手に分かる訳もない。
言葉へのツッコミに、ぱたぱたと扇子を振って応えた。

「………ほれ、どうせこの世界にも東の国とか、そんなものがあるんじゃろ?
そこに居るんじゃないのかのぅ?」

自身は逆にこちらの世界の事に細かくない、適当に、ファンタジーにありがちな設定とばかりに適当な事を言ってみた。
九尾狐の絶滅に関しては…先代の不覚を小突く内容だけにちょっとむすっとした表情、その後、力を引き継いだ末裔が存在していたのだと伝えておいた。

「………いや、今明らかに途中で端折ったじゃろ」

何をしているかは分からないが、どうやら自分の尻尾の数を数えているのは分かった。
だが、数えていた言葉が途中で曖昧になっているのに気付かない少女ではなかった。
しっかりとツッコミは入れておく。

「ほほぅ、フェニックス…不死鳥とな?…それはつまりあれか、殺しても死なないとか面倒な存在ではないか。
………小分けにして瓶詰めにすれば…いけるかのぅ…?」

フェニックスという名前にはよく覚えがある、やっていたゲームで大体出ていた名前だから。
いや、むしろそういう感覚でしかその存在を知らないとも言う。
ならば、そういった存在の対処はとなにやら考え出し…ぽつりと呟いた内容は、違う相手の対応方法だった。
…意外といけるかもしれないが、それは分からない。

「…この世界に、そんなものはなかったか…ならば仕方あるまいか。
その通りじゃ、お主、見かけによらず勘が鋭いようじゃな?」

自分の態度で感付かせてしまったならば、もう隠し立てする必要もないか。
肯定的な発言をしつつも、余計な事を言いふらすでないぞ?と一言言っておいた。
…聞いてくれるとは思えないが、まぁ、それはそれで良い。

「えぇいっ、しつこいのじゃ!お主は諦めが肝心という言葉を知らぬのか!?
…何のコンビじゃ、何の優勝じゃ、妾はお笑い芸人なんぞになるつもりはないぞ!?」

がーっと怒鳴りつつ、伸びてくる手はやはり流される。
続く言葉に怒鳴り声は続く、何の~とか問いつつも、しっかり最後にはそれになるつもりはないと答えを言ってしまっていた。
じりじりとにじり寄る男性、同じように距離を置く少女。
更に続く言葉にぱしーんっと少し勢いを強く、もう1度額を打った。

「なるか馬鹿者っ!隣の奥様とやらに何自慢をするつもりじゃお主はっ!?
…ったく、ならばあれじゃ…お主、土下座でもして触らせて下さいとでも妾に言ってみるが良い。
そこまですれば、その程度はさせてやるやもしれぬぞ?」

さすがにペットやらは無い、そこは強く否定しておく。
だが、地面に頭を擦り付けて頼み込めばお触りくらいはさせてやる、と。
これだけの力の持ち主、プライドも比例してあるだろう。
ならばお触り程度でそんな事はしない。
ふふんっ、と偉そうに胸を張って言い放った。

ハスタ > 「…うむ。何だかおじさん虚しくなってきたからこの話はやめよう。ね?」

と言う半ば強引な幕引きと共に意味不明を追求する話を切り上げつつ。

「…あー…うん。極東和風のね。わからんでもないっす。着物とかね、ああいうのはいいと思うよ。うん。
おじさんも袴とか着ますしね。それに東洋の医学や呪術なんてもんもあるしね。便利なもんです。」

おっさんはこれで、博識である。異世界や他国についても広く知識を持つために、割と伝わった。
九尾狐ってやっぱり絶滅してたのかと手を打って合点しながら、つまりやっぱり希少種じゃないかとおっさんは思った。

「分かったから後ろを向きなさい。ちゃんと一本一本手でもって数えてあげるから!!」

くりんくりんと人差し指を回して回れ右の命令。

「そうそう、それね。おじさんは死なない。ンー…そうだねえ。例え灰にされたとしても蘇ってくるわけだし…。
蘇生の時に瓶が割れるんじゃないっすかね。っていうかおじさんを殺す方法を考えるんじゃない!勘弁してくれよ!
因みにおじさんはどんなことがあっても死にましぇーん。不死殺しだろうが時間遡行だろうが因果律改変だろうが…
…例え魂を粉砕されても元通り!凄いよね。自分でもこれすごいって思うわ。
あれっすね、不死鳥は鳳凰や朱雀と同一視される見たいっすけど、その辺どうすか雌狐さん。」

