2026/02/13 のログ
ご案内:「私邸」に影時さんが現れました。
ご案内:「私邸」にフィリさんが現れました。
■フィリ > 「そのよぅに考ぇますと――やはり私は。…恵まれてぃるのだなと痛感するのです、はぃ。
仮にもこの国、戦争真っ最中の筈ではぁるのですが。そぅぃった所に巻き込まれず、平穏無事に生きて来られた、と思われる訳でして。
――戦や争ぃも、立派な競争として、ぁれこれ発展させる起爆剤たり得るのだ、と。そぅ考ぇてしまぅのは、些か、申し訳たたなぃのですが」
そぅ、この国は争いの中に在る。一方に目を向ければ魔の国と、別の一方に向ければ帝国と、常に小競り合いを繰り広げている。
最近は後者との交流が進んでいたり、前者についてもちょくちょく市井レベルで紛れ込んだりしているが…それでも。体面としては戦時中、なのである。
にも関わらず平和ボケ出来る身の上に。感謝すべきなのは間違い無いだろう。
それこそもし、この王都にまで、戦火の及ぶような事態が起きたなら……どうなってしまうのか。どんな事が出来るのか。想像だに出来なかった。
が、それはそれとして。正しく必要が発展を促すのであれば、戦争という物に罪だけでなく効も見出してしまう。商人目線技術者目線。
そんな物の見方がヒトとして如何なる物であるのか――は。努々忘れるべきではないだろうと。少々の自戒も有るのか、自分で自分に膨れっ面となる。
悪もまた必要――という考え方は。必ずしも否定出来る訳ではないが、当て嵌めるのなら慎重に。
でなければ商才だって魔術の才だって、勿論それに拮抗する武術の才や、ヒトならざる者達の力だって何だって。ロクな結果を生まないに違い無いのだから。
「ぉぉー…成る程、それではスクナ様寄りの成長を――……確かにその片鱗は。多ぃに見受けられると言ぃますか。
それにしても、はぃ、ぉめかしにつぃては、なかなかに別物と思われましてー…勿論大変ぉ似合ぃなのですが。
もし何も知らず、クロ様を外で拝見などしてぉりましたら…笠木様と、結びつけて考ぇるのは。難しかったかと思われ―― …っ。
………っ…!?」
モデルの方に似ている、と言われたら。確かに、今目の前でナッツ類の摂取に懸命な所など。既に完全際限されているといっても良いだろう。
実在の動物を使役するより簡便になる、というメリットとは真逆、といっても良い再現性は。寧ろ知識のある者に式と悟らせにくくなるのかもしれない。
いやいや魔力の塊氣が源と、判る者なら判るのだと言われたら。其処は内から発散させない為のお洒落が、外からの観察眼も妨げていそうである。
…実際少女も、それと言われてまじまじ観察するまで、気付けなかった訳で。
序でに言うと東と西。一匹だけ王国テイストなその装いは、先輩二匹と明確に別物とも思わせそうで。紹介されるよりも先に見ていたらきっと――、と。
其処で彼の持ち出してきた例え話に。ぽんと目元を染めるようにしつつ、スカートを押さえ込む――ような動作を実行しておいて。
その後から、隠す必要の無い上下揃いの運動着姿であった事を思い出すのだった。
……まぁ再認識するとそれはそれで。お屋敷と応接室の風情に全く似合わない、それこそ体育授業真っ最中の女学生という格好が。妙に気恥ずかしくもなってしまい。
結局一度首から上に登ってきた熱を。直ぐに発散させる事は出来なさそうである。
「な、ぁにを、仰ぃますかっ―― ……っけほ、ん ん゛っ――ぐ。
――その、ぃずれ、とぃぅのが。随分先と思われますので、はぃ。努々初心忘れるべからずなので――す。
少なくとも今は。そぅして笠木様が、ぉ返し下さってぃる事柄を。恩恵として頂ぃる状態です、私。
頂ぃて、ぉ返しして。それをまた返して頂ぃて――取引、末永く続けさせてぃただかなければ。ぃつか私自身も、少しずつぉ返し出来ますよぅに。
ぅ――ん、こぅして頭でっかちに育ってぃる、とぃぅ実感ならぁるのですが。それ以外の成長につきましては――色々。負けてぃる気がするのですはぃ…
一応、こぅ、今日も息切れせずに此方までぉ邪魔出来ましたしっ。ちゃんと体力つぃてきてぃるとは思われるのですがー、…?」
