2025/07/02 のログ
エレイ > その後何があったのかは、当人たちだけが知ることで──
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」からエレイさんが去りました。
ご案内:「平民地区 朝の廃神社」にキタさんが現れました。
キタ > 気持ちよく陽が昇る。木々も青々と茂り小鳥の囀りまで聞こえる。
この時間の森は誰もが歓迎されるような不思議な雰囲気。
いつもならば鬱蒼として薄暗い参道も、天使の梯子が掛かる。

珍しく竹箒を手にした巫女の姿、夜に降った雨の落とした木々の葉を掃いて一か所に纏めゆく。
ただ、石畳や玉砂利の隙間から青々と育った草達が、それを容易にさせてくれずにやや困り顔。

「嗚呼──、枯れてしまうのは悲しいけれど、ここまで元気過ぎるのも困りものね……。」

はた、と箒の手を止めて抱えると肘を手で支えながら顎先に手を当てる。
どれだけ掃いても、軽い葉っぱは草に阻まれて中々進まず、流石に努力するだけ無駄なように感じて立ち尽くす。
何分、他に打つ手もないのだから、諦めるか、それとも……。

暫く思案をした結果、緋袴に包まれた臀部が地面につかないよう。しゃがみこんで拾う事に……それは酷く大変で、非効率的。

キタ > 一枚一枚、まだ瑞々しく本来ならば枝についていたはずの葉を拾っては一か所に集めてゆく。
こうした葉も、何れ朽ちて土に還りまた何かを生み出す素養となる。
丁寧に、丁寧に。ここまでと決めた範囲を終えた所で背筋を伸ばすと、流石に腰に主怠さを感じるのは避けられないもの。

少し情けない歩み、へっぴり腰で手水舎まで歩く、朝の気温もまだ上がり切っていない時刻なれど額に髪が張り付く程度には発汗。
それを洗い流すように水場で掬う湧水。ひんやりとするその感覚に破顔しながら、何度も何度も水を顔に浴びて行った。

参拝客が見たならば激怒するかしら?なんて、そんな事を頭の片隅に。
朝の解放感故だろうか、袖や袂が濡れてしまうのも構わずに、暫く浴びた水。満足したところで顔を上げれば、顔に余計に張り付いた銀髪。指先でそっと払い。

「──たまには、良いかしら?」

誰に問うた言葉か、最早主も居ない社殿に向けて視線を向けるも、その直後、臀部が手水舎の水の流れる岩の淵に乗った。
流れる水の音が変わり、緋袴を臙脂色に濡らしてゆく。なんてはしたない、そんな声が聞こえてきそうだが、誰も居ないのだ……はしたない位が丁度いい。

ご案内:「平民地区 朝の廃神社」にプシュケさんが現れました。
プシュケ > 実は、初めての邂逅からちょこちょここの神社の近くまではやってきていたのだ。
でも、大体この辺りに来る頃は、学院の授業が終わって、色々とやることをこなして、大体夕刻。
そして、約束は約束だから、近くを通っても、ちらちらと森の方を見やりはするがそのまま帰ることを繰り返していた。

今日は、学院で授業がない日。
そして、個人的な、もしくは家の用事もない、一日フリーの日。
そこで、この場所までやってきた、という訳だった。

朝の時間でそこまで人通りもない。
暫し様子を見て、近くに人気がないことを確認してから、森の入り口で足を止め、森の中へと声をかける。

「おはよう、キタ!今日は遊びに入っても大丈夫かしら?」

叫ぶまではいかないものの、声を通すようにしながら語り掛ける森の奥。
そして、暫し反応を待つ。
これで本当に良かったんだっけ?と思わなくもないけれど、声をかける、というのも約束だったから、その約束はきっちり守った、という訳だった。

無論、森の奥で今どんな状況になっているのかなど、少女は知る由もない。

キタ > 水が下肢を流れてゆく。緋色の袴は最早グズグズに濡れて、
染み込んだ水は白衣にまで、腹部や裾は其の奥の襦袢をも濡らし、褐色のそれを浮き彫りにさせる。

誰も居ない、誰も来ない。そんな油断が仇となろうとは……おそらく今、一番見せてはいけない相手。
其の到来を知らせるのは木々の騒めきに逡巡する事になる。

「嗚呼──、もう……本当に」

タイミングの悪い子、だった。無論自ら撒いた種であり相手に非は無い。
それどころか、しっかりと約束を守っているのだから、だから──困った。

草履の足が擦る音、童にも聞こえる頃、その姿は天使の梯子に照らされることとなる。
童に見せるには、はしたない臙脂と褐色のそれ、少し困った表情を浮かべ乍らも、喜色が滲んでいるのは隠せなかった。
だから、木々に隠れた鳥居の前で足を止めると手招きをしながら……

