2025/06/29 のログ
宿儺姫 >  
牙を叩き折り、爪を引き剥がし、骨を砕く。
鱗と皮を剥げば残るは肉。塩漬けにしてもしておけばこれも随分と保つ。
竜を素手で解体する様はまさに鬼そのもの。並の人間が見かけようものなら悲鳴すら上がろう。

岩陰から引きずり出した大量の頭陀袋に無造作にそれらを放り込み、軽々と担ぎ上げ。

「──ちと血腥いのう。水浴みにでも参るか」

傷から滴る己の血も兎も角返り血も酷い。
さて、近くに湖畔は、と。火竜の遺骸を残し、その場から悠然と歩み出す。

行く先は街道を外れた森の中。
多少魔物は出るが、魔物が棲まう程度には済んだ水の泉がある。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道(過激描写注意)」にゴーザさんが現れました。
ゴーザ > 単純に言えば暇を持て余していた。
週に一度倒すべき強敵と拳交えてはいるものの、
基本飲食が必須ではない魔族としてはそれ以外の時間は
強敵探してうろつくだけで。

そんな折、少し遠くに竜が棲むとの噂聞きつけた白魔族は
どれほどの相手かと嬉々として向かっていた。
その途中に大き目の泉を見つけ、喉を潤すのも良かろうと、
ほとりに腰降ろして手のひらで清水掬って口に運び。

「うむ、美味い。
・・・そう言えば、彼奴は火竜だったな。
水を吐きかけてやればどんな顔をするかな・・・ふむ」

そんな事口にしてから、その大きな体に水貯えようとしてか、
這いつくばって泉に直接口付けようと。
これから水浴しようとする者居るなら、迷惑極まりないだろう。

宿儺姫 >  
泉へと訪れた女鬼は妙な影が畔にいることに気づき、足を止める。
図体のでかい。オーガか何かの類かとも思ったが闇夜。
如何に鬼の爛と輝く翠の瞳が見通すとはいえ、その正体までは看破に至らず。

「──人ではないな?」

そう小さく零す。
このような時間にこのような場所の泉にいる。
それだけでも理由としては十分だったが。
竜の骨肉が無造作に放り込まれた、血の匂い漂う頭陀袋をその場へと転がし、歩み寄る。
月の光差し込む下、冷たく照り映える褐色肌の女鬼──傷と血に穢れたその姿が映し出される。

ゴーザ > 「うん?・・・グオッフォッフォッ、
おぬしにはこの面相がヒトに見えるのか?
どうやらそちらも只者では・・・む」

声掛けられるなら、あっさりとその身起こして
3mにもなる体躯のほとんどを白い甲殻に覆われた上、
緑に光る単眼持ちの魔族が鷹揚に笑う。

声の高さからして女かと思っていたが、
王都でもついぞ見ない有角の豊満な女体見かけて
僅かに口角上げかけるが、女が放り出した頭陀袋から漂ってくる血の匂い・・・
数こそ少ないものの何度か嗅いだことのあるそれを認めて。

「おい、まさかとは思うが・・・
この先に棲んでいると噂のあった竜、おぬしが倒したのか?」

だとすると、この女も相応の強者だ。
これは思わぬ拾い物だと、闘争求める白魔族は
今度ははっきりと口角上げて牙がぞろりと生えた笑み見せるだろう。
いきなり襲い掛かるような真似はしないが、相手の出方次第では
第二ラウンド開始と言う事もあり得るか。

宿儺姫 >  
随分と大柄。並のオーガより頭一つどころではないか。
この辺りで見る魔族のどの形態とも異なるそれを、女鬼は怪訝な視線で見据える。

「化け物の類かとも思ったが、なんと人語を解するのじゃな。
 ……──ふむ。先程の火竜のことを言っておるのか…」

むう、と視線を一旦自らの背後へと投げ、無造作に散らばる無数の頭陀袋を見やる。

「貴様のいうそれかは知らんが、なかなかデカい火蜥蜴であれば、つい先程縊り殺したところじゃな。
 ──肉が欲しいならばわけてやっても構わんぞ。どのみち独りで喰い切れる量でもない」

