2025/07/10 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場 露天風呂エリア」に枢樹雨さんが現れました。
枢樹雨 > 様々な種類の温泉が用意された温泉旅籠。
その中で見つけた不思議な個室。
蒸気により高温を保つその個室は『サウナ』という名称であることを、先ほど従業員から教えてもらった。
しかし妖怪の好奇心は、その個室の扉を開けた時点で消え失せる。
一瞬で襲い来る蒸気の熱。顔や首周りにまとわりつく熱された湿気。
この暑い季節に利用する場所ではないと、一瞬で扉を閉めたのが十数分前。

妖怪は今、サウナに併設された水の岩風呂にて涼んでいる。

魔導機械にて引き込んだ湧き水で満たされた水の岩風呂。
適当な岩に浴衣を着たままに腰掛け、両脚を浸せば、それだけで全身の体温が下がるような心地良さ。
膝までたくし上げた浴衣の裾。
それを押さえつつ腿の上で三味線を抱えた妖怪は、夜空に浮かぶ月を見上げる。

満月にも見える、丸々とした月。
照らす世界には数多の存在が在るはずだが、今己の視界には誰も居ない。
おもむろに撥を握った妖怪は、手元に視線を落として弦を弾く。

曲には至らぬ音が水風呂の周囲に響き、空気を震わせる。
白魚のような指が棹の弦を押さえれば、次いで弾いた弦が違った音を響かせる。
そうしてしばし、雫のようにぽつりぽつりと、水風呂の畔に音が落ちて。

枢樹雨 > しばらくし、音奏で乍らに涼んだ妖怪は、いつしかその場より消えていた―――。
ご案内:「九頭龍の水浴び場 露天風呂エリア」から枢樹雨さんが去りました。