2025/08/04 のログ
カグヤ > まずは1週、と決め込んでから歩き、徐々に慣れて来たところで休憩を挟みながら歩き続ける。

プールから上がる頃には太腿も、脹脛も悲鳴を上げて、足を引きずりながら歩き去る姿が目撃されたとか。

ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 水練場」からカグヤさんが去りました。
ご案内:「設定自由部屋3」にプシュケさんが現れました。
ご案内:「設定自由部屋3」にキタさんが現れました。
プシュケ > 街へと向かう約束の日、そろそろ約束の時間と言った頃、この辺りでは聞かない音が近づいてくる。
それは、馬車。馬車が郊外から街の方向へと通って近づいてくる音。
そしてその音が、とある廃神社の前で止まった。

御者台に乗っていた執事服の女性が御者台から降りて、馬車の扉を開き、深く深く頭を下げる。
その馬車から降りてきたのは、何時もは学院の制服を着てこの場に来ていた金髪の少女。
だが、今日は王族姫らしくドレスを身にまとっていた。
馬車から降りてくる時は、真面目な表情。いわゆる貴族が下々に見せる表情で。
降りた後に靴を鳴らして鳥居の前、いつもと同じ場所まで至れば、いつもと同じ穏やかな笑みを浮かべて神社の方へと声をかける。

「来たよ!さあ、行こう!」

何時もの約束の通り、鳥居から奥へと踏み込むことはなく、声をかけて呼びかけた。
いつもと違うのは、『入ってもいい?』ではなくて、『さあ、行こう』であることか。

キタ > 我ながら情けない話、早朝から落ち着かない様子で神社の手入れに励んでいた。並べられた柄杓もどこかいつもよりズレて居たりとその心情を思わせる。
そして結局、楽しみと不安とで待ちきれなかった物の怪は森の入り口の方へ、鳥居が見える木々の隙間から景色を眺めていた。

「──ッ」

そうしてその森の入り口に止まった一台の馬車、そして降りて来る姿は知っている顔のの知らない姿。
そして呼びかけられる声はいつもより近くで聞こえた。いつもなら森を通して聞いて居たそれを直に己の耳で……。
一歩、足を踏み出せばそれでよかったはずなのに、そこに従う従者の姿にいつもと違うドレスの姿に、その一歩は躊躇われた。

しかし──、ずっ、と草履独特の足音を響かせてその姿を覗かせる。きっといつもと違い入り口の近くで待っていた事もバレてしまうだろう。
彼女が約束を破った事に比べれば、人前に出る事等、比するまでもないのだから。

「こんにちは、お世話になります……。」

どうしたっていつものようには行かなかった。
高貴な少女が妙齢の女性、しかも誰ともわからぬ平民地区の馬の骨。
向けられる視線に緊張するなというのが無理というもので、プシュケと、執事にも頭を下げて挨拶を。

プシュケ > 現れたキタにプシュケは少し背伸びをして、彼女にだけ聞こえる程度の声で囁いた。

「このあと、ちょっとだけお芝居をするから、心配しないで立っていて?」

その後で、彼女の手を取って、しっかりと手を繋いで馬車の方へと歩いていく。
鳥居から馬車まで大体半分くらいの位置まで来たところで、扉の前、立っていた執事服の女性が言葉を上げる。

『姫、王族の馬車は、身元の知れぬ者をお乗せすることは適いませぬ。』

その言葉を受けて、プシュケは足を止める。
同時に、安心させるようにキタの手を優しく握ってから、凛とした表情となり、執事服の女性に声を上げる。

「何を言うか!こちらの方は、私が親友。身元は私、プシュケ・イフレーア・カルネテルの名において保証する!
これに何の問題があるか、申して見よ!」

周囲に響き渡る声。その言葉を受けて、執事服の女性は今一度深々と頭を下げて

「これは、大変失礼いたしました。何の問題もございません。さあ、中へ。」

今度は、優しく恭しい声でキタを馬車へと招く。
今一度歩き出せば、まずキタを馬車へと乗せて、その後でプシュケが馬車に乗る。
進行方向側、いわゆる上座にキタを座らせて、逆方向にプシュケが座れば、扉が開き、程なく馬車が動き出す。

そこで、少しだけ申し訳なさそうな表情を浮かべていつもの調子のプシュケの声で話し出すのだった。

「ごめんなさい、キタ。びっくりしたでしょう?
でも、これ、お兄様の発案なの。あの場所で、あのお芝居を打つことで、この周囲の人達に、キタが私の親友だと知らしめること。
それだけで、通報は格段に減るんだって。」

私にはよくわからないけれど、お兄様はこういう事で間違えないから、と付け加える言葉。
いわゆる、身元保証をすることで、良く分からない気味が悪い相手というものを軽減させる策らしい、と。

