2026/02/19 のログ
ご案内:「無銘遺跡・地下深く(過激描写注意)」に宿儺姫さんが現れました。
■宿儺姫 >
地下遺跡の最奥。
光を拒むかのような空洞が在る。
そこに、女鬼は見るに頑強な鎖で繋がれていた。
岩柱に打ち込まれた太い鉄環。
四肢を広げるように固定する分厚い鎖。
逃れようとした痕跡が、何度も金属を歪ませた爪痕となって残っている。
かつては岩を砕いた腕。
山をも揺らす脚。
それらは今、ただ拘束具に吊るされた重い肉塊のように力なく垂れ落ちる。
その肉体に多くの死闘と、敗北の証を刻み──、女鬼は唯一生きた瞳をギラつかせ、薄闇の中に在った。
■宿儺姫 >
一糸纏わぬ姿で鎖に繋がれた女鬼が大きく息衝く。
己の体内から感じる。
折れた肋の断面がゆっくりと結合していく。内側から蠢くような再構築の感覚。
椎骨の裂け目が埋まり、神経が再び繋がる───時間はかかる。しかし、確実に。
動かなかった指先が、わずかに動く。
引き千切れた筋繊維が再編される。
断裂した腱が絡み合い、強度を増す。
やがて、女鬼は息を深く吸い込んだ。
全身の力が、繋がる。
そして───。
鎖が軋む。
ゆっくりと、両腕に力が込められる。
一度砕かれたことで、より硬く、より密に再生した両の腕。
鉄鎖が悲鳴を上げる…最初は微かな軋み。
次第に明確な金属音へ。
そして――破断。鎖が弾け飛ぶ音が遺跡の最奥へと響いた。
■宿儺姫 >
怪力乱神の大悪妖。
その力を封印された今では無敵には非ず。
しかし敗北すらもこうして糧とし、より強靭な肉体となり成長してゆく、死なずの鬼姫。
深遺跡の強力な魔物に一度は砕かれかけた己の首へと手を触れ、ゴキリと鈍い音を立て、一回し。
「…さて、返礼と参るぞ」
棚引く跳ね髪は闇の中で淡く揺れ、浅黒の肌に走る隆起はまるで鋼を内包した彫像が如く。
より強靭に肉体を再生させた女鬼は、引き千切れた拘束具の残滓をけたたましい音と共に振り払い、
薄闇の中に感じる無数の魔物の気配に北叟笑んでいた。
■宿儺姫 >
闇から姿を見せたのは──大型の魔物。
遺跡にいる魔物の中でも巨躯。中には魔法を操るものもいるか。
手に大槌を持った牛頭の魔獣──ミノタウロスの群れ。
──鈍った肉体の"慣らし"には上等も上等。
拘束の痕はまだ肌に残る。しかし姿勢は揺るがない。
その体躯にそぐわぬ瞬発力。疾風となった女鬼は一瞬で間合いを詰め、上背の高い、最初の一体の首を掴む。
込めるは握力───骨が潰れ、喉が圧壊する。
絶命の断末魔、それを報せに、次々と巨躯が群がり集まる気配が立ち込めてゆく。
気性ゆえ、待つことはしない。
闇へと一足飛びに自ら飛び込み、開戦の咆哮をあげた。
■宿儺姫 >
殴る。
頭蓋が砕ける。
蹴る。
胴が破断する。
抱え込まれる。
だが逆に押し広げ、肩を引き裂く。
血と骨、絶叫と悲鳴が遺跡を染めあげてゆく。
「く、く」
己が鋭き黒爪に滴る血脂を舐る様は悪鬼そのもの。
これまでの己であればこの巨躯の群れ相手であれば多少なり損耗もしたのだろうが、再生した肉体は以前を上回る頑強さと靭やかさを備えている。
程なくして辺りから魔物の気配が消え失せれば、血の匂い立ち込める遺跡に絢爛たる鬼火を巻き起こし、その暗闇を照らしあげる。
そこにあるのは無数のミノタウロスの死骸、そして堂々と立ち尽くす女鬼の姿のみ。
血風を纏い、無数の牛頭鬼の遺骸を一瞥し、
肉体をより強く再構築された女鬼は力任せに、遺跡を踏破してゆくのだった。