ひとまず人間の言葉を解するならば意思の疎通は可能。
女鬼もまた戦狂いではあれど───いや、その表情はやや剣呑な笑みを見せる。
その風体から感じ取れる強者の風格に、歩み寄る毎に増す闘争の欲求を隠しきれていなかった。

ゴーザ > 「さあな、よく覚えてはおらんが元は化け物の類だったかもしれんな、
長く生きすぎたせいか喋る事も出来るようになったのよ、フォッフォッ」

己でさえしかとは把握していない出自、述べてからひとしきり笑って。

「火蜥蜴か・・・おぬしにとってはその程度の認識なのだな。
吾輩でも楽勝とはいかぬ相手をその扱いか、なるほどなるほど・・・
肉はくれるというなら有難く貰っておくが・・・そんなものより、なあ・・・
うおおおりゃあっ!!」

多分友好的に肉の提供申しでる女鬼の言葉を半分も聞いていないのが如実に分かる程、
頭陀袋にはもう目もくれていない。
代わりに立ち上がった背中に背負った得体のしれない獣の皮で作ったらしい大袋から
これも巨大な剣に見えなくもないが刃らしきものが見当たらない獲物取り出し右手に構え。
そうしておいてから、徐々に殺気放ちつつある女鬼の元へ此方も歩み進め、
少し遠いかと思われた間合いから、足全体の排気口から空気吐き出し小規模の跳躍試みて、
当たればよしとばかりにそのまま力任せに板剣を振り下ろし。

宿儺姫 >  
「──呵々。そうかそうか。
 しかし頭のほうは随分原始的と思える。奇遇じゃなあ───我もじゃ!!」

巨躯の跳躍、そして降りかかるは──質量の塊とも言える巨剣。
無骨なそれに切れ味などは見当たらない───と、見たわけでもあるまい。
女鬼は迷うことなく、ギラリとその翠眼から雷光を迸らせ──。

「むうううっ!!!」

漲らせた力がその肩を、腕を。
見るからに筋量の増した剛腕を振り上げ、振り下ろされた得物へとその拳を叩きつけ──振り抜く。
おそらく向ける相手が刃であったとしても己の鉄拳は斬れぬという自負でもあるのか。
一切の躊躇なく繰り出された怪力の拳は轟音と共に降りかかる鉄塊を受け止め──。

「(──、押し留めるに過ぎんか)」

僅かに驚愕の汗が頬を伝う。
如何な重量を持つ武器であろうと弾き飛ばしてやろうと振るった一撃。
しかしそれは振り下ろしを留めたのみ。武器の重さや破壊力よりも──振るう者が埒外の強者である証左だ。
──ならば、余計に滾るというもの。

「くくっ…、では固さは──どうじゃなッッ!!!」

押し留めた巨剣を脇へと流しながら、もう片腕を振り被る。
狙った場所は、いくつか身体を覆う白く硬質な部位──あえて硬そうな部位を狙うあたりが、
己の力に絶対の信を置き、迷わず強い部分を狙う戦狂いたる女鬼の気性が表れてはいるだろう。
岩盤をも砕くだろう鉄拳で以て、投石が如く姿勢で振り絞られた怪力が振るわれる───。

ゴーザ > 「おぬし、ヒトが気にしている事をあっさりと言うな・・・
まあ、お互い様ならさほど気にはならんが・・・なあっ!」

跳んだ事により剣そのものの重量と己の腕力に加え体重の何割かを乗せたはずの剣戟、
まともに食らえばいかに強靭な相手であろうとそれなりの打撲与えられるだろうが、
いかにも素早そうな体躯にあっさり躱されるかと思ったが受け止めた上、
片腕でとは恐れ入ったとまた鋭い牙揃った笑み見せ。