要は盛大な自己能力自慢。つんつんと彼女のほっぺたを突っつきながら、知ったところでどうにもならない、
非常にどうでも良い魔物についての考察を問った。多分答えにあんまり期待はしていない。
雌狐って言いたかっただけである。

「見かけに依らずとは酷い!おじさんこれでもチョー天才っすから。
で、異界人なわけねえ。いやいや、驚かないよ?おじさんこれでも結構異界の人と知り合いもいますから。
言いふらすも何も、おじさん単にティルヒアで可愛い女の子を凌辱しながら観光してるだけよ。安心して。」

非常に危ない発言をさらっと溢しつつ。あ、やっぱり?と、そんな感じで異界の存在であると認めた彼女に。

「おおおお…ううん。凄いねえ。よく頑張るねえ。何だかんだで突っ込むべきところに全部ツッコミを入れてくれて、
おじさん嬉しいよ、雌狐たん。でも、アレだ。儲かると思わん?ぶっちゃけ儲かるっしょ。
雌狐系お笑いタレント。デヴューしてみようぜ?え?」

スキンシップが悉く阻まれるが、然し悲しいことにおっさんはめげない。ニヤけた顔はそのままに、
一挙一動にジェスチャーを入れつつうへへと笑った。

「隣の奥様も犬を飼っていらしてね。と言うのは置いといて。―――あー、分かりました分かりました。
でもあれでしょ。触らせてやるとは言ってないってやつだよねそれ。おじさんそういうのには引っかからないからさあ。
ほれ。逆におじさんのアレを触る権利をやるから土下座してみ?」

誰得。

「で、胸の方はどうなんだね。まぁまぁありそうだが。」

触診とばかりに張られた胸をちゃっかり触らんと第三次攻撃が彼女に迫った。
ついでに「スリーサイズを聞かれると素直に答えてしまう呪縛」という非常にどうでも良いながら、
その限定的効果故にほぼ防ぎようのない咒いをかけようとしていた。この魔法は不可視である。

タマモ > 「…そうじゃな、妾もその意見には概ね賛成じゃ」

正直、この話を更に伸ばされても困るのは少女も同じだった。
当然その申し出は素直に受けておく。

「なるほどのぅ、やはりそういったものは存在するのじゃな?」

ふむふむと頷いた。
そんな都合よくそんなものがある訳ないと思っていたが…案外あるものである。

「遠慮しておく、そう易々と触らせる訳がなかろう?
なんぞ力で後ろから見ておったのじゃろ?それでちゃんと数えるが良い」

ぴっぴっと弾くように扇子を振って断る。

「そうか、それは残念じゃ…おっと、いやいや、今のは冗談じゃぞ?
幽霊みたいなものかのぅ?…あぁ、それだと成仏すると消えてしまうとかじゃろうか?
うん?不死鳥と鳳凰と朱雀か?不死鳥はよく分からぬのぅ…
ただ、鳳凰は霊鳥で瑞獣の一種、朱雀は神獣で南方の守護獣じゃな。
どっちも不死という話はないはずじゃからな、不死鳥とは別物じゃぞ?」

なんか適当に言った言葉を素直に考察して伝えてくれる男性。
それ、自分の事を言っている事なんだが?と言いたいが…途中で気付いて突っ込まれた。
ひらひらと誤魔化すように扇子を振りながら答えるも、その説明は聞いておく。
対策になるかと思ったが…うん、なんの対策も立てようもない内容だった。
と、次いで問われる内容に不思議そうに首を傾げた、てっきり詳しいと思っていたからだ。
相手の予想に反しているのは気付いてないが、当然のようにさらっと答えた。
後、雌狐って言うな。そんな視線を送る。

「天才と勘が鋭いのは別物じゃろ?
ふぅむ…そんな存在もこの世界に居るとは、考えもしなかったのぅ。
………のぅ、お主。普通に誘ってもあっさり振られるタイプじゃろ?」

うん、突っ込めるところは突っ込んでしまう。癖だろうか?
まさかそういう相手が居るとは本当に思ってなかったらしい、難しい顔をして考え込む。
しかし、直後の台詞を聞いてじと目になった…ぽつりと一言呟く。

