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参加者(0):ROM(1)
Time:08:53:28 更新


ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」からエレイさんが去りました。 (03/15-16:02:44)
エレイ > やがてカーテンが開き、客が現れれば男は笑顔で迎え入れ── (03/15-16:02:42)
エレイ > ──温泉旅籠内の、主に宿泊客向けに用意されたサービスの一つが、このマッサージ室である。

その施術室はいくつかの個室に分かれており、客は専用のカウンターで受付を済ませた後、各個室で待機しているスタッフと
一対一でマッサージを受けることになる。

なお、客にどのような施術を行うかは、スタッフの判断にすべて委ねる、というあたりはこの旅籠らしいといった所。
ついでに、各個室内には客に安心感を与え、施術への抵抗感を知らず知らずのうちに薄れさせてゆく効果を持った、
ほのかな香りのアロマが炊かれていたりもする。効果がどれほど出るかはその客次第なのだが。

「──さーて、今日もブブイーンと張り切ってやりますか、ねぇッ……と」

その中の一室に腕をグリングリンと回しながらやってきたのは作務衣姿の金髪の男。
知り合いからの依頼という形で臨時のマッサージ師としてやってきている冒険者、という立場は今も変わらないのだが、
もうすっかりここの一員として馴染んでしまっていた。
そんな自分に時折疑問を持たないでもないが、男自身としてもなんやかんやこの仕事は
気に入っているのでまあいいか、とあまり深く考えないことにしたのだった。

「今日はどんなお客が来るかねぇ……」

ともかく、男は施術台の傍のスツールに腰掛け、腕組みしながら客待ちを始める。
出入り口のカーテンが開かれ客が現れるか、あるいは魔導機械の通信機を通して客室への
出張依頼が来るか。
いずれかの訪れが、今日の男の仕事の開始の合図となるのだろう。
もしかしたら、受付を経ずに紛れ込んで来てしまうような珍客が現れる、なんてこともあるかもしれないが。
(03/15-13:01:57)
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」にエレイさんが現れました。 (03/15-13:01:41)
ご案内:「私邸」からさんが去りました。 (02/24-01:19:03)
ご案内:「私邸」から影時さんが去りました。 (02/24-01:18:27)
> 逆用されるとは考えていなかった。
最近めっきり取り出さないので頭から抜けていたが、爆薬、火薬の類を多く扱う者なら、当然忌避すべきことである。
それは確かに困る、と目を瞠り。
耳打ちされた指令には、声にせず、静かに一度だけ頷く。
あれらと呼ばれる者たちのことも、それ以外も、何か不審な動きがあれば……。
そう思う反面、不用意に不安を煽るようなことにはならぬよう、細心の注意を払わねばと思う。

お茶の感想はじっくり悩んで、比べてもらって結構。
どんな様子か気になるが、気にしないふりをして手紙を仕舞い、服を抱えて、本を乗せ。
そうしていると、小さく呟く声を聞いた。

「――……っ! ……ん」

しかと聞いたその呟きに、また耳と尾を真っ直ぐに立て、尾の先を小さく震わせ歓喜しながら、澄ます顔で一声だけを返す。

「はい、急ぐものでも無いので、気が向いた時にでも進めていただければ。影時先生、よろしくお願いします。
 絵だけで判断するには、この絵は簡素が過ぎます……。

 うん、ちょっと苦い。でも、やっぱり甘い……。お茶にも合う。ラファルの口にも合えば良いのですが……」

絵巻としては画家が描いたものでは無いだろう。絵心はあるが、この国の絵画に比べれば簡素過ぎて、けして褒め称えるような絵では無いと娘は思う。
きっと、重要なのは文字の方なのだろう。多分。
巻物はそのまま師に託し、解読、管理も含めお願いすることにした。

