2025/06/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にルゥナさんが現れました。
■ルゥナ > 「はい、ではなるべく目立つ所に、ですね。かしこまりましたっ」
ではお気をつけて、と騎士らしい二人組が冒険者ギルドから立ち去っていくのを見送って。
緊急の依頼、とのことで色んなギルドに同じ内容を触れ回っているらしい、ちゃんとした所からの依頼と分かりやすくもある羊皮紙にきちんと書かれた文面の依頼書。
このまま張り出していいとの事だったので、掲示板の空いている場所を探しに受付からぐるっと出てきて。
「なるべく目立つとこ……と言われました、けど。内容が内容なので――
この辺、で。あとは、緊急!って別の紙に書いて目立つようにしておきましょうか」
遺跡迷宮の浅層で、地割れから深層に繋がってしまって大慌て、なのだそう。
よく駆け出し冒険者達も訓練その他いろいろに利用する所らしくて、きちんと塞ぐ処理がされるまで、作業員達の安全確保を、と言う依頼なのだけれど。
思い切り、危険度高そうな討伐依頼とかの張り紙が並んでいる所に混ぜ込んで掲示。
「なお、深層の魔物と対峙する恐れあり。 ……って、こんなの緊急って言われても紹介しようがないですよ、ねぇ?」
困ったものです、などと他人事のように、顎に指先を当てながら、かくんと首をかしげ。
他の色んなギルドにも同じ内容が行っていると言うことなのだから、無理にここで紹介しなくても、と思っている。
のほほんと眺めているけれど、不真面目と言うよりも、そんな危ない依頼に送り出したくないです。と言うわがまま。……やはりある意味、仕事と言う意味では不真面目と言っても差し支えないのかもしれないが。
■ルゥナ > そう言えば、ああいった遺跡迷宮などで、深層に出てくるような魔物……ってどんなのが居るのだったろうかと気になって。
丁度、受付テーブルの裏側下に詰め込むように積み上がっている暇つぶし――もとい、勉強用の本達の中に、魔物図鑑や伝記などを数冊買い足したものが混ざっていたはず、と思い出し。
ふわふわくるりと服の裾をなびかせながら、掲示板の前から受付の内側へと小走りに戻って。
自分の席、とだいぶ馴染んだ木の椅子にすとんと腰を下ろすと、テーブル下の本をごそごそと。
「これがいいかな。 って――あ、そっか。これって名前順になっているから棲息地が迷宮の魔物、みたいに調べようとすると不便でした……」
ためしに拾い上げてみた魔物図鑑、中身がなまじきちんと名前順に並んでいるものだから、それぞれの項目を実際に読んでみないと、どんな魔物でどこに棲息していて、がわからない。
迷宮の魔物一覧、みたいな本があればよかったかなと思うけれど、残念ながら手元にそれは無い様子。
「うう、仕方ないですね。とっておきの飴を頂きながら、捲って行ってそれらしいのを見つけてみましょうか……」
探ると何でも出てくる、わけでは勿論ないのだけれど、受付テーブルの裏から今度は手のひらサイズの小さな木箱を取り出して。
蓋を開け、中身の保護用に包まれた油紙を捲ってやると、小さな飴玉がいくつか入っている。
うふふ、と見ただけで幸せそうな顔になって、ひとつ摘めばぽいっと口の中へ。
■ルゥナ > 甘ぁい、と両手を頬に当ててにこにこと笑っている。
とある修道院で作られているらしいこの飴、神様への捧げ物と言う名目で作られているらしく、そのお裾分けとして来訪者にも安価で分けてくれることもあるようで。
ちょっとした収入源のひとつなのだろうけれど、安価でシンプル、飾らないただ甘い飴、と言う所が気に入って時々仕入れてもらっているようで、仕事の合間につまむお気に入りの一つなのだ。
「……あっ、いけない、調べ物もちゃんと進めないと」
魔物図鑑を捲る、名前順なので一つずつ見ていくしかないのだが、幸いにも各魔物の名前の見出しの後にはすぐ棲息地などが載っていて、細かい情報はその後に書かれているようだった。
これなら、いかにも迷宮に関係無さそう、と言う項目は今は飛ばしておけばよい。
「棲息地――砂漠など。 次……雪山! あらあら……関係なさすぎですねぇ」
そしてまた砂漠、異界――異界って何よ、などと思いながら次へ次へと。
少し捲っていった先に、地下や古城などの遺跡、と言う文字を見つけて、あっ!……と、何の魔物かなと項目名を読み直してみれば。
これかぁ、とがっくりして……テーブルに頬杖ついていたのが、ずるっと滑ってぺしゃりと突っ伏すようになり。
吸血鬼の情報が書かれたページだったようで、それは流石にわざわざ今読み直すようなものではないね、と。
■ルゥナ > 「ああー……ウォーム類とか、出てきそうですねぇ迷宮には」
ウォーム……すなわち、ワームである。たまたま見つけたそのページには人よりはるかに巨大で、麻痺毒などを持った危険な種類のものが書かれていた。
迷宮の浅層であればそこまで危険ではない小型――と言っても人と同じぐらいの大きさはあるのかもしれないけれど、その類のよく居るようなのとは別のものが記されていて、ふむふむ、とその項目は真面目に読み進め。
「……あっ、いらっしゃいませっ」
暫し図鑑を読み進めていたら、新たな冒険者らしき人が掲示板を見に来ていた。
緊急、と付け加えられた先程の依頼書に目を留めるけれど……うわっ、流石に怖いよこれは、などと至極当然の感想を漏らしている。
もうちょっとお手柔らかに、と、受付嬢に気付いた人物が申し出てくるから、それならば……ともっと普通の依頼をいくつか紹介してみせて。
丁度気に入る内容のものが見つかれば、では気を付けて行ってらっしゃいませ、と見送る。
……この日も、ちょっと困った緊急依頼は紛れ込んだけれど、概ねその他はいつも通りの日を過ごすのである。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」からルゥナさんが去りました。