「ほう!?よかろう、先は吾輩が試した!
思う存分やるがよいわ!」

どうかと言われながら振るわれた拳が、それなりに多い筈の隙間狙うのではなく、
恐らくあえての身を覆う甲殻狙ってくるのを認めれば、
己と同様・・・いやひょっとするとそれ以上の戦闘狂かと喜び隠せずに返し。
そして岩をも砕く勢いで振るわれた拳まともに受けた白い殻は、
ビシリ!と言う音と共にその部分全体に大きくひびが入る。
しかし・・・砕け散りはせず、小さなピキピキと言う音と共に
徐々にではあるが塞がってきているようで。

「だがタダで試させてやるほど、吾輩お人よしでも無くてな!
先手を取った有利は存分に生かさせてもらうぞ!
どぉおりゃあああああっ!!」

そして上からの剣撃止められたのなら、流された剣を今度は横へと振るう。
そう、この武器は本来相手を殺す事無く体勢崩させるための打撃を主として使用する為の物。
とはいえ、普通のヒトが食らえば鎧着ていても骨の2・3本はへし折れそうな衝撃を
叩き付ける事にはなるのだろうが。

宿儺姫 >  
「──! 一撃で砕けぬとは、───グッッ?!」

簡単に砕けぬその硬質な手応え。
しかし亀裂が入り、それが修復してゆく様を見れば、もう一撃を腕を振り被る。

──しかしもう一撃にと構え空いたその脇を、豪速で迫る巨剣が薙ぐ。

厚手の鎧を折り重ねたかのような女鬼の腹を横薙ぎに、その威のままに跳ね飛ばす。
黒褐色に身体が巨木に押し留められる形で叩きつけられ、白く長い牙の覗くその口から赤黒い雫が溢れれ落ちた。

「ッ…な、なかなかの剛力……」

巨剣の薙いだ女鬼の身体はくの字に折れ、肋を砕く確かな手応えを怪物…ゴーザの手応えとして返していた。しかし。

「そうで、なくてはなぁ…っ!!」

正面から殴り合うに相応しい。
そう判断した女鬼は更に獰猛な笑みを浮かべ、巨木を足場に蹴り──加速する。
屈強な肉体に見合わず疾い。雷光が如き速度で振るわれるのは──大木をも蹴倒す威力のある豪脚による蹴りの一閃。
先ほどと違い、何処に当たろうが構わぬといった力任せ…そして反撃など知ったことではない、隙など一切考慮しない一撃が放たれる。

ゴーザ > なお、この横薙ぎこそが白魔族につけられた異名『轟塵』の由来である。
本来は滅多に当たる事無く、ただ辺りの塵巻き上げるだけの打撃に対する蔑称であったのだが、
本人が気に入って名乗っているあたり、本当に馬鹿なのかもしれない。

「流石にこれは当たったか。
・・・あれで躱されてたら、本気で吾輩おぬしに攻撃当てられんのだが、まあよしとするか」

普通なら折れやすいとはいえ肋骨砕いた感触に喜色見せても良かったのだが、
先に女鬼の胆力見てしまっているから、(こんなもん)十は砕かなければ、
大した怪我にもなるまいとあっさりした感想を。

「むおっ!
なるほど、そう来るか・・・ならばっ!
ぐおおおおおおおっ!!」

防御など一切構う事無く真っ直ぐに飛び掛かってくるのを認めると、
一瞬驚いた風見せるがすぐに歯を向いての笑いに変え。
まさに雷迅の如き蹴りに対して白魔族がとった行動は、
剣による防御でも拳の一撃を耐えた甲殻での止めでもなく・・・
開いた左手を前に突き出しての受けで。
そこも殻に覆われてはいるものの、全身覆うそれに比べるとはるかに薄いもので、
迅く重い蹴りを受けては当然のように砕けて、左腕の半ばまでを肉を裂きながら割られ、
その痛みに恐らく女鬼が初めて聞く苦鳴を上げて・・・
そこまでだった。