少し大人の味がするパウンドケーキは、師の口には合ったようだが、はたして姉弟子はどうか。
夕飯の後で振舞う時を想像しながら、カップを傾け口に残るほろ苦い甘味を押し流すのだった――。
(02/24-01:13:15)
影時 > 「然り然り。勿論造りはそれぞれだが、俺の場合は大体そういう類のもの、だ。
 導火線を引いた火薬宜しくなる奴もあるにしたって、いざという時に逆用されたら溜まったもんじゃあない。
 
 気分転換がてら、次の仕事は大掛かりな奴でも探しておくか……。
 常になンてのは大仰だが、胸襟を開くべき相手はよくよく見ること、だ。それと……」
 
……あれらの動向も目についたら、報告してくれ、と。囁くように零す。
符術はいずれでいい。以前出した課題の成果と、他のあれこれの仕上がりを見極め、幅を出したい時にで良いだろう。
年月の積み重ねが深みと幅を増すなら、若い時分に詰め込み過ぎても逆に持て余す。
手持ちの手札をよく高め、磨き上げるのもまた、修行のうちだろう。
講釈をしながら、気に掛けるべきも思う。あれらと云うのは最早他でもない。彼ら、のことだ。
今回の経験、事例を以って、広く思えた街も存外に狭い、ということが身に沁みた。故に何か目につくこともあるかもしれない。

「分かった分かった。ちゃんと比較したうえで答えてやるから、な?」

耳と尻尾通りの猫舌な弟子とは違い、熱いうちに呑む。呑める。
味慣れた風味と濃さを舌鼓を打ちつつ、喉を湿らせ、一息。……こっちの方かね、と。小さく馴染みある味に呟きながら。

「…………ああ。ぜーんぶ纏めて、にゃ恐らく時間が掛かろうが、読んだ上で書き出せるだろうよ。
 分かった。改めて入れ物も見繕ったうえで、預かろう。
 そういう見方も、あるか。……親子を、火に捧げる、といった具合……いや、後だ後。
 
 今は、こっちだ。――ははぁ、酒漬けの干し葡萄ときたか。オトナの味ってェ奴だな……」
 
如何に解釈するべきか読み解くべきか。絵だけを見るのでは抽象的が過ぎる。文字書きの書き出しと翻訳が必要だろう。
己にはそれが出来る。出来るに足る知識が頭の中に入っている。ボリュームたっぷりだが、為せるだろう。
解釈を深めるは後回しにして、丁寧な手つきで巻物を巻き直して、紐をかけて。
臨時の遊び場と化した紙袋に和みつつ、ケーキに手を出そう。
フォークで切り出し、含む味は己好みな方。芳醇な匂いは酒気も漂わせるが、この位ならば酩酊はするまい。
気にかかる事項は抱えながら、先刻の蛇やら、手紙で伝えられた内容やら、認識すべきことを話し合いつつ――このひと時を過ごそう。
(02/24-00:52:41)
> 「ふむ……魔道具の中にも、常時発動型でないものがあると聞きます。魔力を注いで初めて動くもの、それと同じですね。
 スクロールのように、開けば勝手に起動する、誰でも使える便利なものとは違う。修行が必要なものです。

 ん! その機会が来るのは良いか悪いかはわかりませんが、楽しみにしています。
 ……はい。恨みを買わぬように、常に忍んで……頑張ります」

頭の中で魔道具に置き換え、今まで見たことのあるものにあてはめながら納得して首肯する。
師の言う符術は勉学的な面と、実戦で使うための技術面、両方を磨き上げて初めてものになる類の術だろう。
今すぐに教えてくれと駄々を捏ねるつもりは無い。とりあえず、次に進むには今出されている課題を合格してからだ。
男も娘も、恨みを買うだけのことを過去に起こしている。
道端で過去の同業者にまた絡まれるようなことがないとも言い切れない。
思いもよらぬところで、と言う可能性も考えると、今後も認識阻害の術は外出時には必須だと胸中で改めて思うのだった。