「こんな格好で御免なさいね、プシュケ。」

まずは、謝罪を口にした。童に見せるには聊か扇情的過ぎるそれに、目を伏せた。
それでも、童が近づいてきたのなら、その手を取ろうと伸ばすのだろう。

童と大きな体躯の女の姿が天使の梯子の奥へ消えてゆく。まるで神隠しのように、綺麗で、恐ろしくもあるそんな光景。
社殿の広場までつくには然程時間もかからない。

プシュケ > 暫し待っていれば、程なく姿が見えて、まず謝辞と己の名を呼ぶ声が聞こえる。
手招きも見えれば、喜んで速足で鳥居の方へと進んでいく。

「気にすることではないわ、キタ。最近はとても暑いもの。
水に触れれば涼しくなるし、そうしたい気持ちも私、分かるわ。」

季節柄、暑くなってきているので水浴びをするのもありよね、という反応。
その通りかどうかは分からないが、少女視点では、そういうものだろう、と認識した様子だった。

伸ばしてきた彼女の手を当然のように取れば、手をつないだままに森の奥。
連れ立って歩いていけば程なくの社殿。
廃神社故に、その建物を見れば慄くのが子供としては当然の反応なのだろうけれど、
プシュケ自身は気にした風もなく。

そして、煽情的に過ぎる格好も、二人きりであれば気にする様子も見せなかった。
反応からして、知らぬのではなく、知っていてなお気にしない、というような。
とはいえ、おませさんなのか、この年で色を知っているのかまでは判然とはせぬ様子か。

「朝の気配はとても清々しいのね!
空気もさわやか、流れる水のおかげか空気も涼しく感じるわ!」

この前にやってきて場所としてはお気に入り、と言っていた通りなのか、
朝のこの場所が心地よい場所であることを満面の喜色交じりに伝えようか。

キタ > 此方を気遣う様に紡がれた言葉、視線、気遣わせてしまったと悪い方向に考えてしまうのは童へと向けられる母性故か、
共に手を取り歩く参道、抜けてしまえば陽射しがしっかりと降り注ぐ。
それが昨晩の雨の雨露を受けてキラキラと光り、また夕刻と異なる顔を見せる。

その雨露に負けないくらいに、輝く笑顔と喜色の滲む言葉に笑みを浮かべながら、それでも一度手を解くと。

「暑くなる前、鳥も蟲も気持ちよく啼く、貴重な時間ね。
  プシュケも、手を洗ってらっしゃい。でも、足元は気を付けて。」

まるで自宅に帰ったらそうするよう、促すのはお浄め。
朝露を孕む草に足を取られないようにと注意をしながら、向かうであろう童の後を追うのだろう。
そうして気づくのだ……そこに座っていたからこそ不自然に乱れた柄杓。
いくら鈍くとも、そんなミスに顔がカァ、と赤くなり恥ずかし気に掌が顔を覆った。

「嗚呼── 私ったら本当に……。」

童の前ではしっかりした母のようでありたかったのに、早々うまくはいかなくて、その場でしゃがみ込んでしまう。

プシュケ > 喜色交じりの言葉をもって、己が気持ちを告げる中、その言葉にも反応をもらえた所でお手水の促し。

「ええ、ここではまず手を洗うのね?わかったわ。」

彼女の言葉に頷いて、手水舎の方へと歩いていけば……その場の様子に目が瞬く。
暫し手水舎の様子を見やり、つぃ、とキタの姿を見やり……
なるほど、と小さく頷いてから柄杓を取って手を洗う。
とはいえ、作法に沿ったものではなくて、右手で持って左手を洗い、左手を持って右手を洗っておしまい。

「キタ、これで合っていて?」

他にやることもあるかもしれない。
見慣れぬ場所の作法故に、知っているだろう彼女に向ける問い。
そして、振り返った時に掌で顔を覆う彼女の姿に目をぱちくりと。
少女はここが神域とは知らぬがゆえに、まぁそういうこともあるよね的な認識だったのと、
どちらかというと、年の離れたお姉さん的認識だったので……
見た目的には、上の姉とほど変わらぬ年に見えるがゆえに、もう少し近い関係性と認識していたがゆえに、
2人の認識の違いがこういう部分でも微妙なずれを見せている様子。