そのまま左腕を引き裂かれてもおかしくは無かったが、
尋常ならざる再生能力持った白魔族の腕は、裂かれながらも元に戻り始め、
左手の肉で女鬼の足を挟み込み、思い切り近距離での対峙を余儀なくさせて。
そうなったならそのまま左手を振り上げて、剣撃放った時の勢いそのままに
女鬼の体地面に叩き付けようと。

「・・・さて、この間合いなら吾輩も得意だぞ。
オルスガイドで打ち据えてやれんのは残念だが、
どっちが最後まで立ってられるか、我慢比べと行こうか!
ふおああああっ!!」

宿儺姫 >  
砕けた。
渾身の力を叩き込めば甲殻を砕き、肉を裂くことも可。
十二分な手応えに女鬼は口の端を笑みに歪める。──しかし。

「っ…!? なんという再生力───ぐ、ぬっ…!!?」

即座に肉体の修復が始まり、蹴り込んだ己の脚までもを巻き込み──つまりは、捕まる。

「ぐぅ…ッ!! やはり怪物か──」

互い様だろう言葉を吐きながら、女鬼の、人の身に比べれば如何にも重いそれが持ち上げられ。

「──がはッ!?」

強かにその背を池面へと叩きつけられ溢れた血がその口から吐き零される。

「っ、ゥ──…! 我慢、比べ、じゃと…!」

無論、その肉体の頑強さも折り紙つき。
先ほどの火竜との交戦においてもその尾撃に耐え、爪を受け止め、巨大なる顎で喰われようというところを逆に口を引き裂いて生還して見せた。
片脚を捕獲されているとはいえ、残りの四肢は十分に使える───眉根を顰め、闘争心漲る視線にて、それに応えてみせよう。

ゴーザ > 「怪物か・・・それこそお互い様だろう。
おぬしのような女、市井におるとか聞いた事が無いわ」

まあ、単身で見た所大した武器も持たずに火竜を倒したという時点で
女鬼が尋常ではないのは判っていたが、それにしたって言われたくはないと
少し不満げに抗議して。

「おうよ。
先の試しで見たはずの吾輩の能力、忘れていたか気にもせなんだのかは知らんが、
不利は不利であろうよ。
まあ、これ(おぬしを拘束した)くらいで勝てるなどとは思っておらん、
ここからおぬしが吾輩蹴散らす目も十分あるだろうとも。
ましておぬし、その身一つで火竜を屠ったのだろう?
だから・・・なっ、おおおりゃあっ!」

再び左手を振り上げ女鬼の体持ち上げようとして、
先程は単に地面に叩き付けるだけだったが、今度は右肩から落とすようにしており、
このまま続くなら四肢の要・・・両の肩と膝を折るか砕いて使い物にならなくしようとの意図が
判るだろうか。

宿儺姫 >  
「くく、なるほどのう…それが貴様の力、か…ぐ、ぬぅっ…!! がっ…!!」

再び。
肩口から叩き落とされ鈍い音が響く。
意図は伝わる。
こちらの闘争の要を奪おうという魂胆が。
しかし、なるほど──それは実に。

「──手緩いぞ、デカブツめが!!」

効かなくなった右腕なぞ意に介することもなげ。
膂力の要たる腹に全身の力を込め、己の脚を挟み込む腕を引き千切らんと蹴り脚を振り抜く。
──、一度蹴り込み砕き裂いたのだ。逆も力任せに成るだろうと。実に単細胞な思考である。

「──ガアアアッ!!!」

しかしそれが成れば──、咆哮と共に亜麻色を振り乱し一気呵成に畳み掛ける。
肩を潰され使えぬ右腕は兎も角。
相手の反撃を喰らうことなど知ったことかの肉斬骨断。
──防御は不要。己の頑健なる肉の鎧にて受け止めるのみ。叩き、蹴り、爪が切り裂き、怪力乱神の化身と化して振る舞う乱撃。
その合間に女鬼を留めるだけの一撃を挿し込めなければ、相手が絶命するまでそれが続くだろうことを想起するは容易か。