「頑張りたくて頑張っておる訳ではないわっ!
そして変なところで喜ぶでない、お主はマゾかっ!?
更に言えばどこでどうこれが儲かるというのか聞きたいのじゃが?ん?
後はあれじゃ…いい加減に妾を雌狐というでない!タマモという名前がちゃんとあるのじゃっ!!」

スキンシップはなんとか回避しているものの、ボケの回避は出来ないようだ。
何度も叩き付けている扇子、そろそろ手が痺れてきた。

「妾をそこらの連中と同じにするでない、出来るならば触らせるくらいはしてやると言っておるのじゃ。
………なるほど、分かった、土下座をしてやるからその醜いものを完膚なきまでに踏み潰して良いな?」

こつこつと扇子の先で額を小突き、むすっとした表情。騙していると思われていたのが気に入らないらしい。
と、次の言葉にはにっこりと笑顔を浮かべた。視線を下げ…そこを見る。…本気かもしれない?

「まったく、お主のしつこさといったら…少しは物事を弁えるという事を覚えいっ!」

ぱしーんっ、受け流していた扇子の動きが打ち払う動きに変わった。
ちなみに呪縛をかけようとするが、それはどうやろうがかからない結果となるだろう。
防ぎようのないその咒い、回避をした方法とは…簡単だ、自身のスリーサイズを計った事がない。

ハスタ > 「するとお話することが無くなってしまう。何か話題を考えるんだ!!」

唐突なむちゃぶりがおっさんから下された。

「んむんむ。何でも東洋医学ってのは、五行説とつながりが深いんだとかねえ。」

おっさんは、これでこの世の中全ての魔術を体得している。
魔法の中では四大元素や五行説を根底に敷く者も珍しくないんだとかなんだとか。

「はあ…なんだね、耳も尻尾もモフらせてくれないってのか!このケチ狐!このケチロリババア!!
何のために尻尾と耳を生やしてるんだ!生えてる毛一本ずつ抜くぞ!!ババアらしくハゲにしてやるぞ!!この!この!」

実にレベルの低い暴言に出るおっさん。大人げない。
但し全く怒ってる風は無い。

「成仏しない幽霊って言うのが的を射てるかもしれないね。んー…そう。
赤い火の鳥ってもんでさ、同一視されることもままあるみたいなんよね。
不死鳥はハブられやすいみたいだけど、朱雀と鳳凰は案外同一視されることもままあるっぽい。
雌堕ちしろォ!油揚げで釣ってやるぞ雌狐ぇ!」

意外と真面目に答えてくれたのでおっさんもほおう、と関心模様で、自身の知識と見解を返しつつ。
何処かから取り出したルアーの釣り針に油揚げを引っ掻けて、彼女の前に垂らしてみた。
こうなったらもう止まらない。やっていることは凄いのに実に馬鹿げた幼稚な煽りが始まる。

「勘の鋭さが天才に繋がり、天才ってモンは勘が鋭敏なものなのさ。
どうにもおじさんみたいな奴はヨソモノ扱いされちまうことも多くてね。ま、それは良いとして。
ふっざっけっんっな!これでも彼女も居るし犬も兎も飼う予定なんだぞ!!可愛い娘もいるんだぞ!!可愛いんだぞ!!!!」

だったら尚更って話だろうが。このおっさんの女好きの悪癖は非常に酷い。
彼女がじとめになろうと何のその。まるきり理論的でない反論を声を大にして唱えた。
尚、相変わらず怒っている風は微塵もない。大声で叫べて楽しそうである。ついでに娘の自慢をする時は一際楽しそうである。
神性で魔王というあやふやな存在だが、一応子供は作れるらしい。

「頑張れ頑張れ雌狐!ほら!おじさんも応援するよ!
え?おじさんはとってもサディストだと思うけど。女の子ひん剥いてぶちのめすのが大好きなんだ☆
雌狐たんはどっち?良かったら今からでも遅くないしひん剥いてぶちのめさせてくれない?
ほれ、ツッコミ雌狐という芸術作品でだな。まずは全裸になって、上半身下半身を拘束した後、
首輪を付けてだ。それでおじさんがボケる。雌狐たんがツッコむ。そんな散歩をする映像を、
魔導機械に録画して売ったら凄く売れると思わへん?思わへん?ギャグもエロもなんでもござれっすわ。
はいはい、たまもたんね。たまもたんって言いにくいから雌狐たんでいいや。」

