2025/06/11 のログ
ご案内:「九頭竜山脈(過激描写注意」に宿儺姫さんが現れました。
■宿儺姫 >
九頭龍山脈に無数に見られる洞窟が一つ。
その内の一つ…やたらめったらと広いその洞窟の奥にて轟音が響いた。
その轟音を発したのは鉄鉱で出来た洞窟の壁と、屈強な女鬼の背だった。
小鬼と呼ぶには余りにも巨躯──女鬼の上背をゆうに超える巨体の振るった戦槌の一線が、標的の胴を横薙ぎに捉え、跳ね飛ばした。
人間の雌であれば即死、よくとも再起不能。
しかし生憎、この雌は洞窟の主だろう者がよく知るか弱い雌とは一味も二味も違う。
「──その程度の剛力、かつて集落にいた雄どもと比べれば珍しくもないのう」
跳ね飛ばされ強かに背を打ち付けた──しかしその程度まるで通じぬとばかりに嗤い。
猛然と地を蹴り、再びの接敵。
再び降りかかる槌は女鬼の肩口を袈裟懸けとらえ、叩き潰さんとするも強靭な両脚がそれを受け止め、支えきる。
割れぬ大岩を叩いたか。
そう錯覚させる感覚を巨躯の小鬼の戦士が感じた刹那、その瞳から雷光を迸らせた女鬼の猛攻が始まる。
───…そして十数分。
大音響となる絶命の雄叫びを轟かせ、その巨体は洞窟の奥に沈んだ──。
■宿儺姫 >
「なかなかタフなヤツであったが、図体がでかかろうが所詮は小鬼よ」
そう零しながら、倒れ伏した小鬼の戦士の頭蓋を容赦なく踏み割る音が洞窟へと響き渡る──。
「…ふむ、まぁコヤツが此処の主で間違いあるまいか」
小鬼とはいえなかなかの偉丈夫。
洞窟の広さのわりに、群れの数が些か少なくは感じたが──。
「大方外にでも出張っておるか。
くく、帰ってきてみれば主の躯では、小鬼どもも慌てふためこうものよな」
呵々と嗤い、用は済んだとばかりに踵を返す。
略奪品でもあれば、酒でも転がっていないかと探してみたところだが…。
どうやら古い巣であったらしい。そういったものも見当たらなかった。
■宿儺姫 >
些か喰い足りないと感じた女鬼はそのまま洞窟を出る。
飢えた魔獣の類か、火竜の類にでも殴りかかり餌食としてやろうかと。
──が、女鬼は洞窟を抜け出た地点でその脚を止める。
手前の地面に違和感を覚えたためだった。
頭は良くはないが、勘だけはよく冴える。
「──罠、か?」
屈み込み、違和感を感じた地面に触れてみれば──巧妙にカムフラージュされてはいるが、柔らかく沈み込む。
「成る程。多少小狡く知恵のまわる連中がおるようだの──」
しかし残念。と罠を迂回した女鬼の足下で何かが弾けた。
■宿儺姫 >
パキリ、と何か硬質なものを踏み壊した。
刹那、女鬼の耳へと届いたのは風切音。
罠を迂回した先にあった、もう一つの罠──。
「ッ、小賢しい真似を──」
飛来した棘を硬質な拳が打ち払。しかし───。
風を切る音と共に射掛けられた棘は都合三方向から。
一つは即座に反応し打ち払う。
もう一つは女鬼の肩口を掠めたが、その頑丈な皮膚を破ること適わず、地に落ちる。
残った最後の一本は──。
「ぐ──」
襤褸布を裂き、女鬼の肉体のうちでも柔らかな、乳房に傷をつけていた。
■宿儺姫 >
──女鬼の身体の造りは人間と然程変わりはしない。
頑強なる骨があり、肉があり、臓腑があり…血が流れている。
ゆえに、毒酒で討伐されたという鬼も古い伝承に語られる。
「っ、これは──…‥」
体幹が揺らぎ、片膝をつく。
四肢に思うように力が籠もらぬ。
──毒か。と悟るのに、以下に頭の鈍い女鬼であろうが時間は掛からない。
「(小癪なことをしてくれる)」
牙を噛みしめるも、立ち上がるための脚はその意思を伝えない。
…‥どれほどの数いようが、このあたりの巣穴すべてを壊滅させてやらねばならぬか、と、腹の内で憤怒が沸き立つ。
ご案内:「九頭竜山脈(過激描写注意」に賢しい小鬼たちさんが現れました。