2025/12/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 街外れの教会」にヴィドさんが現れました。
ヴィド > 王都の大きな聖堂から派遣される形で訪れた教会。
石造りの豪奢な作りの聖堂とは異なる、木造の小さな教会。
信徒は皆大きな聖堂を目指すためか、定期的なミサすら行われていないのは、
祭壇へ続く赤い絨毯や床、長椅子に積もる埃で察しがついた。
重い大きな扉を開き、窓という窓を開け箒をかけ始めたのはもう数時間前の話。

「はぁ……は、ぁ…… もう、いいよね。」

修道服の膝は埃と濡れた布巾の所為で色濃く染まり、
その代わりに床も、長椅子も祭壇も全てが磨き上げられていた。
木桶や布巾、箒を元あった場所へと戻した後、汚れてしまった服を叩いて整える。

それから祭壇の前まで歩むと、跪いて両手を組む。
誰が褒めてくれるでもない、なんなら、見てくれることもない。
だから、主に祈る。主に伝え導く者、主の救いを求める者達が快適に過ごせる場になりました。と……。

窓から入り口の扉に抜けていく風は季節もあって酷く冷たい。
風が抜ける度に暗くなった教会を照らすランタンの炎が揺れて。

ヴィド > 街外れ故に、外灯も家の明かりも乏しい。
だからこそホームレスの雨露をしのぐ場になったり、犯罪者等が根城にする事もある。
割れた窓をそのままにしていては治安が悪くなる。その理論を封じるよう、
定期的な清掃のお陰か教会の周りには目立った生活の痕跡も無く。
ひとしきり祈りを終えると窓を締めに回り始める。

祭壇の両翼にある生活空間である居室や、浴室。
そして、最後に入り口の大きな扉。その先に広がる暗闇に足が竦んでしまった。

この中を一人歩いて帰るという恐怖。
人通りのある街中まではどう見積もっても数分はかかる。

「怖い……けど、でも……、嗚呼。御姉様。」

助けを求めるように紡ぐ声、しかしこの場へ来るに至った大本が、
姉と慕う先輩修道女達の、言わば尻拭い。
逡巡し続ければし続けただけ、夜の闇は深く、濃くなってゆく。
それを理解するのはランタンの油が尽きかける頃。

ヴィド > チラチラと油の終わりを告げる揺らぎ。
急ぎ残りの窓を閉め、入り口の扉を外から閉めた。
そうして、少し先すら見通せぬ暗闇に一歩足を踏み出して。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 街外れの教会」からヴィドさんが去りました。