2025/11/09 のログ
ご案内:「九頭龍山脈・森林(過激描写注意)」に宿儺姫さんが現れました。
宿儺姫 >  
九頭龍山脈──山道からは外れた森林。
魔物や竜などの跋扈するそんな場所に、血腥さが支配する場所が生まれていた。

「フゥゥゥゥ……っ」

大柄かつ、屈強な肉体の女鬼。
襤褸を纏う浅黒肌は人間を遥かに超える膂力を蓄えるに相応しい見目。
その両手からは血と脂を滴らせ、前傾姿勢のその立ち姿の周囲には──破壊された剣や鎧に混じり、人の遺骸が転がる。

「ハァ……、こんなものか。
 我の首を跳ねるには、たいした鈍らであったな……」

人喰い鬼にかけられた懸賞金狙いに訪れた腕に覚えのある冒険者だったのだろう。
それが自意識過剰であったのか、ただ単に力量を見誤ったのか。
どちらにしても賞金稼ぎは失敗に終わり、その命を紅く散らしたのだ。

宿儺姫 >  
闘争欲求を満たすことなく。
人間の血の匂いに刺激された女鬼は酷い興奮状態に在る。
普段以上に瞳はギラつき、身体には理外の力が宿るかに隆起させ。
肢体を申し訳程度に覆う襤褸は血に濡れ、口元には白い牙を覗かせる。

一目で人外と理解る容貌に剣呑な空気を纏い、女鬼は森林をゆっくりと移動しはじめる。

人の血に酔い、喰い足りない女鬼。
その歩みは次なる獲物を探してのもの。
魔物であろうが、竜であろうが、人であろうが。
見つけざまに襲いかかるだろう狂気をそこに滲ませながら。

ご案内:「九頭龍山脈・森林(過激描写注意)」にマヌエラさんが現れました。
マヌエラ > 血臭纏いし悪鬼が、闇深き山中を往く。
闘争を求めし彷徨の最中、その嗅覚は不意に――本当に不意に、
気まぐれな進行方向の先、巨大な力の気配が生まれた事を感じただろう。

魔力。妖気。或いは邪気。

その何れでもあり何れでもないかのような、渾然一体たる気配が突如、木々の合間から溢れた。
これが賢明なる、そして脆弱たるヒトの探索者ならば即座に逃げ出したことであろう。

だが、勇猛なる鬼姫ならばどうか。
修羅が木々の合間に更に足を踏み入れ、その邪気を辿ったならば、彼女は目にした事だろう――。


「いい湯ですね~~」


白磁の肌に、天然の温泉の雫を滴らせた、整いながらも呑気そうな風貌の女の姿を――。

宿儺姫 >  
──なんらかの気。強者の纏うそれを嗅覚にて嗅ぎつけた。

木々の合間よりそれは姿を見せる。
浅黒い肌の巨女、一目で人外でわかろう風貌。
顔立ちだけは美しく整った鬼姫もまた、開けた場にてその者を目にする。

「…斯様な場所で只人が湯浴みもなかろうな」

その後ろ姿を確認すれば、
一歩、岩肌へと歩みを進めればその殺気を大きく放つ。

「…丁度酔い──先程潰した連中は喰い出がなくてな。
 やはり喰らうならば柔らかな肉が酔いと思っていたところよ」

ざんばらな亜麻髪から除く翠の瞳は鋭く、殺気を向けた先、恐らくは女であろう人影を見据えていた。

マヌエラ >  
「あら? あらあら。まあまあ」

 何処かのんびりとした風貌の女は、現れた褐色の鬼の姿、そして低く響く声に驚いて立ち上がった。
 湯煙の中でもはっきりと分かる、鬼姫ほどのボリュームではないとは言え、人間の平均よりは十分以上にグラマラスな姿態。その上を湯の雫が滴り落ちた。