ゴーザ > 「・・・おぬしと違う点がもう一つあった、
吾輩、心ゆくまで戦りあえる相手はそう簡単に殺すつもりはない。
おぬしは充分・・・いや、多分吾輩より強い相手だ、
だからこそあっさり失うのは惜しい。
とはいえ、存分に戦って死なせてしまうのは仕方ないと、諦めてもいるがな。
むっ!?ぐおおおおおおっ!!」

まずは右腕を潰せた、さて次は左腕か足かと思案していたが、
まさか碌に力篭らない筈の足を振りぬき、拘束の要を失うとは思わず、
思わず再びの苦鳴上げ。

「なるほどっ・・・この程度で止められる訳はなかったか!
なればっ・・・グアアアアアアアッ!!」

実はこちらも左腕はせいぜい振り回すくらいしかできない程に損傷していた。
つまりは部所こそ違えど、一度に繰り出せる手数は女鬼と同じ3回。
しかし、明らかに速度で白魔族に勝る女鬼とまともに打ち合っても勝ち目がある訳はなく。
殻を砕かれ、肉を削がれながらも逆転の一手を放とうと。
・・・先程の小跳躍で少し使ってしまったが、体内に溜めた空気に加えて
本来は射程と威力増す為に使う事の多い体熱を使い、
鹿を狩る時にその足を吹き飛ばすほどの威力がある空気砲を口から吐き出そうと、
大きく口を開ける。
もし、女鬼が口の中見たならば、熱気帯びて揺らめく空気が溜まっていくのが見えるだろうか。

宿儺姫 >  
「くく──!! 面白い!!
 真正面からこれほど我の乱撃を受け、尚原型を留めるか!!」

アタックハイにでもなっているのかのように獰猛な笑み。
髪を振り乱し拳を叩きつけ、蹴りを見舞い、一心不乱に相手を殴りつける様子はまさに鬼そのもの。
女という性別を捨てているかにも見える形相も手伝い、力に狂った戦鬼はその手を緩めることはしない。
殻を砕き肉を裂く音に血飛沫が舞い、その朱に酔うかに鬼はより荒々しく──。

故に、眼の前の怪物が大口を開けたとて。
その顎を叩き割ってやらんとする好機としか捉えぬ女鬼は、その意図に気づいたとてその時は既に遅し。
正面から胸に熱と空気の塊を叩き込まれ──。

「──ぐ、ふ…っ!!?」

くぐもった声を残して背後へと吹き飛ばされ──大きな水飛沫をあげながら、清らかな泉へと叩き込まれていた。

ゴーザ > 「ぬぐぐぐぐぐっ・・・なめるなあっ!
わがはいも『轟塵の』ゴーザと呼ばれたモノよ!
そうやすやすと殺されてやるほど、柔な体はしとらんわぁっ!!」

女鬼の打撃により体の前面のみならず、あちこちを凹ませたり落としたり・・・
特に顔面は大きく目立つにしては耐久力ある単眼の傷こそ大したものではなかったが、
続けざまの連撃受けては再生こそするものの、戻る前に傷ついてを繰り返しており、
白魔族を知るモノにとっては二目と見られない程の損傷受けていた。

「グホォォォ・・・
やれやれまったく、ようやっとまともに攻撃出来たわ。
まああれくらいで死にはせんだろう、とはいえ・・・よっと」

速度にこそ劣るが、当たるとそれなりの威力になる筈の右腕と足による打撃繰り出しながらも
貯えていた空気砲がどうにか当たると、まずは吹き飛んだことに安堵しながらも
流石に溺れ死にされるのは勘弁と、まだ意識あった時の反撃警戒しながらも
水浴びできるほど澄んだ水濁らせながら掻き分け近づいて、問題なければ岸辺に運んで
まずは火を起こそうとかし始めるだろう。

宿儺姫 >  
「───」

さしもの頑強な女鬼も、その破壊力に不意を打たれ、ほんの僅かな時間意識を飛ばす。
衝撃で纏った襤褸も弾け飛び、殆ど裸体を晒したような状態で泉を揺蕩う中、その身体を引き揚げられる───。