何ともコアなアダルトなビデオの例を挙げた後、あっさり彼女の名乗りを右から左へ受け流す。

「ほうほう、ツマリアレか。土下座すればおじさんでなくても誰でも触らせてあげると?絶対に?本当に?
そりゃあとんでもないクソビッチ雌狐じゃないか!って言いたいけど。つまりここに第三者が来て、
雌狐たんモフらせて下さい御願いしますって土下座したらその人には触らせてあげるんだね?絶対だね?」

どうよどうよと煽り立てる様な口調で彼女の誠意を問った。

「誰が踏み潰していいって言ったよオラ!触っても良いって言ったんだよ。まあいいわ、とりま土下座しんしゃい。
いや、全裸土下座…いやむしろまんぐり返しで頼みますよ。そったら考えてあげても良いです。」

という理不尽な命令。割とマジでやりかねなさそうなのでおっさんもちょっぴり困った様な顔をしながらやっぱりニヤけた。

「オコゲッ!」

叩かれた手をふるふるする。

「痛いなぁ、もうっ!―――何故効かないッ!?貴様ァ!
何をどうしておじさんの素敵なオマジナイをぉおぅ!ヒャッハァ!」

効かなかった。物凄くワナワナ震えて慌てた口調で喋るが、相変わらずニヤけているあたり、
あんまり動揺しているかどうかも不明。何をどう間違って効かなかったのか分からなかったので、
おっさんは結構微妙な気分になった。

タマモ > 「ふむ…考えるのは天才のする事じゃな、お主に任せたぞ」

その無茶ぶりをさらっと相手に投げ返した、考えるのは苦手だ。

「ほうほう、医学は知らなんだが五行は体を現したものでもあるからのぅ。
そう考えれば…ふむ、繋がりが深いとは言えるのかもしれん」

魔法は分からないが五行に連なる術を使うからこそ、少女にはそちらは何となく分かる。
…細かく説明しろ、と言われても説明出来ないが。
口元に扇子を沿え、考えるような仕草。

「なんじゃとっ!?これは誰ぞに触れさせてやる為に生やしておる訳ではないわっ!
ハゲなのは婆でなくて爺じゃろう、むしろ将来のお主じゃ!
お主の方こそ歳を喰ってハゲになる前にその毛を引っこ抜くぞ!?」
 
なんというか、いい年をしたおっさんと少女の低レベルな罵りあいだ。
ふふんっと偉そうにしたまま、怒っている様子は…少し怒ってるかもしれないが、本気ではない感じだ。

「ふむ、だからこそどうしようもない…困ったものじゃ。
なんじゃ、案外無知な者が多いんじゃのぅ…?
雌堕ちとは初耳じゃな…じゃが、それはせっかくだから頂いておこうかのぅ?」

うん、こうしたところは案外悪くはないのだが…やはり基本が悪いのか、この者は。
そんな風に男性を見て考えていた。
と、目の前にぶら下げられたのは…それを見た途端、その瞳が獲物を狙う野獣の瞳さながらに輝いた。
目の前でルアーに引っ掛けられていた油揚げ、それが触れてもいないのに物凄い勢いで少女の方へと引っ張られた。
丈夫な油揚げなんてものはない、多分、簡単に破れルアーから離れて少女の手元に収まるだろう。
…本気の念動力である、大人気ない。

「よそ者か………そうじゃな、そんなものじゃろう。
ほほぅ、では一つ聞くが…今お主がやっている行為、その彼女とやらや娘とやらに誇れる行動かのぅ?」

よそ者扱いに関してはティルヒア城内での今の自分がまさにそうだ、つい少し表情を曇らせる。
だがそれは長く続かない、男性の続く言葉に再びじと目だ。
ゆっくりと、よく聞こえるように相手に問うた。
とはいえ、まぁ、その表情から家族愛はあるのだろうか…そんな風には考えた。

「………応援するくらいならば手を止めんか!
なかなかによろしい趣味をしておるのぅ…じゃが、ぶちのめすのは悪趣味じゃな、女子は優しく激しく堕とすのが楽しいのじゃ。
誰がそんな事をするかっ!と言うか、拘束されたらツッコミなんぞ出来ぬわ!
そんな半端なお笑いを目指すなんぞ片腹痛い、出直して参れ!
そしてさっきから言っておるじゃろう、狐娘はやめんかああああぁっ!」

ツッコミ、僅かに休憩の如く扱いについて語り、またツッコミ。
ぜー…ぜー…いい加減に怒鳴り続けているのさえ疲れたか、息が荒くなってきた。
というか、この相手どんだけ元気なのだとある意味呆れたりもしていた。

