2025/06/08 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート ファルズフ大聖堂」にプシュケさんが現れました。
プシュケ > 深夜の大聖堂、寝付くに寝付けずに礼拝堂まで散歩がてらに歩いてきてしまった。

このファルズフ大聖堂へとやってくる時は、この教団に寄進されたアイテムの価値鑑定を依頼された時。
とはいえ、始終やってくるわけにもいかないため、せいぜい月1回程度としていれば、大量に鑑定すべきものが溜まってしまい、結局こうして一泊仕事になることも少なくない。

結局、疲れているのに頭が冴えて、よく眠れない。
そんな状況になりやすいのがここでの仕事とも言えるのだった。

礼拝堂の中央辺りまでやってきて、ぼんやりと、信徒視点で見上げるのと同じ体制で視線を向けている。
別に信心深いわけでもなく、どちらかというと無神論者に近いと自認しているのだが、こういうぼんやりした時間自体は、嫌いじゃなかった。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート ファルズフ大聖堂」にヴァンさんが現れました。
ヴァン > 礼拝堂の隅に、影と同化しているように一人の男がいた。
出張から帰るための飛竜便が悪天候で使えず、この聖都で一泊することに。
神殿騎士団の宿舎は居辛く、ふらふらと街をうろつくうちにこの礼拝堂に辿り着いた。
男が過去屠った聖都の者は多いが、この修道会の者はいない――その筈だ。

「……夜半課は終わったし、早課まではまだ時間があるぜ?」

金髪の少女を見て目を細める。ウィンプルをしていないからシスターではなかろう。
身だしなみからして、併設されている孤児院の子供という訳でもなさそうだ。
一人穏やかに過ごすのも悪くはないが、つい声をかけてしまった。柱の陰から現れ、ゆっくりと近づく。

日が変わる際に行われる夜半課は、先程終わった。次は三時間ほど先だ。
時課に参加するつもりではなさそうなのはわかってはいたが、話題としてはちょうどいい。

少女にとってみれば、奇妙な姿に見えるかもしれない。
首から提げた聖印は神殿騎士団のもの。バティスタ派のものではない。
額に巻いたバンダナは、博識な者であれば奇妙な模様が何を示すかがわかるだろう。

プシュケ > ぼんやりと見上げていれば、ふと自分にかけられる声。
少しだけびくっと体が揺れるものの、その声の方向へと視線を向けて、
告げられた言葉に苦笑めいた笑顔を見せればひざを折る、淑女の礼を向ける。

「残念ながら、それらのお勤めにはあまり興味がなく。
どちらかといえば、俗世にどっぷりとつかっている身ですから。

……ちょっと寝付けなくて散歩をしていただけ、です。」

自分がどうしてここにいるのかを簡単に種明かし。
見てわかる通りシスターでもなく、そもそもそこまで敬虔な信徒でもないと。
下手をすると、そもそも信徒ですらないとすら。

自分はあくまでここでは客分なのだから。
それでも、十分美しく作られているこの建物の美を見て回ること位は許されるだろうと。

ヴァン > 身長は頭一つから一つ半違う。歳の頃はまだ子供か。
同年代の人間からみれば、これくらいの子供がいてもおかしくはない。
見ず知らずの人間にいきなり声をかけられるのも怖いかもしれないと、10mほどの距離で歩みを止めた。

「あぁ……となると、ここの客人か何かか。
ま、俺も似たようなものかな。前ここに来た時は仕事絡みでね。
こうやって建物をゆっくり見ることなんてできなかった」

己もこの会派に属する者ではないと告げる。
少女の視線につられるようにして、室内を見渡した。

「ここは――近年信徒を増やしているからか、建物の造りがいいな。
伝統的な所も悪くはないが、いかんせん古い……」

ゆっくりと歩きながら、距離を縮める。流石に先程足を止めた所は遠すぎた。
5mもあれば普通に会話はできるだろうか。

「君はここには何をしに?
散歩ではなくて、この会派に呼ばれた理由かな。無理にとは言わないが」

プシュケ > 「はい。どちらかというと、客人、が正しいのかと。
あら、そうだったのですね。客分同士が深夜の礼拝堂で遭遇する。
……ふふっ、ちょっと不思議な感覚ですね。」

歌う様な、言葉遊びのような言葉が紡がれて。
そして、男の視線を追うように己もまた室内を見渡していけば

「古きものには古きものの良さが、新しいものには新しいものの良さがあります。
ここは、機能的にも芸術的にも優れた建物が作られていますから、見ていても楽しいのが良いですよね。」