キタ > 片やトレス、片や巫女装束というアンバランスもここまで来ると違和感を通り越して自然ですらある。
目の前で取られた手、そして小さな声で紡がれた言葉に、こくりと小さく頷いてから引かれるままにその小さな背中についていった。

「────!!」

執事服の従者より厳しい声が発せられる。その言葉に悪意が無い事は理解出来る、出来るが身体は反射的に逃げようと足が半歩下がってしまった。
半歩で済んだのは、優しく握ってくれた彼女の手のおかげ。そして紡がれた言葉を思い出して引いた足を元に戻す。

しかし、結局自分のせいで叱責を受けてしまう事になる従者に申し訳なさそうに頭を下げる。
恭しい声にもう一度深く頭を下げながら、彼女の手に導かれるまま、足元を確認しながら促されるままに。
本来であれば上座などあり得ぬこと、居心地の悪さを感じるのは慣れない環境故に仕方の無い事で、視線はどうしても周囲を見回してしまった。

「え、ええ……。 えっと……あの。」

まだ戸惑いは収まらない。そしてなによりそういった配慮まで施されていた事に気づかずにいた自分がまた恥ずかしい。
そもそも、馬車が来た時点で大いに人の目を引くのだから。其のうえで大きな声で宣言をし、共に招かれるのなら効果は覿面、まさにその言葉の通りのことが実現している。
胸元に手を当てて早鐘を打つ鼓動をなんとか宥めようとしながら。

「じゃぁ、従者の方も叱責されたわけではないのね? お芝居で、よかった……。」

自分のせいでプシュケが、従者が他の誰かが傷つくのは不本意だったから、心底安堵したように思わず張っていた肩が緩んで長い吐息と共に俯いた。
その顔が上がると、いつもの柔和な笑顔が戻っていて。

「でも、一番びっくりしたのは、プシュケの可愛いドレス姿よ。良く似合っているわ。」

プシュケ > そう、全てはお芝居だったのだ。
家族に相談した時に、この手の話で最も頼りになる次兄が、プシュケのやろうとしていたことの問題点を洗い出し、全てを組み立て直した。
まず、こっそり連れ出したら、更に変な噂が立ちかねず、キタに迷惑がかかるだろうこと。
だったらいっそ、派手に乗り付けて、プシュケの友人であることを堂々と宣言してしまえば良いと。
挙句、どうせならプシュケの立場も存分に利用しないと、とまで。

「……逆にキタに迷惑が掛からないかちょっと心配だったけど。
うん、誰も傷ついていないわ。全員が全員、こうなるという事は知っていたから。壮大なお芝居、よ。」

優しいキタが心を痛めないように今一度、きっちりと、はっきりと口にするプシュケ。
そして御者台側でその声が聞こえていたのか、小さい窓越しに、先程の執事服の女性が穏やかな笑顔で頭を下げた。

「あはは、ありがとう、キタ。そう言ってもらえるととっても嬉しい。」

何時もは学生の恰好だが、今日は完全に姫の恰好。それを似合っていると言われれば満面の笑顔でそう告げるのだ。

「キタもドレス着てみたい?……次行くお店は、平服からドレスまで、何でもそろっているけれど。」

ニコニコ笑顔で問いかける言葉。この前の話の中、まずは服、ということのようだった。

キタ > 平民街に居る、というだけで生活様式は貧民街のそれと大差ない、或いはそれ以下かもしれない己を、守り連れ出してくれた少女。
己のためだけにどれだけの人を動かしたのだろう、そう考えると嬉しくも申し訳なくなってしまい。
ただ、申し訳なさを前面に押し出したところで誰も喜ばない言事は理解出来たから──。

「すごく、驚いたわ……、けど、それだけ。まさか馬車に乗るなんて思ってもいなかったから。」

頭を下げる執事服の女性にもう一度此方も頭を下げながら、着てみたいかと問われると自らの白衣を見下ろして暫く思案。

「私に似合うかしら……? 着た事も、着方もわからないのだけれど……。」

洋服は、頭からかぶったり前で止めたりするからまだ見た目で理解はできる。
目の前の少女が着るドレスは、と言えば今一つその着方にピンとこなくて、また手を煩わせてしまうのではないか、そんな不安を吐露する事に。

「出来れば、プシュケを迎える時に着られる普通の服を買えれば、とは思っているの。」

そんなに多くはないけれどお金も用意はしたようで、腰の帯に下げた袋に軽く触れた。

プシュケ > 「そう言ってもらえると、嬉しいわ。……ね、私も思ってなかったけど、キタと一緒に馬車に乗るのも素敵だなって今は思うわ。」

馬車は普通に乗る移動手段くらいにしか思っていなかったけれど、彼女と乗っていれば普通に楽しいアトラクションにも思えてくる。
場所や手段ではなくて、誰と何をするのかの方が大切なのだなとプシュケ自身も学習している最中だったりもする。