 その仕草や見目を目にすれば、今度は逆に、男は欲望を顕わにし従うか、少なく見ても只の女と侮るやも知れない。
 だが、修羅の瞳は、風貌とは裏腹に邪気がこの女から発されていることを完全に見抜き――その佇まいに騙される事なく、敵手として認めていた。
 その視線に射られ、そして言葉に耳朶を打たれ、女は一時呆然としたようであったが――すぐに、笑みを浮かべた。

「まあ。その出で立ちとお言葉は……もしかして、以前に耳に挟んだ、賞金首という人喰い鬼さんではありませんか?」

 むしろ、翠の瞳は無邪気すら湛え輝いていた。

「あらあら、まあまあ! こんなに、こんなに御綺麗な方でしたなんて!
 お会いできて光栄です、人喰い鬼さん。
 私はマヌエラと申します。一介の冒険者ですけれど、ご勇名はかねがね、うかがっています!
 このような姿でのご挨拶になってしまって、申し訳ありません。私ったら、間が悪いんですから」

 胸と股間部だけをなめらかな腕と掌で隠しながら、頬を染めて恥じらうような表情を見せる。

 異常であった。

 勇名、あるいは悪名を知りながらも、その存在を前にし、些かも臆する所がない。

「――それで、私をその――お召し上がりになろうというのですね。

 ……私自身が食べられるのに、”召し上がる”と表現するのは……なんだか自分を持ち上げてしまっているようでちょっと居心地が悪いですね……。

 いえ、それは今はどうでもいいのでした。

 あの、でしたら私……そう、抵抗させていただきます。折角、こんなに美しい鬼さんに出会えたのに、そこで生命が尽きてしまうなんて、もったいないですもの!

 構いませんよね?」

 抵抗の可否を相手に尋ねるというズレた返答をしながら、女の姿をした何かは小首をかしげた。

宿儺姫 >  
湯を引きながら顕にされる肢体。
雄が目にすればさぞ目の保養。獣欲を抑えきれぬ光景に違いない。
しかし相手は血に酔った人喰い鬼──美味であろう肉、その豊満はそうとしか鋭い眼には映らず。
そして尚の事、闘争の鬼の嗅覚に香るは女のその緩やかな雰囲気には粗ぐわぬ邪悪な気。
敵を晦ます道化か、あるいはただの無垢か──。

「──匂いが違うな。人ではないか──まぁ、構わぬがな」

呑気な言葉を向ける女に向け、見下ろすような女鬼は白い牙を剥き出しに獰猛な笑みを浮かべる。
抵抗するのであれば僥倖──単なる食事に闘争のスパイスが混ざれば最早言うことはない。

「…名乗りを返しても意味はないな…化けの皮を剥いでくれる」

首に懸賞金のかけられた鬼である、と認識している。
しかし冒険者にしては、匂わせる気が剣呑な女。

──先ずは一振り。大きく右腕を振り被り、一足飛びに叩きつける爪撃。
その肩と腕の筋肉には力が漲り、並の人間ならば避けねば血肉の塊となろう遠慮のない一撃である。
それを、己とは大きく違う柔らかな肢体の女へと、風を切り無遠慮に叩きつけんと。

マヌエラ >  
無用な言葉を交わしはせぬ、暴虐にして剛健たる鬼の本分そのもののような一撃(へんとう)――
鎧甲冑に身を固めていても、防護の意味などなさぬであろう、名剣・魔剣に勝るとも劣らぬ剛爪が風を巻いて振るわれ、そして――

めぢっ、とも、ばぢっ、とも効かぬ、異様な音と手応えが返った。
女――マヌエラは動いていない。
だが、マヌエラと鬼姫の爪との間に、岩肌をぶち割って、人間の腕ほどもある太さの触手――形状は頭足類のそれを思わせる――が、何本も束ねられ屹立していた。
さながら、触手による樹木の幹――剛腕の一撃は、その半ばまで食い込むも、無邪気なる邪気を放つ女には届いていなかった。