謙遜というか、自認である。学生の立場だの臑齧りの身だの――人竜という特異性や、持って産まれた力云々とは別に。
王国というシステムの中、もしくは人間社会の枠組の中。そして勿論経済の中。発展途上も途上なのであると。
実際大人になったら、そうした様々な世間の仕組みの一員になりたいと思っているが。
いきなり、それこそダイラスの本店に対するこの王都。祖母に対する母の商売、と比較される将来像に。うっかりカップの残りを噴き出しそうになる。
大慌てで最後の二口位を飲み干し、咽元から流れこんで消えていく熱さに、目を白黒させている所へ。
もう一つ比較として思い浮かべさせられてしまうのが、昨今加わった双子の妹達である。
頭以外。そう、間違い無く首から下全部、物理的にも肉体的にも負けている。いや頭の中身も怪しそうなのだが――目を瞑ろう。瞑らせろ。瞑れ。
今日だって、ご近所さんへの訪問が問題なく出来るようになった。遅々としまくっている事は確かだが、決して成長していない訳でないのだと胸を張――る前に。
空にしたカップの脇、テーブルの上に置かれるのは。
「―― …と。 ……此方の? …でしたら、これは…有難く。はぃ、預からせてぃただければ、幸ぃです」
その為の場所である、というこの屋敷の事を考えたなら。
与えられたそれは、口約束よりずっと確かな、今後の予定を指し示してくれる物だろう。
こくんと頷き、受け取ったそれを――此方も此方で。件の魔術であれこれ入る鞄へと。大事に仕舞い込むのだった。
■影時 > 「仮に王都のすぐ近くまで、戦火が及んでいるとしたなら、……また違ったろうがな。
あすぴーだ、ああいや、アスピダだったか。内戦が止まぬ処、は。
結果的にとは言え、アスピダやタナール砦みてぇなのが遠い処で過ごせてるのは、大変幸福なことだ。そう思う。
……そう云う点については、否定はせんよ。だからとて素直に肯定もし難い」
戦に狂うのは。戦に酔い痴れるのは。あくまで一対一の相対に収める、留められるからこそだ。
ただ我欲のままに大戦を起こす。
世をかき乱し、己のような無用の者がまた求められる世を作る。長続きさせる――というのは、何か違うと思うのだ。
分を弁えないを“武を弁えない”と言い換えても、間違いない。統御されない武力は只管に脅威でしかない。
戦いが、必要を呼び、必要が発展をもたらすのは確かだが。それもまた結果的に、というもの。
次に起こる戦いが招く発展が、色々な神話で語られる洪水のように様々なものを押し流す災禍とならない、と誰が云える。
「ヒテンの方に寄せるかのも、だいぶ悩んだンだが……、すまんすまん、そうしょぼくれるない。
服もまぁ二匹に寄せるためでもあったが、生身に見えて生身じゃない以上、な。
似合っているなら、馴染みのお針子に骨を折って貰った甲斐もあったな。
――縛り、条件を設けたとはいえ、ほぼ常時、維持可能な式紙ってぇのは、俺も経験がな、……いって、覗かねえし、剥かねェよ。
まぁ、身なりは気にしなくてもいい。ここで口煩くするつもりはないとも」
運動性という一点を云えば、モデルにモモンガの方を考えなかったとは言わない。
王都でどれだけ同類が居る、飼われているか定かではない毛玉は、鳥のように飛べなくとも滑空できる特技がある。
だが、誰かが飼っていそうという点を考えれば、最終的に選ばれたのはシマリスの方であった。
ネズミでも存外受けそうだったが、見慣れた身近さは、何にも代えがたい信頼性を齎して余りある。
飼い主の言の葉に、ぷぃー……と、大き目のクルミを抱え、顔を反らすモモンガに頬を掻き、こほんと気を取り直す。
何は兎も角、この館の見守り、留守役とする以上、出来る限りの工夫を加えたの間違いない。
存在力の補完、保全、長期間に渡る顕現に伴う術者に対する負荷等排除する等々。
その結果として、自立的な要素は……せぬとしても、やーらしい用途には使えない。御しえない。
冗談交じりの喩えに顔を染め、スカートを押さえるようでありながら、結局無用な行為を為す様に、くつくつと笑う。
普段着が体操着、運動着同然でこの家を闊歩、出入りしたって、いい。そんな鉄の掟はないのだから。
「はっはっは。……先とは思っても、思ったよりも早いかもしれねェぞ?