「どちらが美味しいと答えても構いません。先生の味の好みを知りたいだけなので」

そう難しく考える必要は無いと軽く声を掛けながら、そろそろ冷めて飲み頃になった紅茶を手に取る。
念のため息を吹きかけ冷ましつつ、コクリと一口飲んで納得の味に小さく頷いた。
続けて、パンケーキをフォークで切って齧りつつ、巻物を隣で眺める。

「……! 先生、読めますかっ。では……あの、翻訳を……時間が掛かってもいいので、お願いしたい……のですが。
 はい、神様です。んー……それは、よくわかりませんが、大きさが違うから……大人と子供ではないでしょうか?

 ――あむ。んぐ……、うー……甘さ、控えめ……少しお酒の風味がする」

真剣な面持ちで巻物を観察する様子に期待を込め、読める可能性があると知れば声を弾ませた。
が、すぐに気持ちを抑え、控えめに男の顔色を伺いながら頼みごとをおずおずと口にする。
問題の絵については、聞かれれば少し考え込んで首を捻り、悩みながら答える。それが正解かどうかも、この文字を読み解くことが出来ればわかるだろう。

真面目な師の傍らで、ごそごそがさがさっ、楽しそうに出たり入ったりと紙袋で遊び回る三匹と、まったりケーキとお茶に舌鼓を打つ弟子。
愛らしく楽しそうな三匹を見守りながら、喜んでくれて何よりだと薄く笑みを浮かべた。
(02/24-00:33:04)
影時 > 「俺が認識している符術ってぇのは、記した式と原動力として篭めた氣やら魔力やらに基づいて働くもんだ。
 故に例えば、起動の念を送ることで、爆発を起こす符を拵えられるわけでな。
 
 ははは、見たいか見たいか。……大技だからなぁ。機会(とき)があれば、その時に、な?
 人の念とは弱いように見えて、募ればがらりと変わる。
 恨と怨は燃えるが如く極まり易いが故に、強念に変じ得る。そんなもんは買わないに限るが……」
 
符術は色々と出来ることが広がる分、取り扱いが難しい。
忍具を拵える延長のように己が里で発達したが、今はどうだろうか。進んだのか衰えたのやら。
“拵える”がキモなだけに、深めようとするとあれやこれやと物入りになる。
今でこそトゥルネソル商会経由で仕入れているが、不可解なことに術を描く紙も羊皮紙ではとんとノリが悪かった。
興味津々、とばかりに尾が揺れる有様を視界に収めつつ、伝授するか否か――悩む。

今の手持ちをより深めるか、あれもあるこれもあると広げるべきか。
それもまた、長らえてのことだ。極めるも深めるも生きていて初めて為し得ること。
甘っちょろいと謗られても、仕方がない。今は契約に対する方策を模索しつつ、見守るとしよう。

「ああ。……むむ、こりゃまた深く考えさせてくれるなぁおい。よくよく吟味して答えなきゃならんな」

問題の応接室は己も何度か使うが、わざわざ茶を出してくれたかどうかは――先方次第だったか。
ない訳ではない。だが、依頼者が淹れて出してくれるというのは、考えてみると初めてだったような気もする。
弟子が宣う言葉にぴくと眉を上げ、どうだったかと脳裏にあの茶の味を思いだしてみようと試みる。
恐らく、大丈夫だ。比較については、ケーキで口の中を整えつつ、答えを出すことになりそうだ。
その前にも先ず、手紙に続けてマキモノ、もとい、巻物の内容も確かめる必要がある。
とたとたそわそわ騒ぐ三匹に何やってるんだ、と目配せしつつ、持ってきたサイドテーブルに広げるは――。

「………――草書だな。それは間違いない。読め、なくもなかろうが、だいぶ癖があるか、……か?
 