──覚醒するのに然程時間はかからなかったろうが、
その双眸を開いた女鬼が眼にするのは泉に差し込む月の光と──揺らめく焚き火の揺らめきだった。

「っぐ、ごほっ……──。
 ぜぇ…っ…ぜぇ……。むぅ…負けたか」

まず口にするのは、口惜しげな言葉、
身を起こそうとして胸元の激痛に眉を潜める。
衝撃にブ厚い胸骨に罅でも入ったか、やれやれと再び寝倒して。

「…失うのが惜しいなどと言いつつ。
 あんなものを至近距離で受けたら概ね死ぬではないか…?」

自分が特別頑丈なだけである。
くたびれたように四肢を投げ出し、大きく溜息を吐いた。

ゴーザ > 「・・・おう、目が覚めたか。
うむ、今回はとりあえず吾輩の勝ちという事で良さそうだ。
ふうん・・・おぬしも大概頑丈だと思っているが、もし痛みがまだ続くようなら
吾輩用で良ければ回復薬もあるし、後はその・・・体力を分けてやる方法も無いでは無い。
どうする?」

無事意識戻したがまだきつそうに寝直す女鬼に対して、現状白魔族が提供できる
回復法を提案してみる。
・・・まあ回復薬は威力が高すぎて激痛伴うし、
体力を分けるのは直接体に触れなければならない上、魔族の生命力が
女鬼に効き目あるかが不明なのだがとの説明も添えた上でだが。

「仕方あるまいよ。
あのまままともに殴り合っていたら、吾輩が負けていたのだからな。
別に負けるのが悔しくないとはいえ・・・負ける前に殺されては敵わんしな。
それにオルスガイドでの一撃で、あの程度にしかならん頑丈さのおぬしなら
多分大丈夫だろうと思っていたし、事実死ななかったのだから良いではないか?」

・・・なんだかんだと良識ぶっていてもこっちもきっちり戦闘狂であるから、
しっかり脳筋なのだという事が判る台詞吐きながら、手近の頭陀袋から
ドラゴンの肉取り出して焼いていたり。

宿儺姫 >  
「……貴様そんなナリをしていて随分と気遣いが出来るのじゃな」

此方の状態をしきりに気にする様子に片眉を顰め、そう言葉を向けて。

「何、貴様程ではないにしろ我の回復力も伊達ではないわ。肉を喰らっておけば治る。
 ……まぁそれは良い。敗北は痛みと共に受け入れねば次に繋がらぬからな…」

潔いのか、不死身とも言える女鬼だから言える言葉か。
ともあれ敗北は敗北として、口惜しいなりに受け入れることを示唆しつつ、やれと腕を突っ張り上半身を起こして見せる。

「くはは。ついつい殴るのが楽しくなってしまってモロに喰らってしまったわ。
 まぁ今宵は我の負けじゃが次は負けぬ。また戦るぞ」

煌々と火に照らされながら、竜肉の焼ける匂いが泉の畔へと広がる。
身を清めに訪れた泉であったが、結果として叩き落されたことで身体を汚していた竜の血やらなんやらは綺麗さっぱりである。

ゴーザ > 「さっき言っただろう?
心行くまで戦りあえる相手は貴重だからな、簡単とおらん様になられては困る。
吾輩は回復なんぞ別に要らんのだが、他にとってはそうでもない事態もあるからな、
それなりに揃えてみたに過ぎんよ、グオッフォッフォッ・・・」

笑いながら木の枝切って作ったであろう即席の串に、
適当な大きさの肉を刺して炙り始めると、辺りに肉の焼ける良い匂いがし始め。

「ふむ、勝手に荷物漁った事謝らねばなと思っていたが、どうやら丁度良さそうだな・・・。
おおよ、再戦は大歓迎だ。
・・・とはいえ、吾輩手の内はほとんど明かしてしまったから、
次会う時までに工夫しておかんとなあ・・・」

