2025/11/20 のログ
■アルフェ > どう見ても、自身よりも年下にしか見えない少女が紡ぐ、大人びた発言
言葉だけなら、ただただ恐れ多いと平伏するばかりだっただろう。
けれど、そこに温かな、心配りを感じ取れば、心酔する理由を探すまでもない。
「私にはもったいないほどに、ありがたいお言葉です。
―――はい、もちろんです。」
聖女から直接、孤児たちの世話を託される。
それは名誉なことではあるのだけれど、幼気な子どもたちに、奉仕の手解きを施さなければならない。
――そんな裏のことも知っているだけに、後ろめたくもある。
そのせいで僅かばかり返事に詰まる。
聖女の透き通った眼差しは、自身のそんな後ろめたささえも見透かしているかのように感じられ。
「は、はい。ありがとうございます。
相談……はい。辛いときは、その……相談させて、貰うかもしれません……」
剣のようなまっすぐでキリッとした雰囲気が、この時ばかりは揺れる。
年相応の少女としての素顔が垣間見え。
ただ、修道会の裏の事情を聖女様に相談してよいのかと、そんな葛藤も見え隠れしており。
■バティスタ >
言葉に詰まりながらも、聖女に言葉を紡ぐ少女。
仕事熱心に、張り詰めていたとしてもまだ十代半ばの少女である。
その拠り所となれるのであれば聖女自身、そのことを喜ばしく思い破顔するだろう。
──実に、絵に描いたかのような清らかな聖女像だ。
私利私欲の為に狡猾な悪心が蔓延り、裏を見れば目を背けたくなるような光景がいくらでも在る。
だからこそ、そんな穢れなき聖女という偶像を信仰したくなるのかもしれないけれど。
「(んー…これならもうしばらく、彼女の前では演じておいても良いかしら。
生真面目にも見える子だし…面白い感じに揺らいでくれそう)」
物事には緩急が大事。
人心掌握の基本であるし、何より面白い。
そんな内心を曝け出すこともなく、飽くまで騎士修道会の長と従子としての会話が続く中。
「ふふ、こう見えてそんなに忙しくもありませんから、どうぞお気兼ねなく…。
私も、貴女とは機会があったら色々と訪ねてみたいこともあったのですよ?」
「修道会の手引きで回収された、魔剣とやらの話も…またの折には是非」
果たして聖女はこの騎士修道会のどこまでを知っているのか。
その裏で行われていることも全て知っているのはないか──葛藤を抱えた少女に抱かせるものは疑念か、それとも。
■アルフェ > 心優しき、まさに天使のような御方
そんな尊き方に、甘えてしまうなど、修練が足りない。
亡き父ならば、そんな叱咤を飛ばしたかもしれない。
いずれにしても、これまで大恩ある修道会に仕えていたけれど、
身命を捧げるべき相手を見つけたと、その眼差しに憧憬を浮かべ。
忙しくもないなどという言葉を額面通りに受け取ったりはしないものの、
それでも御傍に侍ることができるよう努力を重ねようと心の内で決意する。
「そ、そんなお話まで、ご存じだったのですね。
はい。その折にはぜひ。」
もしかしたら――
目の前の少女は、全てを知ってなお、穢れることがないのでは。
心酔したものの眼には、疑念などよりも、縋りたい希望が映る。
自身の手が穢れていると、そう思うだけに、なおのこと光を求める心は強く―――
■バティスタ >
例え大人から叱咤叱責を受けようとも。
少女もまだ大人とは言えぬ年の頃、出自が出自であれば、存分に甘えても良い年頃である筈。
その眼差しから伝わるものは憧憬、希望、ありもしないものに縋る心。
「快諾ありがとうございます。
このような立場にいると、様々な話を聞くものですから。
あ…剣をどうこうしよう…なんてことはありませんから、安心してくださいね」
聖女は嬉しそうに双眸を細める。
まこと、神のため、騎士修道会のために力を尽くそうと決意を重ねる少女は眩い。
闇は光に閉ざされていてこそ、表に溢れることはない──。
「ふふ、ではその時は私の私室に招待致しましょう。
…さて、今日は立ち話をさせてしまいました。
警邏の途中だというのに、付き合わせてしまい、申し訳ありません」
もっとも、聖女の話し相手を務めていたとすればそれに異を唱える者など誰一人としてこの修道会にはいないだろう。
むしろ彼女を取り巻く者の目すらも変わる筈だ。
「共に神を尊び歩んで参りましょう。従士アルフェリア。貴女にも祝福と幸あらんことを」
そう言葉を締めくくり、礼を向ける。
それでは失礼しますと、その最後の仕草に至るまで、完璧なる聖女様…であった。
「(また一人、玩具が増えちゃったかしら…♪)」
その腹の中に宿る愉悦に歪んだ本性など、垣間見せずに。
踵を返した聖女バティスタは実に静かな足取りで大聖堂の中へとその小さな姿を消すのだった。
■アルフェ > 「この身も、剣も、貴女様に捧げるもの。
如何様にもお使いください。
―――とはいえ、そう言っていただけると嬉しく存じます。」
心に定めた決意のままに、深々と頭を下げながら、そう告げる。
けれど添えた言葉の響きは柔らかく。
心から聖女を慕う様子が感じられるだろう。
会話の終わりまでも労いを忘れない相手に、とんでもないことだと緩く首を振り。
「こちらこそ、身に余る光栄をいただき、感謝に……って、えっ?
そ、そんな……恐れ多いですっ!」
窓辺越しであっても、会話のやり取りが続けば、初めの緊張も幾許は解けるもの。
そうしたこともあってか、最後に投下された爆弾に、素の表情が現れる。
私室に招待されるなどと、ぶんぶんと首を横に振って、あり得ないことだと諫める言葉を紡ぎ。
「あ、あのっ、うぅぅ……
そ、その眩い慈愛で、迷える私どもをお導きくださいますよう――」
優美な礼を向けられれば、こちらも騎士の礼で返すほかない。
とはいえ、諫める言葉を聞き入れられなければ、その表情には困惑と、何より喜びが綯交ぜになっており。
今はただ、その小さな背が見えなくなるまで、その場で見送ることで―――
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート ファルズフ大聖堂」からアルフェさんが去りました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート ファルズフ大聖堂」からバティスタさんが去りました。