「多分、キタはドレス似合うわ。身長も高いし、素敵なプロポーションもしているし。
でも、ドレスは私も一人では着れないの。
だから、ちょっとだけ試着してみましょう?綺麗な服を着るのも、女の子にとってはとても楽しいことだもの。」

そもそもドレスは一人で着ることは想定されていないのだから、気にせず試着してしまおうという提案。
そして、続く言葉にはなるほど、と頷いて

「なら、ドレスを試着したあとは、平服をいくつか見てみましょうか。
ふふっ、キタの素敵な姿をたくさん見れるわ。」

プシュケはうきうきしたような声で楽しみをつがえていく。
そして、程なく馬車は大きな塀の中へと入っていく。
その塀の中には、3階建てくらいの大きな石造りの建物が。
その建物の前に馬車が止まれば、今一度開かれる馬車の扉。今度はプシュケが先に降りて、キタが降りるのをエスコートするかのように。
2人とも降りれば、連れ立って建物の中へと。
その中には、色とりどりの、色んな服が、ドレスが並べられていた。

キタ > 一段視点の上がる馬車からの景色、そう何度もお目に掛かれるものではないから、プシュケと窓とを何度も視線は往復する。
時折揺れにバランスを欠きながらも、手をついたり壁に捕まったりと不慣れなりに楽しんではいるようで。

「嗚呼……私、今日の事はずっと、忘れないわ──、きっと何時になっても、この思い出だけは……。」

そっと瞼を閉じて今の光景を瞼に焼き付けるかのような様子。
そして、試着を勧めるその声に、ええ、と頷いて。

「色々と一緒に選んでくれるかしら?きっと私だけでは決められないと思うから……。」

目移りしてしまって、気後れしてしまってきっと一人では満足に決める事も直に触れる事すら怪しいかもしれない。
自らの好みというのもあまり頓着しない生活だったこともあり。

「もう──、私だってプシュケの可愛い姿を一杯見たいのよ? だから、いっしょにね?」

いつか約束した白衣のように、お揃いだって面白いかもしれない。色々ときっと慣れた彼女は用意するだろうから、今はそれに甘えてしまおうと。
そんなころ、塀の中。見える建物は見上げる程に高い建物で、馬車が止まり扉が開くと。

「ありがとう。プシュケ……。」

登るときと違い少々足元が不安になる。エスコートに助けられながらその手を取って建物の中、並ぶ衣類は言葉にし難い程に様々な色、光り方をしていて思わず息をのんだ。

自身の着て居る物のように明確な色でなく、淡い色も、グラデーションも、其の全てが過去の記憶の中でも見た事のないもの。
その瞳は大きく見開かれてキラキラと光っていた事だろう。
いくら物の怪とはいえ、老成した存在の塊とはいえ、女なのだ。
綺麗で、可愛い物に目が無いのは一緒だったようで。

「ねぇ……プシュケ、これ、全部……ドレスなの?」

信じられないというように、キョロキョロと視線だけではなく首も頭も大きく振って見まわす様子を。

プシュケ > 「もちろん。キタの好みとか聞くけど、迷ったら一緒に考えましょう。
私も?……うん、キタがそう言うのなら、私も一緒に。
綺麗で可愛いキタをたくさん見せて?
キタが可愛いって言ってくれる私もたくさん見せるから。」

商会の入り口が開かれる直前に向けた返事。
そして開かれる扉と無数の衣服。

キタが見回しながら向けてきた言葉を肯定するように、満面の笑顔を向けながら頷いて

「そうよ。向かって左半分は全部ドレス。向かって右半分は、全部平服。
たくさんたくさんあって、ワクワクしてくるでしょう?」

そう、綺麗で可愛いものが無数に存在する場所。
これは女性であれば、嬉しくて楽しくなるものばかり。

しばしその光景を堪能した後で、まずはドレスの一画へと足を進めていく。手前から赤系、ちょうど壁までの間位で黄色系になって、その奥が青系となっていく綺麗なグラデーション。

「デザインも色々あるわ。キタのお顔立ちと身長からすると、マーメイドラインやスレンダーラインやエンパイアラインが良く似合うとは思うのだけれど、
でも、きっと可愛い系も似合うと思うの。プリンセスラインとかも、きっと似合うと思うわ!」

逆に、身長が低い少女の自分なら、今着ているのがプリンセスライン。
他に来たことがあるのはAラインと言った所。
そこで、まずはいろんなラインのドレスを一つ一つ確かめてみる所からか。