 んで、これが火之神様、か。……祈ってる、と思えるのは分かるが。こっちのは、なんだ?罪人、悪人をくべている図かね」
 
どういたしまして、と弟子に頷きつつ、広げられる巻物、絵巻に神妙な顔つきで目線を落とす。
異国とはいっても己にとっては故郷のそれに、恐らくは相違あるまい。
描かれる後光を背負っているような人の姿は、確かに神のよう。祈られるのもそれを裏付ける。
気にかかるのは、大小二人の誰かが火に捧げられ、くべられるような情景。巻物は思った以上に長く、先が多そうだ。
時間がある時に床を掃いて、シートでも広げた上に転がし広げる等も必要だろう。
そう思いながら息を吐き、椅子に座り直す。紅茶のカップを取り上げ、喉を潤しつつ、ごごごごごそそそそ、とする情景に、ほ、と息を吐く。
全く以て、三匹は本能通りである。入れる場所があれば入りたい。遊びたい。
わーい!とばかりに横倒しの紙袋に尻尾が出たり、入ったり。彼らだけは、実にマイペースであった。
(02/24-00:05:05)
> 「それは確かに危険です。呪文で操作するようなものでは無いのですね……。
 大妖物……! 見たい……けど、特別な術なら、そう安易に見せられるものではない……ですね。少し残念。
 ん、恨みと呪い……。掛けられる謂れは無いと思いたいですが、人の心はわかりません。承知しました」

魔道具の類も色々ある。それと同様、この符術とやらも流派によって異なるのだろうと理解を示す。
どう言うものか馴染みが無いのでピンと来ないところもあるが、また習う機会があれば教えを乞いてみよう。
大忍術ときて、大妖物の召喚と聞けばますます夢が膨らむ。師ならどんな物を呼び出すか、興味津々で尾の揺れが更に大きくなったが、それだけの技となれば容易く使えるものでも無いと、食いつきたくなるのをじっと堪え、尻尾だけはいつまでも揺れていた。

至極大変なことなれど、可愛い一番弟子の為ならばと言う奴だろうか。
頭を抱えながらも何とかすると言う言葉に小さく頷いておいた。
竜や狼程では無いが、猫もそれなりに鼻は利く。色々察しても口にせず、黙って仕えるのがこの娘である。
臭い対策に男が本気を出して取り組めば、それなりに誤魔化すことは出来るようになるだろうが、さて、食いしん坊で美味しいものに目が無い姉弟子を何処まで誤魔化せるようになるか。これは見ものだ。

「ギルドの面談で? んー……、そうですか。
 では、私の淹れたものと、ギルドで飲んだもの、どちらが先生のお口に合ったか、後で教えてください。
 今後の参考にしますので」

ギルドの応接室に入ったことは何度かあったが、お茶が出された記憶は無い。自分で注文して持ち込んだのだろうと思い至り、続きを聞く。
手紙に目を通す様子を見守りながら、その表情を逐一観察していると、トタトタそわそわ、テーブルの方で音がする。
見やれば、好奇心を抑えきれずに飛び出す二匹と、それを押さえる新顔を言う愉快な図が。
白猫はキョトンと目を丸め、ゆっくりと瞬いた後、運ばれて来たサイドテーブルの上に巻物を置く。

「ありがとうございます。絵巻……ではあるのですが、一応文字……のようなもの? も、書かれていまして。
 ただ、草書と言うのでしたか、崩れ過ぎていて私には全く読めませんでした。

 ――ああ、これです。これが火之神様だと、父上に教えてもらいました」

紐解きくるくると転がし開けば、墨で書かれた文字から始まり、さらに回して開いてやれば異国の絵が広がっている。
炎をの中に立つ人型の後ろには煌々と後光が差しているのが見てわかる。娘はそれを指さし、我らが神だと語った。
だが、その人型の下、雲の下に描かれる人間らしきものは、一人が祈り、大小二人が火にくべられ燃えているようにも見えるだろう。
巻物はまだ厚く、先があるようだがこれ以上開けばテーブルから落ちてしまう。

娘は説明を終えると、ちらりテーブルの上の三匹に目を向ける。
そして、しまい込んだ服をがさごそと今度は取り出し、空っぽになった紙袋の口を横に倒してテーブルに置いてやった。
狭い所、ガサゴソ音のする箱に入りたくなる衝動と言うのは、己も少しわかってしまうのだ。これはもう三匹に譲ろう。
(02/23-23:37:12)
影時 > 「俺はこの辺りの魔術師でも魔法使いじゃぁないから、確実には云えんが――ただ記したものが、勝手に発動するようじゃあ危なかろう?
 