そんな感想を口にしていた所で向けられた問い。
特に隠す理由もなければ、素直に口を開いていくだろう。

「私は、こちらに寄進されたもののうち、物品の鑑定に参りました。
なかなかに物品数が多いもので、どうしても泊りがけの仕事になってしまって。」

こんな年若い少女に鑑定人などできるのか、と思えるかもしれないけれど
紡ぐ言葉も態度もまた、嘘をついているようには見えないだろう。

ヴァン > 「そうだな……」

正確に言うと男は客人ではない。
あっちをふらふら、こっちをふらふらしているうちにこんな時間になってしまった。
偶然警邏の目にも留まらず――招かれざる客、という表現が正確だろうか。

「古いものの良さ、か……。それがわかるのは一部の人のように思う。
俺もなんとなくはわかるが、何か特別な力があるのでなければ新しい方が良い、って思ってしまう」

古いものも当時は最先端の技術が使われていたはずだし、それは今のものにも言える。
少女が外見にそぐわぬ見識を持っていることに舌を巻きつつも、言葉を返す。

「鑑定。ここは寄進とか多いのかね……うちもあやかりたいものだ。
となると、古物商? 鑑定人……?」

流してしまったが、少女が先程やってのはカーテシーか。
この時間にこの場所で見るのは不釣り合いだということに今更気付く。

「……どこかで、会ったことがあるかな?」

王国内の貴族であれば男の頭の中には入っている。
例外は社交界デビューしていない子女だ。
界隈にあまり積極的に関わっていないことが裏目に出ている。
鑑定というキーワードが引っかかっている。あと少しで思い出せそうな、難しそうな。

プシュケ > 「はい。古いものの良さは中々目立つものではないのですけれど、
古いものがあるからこそ、新しいものが生まれるのです。
新しいものが生まれるからこそ、古いものが映えるのです。

こればかりは、なかなか感覚を共有するのが難しいのですが。」

少し苦笑めいた笑顔になるけれど、少女自身の考えとしてはっきりと紡がれていく。

「大分多いんじゃないですか?鑑定人が私一人とは言え、一日かけないと終わらないのですから。
もちろん、誰から見ても分かるものは鑑定に回されないので、
価値が判断付かないモノだけでそれだけあるという事ですし。」

宗教組織として儲かっているのかどうかは少女には良く分からない。
それでも寄進の量としては多いのだろうと考えて。

そんな中でふと向けられる言葉は既視感の話。
暫し不思議そうに男を見やるけれど、少女の中には記憶はない。
だが、彼が覚えがありそうだというのなら……

「お聞き及んでいるかはわかりませんが、自己紹介までに。
プシュケ・イフレーア・カルネテルと申します、よしなに。」

名乗りを上げて、今一度の礼を彼に向けた。

王国内の王族まで頭の中に入っていれば、当然知ることのある相手だろう。
一芸を誇る家にして、その末子。
その瞳はあらゆるものの価値を妻甍にするといわれていることもまた。

ヴァン > 少女は難しいことを言っている訳ではない。
無知な者にわかりやすく本質を伝えるのは一種の才能だ。
司祭がこの世の成り立ちを話すがごとく、少女の言葉は男に染み入った。

「ふふ……それだけ多いと扱いに困ってしまうかもしれないな。
売り払って資金にするのがよいのか、どこかに飾って教団の権威を高めるのに使えばいいか。
お嬢さんは単なる鑑定ではなく、そういったコンサルもできそうだ」

ただ価値を伝えるだけならば教団から呼ばれることもあるまい。
少女が持つ見識が更なる付加価値をもたらすのだろう。

「……! これはこれは。イフレーアのご息女であられましたか。
このような姿でご挨拶することをお赦しください。
私はラインメタル辺境伯、アーサー=シルバーブレイドが三男、ヴァン=シルバーブレイド。
ノーシス主教神殿騎士団所属、聖騎士(パラディン)。普段は王都におります。
改めて、以後お見知りおきを……プシュケ嬢」

右膝を地につき、頭を垂れる。
面をあげれば、視線はやや上向きになる。

「……聖バティスタ派は、いかがですか? 貴家にとって……」

曖昧な物言い。もとより何かを期待している訳ではない。
様々な組織が跳梁跋扈するこの王国内で、何らかの情報が得られれば良いぐらいの言葉。

プシュケ > 「そうですね。8割は売り払えばよいものでしょうけれど、残り2割は手元に置いておいた方が良いものもありますね。
そのように、とはお伝えしますが、そこから先は教団の皆様が考える事かと。」

