2025/07/20 のログ
ご案内:「蓬山郷」に睡蓮さんが現れました。
■睡蓮 > 一般的といっていいのかは憚られるが。
少なくとも北帝国内ではそう流布されている。
仙人の住まう仙境、だと。
その一画の水底で、ゆらゆらと揺れる水光を愉しみながら、暑気とは無縁に寛いでいる。
揺蕩う水中花、泳ぐ鮮やかな色身の淡水魚。
その尾が棚引き揺れる様は、天女の舞の余韻のように。
それらを肴に、硝子の酒器に唇を付ける。
───水底ではあるが、そこには扁額の下がった庵があり、地上と変わらぬシェンヤン様式で建築されているよう。
その周囲だけ水の侵蝕はなく、水底にあっても常と変わらぬ様子で露台に腰かけ、独酌を楽しむ女が一人。
傍らの香炉から燻る香りが、煙が、水との境を曖昧に区切り、結界を成しているのだと。
こんな場所まで訪れるもの好きがいるのならば認識できることだろう。
こぽ、と聞こえる水の流れ。
水の冷気の中に、ふわりと瑞々しい花の香りがわずかに混じる。
■睡蓮 > 露台から見上げる水天井。ゆらゆらとただ光を通しているそれに、思い付きのように手を差し伸べた。
すい、と指先で描く曲線。淡い薫煙がそれに従うように流れる。
するりと流れる衣擦れの音が、水音に混じった。
そうすると、庵の周囲を揺蕩う水を水鏡に映ろう浮世のありさまが映し出された。
目に馴染む帝国内の様子、あるいは王国、山間部、等々。
女のように気まぐれに、映し出される情景は様々に切り取られ。