 ……そうだな。例えば、山を巻く程に長い大妖物を喚び出すとか、封滅させるとか、まぁ色々と、な。
 その気持ちは、有難いがね。使わざるをえないようなことがあったら、可能な限り直ぐに報告してくれ。
 俺のような生業だと、遺跡やら迷宮やらが厄の源だろうが、何処で買うのか分からンのが恨みであり呪いだ」
 
流派によって違う。術師独自の工夫によってまた違う。だが、共通する項目は間違いなくあると思う。
符に記す蚯蚓(ミミズ)がのたくっているような描き込みを、真に術たらしめるものは何か、ということ。
それを云えば、大忍術なるものを記した術符は、一つ拵える度に精魂を篭めるものに相違ない。それ程のものがある。
刀だけで片付かない事象に対する大仰な決戦手段と定義しても、きっと過言ではないだろう。
興味津々とばかりに緋色の眼差しを光らせる有様に頬を掻きつつ、続く言葉に言葉を足す。
気持ちはきっと、分からないでもないが、過保護めいていても可能な限り手は回したい。回さずにはいられない。

「いやまったく。香を焚いても、無理なものは無理だからなぁ。……まぁ、どうにか言いくるめる、か」

匂いの問題は毎度ながら頭を抱える。忍びとしての全盛の頃、故郷での頃もそうだ。
思い出すと余計に実感が深い。番犬を放っている城やら砦やらは忍び入るのに毎度ながら骨が折れる。
それと同じ難度、とは言えないが、美味しいものに目がない弟子へのフォローは念入りにすべきだろうと心に決めて。

「成る程、道理で……か。丁度、冒険者ギルドの面談の時にも振る舞ってもらったものでね。得心がいった。
 色々とっておいてくれた、と見える。と、分かった」
 
なんだ、思い出深いじゃあないか、とまでは言わない。言うだけ野暮、言わぬが花。
微かに唇を釣り上げながら、回される手紙を受け取っては暫し、その文字の連なりに目線を走らせる。
字体の癖を読み込んでは書き手の性格を伺い、記される内容に昨今のヴァリエール伯爵家回りの情報を読み取り、察する。
伯爵と件の聖騎士なる人物との繋がりも、伺える記述に内心で唸りつつ、横目をやる。
袋が空っぽになれば、ついつい入っていきたいとばかりにそわそわげな二匹、もとい、三匹が見える。
白法被の二匹が飛び出しかけて、家令姿の一匹が押しとどめるように阻む様を横目にしていれば、声がする。

「……例のか。こいつは、どれ。広げる場が要るな」

ちょっと待て、と。そう言いつつ立ち上がり、居間の隅からサイドテーブルを抱えてくる。
その上であれば巻物を拡げるにも、きっと困るまい。
(02/23-23:00:08)
> 「なるほど、紙だけじゃなくて、氣を込める必要もある……それは中々に数が増せば重労働です。
 大忍術……っ。む、ん……どんな術なのか、興味がわきます。
 う? 影時先生からもらったものは全部大切なものです。大事に使う。
 呪い……は、元主様との契約以外で現状特に思い当たるものはありませんが、遺跡に潜れば何があるかはわかりません。
 常に身に着けておくよう、心得ます」