今口にした色々なラインのドレスを一着ずつ準備してもらって、複数人で入れる普通の部屋状の試着室へと入っていこう。
着るのは、完全に商会のお針子さん達にお任せになるのだけれど。

キタ > 「もう、本当に可愛いんだから……。
ええ、私を可愛くしてね、プシュケ。」

勿論、こちらからも選んでみるけれど。そんな風に笑いながら楽しい時間と驚きの時間に頭はもうパニックと言っても良いかもしれない。
平服といったって平民街で見るものとは少し違って見えるのは店の格式もあるのかもしれないが。

布地を買う事自体、繕いや畑のための案山子もどきを作る時くらいで
明らかに世界の違うその煌びやかな布地の海を眺めながらプシュケの足の向かう先へついてゆく。

「まー……めい?ぷりんせ……?」

言葉の意味を理解出来ないでいた所に壁に掲示されたドレスの様式、それに気づく。どうやらドレスのデザインの話をしていたことを理解すれば何度も頷き、身体つきや用途によっても変わるそのデザインに関心しきっている様子。

「あ……ええ、ぁ……でも──。」

一つ、困ったことを思い出してしまった。普段から洋装に親しみがなかったせい、襦袢を脱ぐという事自体想定していなかったから、だが。
どう見ても襦袢を着たまま試着するということが許されない気がして。

「プシュケ……その、知ってるとは思うけれど……。」

その耳元に唇を寄せて、彼女が身に着けて居たような下着が無い旨を伝えた。
少しだけ頬を赤く染めながら、ごめんなさいと。何とかうまく、お針子さんへとりなしてはもらえないか、と。
そう、頼んでから試着室の中。そこまで来てしまえばもう、あとはされるがままになる。
きっとお針子さんに色々と指示されながら、そもそも下着の着用から、かもしれないが。

プシュケ > つい、楽しさで興奮が強まって、ついつい自分のペースで先に先にと意識が向いてしまっていたプシュケ。
キタも理解力の高さで何を言っているのかに気付いてくれていたからプシュケ自身はなかなか気づかずにいて。

ただ、キタが耳元に唇を寄せて告げた言葉。
目を瞬かせて、それから確かにどうしたものか、とちょっとした思案気。
でも、いいこと思いついた!と言わんばかりにぽん、と手を打てば。

「キタ!とってもいいこと思いついたわ! すみませーん!」

手を挙げてお針子さんを呼ぶ。そして、次にプシュケの口から出たひと言は……

「キタに、インナーのトップスとアンダー、計測して見繕ってください!」

そう、ないなら買ってしまえばいいのだ、と。
プシュケのそのオーダーに、お針子さんたちは恭しく一礼して、キタの方へと群がっていく。

まず、襦袢の生地の厚みを摘まんで確認してからメモを取り、
襦袢の上からバストラインとヒップラインをメジャーで計測していく。
それらの結果もメモに書きつけてから、襦袢の厚み分を差し引いて。
キタの体型にぴたりと合う下着をいくつか見繕って持ってきた。

そこでまずは、下着の最終サイズ合わせとフィッティングから始まるのだろう。
色についてもいくつも持ってきてもらえているから、最終的にキタが選んだ下着はどんなのだろう?
プシュケはワクワクしながらその光景を見守っていた。

キタ > 己の不安を一手で安心へ変える妙手。試着室の中でお針子さんにくるくると回されながら、大人しく測られてゆく。
そんな最中にも、流石に衣類を生業としている店の人間なのだと思わせたのは、巫女の装束に、その下着に理解を示した者が居た事。

測り終えた最後に、その下着の止め方を教えてくれたのもその人物で、
最初は自らの象徴とも言える白と、赤の上下を提案したものの……。
上下が揃っていないのはだらしなく見えると一括され、そもそも、赤は目立つ上着られる色が限定されると教えられた。

その上で……優しく、着るドレスに合った色にすればいい、とまずはベージュの、自身が少し気にしている腰回りを引き締めるコルセットタイプを。その色に合わせたショーツと共に着用してゆく。

そんな姿をプシュケに見守られながら、恥ずかしそうに下着姿の自分を見せよう。コルセットがふくよかな腰回りを引き締めた事と襦袢が押さえつけていた胸がカップに収まる事で、臀部と胸とがいつも以上に強調される事となろうか。

「どう、かしら……? 似合ってると聞くのもおかしな話だとは思うけれど……。」

お針子さんからは、【この色ならズレて見えても自然だし、他の色が良いならドレスに合わせると良いと】またアドバイスを受けて。
少し腰をひねってみたりしながら、彼女に、そして鏡越しの自分にその姿を見せた。恥ずかしそうに顔は真っ赤で、少し目元は伏せられたが。

