2025/06/12 のログ
ご案内:「商工会議所」にセカンドさんが現れました。
セカンド > 「……まぁ、わかっとったけど。平民地区の住宅街ど真ん中で商売しとるウチらにはあんま縁ない所やな」

黒髪の女は嘆息と共に周囲を見渡した。
商工会議所の壁面には大小様々な広告が貼られており、眺めているだけでもこの街の多様さを感じられる。
商工会議所はギルドと同じく相互扶助と権益確保を目的とした団体だが、ギルドが職業的結合に対し、商工会議所は地域的結合と言える点が異なるといえる。
住宅街にある『ザ・タバーン』では、1kmほど離れたこのエリアに対して何ら利益を与えられないし、受け取れない。
何よりこのエリアにも酒場も宿屋もある。彼等の利益を損なわずに何かできるとは考え辛かった。

「繁華街から離れてるから静かに眠れるとか、ラインメタル料理とか……いや、あれで客は呼べんか」

静かに眠れるのは強みと言える。一人部屋しかないので嬌声が響くこともない。
自嘲気味に笑う。ウナギのゼリー寄せなど、蒲焼を知っている己からしたら食への冒涜とすら思ったものだ。

セカンド > 掲示されている付近の地図を眺める。イラストも併記された、読んでて楽しめるものだ。

「宿屋に挨拶に行くか。えーと……って。イルゥさんとこやんか。
うち建てる時に中見せてもろたり、世話になったしなぁ。10年の節目にもなるし、手土産でも持ってこか」

ふむ、と呟くと女は建物から立ち去って行った。
紅竜の舞踊亭を訪れるのは、もう少し先の話――。

ご案内:「商工会議所」からセカンドさんが去りました。