符術に疎い身故、話にいちいち感心して頷いていたが、興味は一気に大忍術なるものに引っ張られる。
思わず尾と耳をピンと立て、ゆらり、ゆらりと尾を揺らし。キラリ緋色を光らせた。
貰った紙の人形は勿論、今まで贈られた鞄も、マントも、菓子も、娘にとってはどれも家宝にしたいものである。
猫クッキーは湿気る前に食えと言われたので、泣く泣く少しずつ食べているが、まだ半分残っている。
この人形も穢れを溜めぬように気を付けながら身に着けることになるだろう。

「部屋に着いた匂いも……。それはなかなか難しいです、カーテンは洗えても、本やベッドは洗えませんから」

色々苦労している様子が垣間見える顔を横目に、ケーキの配分は任されたとしかと頷き返しておいた。
個性豊かな弟子を多く抱えるとは、大変なのだな……。と、その一人であることを棚に上げて、他人事のように思いつつ。

「はい。お茶の淹れ方は、ナイトから教わりましたので。似ているのも当然です。
 元主様も、『あのじゃじゃ馬も、淹れた紅茶の味だけは手放しに褒められる』とおっしゃっておりましたので、とても良い手本でした。
 荷は全て私の私物ですね。少し懐かしいです。はい、先生もどうぞ、目を通してください」

口にするのはどれも、今となっては懐かしい記憶だ。軽い世間話をするように語りながら、読み終えた手紙をそちらへ回す。
手紙の内容は特に隠し立てするようなものではない。
逆に、情報として、聖騎士の事、ヴァリエール家の現状が偶然にも手に入ったのだ。共有しておく方が良いだろうと。
紙袋の一番下に入っていた洋服は、全ては取り出さずに、無言でいそいそと押し込んで片付ける。
紙袋の隙間から覗いていた布はレースやフリルがひらひらと。随分と少女趣味な洋服だろうころが伺える。
そして、話を逸らそうと手紙を読み終えたところで、その隣に置いた巻物へと話題を向けた。

「先生、そちらは前に少しお話していた神様の絵が描いてある例の絵巻です」
(02/23-22:36:19)
影時 > この辺りは、こういう機微は――難しいものだ。云って分かるとも限るまい。
例えば冒険者としての仲間、一期一会のつもりから始まるもの、機会が重なる者、等々。
独りで事を済ませられるものとは、世の中意外と少ない。超人じみた、ともされる者にだってあるのだから尚のことだ。

「白紙の束があったって、一々式を記して氣を篭めなきゃならん。
 大忍術でも記してェならば、それこそ絵巻のようになる。万事善し悪しよ。
 
 どういたしまして、とは云ったものの、後生大事にしなきゃならんものでもない。
 呪い、呪詛なんざ喰らわなきゃそれに越したことはない。だが、何があるか分かったもんじゃないからな」
 
符術としての忍術は出来ることは多い代わりに、事前のストック、準備が要る。
大仰な絵巻物じみた巨大な符もあるが、掛け軸よろしく固く封印して雑嚢に突っ込んだままだ。
そんな物と比べれば、今渡した形代はまだ気軽に使い捨てられる類だが、常よりそうしたいものでもない。
呪いなんて喰らうものではない。だが、何があるか分かったものではない。
迷宮探索で悪魔から喰らう。宝箱に仕込まれた罠として喰らう。街でも人から喰らう。全く、面倒なものだ。

「……――あー、そうだな。そうしておいてくれや。
 自分達の匂いを消したって、部屋に突いた匂いばかりは消し難い。下手に隠すより大分マシだろうさ、……と」
 
さて、丸投げされた内容を胸の前で腕組みしつつ、真面目腐った顔で思案する。
結論は、直ぐに出る。考えるだけ無駄、という真理じみた帰結。
ドラゴン様のご機嫌を宥めるには、たっぷりと捧げる他あるまい。苦笑交じりに肩を上下させれば、視線が合う。
紅茶を注ぐ手つきを眺めていたが、何を思っていたかは――、だ。