プシュケ > 巨大商会の敏腕お針子だけあって、見る見るうちにキタに合う下着を見繕っていく。
同時に、彼女と会話をしながら、彼女が今身に着けている衣類に理解を示して離れすぎないようにする気遣いも。
最終的には、キタにとっても安心感のある、そして彼女の体型を美しく強調できる下着となって。

「わぁ……キタ、やっぱり綺麗だね!」

どちらかと言えば可愛い系よりきれい系だと判断していたプシュケは、改めて下着をつけた彼女の体型を見てそう告げた。
なれずに少し恥ずかしそうにしているのもあったけれど、それでも間違いなくきれいだ、と。

その様子に、お針子さん達も頷きながら、『体型がしっかりしてらっしゃるからやりがいがありました』などと。

そして、自分宛てのお針子さんに手伝ってもらいつつ、先ほどまで来ていたドレスを脱ぐことに。
そして、そのドレスを綺麗にたたみ収納してもらった後で、一緒にいた執事服の女性がそれを受け取ってこの場を辞する。

「馬車はここまででおしまい、だよ。キタ。ドレスを試着して、平服を買ったら、それを買って街に出るの!」

帰りは二人で徒歩になるだろう。けれど、馬車の時間からして15分くらい歩けば到着できる程度の場所にいるのだと。

下着同士になった二人、次はドレスの試着となるか。
また、お針子さん達はやる気満々である。

キタ > 飾り気はない、しかし自らまじましとその姿を見ていたわけではないからどこか慣れないその姿。
下着のおかげで女性としての魅力は増した。それは間違いなく、カップもショーツも形よく収めよりふくよかにも魅力的にも映る様に。

「ありがとう。なんだか……いつもより大きく見えてしまって恥ずかしいわ。」

押しつぶし或いは垂らしていた今までとは異なる安心感に吐息を零しながらも羞恥を覚えぬわけではない。
本当に女性を美しく魅せるための布なのだと存在の違いを思い知って。

二人とも下着姿になってしまえば、ドレスを受け取った女性がこの場を離れた。告げられた言葉に驚いた様子を浮かべながらも……。

「プシュケだって策士じゃない……。お兄様に負けず劣らず。」

こう、誘われてはもう巫女の服を着て帰る等許されない状況になった。
だからそんな言葉で揶揄して、逃げられないわね。なんて笑いながら。

「ねえ……私、マーメードライン?というのを着てみたいのだけれど、良いかしら?」

説明書きにあったそれは、今絞られた身体の凹凸をきっと最も美しく見せるデザインになっているだろうと。
勿論人前で披露するには聊か扇情的過ぎるかもしれない、そんな自覚があったから、その姿を見る事が出来るのはプシュケだけに。

「色は……素材……? えっと……、プシュケの隣に相応しい感じにしてもらえるかしら。」

結局自分では選べないから、まずはお針子さんのお勧めに任せてみる事にした。
プシュケの選んだものと併せるようにきっと、或いは一緒に着る彼女の要望も聞き届けたのかもしれない。

プシュケ > 「いつもより大きく見えるという事は、キタのお胸はその大きさが普通なのよ。」

だから恥ずかしがることはないのだと笑み深めて告げる。
一般的に、プシュケのような幼き子、ナイ乳の民は、大きいお胸を持つ人に敵意を持つことが多いと聞くが、
プシュケは、キタのお胸は体型にマッチしていてとても綺麗、と見ていたから、全然ステキ!と持ち上げるばかり。

「そう?……だって、折角買った服だもの。すぐにでも着て帰りたいじゃない?」

そういう所はまさしく女の子だった。完全なお揃いにするのか、それとも並び立ってお互いを映えるものにするのかはともかくとして
折角買ったなら着て帰りたいの欲求に忠実に動いていたのだった。

ドレスはマーメイドラインがいいと告げるキタ。
そして、色はプシュケに決めて欲しいとも。

「うん、分かった。キタは……」

彼女の姿を見ながら暫し考える。
そして、小さく頷けば。

「元の服の印象で、赤系が似合うって思いがちだけれど、キタの綺麗な赤の瞳に、肌の色からだと、私はこれが似合うと思うわ。」

そう言って触れて示したのは、透き通った綺麗な水のような薄青色。
そして、自分のドレスにと示した色は、若草色で、自分のラインはAラインと。

すぐにお針子さん達が動いて、指定のドレスを見つけて戻ってくる。
そのあとは、また着せ替えタイムとなる。

程なく、着せられなれているプシュケが先にドレスを着終わるか。
若草の緑が映える、Aライン。
可愛らしさの中に、美しさの混じった、少女が少し背伸びをしたい頃にちょうどいい感じの印象になるだろう。

