2025/09/30 のログ
ご案内:「夕暮れの廃神社」にキタさんが現れました。
キタ > 陽が傾き始めると、ぐっと過ごしやすく……或いは、肌寒くすら感じる事の多くなった季節。
もう少し時間が過ぎれば暗闇に呑まれてしまうだろう森の奥にある廃神社。
森の入り口は盛りを過ぎて尚茂る木々が鳥居を隠し、参道に続く石畳が所々欠けて、その奥に浮かぶ二つの明かりが迷い人を誘惑する。
まるで、森の入り口に赤い目を光らせ大きく口を開けた物の怪の類のよう。

今、女はその目に炎を宿そうとしていた……。参道の終点に、添えられた篝火、そこへ明かりを灯せば周囲が暗くなったとて、多少明るくはなるだろうと。
そして、もし迷い、逃げ、森の口へと足を踏み入れる事となったならその二つの光が道しるべにも。

「めっきり、日が暮れるのも早くなったものね……。暑苦しい季節よりは、いいのだけれど。」

二つの篝火が灯り、残りの炎を幾つか、提灯へと分けて明かりを確保する。
それが終われば一息、と拝殿にある賽銭箱、その前の階段に腰を下ろして、茜から藍色、そして紺へと移り行く空を見上げていた。
時折、手慰みに鈴緒に触れて、カランと鳴らす音が、もしかしたら風に乗って森の入り口にまで届いたやもしれず。

キタ > 「嗚呼──、本当に素敵な夜……。」

揺れる篝火、自らの影も木々の影も揺れてこの世と何かの境界が揺らぐような錯覚を覚える。
暫くその階段に座っていたはずの巫女も、気づけば霧散したように消えて。

ご案内:「夕暮れの廃神社」からキタさんが去りました。