キタ > 「──ハァ……」

しっかりしなければ、と顔を上げた所。本当にダメね。そんな言葉は口の中。
折角会いに来てくれた童が、こちらの作法を理解しようとしていたのを見逃してしまったのだから。

パシャ、とまだ水を含む袴の膝を叩いて立ち上がると、歪んだ愛情、欲望それらを押し込めるように、童の後へと。

「御免なさいね、私の粗相の跡だったから、恥ずかしくて──。
        もう一度、見せてくれるかしら?」

そう、再度促す。其の作法は何処で学んだか完璧であった。ただ途中という事を除けば。
なので、彼女の隣へとそして柄杓を手にして見せるお手本。

柄杓一杯に掬った水。左手に持ち右手を洗うまでは同じ。
もう一度右手に持ち替えて、左手に水を灌ぐとそれを口元へ、軽く濯いで足元の水路へと捨てると、
改めて左手を洗い、柄杓を立てて残りの水で洗い流す。

一連の流れを一つ一つ、一緒にゆっくりとやってみせ、良く出来ました。と満足げに。
とはいえ、あまり存在しない場所であるが故に、中々それを披露する機会が無いのは惜しい事。
褒めるように濡れた指先を軽く払ってから金色の髪を梳くようにゆるゆると撫でつけた。

プシュケ > 己が問いに、後ろに立った彼女に今一度見せる。
これでよい?と今一度、問いかけるものの、彼女が隣へと移動して見せてくれるお手本。
なるほど、口をゆすぎ、手を洗い、柄杓の柄も洗って戻しておしまい。

「……こう、ね。なかなか合理的な方法ね。」

柄杓一杯分で、工夫をすれば綺麗に一連の流れを終わらせられると考えれば、とても合理的な方法で。
だからそんな反応を返すのだけれど、褒めてもらえて、髪を撫でられれば年相応の嬉しそうな笑顔を見せて

「不思議な空気感の場所だとは思ったのだけれど、目新しいものが沢山で面白いわ。
見慣れない様式の建物もだし、空気感もそう。
なにより、キタがいることが一番ね!」

そんな言葉を向けながら、向ける笑顔。
おだやかな空気感をもって、二人でここにいることが何よりも楽しい、という雰囲気のまま彼女の手に甘えるように、少しこちらからも頭を寄せて見せて。

キタ > 時折、幼さの中に感じる聡明さと大人びた雰囲気に双眸は細く笑みの形を作る。
魅せられるようでもあり、利発さと聡明さは童の美徳とも思えるから。
そして、その年代の女児は、誰だって大人びてみたくなるもの。
遠い遠い過去の自分たちにも、覚えがあったから、うっとりと真似る様子を眺め、撫でる。

「この建物が祀るのは、様々場所によると言うわ。
  学問だったり、豊作を願ったり。この場所を守ってください、と願ったり。

      ──って、プシュケ……貴女って子は。」

絶対的な神ではなく、物や、事に神は宿るとされている。そんな話の最中に甘えるよう寄せられる頭部、咎めるような言葉を口にするけれど、
その手はそのまま後頭部へと伸びて抱き寄せる。
丁度、襦袢に多少押さえつけられてはいるが膨らみが枕のように頭部を包んで、
毛先まで指先を絡めるように撫でてはまた持ち上げて撫で下ろすと繰り返し。

「一体どこで、そんな喜ばせる言葉を覚えてくるのかしら?
   本当に悪い子なんだから……。」

どうしたって、疼く。押し殺さねばならぬのに、屈託のない笑顔に……
それを食べてしまいたい。味見だけでも──そんな隠し切れぬ葛藤が零れる舌となって現れよう。
抱き締めているその顔が、視線が見上げようものなら、蛇のように小刻みに震える舌先、潤んだ赤色が見つめる金色、
少しだけ強く抱く腕の力が、それを堪えようと、赤色も目を閉じてぐっと、堪えた……。

「他にも、見てみたいものはあるかしら……?灯篭や、お賽銭箱もあるけれど?」

そう、話を逸らす事にしたのは、理性の抵抗。