2025/06/07 のログ
ご案内:「屋外練兵場」にキルトさんが現れました。
■キルト > 「順番にかかっておいで! 一本取られたら交代!」
若い冒険者たちを前にキルトが叫ぶ。
手には小ぶりな木剣を構えていて、鍔はなく長さもせいぜいナイフ程度。
更に刀身に相当する部分には布が巻かれ、特に切っ先には綿が詰めてあり殺傷能力は低い。
対峙する面々の得物も木製だが、殆どはキルトの持つものよりも大型の武器だ。
それらも同様の加工で、極力相手へのダメージを抑えるようにされていた。
その中から剣とバックラー、そして防具も身に付けた青年が真っ先にキルトと向かい合う。
少なく見積もってもキルトより20cm以上は背が高い。
侮りか自信か、兜の下には不敵な笑みが浮かんでいた。
「やる気だねえ。それじゃ行くよ!」
キルトがそう言うやいなや、青年の方から距離を詰めた。
バックラーで身を守りながら突撃し、間合いに捉えると右手の剣を振りかぶる。
その思い切りの良い攻撃を、キルトは跳躍により回避した。
頭上を飛び越え、背後へ着地しながら首元へ木のナイフを添えると、判定役の教官から死亡の判定が出された。
「思い切りと即断は良いけど、見失った瞬間動きを止めたのは良くないね。見えなくても反射的に死角を攻撃するといいんじゃないかな。それじゃ次!」
動きを止めたといってもほんの一瞬だが、実戦であれば命を落とすには十分な時間だ。
軽く助言を残しながら次の冒険者と向き合う。
とはいえ、こうして正面切っての戦いはキルトにとって苦手分野だ。
むしろ訓練を受ける側でもいいぐらいだと思っているのだが、新人でも勝てそうな適度に弱いやつも必要だとかで動員された。
やるからには真面目にやるけれど、せめてもうちょっとマシな誘い方はなかったのかなあなどと考えながら構えを取る。