2025/08/28 のログ
ご案内:「海辺」に睡蓮さんが現れました。
■睡蓮 > 潮風が頬を撫で、癖のない髪を揺らすのに任せて、陽射しに熱された砂浜の上を素足が点々と足跡を刻む。
一時の狂奔めいた熱がさり、足裏に仄かに宿る熱を楽しむ風情。
夏生地の裙の裾を軽く引き上げ、白い足許が覗いている。
「────」
しゃら、と衣擦れと、装飾の触れ合う微かな音が風に混じり。
少しづつ和らぎ始める日差しの中に、白い女の影は溶けるよう。
けれどまだまだ熱気はそれなりにあるのに金色の双眸を眩しそうに細めながら。
気まぐれな散策が刻む足跡が波打ち際に刻まれ、波が寄せて流されていった。
■睡蓮 > 温い風、足元を過ぎる波の、温められた海水もまた同じく柔らかな熱を残しては去ってゆく。
裾を軽く引き上げ、手繰った姿で波打ち際をただ歩くのは、女にとっては面白い。
泳ぐには少々機を逸しつつある海。その深淵を訪うのもまた興味をそそるものではあるのだが。
「詩鬼だの詩仙だのであれば、詩興のそそる光景なのだろうなァ」
風の匂い、潮の匂い。ゆらぐ水の煌きに、水面の下で揺らぐ海藻のそよぎ。
己にそういった興趣はないが、それでも世界の生み出す粗削りな芸術は、普段己が住まう霊山の光景とはまた違う美しさ。
昼と、夜、人の領分、魔物の領分、その淡いを行きつ帰りつするこの波のように垣間見せる光景を、言葉少なに紡いで楽しむ。
陽射しの強さだけはどうしようもないがな、などと面白がるように嘯いて、そのくせその中を厭うでもなく歩を進め、時折水飛沫を立てる戯れを一つ。
■睡蓮 > 気まぐれな散策は今少し続いたことだろう──
ご案内:「海辺」から睡蓮さんが去りました。