価値を見通すその瞳が価値ありと認めたものは金に換えられるものではないとも言われている。
が、故に、正しく物の流動性が保たれて、保持すべきものも分かるのだろう。

そんななかで、己が名乗りを受けて男の反応が変わる。
替えたかったわけでもないのだが、知ったからこそ変えなくてはと考える相手の事も察することは容易いこと。

「いえいえ、過分な返礼、ありがとうございます。シルバーブレイド卿。
私も普段は王都ですから、またどこかでお会いするやもしれませんね。
その時は、私の方こそ、よろしくお願いいたします。」

膝をつき頭を垂れる深い礼を男がとったがゆえに、王族の義務として、男の前にそっと右手を差し出した。
全てにおいて行われるわけではないものの、王族姫が、礼を向けた相手に手の甲への接吻を許す仕草にして、
一段深い関係を許すこと。
そんな中で、曖昧に向けられた言葉。
苦笑めいた笑顔と、ゆっくりと上がる視線。
最初にこの場で男が少女を認めた時と同じ体制をしばし取ってから。

「……分かりません。私も未だ、蒙昧な身でありますがため。」

ただ短く、そうとだけ伝えた。
何かを知っているのか、何かを感じているのか
そんな疑問を持って見ても、少女からその答えは返ってこないし、おくびにも反応を見せることはない。

そのまま今暫し語らいがあった後で、ふぁ……と小さくこぼれるあくび。

「ふふ……シルバーブレイド卿とのお話が楽しかったものですから、
待ち続けていた眠気がようやく訪れてくれたようです。
よろしければ、私の客室前までのエスコート、お願いいたしましても?」

向けた言葉に返った返事。
そのいかなるものであったとしても、どこかで別れる時には無垢なる笑顔だったことだろう。
そして、ヴァン=シルバーブレイドの名を王族姫は覚えることとなったのだった。

この後に何があったのか、それはまた、別のお話。

ヴァン > 少女の手をとり、顔を近寄せる。しかし、唇ではなく額が近い。
昨今は礼儀作法一つで騒ぎ立てられる。面白味はないが無難な仕草。

「……左様でございますか」

神殿騎士団は聖バティスタ派に何ら干渉する権限を持たない。
だが、面倒事が発生した際に案件が持ち込まれるのは神殿騎士団だ。
王族に対して粗相がないかの確認程度だったのか、わからないという言葉には微笑んでみせた。

「……確かに、いい時間ですね。
私ぐらいの歳になると、夜はまだこれからですが……
よろこんで。確か……客人向けの場所は確か、あちら側でしたかな?」

才能を持っていてもまだ年端もいかぬ少女だ。
大人としてできる手助けはすべきだろう。
お安い御用とばかりに、手を差し伸べる。

数分もしないうちに、二人は礼拝堂から姿を消していた。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート ファルズフ大聖堂」からプシュケさんが去りました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート ファルズフ大聖堂」からヴァンさんが去りました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート ファルズフ大聖堂」にビデラさんが現れました。
ビデラ > ちく…ちく……
ファルズフ大聖堂の中庭
そのベンチで、優男が針仕事をしている
作っているのは…男が見繕った上質な布と綿が素材のぬいぐるみである
サイズは小さな少女が胸に抱けるくらいのもの
モチーフはもちろん、この修道会の聖女である

自分の部屋で行っても良いのだが、やはり他人の目というのは大事だ
道行く信徒たちに出来栄えを検分してもらうという行為を何度か繰り返しているのもそのため

「……くっ…。私の腕では、聖女様の髪の柔らかさを表現することが出来ない…!
なんと信心が足りないことか…。
だが、まずは作らなければ…信心が深まることも、上達することもない…」

説法の時間からは外れており、男もまた仕事をある程度片付けた後…つまりは余暇の時間だ
その時間を使って、熱心にぬいぐるみを作っている男
空は晴れており、絶好の散歩日和でもあるのだが…そんな日光の下、男は少しずつ表情や髪型などが違う様々なぬいぐるみをベンチの脇に置いて作業している…
しかも、軽鎧姿のまま

これでは、信徒や…少し早めに礼拝に来た者たちに驚かれてしまうかもしれないが
今、男の全神経はぬいぐるみに注がれていた

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート ファルズフ大聖堂」からビデラさんが去りました。