「まあ♪ 一度に3本も断たれてしまいました! こんなことは、なかなかありません。流石です、鬼さん――」

 更に、岩肌のそこかしこから、同様の触手がぼこっ!!ぼこっ!!と無数に林立し、鎌首を擡げた。

「確か――宿儺姫様……というお名前でしたね?
 ふふ、楽しみましょう!」

 四方八方から、触手の群れが、鬼姫の四肢を捉えんと湯煙を蹴散らしながら襲いかかった。

宿儺姫 >  
「──くくっ、人ではないと思っていたが」

自らの爪撃を受け止めたのは異形なる触腕。
女が見た目通りではない貨物と悟れば、鬼姫の貌は狂喜に歪む。

最早食肉として見ることはなかろう、目の前の女は紛れもない──。

「怪物の類であったとはな──!!」

腕を振り上げ、その豪脚を振り抜きながら。
四方八方から襲いかかる触手の群れを剛力で打ち払う。
鈍重そうな見た目にそぐわず、靭やかさを兼ね揃えた益体を存分に振るい、薙ぎ払い、打ち付け──時には掴み、引き千切らんとする。
──鎧兜をも切り裂く爪撃で断てたのは、束ねられていたとはいえたったの三本。相応にそれが強靭な力と耐久力を持つことは理解っている。

「宿儺の名を知っていたか──面白いッッ」

そして触手の攻撃の手の隙間を狙い、本体──柔肌の女へとその爪を伸ばさんと大きく腕を振り上げる。
先程の、防御された一撃よりも更にその筋肉は盛り上がり、本気の一撃であることを思わせる。──すでに只人の牝などとは思っていない。

マヌエラ >  
「怪物、だなんて――」

一瞬、頬を膨らませて抗議の表情。

「申し上げた通り。ただの冒険者ですよ。
 魔族……と呼ばれる種ではありますけれど」

戦いの熱狂に猛る鬼姫と、平時の沈着を備えた女。
互いの佇まいは真逆なれど、魔と魔の力は拮抗し、その衝突は地形を容易く変動させるほどの戦いとなる。
一本で人間数人を容易く絞め殺せる触手が乱舞し、空間を埋め尽くすように伸び、木々を楊枝でも抜くように地中から引き抜いて投げつける。その爆撃のような攻撃の中、獣を超えた肉体が躍動する。
そこに巻き込まれた者がいれば、またたく間に肉塊と化していたであろう、常識外の闘争だった。

「あは! あは! 凄いです、凄いです宿儺姫様! こんなに楽しいことは中々ありません!
 嗚呼――こんなに強くて、お綺麗で、生き生きとされていて……私、貴女様のこと、とてもとても、好きになってしまいます――」

うっとりと異形の好意を口にした時、"本気”の一撃は訪れた。
小手調べで3本が切飛ばされた鬼の、渾身の一撃を前に、触手が寄り集まって防壁を形作る。

だがおそらく防御よりも、鬼の一撃は迅い。
その爪は、ついに女に届き、艶めかしい姿態を横一閃、両断したであろう。

「――!!」

切飛ばされた上半身は豊かな乳房を揺らしながら温泉の水面に落下し、断面を顕わにした下半身だけが、鮮血を吹き出して突っ立つ、グロテスクな……鬼姫にとってはある意味見慣れたかも知れぬ光景。

その爪の手応えは、明らかに”人間の女”ではない、もっと得体のしれない何かがみっしりと詰まったモノを切り裂いたような違和感であっただろう。

その得体の知れなさは、真実だった。

「流石です。宿儺姫様」

頭部ごと上半身が沈んだはずの……今も眼前で棒立ちの下半身の裸身から鮮血を拭き上げているはずの女の声は、鬼姫の真後ろから聞こえたのだから。

同時に、その下半身がばぎゅっ!!!!!と異様な音を立てて破裂し、その内部から更に無数の触手が爆発的に伸長し、至近距離の鬼姫を捕らえんと迫った。