2025/10/27 のログ
ご案内:「ファルズフ大聖堂 - 中庭」にバティスタさんが現れました。
■バティスタ >
涼やかな秋風の吹く、大聖堂の中庭。
花壇は修道院の子供達やシスターによって綺麗に整えられ、秋に咲く花々が空間を彩っている。
「ふぅ……」
大礼拝を終えて、中庭のベンチで小休止の聖女様。
修道院の子供達が手を振って挨拶すれば、応じるように片手をひらひらとさせながら微笑む。
──薄ら寒くなってきたっていうのに、ジャリどもは元気だこと。
そんな内心は置いておいて。
「風も冷えてきて…もう直、冬の足音も聞こえてくる季節でしょうか」
厳しい時期がやってくる。
王国の貧民地区での炊き出しなどの奉仕の頻度も増えてくる。
自然、王族や貴族と顔を合わせる機会も増えるため、多額の寄与や献金を募ることが出来る。
冬の間の食料品などは多くの信徒達からの献上品などもあり豊富な蓄えがあるため…つまるところ冬は稼ぎが増える。
──それなりに抱き込んだ貴族達も増えてきたし、聖薬の流通を増やしても良い頃合いかしら。
聖薬とは名ばかりの魔薬『神の塩粒』については深く突っ込まれると面倒な問題であるため、足のつかぬよう市場へ流れるものも含め厳格な管理が為されている。
■バティスタ >
この修道会は直接的に王国や政治への干渉はしない。
その崩れ行く、腐敗しゆく様を中央に居座りつつもさながら対岸の火事が如く愉しむ。
そんなスタンスの中で唯一直接的に騎士修道会が関わっているのが聖薬の精算と流通である。
高精製の魔薬である『神の塩粒』は服用すれば尋常でない多幸感と共に依存性を植え付ける。
感覚の鋭敏化、疲労感の消失と、色を好む腐れ王族貴族にとって実に便利かつ、良いモノである。
同時に──その強烈な禁断症状は聖薬への依存…ひいては騎士修道会への服従・心酔へと繋がる。
そう、信仰の上での奴隷…狂信者などを"創る"上でも実に便利な代物なのだ。
──ま、バレたらバレたで…
私欲に屈服し聖薬を流通させた騎士修道会の幹部の一人が異端者として粛清されて事態は収拾。
清廉潔白で可憐、弱き民の味方である聖女様にとってはそれは知り得ぬこと。
深く傷付いた聖女様をかつて救われた民や信徒達が慈しむという光景まで演出できる。
「(……でも)」
危なげがなさすぎるのも、正直物足りない。
■バティスタ >
王都、王城を訪れ多額の寄与・献金を行ってくれている王族や貴族との顔合わせ。
無論信仰から寄与してくれている素晴らしい信徒もいる。
しかしそうではない…聖女に舐め回すような視線を向けてくる者もいる。
そういった手合は…聖薬絡みの流通に使える故に手籠めにすることもある。
聖女の掌の上で弄ばれる肥え太った豚と考えれば、案外愛嬌がないこともない。
──そういう豚を増やしてみるのも、アリかな。
せいじょさまー。
子供達の声が聞こえる。
「こんにちわ。危ないですから、あまり駆けてはダメですよ」
柔らかな笑みでひらりと手を振り返しながら。
腹の中の黒さなど微塵も感じさせない純白の聖女はゆっくりとベンチから腰をあげる。
■バティスタ >
ベンチの脇に置いていたミトラを被り直し、急な北風に飛ばされないよう、片手で抑えながら。
中庭には、修道院の子供達の笑い声と喧騒が響く。
騎士修道会の裏のことなど、大聖堂の地下で行われていることなど、何も知らない無垢な笑い声。
そんな笑い声もいずれ汚れてゆく。
真白いカンバスにどのような泥が塗りたくられてゆくのか。
そんなことを考えるだけで──思わず唇が歪みそうになる。
そんな現実に彼らが触れた時、一つの救いとなるものこそ信仰である。
───ちょっと私、良いことしすぎかしら。
■バティスタ >
荘厳な鐘の音が鳴る。
さあお祈りの時間ですよ、と。
修道院のシスターが遊んでいる子供達を聖堂の中へと促す。
欺瞞に満ちているとはいえど信仰は柱。
神という巨大なる支えがあれば、汚れゆく世界でも生きてゆくことが出来る。
例えそれが滑稽にも思えるような生であっても。
聖女と共に神へと祈りを捧げ、神を賛美する聖なる歌を歌う。
そんなファルズフ大聖堂の平日。仮初とはいえ、実に平和で穏やかな一日。
───闇は光が閉ざしていればこそ、人に恐れられることはない。
ご案内:「ファルズフ大聖堂 - 中庭」からバティスタさんが去りました。