2025/10/14 のログ
ご案内:「九頭竜山脈・洞窟(過激描写注意)」に宿儺姫さんが現れました。
■宿儺姫 >
「人が塒をしばし留守にしたかと思えば……」
苛立ちと呆れの混ざる表情。
そんな面持ちの牝鬼の両手には今しがた括り殺したばかりの小鬼の亡骸をブラ下がる。
人間の子供程の体躯のそれを忌々しげに洞窟の壁面へとかなぐり捨て、牙を噛み締めた。
ものの一月か。
塒にしていた洞窟を留守にしていた隙に連中は入り込んでいた。
奥が深く、広い空洞もある、更に湧き水による水源もあるという優良物件だったのは否めないが。
「やれやれ…これではもう使い物にならん…な!!」
背後から襲いかかった、鈍器を手に振りかぶるゴブリンの顔面へと振り向きざまに膝を叩き込む。
脆くも頭蓋の砕ける音と共にそれは絶命し、洞窟の地面へと崩れ落ちた。
牝鬼が棲家としていた洞窟は汚れに汚れ、厭な記憶を思い出させる、小鬼どもの巣の匂いに満ちている。
「已む無し…他に使えそうな塒を探すとするかのう」
このような洞穴、そうそう見つかるものでもないのだが、と。辟易した声を零す。
ご案内:「九頭竜山脈・洞窟(過激描写注意)」にボルフライさんが現れました。
■ボルフライ > 「いつの世も変わらんなぁ、お前たちは」
牝鬼が小鬼を屠り終わったころ、偶然にもその洞窟近くではさらなる小鬼の一団がなぶり殺しにあっているところだった。
腐臭の中でも感じられる鋭い存在感に、牝鬼もすぐに認識ができただろうか。
どうやらその洞窟やらを含めた周辺一帯にて小鬼が移動してきたか繁殖したかで、周辺の人や物、家畜にだいぶ害をもたらしたらしいが、それ自体は牝鬼もこの蛮族にも関係ないこと。
しかし価値あるものを穢し、腐臭をまき散らすこれらが、創生の時から相も変わらず目障りであるからこその、間引きという体のいいフラストレーションの発散。
周辺は既に血祭という名に相応しい有様。
このあたりのボスであろう最後の大型の個体の頭を握りしめて、じっくりゆっくりと握りつぶし、手のひらの中で砕け破裂していく音が響き、じたばたしていた肢体はだらりと重力に従っていく。
べしゃり…とそれを放り投げて辺りが静かになれば、あとは自然が適当に解体していってくれるだろう。
■宿儺姫 >
住居としてはとても使えぬと捨てた洞窟の表。
そこかしこに漂う血臭に、突き刺すような鋭い気配。
それを忘れるべくもない。
厭な記憶と共に根付いている小鬼どもへの怨恨などとは桁が違う。
悍けにも似た、『嫌な予感』
この山で如何な大物、火竜の類ですらこうも不吉な匂いを振り撒きはしない。
「…早々に塒を探すとするか」
普段、強大な気配を察知すれば喜び勇む牝鬼であったが─この気配はその気にもさせてはくれない。
血祭りを演じた主が此方の存在に気付いていないのか否かは、些か疑問が残るものだが。
■ボルフライ > 男は足を踏みしめ歩き始める。
その歩みは明らかに牝鬼の方へと向かっているかのような、気配の強まるのを感じさせるもの。
彼女を認識しているが故の歩みか、それとも単に洞窟の傍を流れる川にて穢れた手でも洗おうというだけのことか。
それを確かめようとは思わないだろうが、今から逃げても逃げ切れるか疑問に感じてしまうだろう。
桁違い…ではなく、次元違いという表現の方が適切だと感じさせる力の差。
高い再生能力を持つはずの牝鬼が何よりも逃避を思考するのは、これまでの経験から考えれば自然な流れだろう。
「ふっ、学習能力のあるやつは嫌いではないな」
いつの世も変わらない愚かな人間や、さきほどのゴブリンと比較して考えれば、差を認識し行動を改める牝鬼の判断に理解を示す男。
その響くような低い声が洞窟の入り口から聞こえてきたのは、あまりにも早い移動すぎて驚かせる。
「だが…逃げる兎は追いたくなるだろうなぁ」
いきなり手を出してはこない様子を見せつつも、背を向ければ手を伸ばすとも脅してきて、彼女の動きを封じてみようとする。
彼女の反応を気にすることなく、男は血で濡れた手を川に沈めて清めていく。
■宿儺姫 >
幾許かの時も許さず男は牝鬼の視界へと現れる。
小鬼を括り殺し汚れた手を…という目的が同じだったか。
無論、その姿を見つけた牝鬼は良い顔はしない。
眉を顰め、まるで厄介者に見つかったかのような表情を浮かべる。
上流と下流の差異、上流にて男を見下ろす牝鬼とはそれなりの距離がある。
「あやつ…。何処にでもおるな」
以前は確かシェンヤン、八卦の山にて。
かつての牝鬼ならば即座に川を下り襲いかかったところだろうが。
今の自らの力では毛ほども傷を与えられぬことは最早理解していた。
■ボルフライ > 「失礼なやつだ」
見下ろしながら不愉快そうな表情を浮かべている相手を見る。
まったく、人の顔を見ながらする表情ではないだろう…と。
今までこの鬼に屠られてきた者たちも同じような心持であっただろう、関係ないことだが。
「そうそう逃げぬか…さては寝床か」
こちらを見ながら手を出すわけでもなく、しかし逃げるわけでもない。
まるであてが無いかのような彼女の振舞いに理由がいくつか思いつけば、遠慮なく彼女に近づいていくことにした。
様子見され続けるのもむず痒いところだ。
手を洗い終えた男は、牝鬼の方へ向かい、のしのしと力強い足取りでまっすぐ向かっていく。
「どうした、小鬼に寝床でも穢されたか?」
けたけたと笑いながら、彼女に問いかける。
■宿儺姫 >
男が近づいたところで逃げはしない。
何も仕掛けられていないのに逃げるのはプライドが許さないのか。
あるいは二度も逃げを打つことを許さないのか。
以前の邂逅ではロクに言葉を交わすでもなかった男に、牝鬼は豊前とした表情を崩さない。
そして投げかけられるのは、まるで見透かされたかのような言葉だった。
「……そうじゃ。故にムシの居所は悪いぞ」
その言葉通り、なかなかの優良物件であった穴蔵をゴブリンどもに汚され、多少なり気は立っている。
同じような穴蔵もこの山には無数にあるのだろうが、それでも気分が良いものではいと。
「しかし貴様…蛮行ばかりでなく普通に意思疎通もできるのじゃな」
過去、どちらとも自分から意気揚々と仕掛けにいったことはとりあえず置いておくらしい。