キタ > 「そういう……物? でも、これに何時もの白衣だと少し……」

扇情的過ぎはしないだろうかと、そんな思案をしてしまう。
勿論それで喜ぶ人は居ても困る人は居ないとも思うのだけれど。

「それはそう、だけれど、やっぱり恥ずかしいから……。」

だから逃げ場を奪ったのは妙手だった。今はまだドレスに目が向いてはいるけれど……。
プシュケの選んでくれた色、お互いに着飾る色は季節を鑑みても涼し気に、そして爽やかに見える色合い。
そしてなにより、自身であれば候補にもあがらなかった色合いであった。『流石お嬢様』とお針子さんも興奮気味に、その部屋でまた着せ替えがはじまってゆく。

「嗚呼──素敵な生地……、気持ち良いわ。 こういった物と過ごせるなんてステキなお仕事ね……。」

コルセットによって際立たされた、女人としての象徴をこれでもかと強調するマーメードライン。選ばれたのは広がるスカートではなく膝下にヒレのように少し広がるデザインの物。

胸から腰、臀部から太腿に至るまでを強調するそれは神聖な雰囲気を醸すいつもの巫女姿からは想像が出来ないほど、
大人びて、扇情的で。だから照れた表情は浮かべないようにと、プシュケに向かい振り返り腰元で両手を重ねる、店内にいくつかあるモデルと同じ格好をして見せた。

「どう、かしら……。」

そうしてこちらも視界に入る着終ったプシュケの姿。
若々しい若草色のドレスからふわりと広がるドレスが可愛らしくも美しい。
大人と子供の境界線に居るからこそ、その魅力も一入。

「ふふ……とっても素敵よ、プシュケ。」

そう笑みを浮かべると手を差し伸べる。並んでその姿を屈みに収めようとするように。

プシュケ > 自分が先に着終わって、それからはキタがドレスを着て返信していく様を見ていた。

その素敵な体型をしっかりと強調するマーメイドラインは間違いなくキタに良く似合っている。
普段の服装、そしてキタの性格を考えると、普段使いや本当にパーティに来ていくと言ったら恥ずかしがってしまうだろうけれど、
こうして二人で楽しむ分には問題ないだろうし、なによりも……

「わぁ……キタ、すっごい似合ってる!
元々そうだとはわかっていたけれど、大人の女性の魅力がとっても詰まってて、
綺麗なキタが、もっときれいに……ううん、今のキタは、間違いなく美しいわ。」

自分の細かいことを話してはいなかったし、この場にそれを知る者が何人いるかは分からないけれど、
プシュケが使う言葉の中で最上級の賛辞を口にした。

プシュケ・イフレーア・カルネテルは、審美の王女。
あらゆる文物の、人を含めたあらゆるものの美を見極めると言われている。
だから、綺麗、可愛い、素敵は良く使うが、美しいは、本当にそう思ったときにしか口にしたことはないのだった。

その言葉を口にした時のプシュケの表情は、何時もの子供が喜ぶような笑顔ではなく、
キタの姿をみて、うっとりと、その美しさに魅入られているような、そんな笑顔で見つめていて。

程なく、キタが自分に伸ばしてくる手にようやく我に返ったか、
彼女の方へと近づけば、鏡の中、二人で収まる。
鏡の中には、2人のレディ。
このまま社交界に入ったとしても、誰もが感嘆の吐息を漏らすことは間違いないだろう。

キタ > 鏡の中に映る己は、自分で言うのも烏滸がましいけれど女性としての魅力に溢れた姿なのは間違いなかった。
張りのある胸元と臀部、引き締まった腰部に冷たさの中にも優しさを感じる薄青色。
しかし、これを人前で着るには勇気も自信もまだまだ足りない。二人切りだからこそ出来た格好。
本当だったら胸もお尻も隠してしまいたいそんな衝動に駆られるくらいには。

「嗚呼──、そんな、余り褒められると照れてしまうから。プシュケ。」

美しい、そんな言葉を言われたのはもう何時の話だろうか、少女であるプシュケの視線がいつもの幼いそれではなく魅入られたようなそれになっているのに気づけば自然と喉が鳴る。

けれど、今は其の手を引いて並び、寄り添い映る姿に満面の笑みを浮かべて。それから一度だけ、皺にならないよう気を付けながら、きゅっと抱きしめた。

「プシュケが居なかったら、この格好でいるなんてできなかったわ……本当に、ありがとう。」

もう一度二人が収まる鑑を見ると、うっとりとした表情が鏡越しにプシュケに向けられる。今までにない満たされた充足した時間。
新しい自分を見つけてくれた事に感謝を、そのあまり、その赤い瞳が少し潤み。それでも笑みを形作っていた。