むう、と再生進んではいるものの受けた打撃や爪痕などでボロボロの顔面更に歪ませながら
悩んでいたり。

・・・後。これは声には出さないが、今はともかく
人形態になったら好みドンピシャな女鬼の肉体が気になるらしく、ほとんど裸体となったのを
良い事にじっくりとガン見しており。

宿儺姫 >  
「なぁにをヌルいことを。
 それだけの力があれば真正面から殴り合えばそれでよかろうが」

異形の姿にしては実によく話が通じる。

元々肉は分けてやろうと思っていた手前、勝手に頭陀袋を漁られようと嫌な顔はしない。
どの道喰らい斬れずに塩漬けにするつもりであった。

「知恵がまわり人語を介するならば名くらいあるじゃろう?
 知っておかねば再戦が面倒じゃ。名乗れ。我は宿儺。北方生まれの鬼じゃ」

じろじろと見られようが、異形に真っ当な性欲があろうとは思っておらず。
そもそも羞恥心などというものも持ち合わせていない故に、その視線を気にする様子は見られず、隠そうともしないのだが。

ゴーザ > 「・・・ヒトだろうと魔族だろうとな、
死んでしまえばそれまでに過ぎん。
吾輩最強などと言う称号は要らん、ただ戦っておればそれでよい。
だからこそ、相手を減らす様な真似は・・・うん、滅多にせんようにしておるのだ」

しばらくしてほどよく肉が焼けたのなら、当然とばかりに先に女鬼へ手渡して
自分が食うつもりの分焼き始めて。
なお、味付けと言うものが壊滅的に不得意な白魔族は、軽く塩を振っただけのため、
美味いと思えるかどうかは女鬼の食生活次第で。

「吾輩の名か?先に言ってしまったつもりだったが、まあ良い。
・・・吾輩の名はゴーザ!『轟塵』のゴーザと呼ぶ者もいるが、
単にゴーザで一向に構わんぞ、スクナ!
ちゃんと覚えたからな、もしおぬしが死んだら、その名は
きっちり墓標に刻ませてもらうとしよう!」

名を問われれば心なしか嬉しそうに大声で名乗りを上げ、
ついでとばかりにデリカシーゼロの発現してしまったり。
本当に戦闘以外はポンの字なのだなあとの感想持たれてしまうだろうか。

宿儺姫 >  
「最強の称号が要らんとは、変わり者よ。
 しかしそうか。戦う相手がおらぬというのもまた退屈よな」

異形の零す言葉はわからぬでもばいと。
しかし闘争を続ければ力がつくのは必定。
負けのままで良いと済ますには、己の気性が許さぬ。

受け取った肉に牙を突き立て豪快に毟り取れば、がつがつと咀嚼し、飲み込む。
およそ女とは思えぬ野性的な喰い方である。

「そうであったか?ふむ…ではゴーザと呼ぶことにするか。
 呵々、我は死なぬ。肉体が滅びようとな。憎まれっ子世に憚るというわけじゃ。
 しかし墓標か…。人の文化にはそういうものもあったか」

命を落とした者の名を刻み、忘れぬものとする。
永命を生きる鬼神とも言える女鬼からすればよく意味の理解らぬ行為ではあったが。
どことなく嬉しそうなゴーザの言葉には小さく肩を竦めていた。

「酒がないのがいまいちじゃが贅沢は言うまいか。うむ、よし、治った」

そう言って立ち上がると、潰れていた筈の右肩をぐるぐると回し。
折れていたはずの肋をぐいぐいと腰を捻り回して具合を確かめていた。

ゴーザ > 「良く言われるが、仕方なかろう。
吾輩、それだけのために生きておると言っても過言ではないからな。
なあに、ヒトも魔族にも負けぬとなったら今度は神とやらにでも挑むとするだけよ」

