2025/06/28 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道(過激描写注意)」に宿儺姫さんが現れました。
宿儺姫 >  
夜の山賊街道が燃えている。
天を焦がす紅い焔が周囲を照らす。その中央に在るものは──。

この山に生息する火竜が一匹。
口の端から火炎を零す巨躯。
そしてその正面に不敵な笑みを浮かべている者こそが、その火竜に仕掛けた女鬼。
互い、無数の傷を身体に刻み、赤黒い流血はその戦いが拮抗していることを表していた。

しかし森に始まり、拓けた場にまで挑んだ戦いは決着が近い。
竜の口を砲口とし放たれた火弾を正面から突き破った女鬼が火竜の牙を掴み、その全身に力を漲らせる──。
無論、火竜も女鬼を喰らわんとその萼を万力が如く閉じようとする…しかし。

「ぐ、ぬ…ぅぅぅッッ!!」

迸る膂力。屈強なその身を滾らせ、よりその筋骨を膨れ上がらせながらに、
ついには骨を砕き肉を裂く音と共に、火竜の萼を力任せに引き裂いた。

──顎を無理やりに引き裂かれた火竜は断末魔の咆哮すらもあげることなく、ズ……ン、という轟音と共に、地へと伏すのだった。

宿儺姫 >  
「──くはっ……、なかなかの怪物…!」

瞬間的にとはいえ全力を振り絞った女鬼が力尽き、その場の岩にてどすんと尻もちをつくように座り込む。

「まだこのような大物がおるか…。くく、退屈しない国じゃな」

顎を真っ二つに裂かれ絶命した竜を見下ろし、一息。
これで当面の食料に困らない。どころか牙や爪、皮や鱗などは物々交換としてなかなかの価値がある。

あたりには残り火がくすぶり、紅く夜闇を照らしていた。