そんな二人を眺めていたお針子さんも、次は、と言いづらそうな状態ではあったかもしれない。

プシュケ > なかなか次へと言いづらい状態の二人。
そこでお針子さん達も一計を案じた。
試着の人向けのサービス、1着だけ魔導カメラで絵姿を取ってくれるというもの。

「もちろん、やろう、キタ!」

この美しい姿を残しておけるなら、これは素敵なことだと。

鏡に映る二人と同じ立ち位置になって、カメラを構えるお針子さんに向けて二人ともそれぞれに顔を決めたら、ぱしゃり、と。
プシュケがキタが好きだと言ってくれる、年齢相応の快活笑顔。

そして、とても名残惜しいけれど、ドレスはここまで。
一旦お針子さん達に手伝ってもらって、ドレスは脱ぐことになる。

その後は平服を見に行くことになるのだが、実は、今日はこのフロアを貸し切ってあるため、下着姿でうろついてもOKと。
実際に歩いてみれば、店員含め、今この場にいる人達しか歩いていない状況で。

鏡がないから試着は試着ルームで行くのだけれど、次は平服を見繕いに行こうか。

キタ > 「ええ、本当に良いのかしら……。」

そんな戸惑いもどこ吹く風、プシュケに促されるままに、それでもやはり羞恥に染まった顔は隠せずにいて少し伏し目がちに。
でも、浮かんでいた笑顔はしっかりとその写真の中に残った事だろう。

折角魅力的なドレスではあったけれど、購入となればそれこそ何年かかるかわからない。名残惜しそうに脱いでゆき、それでも少しほっとしたのは慣れない姿から戻ったからというのもあるのだろう。
そして、下着のまま歩いていいと促されるままにフロアに出れば、それはそれで羞恥を煽るけれど……。

「本当に、良い子ね──。」

引き籠っていた己を引っ張り出して、新たな世界を見せてくれる。その背中に一人ごつ。傍に居たお針子が頷いてくれたのが見えて笑みを浮かべ。
平服の置いてあるエリアへと足が向けばやはり、どうも興味が向くのは身体のラインが浮くというより、ぴちっとしたデザインの物。

衣類を伸ばしはするものの帯で締めるのみで基本はふんわりした装いでいるからこそ、その逆を求めるのだろう。革のパンツや襟元にフリルのついたブラウス、ジャケット等を眺めては軽く体に当ててプシュケへ振り返る。
着合わせやそういった常識の類に欠けているため、大丈夫だろうかと少し不安そうに。

プシュケ > 平服エリアに入ったら、キタが興味を示して探している間に、お針子さんの一番偉い人に何やら話しかけて。
二度、三度、とお針子さんが頷いて了承したのを確認してからまたキタの方へと。

程なく選び出したのは、革のパンツ、フリルのついたブラウス、そして、サマージャケット。
不安そうにしているキタとその選んだ服をしばし見やれば、頷いて。

「このまま組み合わせても問題ないのだけれど、キタが気に入ったものをベースに別の組み合わせを考えてみましょう」

そう告げて、また一緒に平服の海の中へと。

革パンツに合わせたのは、フード付きのハイネック、タンクトップ。
ちょっとだけ、カッコいい系に寄せた感じ。
配色は、革パンツの色を少し薄めた同色系統でまとまりを意識。

フリルのついたブラウスには、薄いブルー系のデニムパンツ。
選んだものがぴちっと系が多かったので、それに合わせて行く感じ。

最後にサマージャケットは、ユニセックス系のスラックス。
色はベージュで余程奇抜な色でなければ合わせやすいものに。

「……これで大丈夫だと思うわ。」

とはいえ、3パターン6着ともなると、キタは支払いを不安に思うかもしれない。
けれど、それを察したか、お針子さんのリーダーが、初めてのお客様なのと、
プシュケの紹介だからお安くしておきます。大丈夫です、と請け負った。

もし、これら全てに決めたのだとしたら、キタの予算内、かつ、破格すぎる値段が提示されることだろう。

実は、先程気づかれないように相談していたのはこれのこと。
足がでるなら補填を約束することで、出来るだけキタの予算内に収まるようにという依頼。
店側としても、損をしない保証をしてもらえたのだから、請け負うのも当然の事。

そして同時に、あくまで今回だけの割引だからと念を押し、本来の額と割り引いた額の両方を示す。
そうすることで、本来の金銭感覚を失うことなく、今回得して買えたのだ、と理解できるようにも工夫されていた。

そして、プシュケもキタが選んだ服の中、自分でも可能なコーディネートとして、
自分用にフリルシャツとデニムの組み合わせを買うことにした。

きちっとプシュケ自身の財布から支払いをする。
後は程なく着替えをすれば、街歩き準備も完了、となるだろう。

キタ > 服の海に溺れてしまえばプシュケの行動に気を配るまでには至らなかった。
とりあえず、着てみたい、可愛い、そんな感想から手にした物。
そこから紡がれた言葉に頷いて、そこから導き出されたのは夏らしい装い。パーツパーツに相応しいようなチョイスをされれば、その発想はやはり己にはないもので……。