「む…いや、それはまた状況が違うじゃろう!?
せっかく努力を少しは認めて優しくすればつけ上がりよって、もうやめじゃっ!お主には絶対に触らせぬっ!」

だむだむっと地団太を踏み、びしっと扇子を突き付けた。

「………本当にそれで良いのじゃな?
本当にそれをやったら良いのじゃな?考える、ではなくて、やらせるのじゃ…良いな!?」

にこにこと笑顔のまま、ずずぃっと詰め寄る。
にやけた顔の前に見える少女の瞳は…そこで頷いたら本気でやりかねない感じだ。

…と、はた、とそこで少女は正気に戻った。
今、2人が居たのは城門前。いくら日が沈んだとはいえ…まったく人目がない訳ではない。
すっかりと目の前の相手のペースに引き摺られ、普段見せない姿を晒してしまった。

「………」

長い沈黙。きっ、と相手を睨み付けた。

「お、お主…覚えておれ、顔は覚えた次はないと思えっ!」

何の次があるのか、訳も分からない捨て台詞を吐き、とんっと地面を蹴ると少女はその場から上空へと舞う。
そのまま、城門の前から完全に少女は姿を消していった。

城門を護っていた強大な力を持った少女。
それを追い払った者として、その男性は一部の者の間で語られたとか語られていないとか。

ご案内:「ティルヒア城門前」からハスタさんが去りました。<補足:イカしてない服装の貴族風ながたいの良いおっさん。観光旅行中?>
ご案内:「ティルヒア城門前」からタマモさんが去りました。<補足:名簿参照。>
ご案内:「◇“千年の女王の都”ティルヒア」にヴィヴィさんが現れました。<補足:銀髪、碧眼、軽装の鎧姿>
ヴィヴィ > もうじき夕闇が辺りを包むであろう時刻。
城門付近で王国軍と小規模な戦闘を繰り広げる兵士たちがいた。
その中には、ワルキューレのような軽装の鎧を纏い、身軽に槍を振るう女の姿もある。
身の丈ほどもありそうな槍を振り回し、敵兵をなぎ払い、突いて無力化していく。
その最中、深追いしすぎたか、ふと気づけば仲間たちとの距離がずいぶん開き、路地の手前にまで来ていた。

「しまった、離れすぎたな」

それを見て、仲間の元へ戻ろうと一歩駆け出す。

ヴィヴィ > 踵を返した背中めがけて、路地の向こうからやってきた王国軍の増援が襲いかかってくる。
槍の軸で受け止め、滑らせて鋒を逸らし、石突で兵士を一人打ち倒す。
その隙に敵兵に取り囲まれて、仲間との間を塞がれた。

「くっ、面倒な」

孤立してしまったのは己の不覚。
とは言え、文句の一つも呟きたくなる状況だった。
複数人、同時に得物を振りかぶってきたのを、潜るようにして躱す。
一人の足を払い、喉を突いて仕留め、ぐるりと槍を回して牽制。
勢い込んで近づいてくれば石突や穂先で打ちすえ、あるいは切り裂いて少しずつ着実に数を減らしていく。
やがて敵兵も不用意に近付いてこなくなる。
焦れったくなるような戦況に、気が急いてしまいそうになるのを必死に抑えていた。

ご案内:「◇“千年の女王の都”ティルヒア」にアノーさんが現れました。<補足:@.テルヒア軍間諜を終えた後王国軍に復帰。その後女王の都攻略作戦に出兵を命じられた部隊長>
アノー > 個人の感情とは裏腹にジャック改めアノー・ニュクスは都攻略作戦への従軍を命じられた。曰く、鉱山よりも先に都を落としてしまえば鉱山の部隊を撤退、降参するだろう、と。ともあれ、依頼ならぬ命令ならば受けるしかない。そこに個人の感情を挟んではいけない。

「いい腕だ」

退路を絶たれ、包囲された貴方に向けて声が投げかけられる。
もし、貴方が傭兵部隊などと言う酔狂な輩を見たことがあるならば、そこにいる男がかつてテルヒア軍に志願した傭兵部隊長だと知ることが出来るだろう。もっとも、直接の面識会話もないわけだが。
ともあれ、貴方を包囲する王国軍の中から部隊長章を身に着けた男が出てくる。

「それで、これからどうする。逃げれるか? それとも捕虜となるか?」