2025/08/20 のログ
ご案内:「九頭竜山脈・洞窟(過激描写注意)」に宿儺姫さんが現れました。
■宿儺姫 >
九頭竜山脈の洞窟の一つ。
常闇を翠色の鬼火が照らすそこに、一匹の雌鬼。
引き裂けた申し訳程度に身体を隠す襤褸を纏い、そこから覗く肌には夥しい傷が浮かぶ。
その傷を雌鬼へと齎した存在は、今や鬼の座る前に焼け焦げた食肉となっていた。
人の数倍はあろうかという竜であったが、殴り、蹴り、叩き、下した。
焼けた骨に纏わりつく竜肉に喰らいつき、脂に濡れた口元を拭う。
そうしているうち、身体に刻まれていた少なくなかった切傷や擦傷は薄くなり、やがて消えてゆく。
「…味はまずまずじゃな。食い出はあるが」
指先をねろ‥と舐り、残った骨を放り捨てる。
呪詛の縛りの中、力が封じられているといえどこの屈強さ。
竜一匹を正面から徒手空拳で狩り、喰らう程度ならばそれなりに苦労しつつも成し遂げられる。
──しかし、それは腹を満たすのみ。
元来人喰いである鬼の底にある欲求はそれだけでは満たされることはなく。
■宿儺姫 >
強者との闘争こそ至上。としていたが。
力を抑えられたことでより、人喰らいの鬼としての渇望が貌を出しやすくなっている。
"鬼"という存在故の本能的なものでもあるその渇望は抗い辛く。
時折現れる、己の首に掛けられた金目的の人間。
そしてこの山脈を根城にする賊。
どちらも美味である者なぞ希少ではあるが、鬼に喰らわれ消えた命もある。
「…浮世。いい加減酒以外の趣も覚えるべきかのう」
そういえば煙管を吹かしていた同族の女がおったな、と思い出す。
生臭な、人喰らいという欲求を諌めたいとまでは思わぬまでも、欲の向く先を散らす程度のことは考えても良い。
闘争のみを好み選んでいた女鬼であったが、再び力を封じられてより、そういった娑婆じみた考えが多少なり浮かぶようにはなっていた。
ご案内:「九頭竜山脈・洞窟(過激描写注意)」から宿儺姫さんが去りました。