「いや、プシュケ……こんなに沢山は流石に──。」

言いかけたところで、割り込むお針子さんが待ってましたとばかりに紡ぐセールストーク。
いかにも出来過ぎている。それは彼女の気遣いなのだろうことも流石に察する事が出来た。
出来たけれど、それを無下にする方が何倍も失礼に当たる事もまた理解していたから。

「お言葉に甘えて……頂くわ。ありがとう、プシュケも、皆さんも。」

そうして、受け取ったのは革のパンツとタンクトップにスニーカー。
ドレスの比ではないほどに、女を感じさせながらも凛々しさや格好良さを孕んだものになった。出るところを出しているのに全てが隠れている。
街中を歩くにはやや攻めた格好かもしれない。けれど……。

「次は、ちゃんと自分で買うから……。」

そう、笑みを浮かべて、出来る事から始めようと前向きになった笑顔を浮かべた。
元々、お札や御御籤、お守り等やろうと思えばできた事。せずにいたのは怠慢なのだから。

そんな、巫女からは想像つかない格好のまま、着替えた際にお針子さんから言われた『堂々と、胸を張って歩きなさい。』その言葉を体現するように。
フリルとデニムという可愛らしさに磨きのかかる格好になった少女へと、腕を差し出した。

腕を組んで、街へ繰り出そうと。片手に袋を持ちながら歩きだす様は宛らデートのようでもあり。迎えに来た当初とは別人のように、明るく笑顔を振りまいて。そんな姿にしたのは間違いなくプシュケ、貴女だった。

プシュケ > 先回りして、好きなものを変えるように、という心遣いをしたのは事実。
とはいえ、それをあからさまにやってはキタも困るだろうという所からの。
とはいえ、所詮は子供の浅知恵でもあり、キタにはバレてしまっていた様子。

何のことですか?的な表情を作って見せるけれど、どうやらバレてるようだと理解すれば、

「……今日は、キタにもっと素敵になってほしいって言う私の我儘が始まりだから。
うん、そうね。でも、きっとキタなら大丈夫よ。」

次は大丈夫、と言葉にする。
言葉にすれば、きっと大丈夫。伝わるはずだという信頼感で。

程なく二人とも、店を辞する準備ができれば、キタと腕を混んで街中へと繰り出していく。

「そうそう、キタ。この後はね……」

その後、神社までの帰り道、屋台村で王都のグルメを味わって、市場を歩いて色んな買い物を気楽にできる場所を案内。
帰り道は出来るだけ安全な人通りの多いルートを辿って、楽しい会話も尽きることなく。

そして、何時もの場所まで帰り着けば、とても楽しい一日故に本当に名残惜しかったのだけれど、
それでも今日も、いい子であろうと。
何時もの様に、ぎゅっ、と一度抱き着いてから、またね!と元気に挨拶をして、自分の屋敷へと帰っていく。

そして今日初めてプシュケの正体を知ったキタは、プシュケを陰に日向に追い護る護衛達の姿も察することが出来るかもしれない。
少女は安全に帰り着く。その確信と共に、日は傾いていった。

キタ > 「本当に嬉しかったわ。ありがとう。本当に良い子なんだから、気遣いからなにから。」

そう、彼女の金色を撫でて今日の出来事を思い返せば労った。
腕を組んで二人して繰り出す街。いつも下を向いて目をつけられぬようにと歩いていたその街が、今日は──今日から輝いて見えるのだろう。

幾人もの視線を奪った自覚もある。それはきっとプシュケも同じ。
彼女の提案するままに立ち寄る屋台や知らなかったお店の数々。
無作法にも食べ歩きやアクセサリ類の試着なんかもしながら……。

名残惜しくも時間になってしまった。
神社でなければ彼女のテリトリー内ならば時間を気にしなくてもと思うけれど、その線引きも大切な約束として守ってくれる。それは嬉しくて。

「今日は本当にありがとう。プシュケ……。また、今度、白衣を着にいらっしゃい。」

そう抱き締め返してしっかりとその髪を撫でる。彼女に伝わる感覚ももっと柔らかく。
いつもなら鳥居の内側で見送る姿が、今日は森の前。去り行く姿を見守った後、その後に消えた幾人かの気配。
その存在に安心して、その姿は森の中へと消えて行った。

後日、神社の御御籤はよく当たるとかなんとか、そんな噂が彼女の耳に届くかもしれない。

ご案内:「設定自由部屋3」からプシュケさんが去りました。
ご案内:「設定自由部屋3」からキタさんが去りました。