2025/08/25 のログ
ご案内:「九頭竜山脈・洞窟(過激描写注意)」から宿儺姫さんが去りました。
ご案内:「地下闘技場(過激描写注意)」にセナさんが現れました。
■セナ > 「ったく……人外まで出て来るなんて聴いてないっつーのよ……」
女の吐息と愚痴が、焼け焦げた臭いが立つ石造りの広大な密室に響いている。
ドーム状の部屋には魔術が施され、決して中から破壊する事は叶わない。
特別な【催し】の為に用意されたその部屋には所々に生々しく新しいものと見られる血痕。
壁の高い箇所には、何者達かが部屋を眺めている姿がシルエットで映し出されている。
血塗られた、裏社会の闘技大会。肥えた貴族達が愉悦に浸る為に設けられた悪趣味な宴。
選手達はひたすら戦い、争い、傷つけ合い、殺し合う。勝者には莫大な報酬が与えられるが、
敗北すれば全ての【権利】と言えるものを剥奪され、待つのは勝者への景品となる運命か――はたまた、死か。
ある者は名誉の為、ある者は莫大な報酬欲しさに、またあるモノは、余興として参加させられる。
乱れた吐息を整えながら頬に伝った汗を拭う女剣士は、名をセナと言う。
流れ者である彼女は報酬を目当てに大会に参加し、順調に勝ち星を上げ、決勝に辿り着いた。
「これじゃ、次に何が出て来てもおかしくないわね……全く良い趣味してるじゃない、糞狸共」
対戦相手側の壁一部が淡い光と共に失せ、暗い廊下に繋がる入口となる。
そこから大会のスタッフと思われる黒づくめの男達が数人現れると、
セナに敗北し死亡した対戦相手――大型のミノタウロスを部屋から退場させて行った。
セナは壁上部の投影映像を睨み上げ、ぺ、と唇から伝っていた血を吐き出すと姿勢を整える。
「さぁ、最後の相手は誰?こっちは早く帰ってひと風呂浴びたいのよ。さっさと始めましょ」
再び相手側の壁が光と共に失せ、現れた最後の挑戦者は、さて――
大人か、子供か、戦士か、魔術師か。殺戮機械か、魔物の類か、はたまた魔族か。
報酬。名誉。ただ迷い込んだだけの被害者、大会関係者――どんなモノが相手でも、
セナがやる事は変わらない。ただ戦い、屠り、明日の食い扶持を稼いで帰るだけの話だ。
■セナ > 「…………ふん。こんなもン?欠伸が出るわ。ま、楽して勝ち星も偶には悪く無いか」
数刻の後――暗い闘技会場の中に立っていた勝者は、セナだ。
対戦相手は全身を丸焦げにされ、生物の形をした炭と化し地に伏している。
「流石にちょっとは疲れたわね……さっさと帰って汗を流すとしましょ。
……糞狸共、報酬はしっかり支払いなさいよ。期待外れの宴は如何だったかしら」
映像で映し出されたシルエット達へと高々と中指を立て、不適に笑って見せると、
背後の壁が失せ通路が現れる。踵を返して頬の汗を拭えば、深紅の女剣士は悠々と部屋を後にして行った。
――今宵の宴はこれにて終了。再び宴が開かれるかどうかは、誰も知る由はない。
ご案内:「地下闘技場(過激描写注意)」からセナさんが去りました。