2025/06/14 のログ
ご案内:「ファルズフ大聖堂・中庭」に聖バティスタさんが現れました。
聖バティスタ >  
此処は神聖都市ヤルアバオート。
そこに或る大聖堂の一つ…正バティスタ派・騎士修道会の建造物であるファルズフ大聖堂。

美しく手入れがされ、色とりどりの花の咲き誇る広い中庭では──。

「ふふっ…そうなのですね。
 シスターに怒られてしまって…、でもそれは貴方が元気に育っている証拠。
 あまり迷惑をかけてはいけませんが、しっかり謝れば許していただけますよ」

談笑するのは神秘的な雰囲気を讃える聖女──しかしその雰囲気は普段、大礼拝などの時よりも柔らかく、
その周りには笑顔で聖女とお話する…孤児院の年端もいかぬ少年少女達が集っていた。

聖バティスタ >  
こうして孤児院の子ども達と言葉をかわす。
これも聖女バティスタの多くある姿の一つ…。

無邪気な笑顔に囲まれ、穏やかな笑みを湛える様子はその幼気な見た目に母性すらも宿しているように感じられる。

「(はぁ…乳臭いガキ相手にくだらない話をするのも仕事だものね)」

などと思っているかどうかは定かではない。
少なくとも、表からは全くそんな雰囲気は感じさせないのである。

聖バティスタ >  
そんな折───。

『ねえねえ!聖女様!これ見てください!これ!』

どうしたのですか?と聖母のような笑みで、そう駆けてきた子供に顔を向ける。
どの両手で抱きしめるように抱えているものを健気に見せにきてくれたらしい──。

「…? それはぬいぐるみ…、私、ですか?」

それは実に可愛らしく、聖女バティスタの姿を忠実に写し取りつつもデフォルメされた…実に完成度の高いものであった。
その完成度たるや、聖女自身が見ても どこで扱っている商品…? と思ってしまう程である。

「すごくよくできていますね……でも、これを一体どこで…?」

『聖騎士のお兄様が違うダメだーそうじゃないもっとーみたいなことを言いながら、いっぱい作っているよ』

アイツしかいねえ─────。
聖女、あっさりと発生元を特定。

聖バティスタ >  
いや…でも見れば見るほど、出来がいい…。
これ、普通に売り物に出来るレベルなんじゃ……。

聖天騎士という最高位を預かる彼がなぜこんなものを作り始めたのかは謎であるが。
信仰心も行きすぎるとあらぬ方向へ走っていくもの、なのだろうか──。

しかも子供のの口ぶりでは試行錯誤をしつつ試作品を作り続けている…といった状況だろう。

「(なんのために作っているのか…というのが問題だけど)」

まぁ敬虔な信徒の中でも特別自分に心酔しているある種の狂信者である。
自分の不都合になるようなことは、基本的にはしないだろうが──。

『聖女様…これ、私が持っていても良いですか?』

少しそわそわとしながら、そう問いかけて来るガキ…じゃない、子供。
そっと手を伸ばして、薄い色の金髪を柔らかく撫でつけて、微笑む──。

「構いませんよ。いただいたのでしょう?ふふっ…私だと思って、大事にしてくださいませ」

『ううん、落ちてた』

落とすな────────────────────────────

聖バティスタ >  
どうせ大量に造りすぎて、その一つを移動中に取りこぼしてしまったのだろう。
なんかもうその姿がありありと見える……。

「でしたら、彼に届けてあげてくださいませ。きっと喜んで、褒めてくださいますよ」

同時に、紛失したことを死ぬほど悔やむかもしれないが…。
元々彼は自分自身の自問自答で悔やむ程の気狂いだ。問題ない。

「(聖騎士の中でも屈指の器量よしだったのに、どうしてああなっちゃったのかしら)」

おおむねはこの聖女のせいではあるが。
この場合はあの青年のもって生まれた素質が素晴らしかったと言わざるを得ない。

「──さて。そろそろイカなければ。
 あなた達も院にお帰りなさいな。お歌の時間に遅れてしまいますよ」

ふわりとした清らかな笑み、鈴のような声。
完璧なる聖女モードでガ…子ども達の談笑を終え、一礼をして聖女は中庭を後にする。
聖女が庭から見えなくなるまで、子ども達の別れの声が背中を叩き続けていた。

子供は良い。実に素直で、未来がある。
たまに鬱陶しいけど。中身が子供の大人程じゃない。

聖バティスタ >  
「…さて、どうしたものかしら」

一人廊下を歩けば、ぽつりとそう零す。

偶像崇拝、というのもある。
聖女を中心としたこの騎士修道会の在り方としては…正しい。

聖女様グッズは布教にも役に立つ……かもしれない、可能性もなくはない、ような気もする、多分。

「──まぁ、良いでしょ」

好きなようにさせよーっと、と決めて足取り軽く聖女様は礼拝堂へと向かうのだった。

ご案内:「ファルズフ大聖堂・中庭」から聖バティスタさんが去りました。