「あのナイトお嬢様の手つきと似てたな、とふと思ってね。否、その逆か……。
 物はそう重い感じじゃぁなかったが、色々ある、な。巻物に本と、……嗚呼、返事の手紙かこりゃ」

件の依頼主の手並みが似ていたのではない。その逆、だろう。
口にしながら、ソファに並べられる品々をひとつひとつ見ていく。改めてゆく。
瓶や武具等のように、重い品ではない印象だった。その意味は確かに正しい。篭っているだろうものを除いては、だが。
手紙の内容は、己から覗き込むことはしない。弟子から回されたならその時にのみ、改めて見る。
罵詈雑言、罵声じみた記載は、恐らくあるまい。安堵らしい吐息を聞き、そう思う。
(02/23-22:05:06)
> ()心、弟子()知らず。
では無いが、契約のようなものではないと言われると緋色を伏せ、難しく考え込んでしまうのだった。
人が変わるきっかけとは些細なものだが、何がそのきっかけとなるかはその者次第。弟子同士で培われるか、冒険者として働く内に芽生えるか、はたまたそうとは気付かず自覚も無いまま過ごすかもわからない。
師が語る友人の話は聞ける機会があれば、昔話を聞かせてもらった時のように、真剣な面持ちで耳を傾けることだろう。

「そうなのですね……。前もって、沢山用意しておかないと、いけない……。
 ……! ありがとう、ございます……。お守り、大事にします。ん、処理の仕方も、理解しました」

ひとつ、深く礼をして感謝の言葉を述べ。机の上に置かれた人形一枚。
それをパチリと瞬き、じっくり眺めてから大事そうに両手で掬い上げ、汚さぬようにテーブルの隅に寄せておいた。

さて、お茶の用意が出来上がり、内緒ごとだと釘を刺したが、師の言うことは最もで猫も悩んでしまう。

「ラファルの食べる分は、少しだけ厚めに切っておきます。……後は、上手く誤魔化してください」

悩んだ末の丸投げ。師ならうまく姉弟子を丸め込めるだろうと踏んでのことである。
此方に出来るのは配分を多めにして宥めるくらいしか、方法が浮かばなかったのでもう仕方ない。
紅茶を淹れ終わった後、ふとそちらを見ると細められた暗赤と目が合った。
不思議そうに首を傾げながら、ティーポットを机の中央に置く。

紅茶はまだ湯気が立ち昇るほど熱いので、娘が口を付けるにはまだ早い。
置き去りになって、先ほどまで小動物のちょっとした遊び場となっていた紙袋に手を伸ばし、改めて中身を確認しよう。

「えっと……」

上から順に取り出し、ソファの上、男と娘の間に並べていく。
一番上に入っていたのは、封蝋で閉じられた手紙。その下に、公用語の本と、巻物。一番下に入っているのは布……否、洋服か。
どれも見覚えがある。屋敷に置いたままになっていた私物だ。
帰らなかったことで、てっきり処分されたものと思っていたが、元同僚が保管してくれていたらしい。
これに関しては、素直に感謝するべきだろう。服や本はまだしも、巻物は二度と手に入るものではない。父の遺品である。

封を剥がし手紙にざっと目を通す。
心配していたこと、無事であったことを喜び、もっと早く連絡しろと言う叱る言葉から始まり、嘘も方便と適当に書いた逃避行については、もっと詳しく知りたい、相手はどんな人なのかと、興味津々である様子が伺える。
後は、最近の屋敷の事。元主の知人が兵を教育師に来たこと、警備が以前より硬くなったこと。今はその知人――おそらくは、例の聖騎士だろう――の下について騎士の立ち振る舞いを勉強しているらしい。
そんな近況が書かれていた。
娘は手紙を読み進めるごとに目を細め、元同僚も、元主も、古巣も達者でやっていることに安堵して小さく息を吐いた。
(02/23-21:35:14)