2025/09/23 のログ
ご案内:「ファルズフ大聖堂 大浴場」にアガタさんが現れました。
アガタ > ────誰かが召された後なのだろうか。
馥郁と薫る香料の中に、"神の塩粒"の残り香を嗅ぎ取った。

無感情にそれを受け止めながら、誰もいない時間帯を選んで時折足を運んでいる。

今更多少の摂取は女にとってはあまり意味の無いものであるし。
ふわりと漂う湯気に混ざるのはそれよりも花の香りのほうが強い。
若干思考が散漫になるといえばそうではあるが。

脱衣場で、その身を包む法衣を解けば、女が一人きりの入浴を良しとするのもまた自然と露になる。
均整の取れた矢や細身の体躯。
筋肉のついた肌色は白いものの、そこには無数の傷跡がきざまれていた。

明らかに祭祀に従事してきたわけではないことを知らせるものの、特に目を惹くのは腰部に刻まれた大きなそれだろう。
右の腰から、太もも、胸郭に至る大きな──痕。

切り傷でもなく、火傷の爛れのようでもなく。まるで刺青か何かの刻印のようなそれは女にとっては呪いといって差し支えのない傷だった。

女自身は特に気に留めるものではないが、その異様な様相を晒すことで気を遣わせないように、肌を見せる必要があるときは一人を好んでいた。

アガタ > 「───」

特に言葉を発することもなく。自身の法衣や下着類を畳んで棚に。
浴場に通じる扉を開けば、仄かに零れているだけだった湯気が柔らかに体を包んだ。

潤沢に湯を使える、というのは───実に贅沢な話だ。
その目的がどうあれ、それらは嗜好品といえるのだろう。

洗体と、洗髪を終えてその大きな浴槽に足を滑り込ませるころには、すでに熱で温まった肌がほのかに色づく。

乳白色の湯面に、自身が立てた波紋が広がり。
特に薬剤を使わなくとも、広々とした浴槽で足を伸ばせ、温浴できるというのはそれだけで心と体がほぐれてゆくものだが──心地よさをより齎すための工夫は当然のように女にとっても心地いいものだった。

満足そうな小さな吐息。
異色の双眸を軽く伏せる、肩まで身を沈め、浴槽の縁に軽く後頭部を預けるのだった。