2026/03/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏酒場」にアードルフさんが現れました。
■アードルフ > ──カランコロン
暫く明かりの灯る事がなかった店の扉が揺れる。
店の中には幾つもの酒樽と瓶と、箱詰めされた荷物が所狭しと並んでおり、
その箱の一つに大きな背嚢を下ろすと、やっと一息ついたといった風。
酒瓶の入ったケースから無造作に一本取り出すと、奥のソファ席へと腰を下ろす。
「随分と長旅になったぁもんだ。 その価値はあったってなもんだが。」
ソファに身体を思いきり鎮めながら、手にした瓶の蓋を開ける。
香ばしい香りに茶色の泡。そして黒い液体に満たされた瓶を傾け嚥下する。
所謂焙煎した麦を用いたエール。その香りは常温だからこそ花開いて。
「冷やさなくて美味いってのは、店としちゃぁ有り難いな。人を選びそうなクセっちゃクセだが。」
肩を、頸を回して音を鳴らしたりしながら、久しぶりの我が店。我が家にご満悦といった風。
ただ、カウンターも、通路も大半が埋もれている現状では開店というわけにもいかず、それには頭を悩ませる事に──。
■アードルフ > 「いや……なんとかしなきゃいけねぇんだけど、流石に腰が重てぇなぁ……。」
一先ず、酒瓶を一本空けた所で、ソファより立ち上がり店の惨状を改めて確認する。
問題なく運べそうな酒瓶と一部の箱を抱えては奥の事務所へと退かしながら、
酒樽はとりあえずカウンターの中へ、店の扉を開けば中に溜まった締め切りの空気が抜けていくようで。
「とりあえず、こんなもんで良いだろ……。」
とりあえず、営業できるだろう見た目にだけしたところで、現実逃避。
どうせ、気紛れな一見さんが来る程度だろう。何分帰った事を誰にも知らせていないのだから。
気だるげな様子でカウンターの中へと入ると、流石に放置したグラスは使える状態ではなく……。
一つ一つ水に潜らせるハメへと……。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏酒場」にアムリタさんが現れました。
■アムリタ > ――納品帰りの道すがら。
街の通りはまだ人通りが残っているものの、店先の灯りがぽつぽつと灯り始める頃合いだった。
中途半端な時間だった事から、何処か手近な店でも利用しようかと道行く途中。
路地裏に差し掛かる所でふと立ち止まる。
「……こんなところに酒場ってあったのねえ。」
独り言ち。
今日は朝から調合と配達で動き回っていたせいか、飲食をまともにしていなかった。
薄暗い路地、通りの賑わいとは違い、独特の空気が漂っている。
この辺りは何度も通っている筈なのだが、こんな店があるとは知らなかった。
というより、何時も閉まっていたのかもしれない。
「……お店、やってます?」
灯りは付いていたから、営業はしているものだと判断した上だ。
遠慮がち、そうっと覗き込むように店の中の様子を伺おうか。
彼が振り向くならば、魔女帽子をかぶった如何にも魔術師の女が姿を現すか。
■アードルフ > 店を開けるつもりは無かった。本来ならば扉の正面に掛かっているはずのカウベルも今は店の内側に。
とはいえ、空気を入れ替えるために開けていた扉と、そこから漏れる明かりは、
十分に営業中と誤解させるだけのもの。
伺うような声が聞こえ、カウンターの中から視線を向ける。
水を流しながらグラスを潜らせ、ある程度溜まっては乾拭きをする、そんな作業の最中で──。
「あー……あー、悪いけど返ってきたばかりでなぁ。
手の込んだ物も、冷えた酒も出せないが、それでも良けりゃってとこだが。」
それでも良ければと、入店を促すのだろう。
グラスを洗うのを最低限に止めれば、目の前のカウンターを手で示し。
「そんなわけで、メニューらしいメニューもなくてね、
適当に飲みたい感じのを言ってくれりゃぁ、なんとかする。」
軽く肩を竦めながら、夜に出歩く魔術師も珍しいと少しばかり視線はその風体を眺める様に。
■アムリタ > 店主らしき男の言葉を聞くと、魔女は少しだけ肩の力を抜く。
完全に追い返されるわけではなさそうだ、と分かったから。
ましてや朝から殆ど食べ物を口にしていないのもあって、
断られたらと思えば飲食店周辺を練り歩く事になるからだ。
「ああ、そういう事なら。
良いのよ……手の込んだものじゃなくて大丈夫。
寧ろ寝る前になってしまうから、簡単なもので構わないわ。」
遠慮がちに笑みを浮かべながら、中へ足を踏み入れた。
路地裏の空気とは違って、店内の方が夜風が無い分暖かい。
今日は殆ど歩き回っていた事もあって、腰を落ち着けられるのは有難い。
カウンター席に促されれば、衣服の裾を軽く払ってスツールに座り込んだ。
「う~ん……スープとか、あるかしら。
そうじゃなければ、何かサンドした軽食でも。…あとは食前酒になるものくらい?」
言いながら彼のいる方へ眼差しを向ける。
傍らグラスに触れる手つき、内装の様子、手ずれを感じさせるテーブル等。
料理人というよりかは、長く店をしてきただろう様子が伺えた。
「急に押しかけてごめんなさいね。納品が忙しくってずっと食べてなかったのよ。」
■アードルフ > 彼女が店へと入った事で扉が閉まりカウベルがまたカラコロと音を奏でる。
スツールへと腰を下ろした彼女からの注文に、暫く考え込んだのは長旅から戻ったが故に、本当に何も用意がないからで……。
カウンターの背に並ぶ酒を眺めながら暫く思案する様子を。
「そうなぁ、スープってのは難しいんだが……とりあえず。」
小さな鍋を取り出すと注ぐのは濃い赤色も鮮やかな葡萄酒。
そこへ香り付けの柑橘リキュールや香辛料を網に入れて、ゆっくりと火をかけてゆく。
立ち上る香りは、甘くもスパイスのパンチの効いたもの。
背嚢の中から硬パンを取り出してはスライスをし、野菜の酢漬けとチーズを挟んだサンドイッチを、手早く仕上げれば
「2杯目はもう少し真面なものを作るから、まぁこれで身体あっためてくれ。」
そう、寝る前と言う話であれば、ずっと食べていないとはいえ量は加減すべきだろうと、
少し薄く仕上げたサンドイッチとホットワインを目の前へと。
「なぁに、忙しい程仕事があるってのは羨ましい限りだ。
それに、まだ残る寒さにその恰好は辛いだろーに。魔術師ってのも因果なもんだね。」
知人にも居る魔術師は、魔術以外に頓着しない。それは服装も、食べ物もであったから幾分偏見が交じってはいるが。
それでも、魔装具等を売るならば格好も大事であることは理解できるので、ただただ労うように。