ある意味とんでもない事さらりと言ってしまう所は、まさに戦闘狂の面目躍如だろうか。

野性的と言うか豪快と言うかな女鬼が肉食む様子には、うんうんと頷いてから
此方も焼けたばかりのドラゴン肉を口に運んでずらりと並んだ牙で食いちぎり、
適当に咀嚼してから飲み込んでいって。

「ふむ・・・死なぬというのも何と言うか、つまらなくは無いか?
なんだ酒が入用だったのか?
吾輩飲んでも酔わんから、消毒用にと貰ったモノならあるが
再戦の手付け代わりに取っておくか?」

もう平然と腕回している女鬼の再生能力の高さに内心舌巻きながら
アルコール度70近い異国の蒸留酒を、どこからともなく取り出して手渡そうと。

宿儺姫 >  
「そんなこともあるまいよ。
 時に敗北は死以上の苦痛となることも在る。
 死なぬから負けても良い、とはならん」

ドラゴン肉の骨をポイと放り捨て、頭陀袋の一部引き裂いて泉で汚れを落とし、身に纏ってゆく。
濡れた布が張り付き余計に…な見目となるが本人は気にした様子もない。

「酒があるとな?
 そのようなものがあるならばとっとと出せば良いものを」

よく先の戦闘で割れなんだな、とまじまじと酒瓶を眺め、受け取って。

「問いを返すがお主こそ酔えぬとはつまらんじゃろうなあ」

からからと笑いながら蓋を開け、豪快にがぶりと呷って。
高い度数なぞ謗らず、ぷはと吐息を吐いて。
残りはもらっていく、と蓋を閉め。

「では次に相まみえた時は再び殴り合いじゃ。
 我が拳足にて粉微塵に砕いてやろう♡」

ゴーザ > 「そんなものか?
吾輩にとっては、認めた強者と戦えないほど辛い事などこの世にはありはせん。
生きてさえおればまた勝てるからな」

さっきもそうだが、身なりにさほど気使わないゆえにより扇情さ増した女鬼の装いに
人型であれば鼻の下伸ばしていたのだろうが、
今はそれをおくびにも出さずただ眺めているだけで。

「はっは、吾輩は碌に使えんが魔法と言うのは大したものだ。
おかげで物運びにはあまり困らん」

どうやら異空間と繋がった袋めいたもの持っているらしく、虚空から取り出したバケツで
泉の水汲んで用の澄んだ焚火を消してしっかり後始末してから、
こちらもそろそろ行くかと準備始め。

「そうか?まあ戦いさえできれば他の楽しみは・・・あ、いや最近は少しできたな。
今はそうでもないが」

どうやら無事受け取ってもらえたようなら、好きにしてくれと笑うだけで。

「おう、楽しみにしておる。
・・・そうなる前に、今度は拳で両手両足圧し折りでもするかな?
グオッフォッフォッフォッフオッ・・・」

心底おかしそうに笑いながら女鬼との再戦楽しみにしつつ、元の塒へと歩を進め。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道(過激描写注意)」から宿儺姫さんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道(過激描写注意)」からゴーザさんが去りました。
ご案内:「◆九頭竜山脈(過激描写注意)」に賢しい小鬼たちさんが現れました。
賢しい小鬼たち > 気付けば、雌が一匹いなくなっていた
ただ、それはそれで構わない
あの雌は強い母胎ではあったが中々孕む様子をなかった
もちろん、あのまま続けていればわからなかっただろうが…
その前に、小鬼たちの関心が失せ始めてしまったのが今回の取り逃がしの原因だろう

ただ、だからといって小鬼たちは落ち込みはしない
次の快楽を求めて役割分担し…
斥候が周囲の雌を探しに、罠担当が巣の周囲や中に罠を張り巡らせる

主は、鬼の襲来によって寂しくなった護衛を侍らせて巣の中へ
当然、ギルドにも討伐依頼が出ているこの群れである
冒険者や、またその他の存在がやってくるかもしれない

警戒と索敵を続けつつ、今日も小鬼たちは山で生を謳歌している

ご案内:「◆九頭竜山脈(過激描写注意)」から賢しい小鬼たちさんが去りました。