焦らせるつもりはないが、そうそう、初心忘るべからず、だ。足元を疎かにしていれば掬われる。気をつけることだ。
こうして居を構えた以上、必ずここに戻る。この地での生活を続けるためにも、末永く付き合わせてもらえれば有り難い。
――それ以外、ねぇ。子女同士で張り合うようなものじゃあるまい、よ。
体力についちゃ、そうだな。様子見がてら、この館からトゥルネソルのお屋敷まで往復走でも今後考えてみるかね」
己を弁えているにしても、過ぎれば過剰な謙遜になる。かと言っておだて過ぎるのもよくない。
斯くも教育、教えとは難しいものだ。気付けば単なる教練役の息を超えている点もあるのは、否めない。
商才については己はなくとも、どのように伸びるか。知り得る範囲での助言を求められるなどは、手伝えよう。
この先、不意に何かが湧いて起こっても不思議ではない。無用な恐れをそっと押しのけられる位には、なれれば。
口にした中身ごと、噴き出しかねない有様に、大丈夫か?と声をかける、
姉妹も色々。赫々たる処もそうではない処もある。だが、ひがみ続けるような要素は、きっとない筈だ。
……魔の王が振るうような鎚が主と定めた、己が弟子であるのだから。
「然り。若し、住むつもりもあれば空き部屋の奴も渡そう。……無くさぬように、な?」
そして、また一人。この屋敷の鍵、合い鍵を託す。トゥルネソルの子女でなくとも、身内と定めたものにこそ託す。
ちゃんと無くさないように、件の鞄に仕舞ってくれる様を見届けて、小さく頷こう。
■フィリ > 「はぃ。功罪ですし善し悪しなのです。肯定も否定も同じく、両方有って当然だと。思われ……まして。
実際私達が――…武器を、力を、売る者達が。こんな風に宣ぇるのは。直接戦のど真ん中ではなぃからこそ――なのでしょぅし。
とは、ぃぇっ、実際。えぇはぃ本当に、戦ぅとぃぅそれ自体。絶対に悪ぃ訳ではなぃのです、私はちゃんとそぅ、思っております、のでー…」
それこそ。国と国との戦争等であれば。必然的に被害も災禍も大きすぎて、良からぬ顔をする者ばかりになるのも必然だろう。
だから、少し考えを…というより、考えを主張する為の下地を変える事にした。
例えばもっとマクロな戦闘行為ならどうだろう。強者と強者の競い合いだとか。魔物から人を守るだとか。
それ等の為にだってちゃんと。匠が武器を作る。商人がそれを流通させる。そして――力有る者が振るう。
使われ続け振るわれ続け、その度洗練されていく技術や製法も、紛れもなく少女の言いたい事に当て嵌まる筈。
――彼のような者達の存在も、また同じくと。付け足すべきかどうかは…少し考えて。今はやめておくのだが。
「…それ、なら。それなら 良ぃのです、がー。 ……こほん。
ムササビとかモモンガとか、どちらかとぃぃますと、夜行性のイメージも御座ぃますし――少なくとも、一般的には。
見掛け易ぃ、見掛けても違和感がなぃ、は。確かに栗鼠の方なのではと。
……そ、それはそれで。それはそれでっ。役割分担と思われるのです、何より夜の方が忍のイメージが強っ…ぁぁぇぇ、もぅっ。
だからと言ってヒテン様に違和感が有るとぃぅのではー…ちょっと、どぅして、此方を立てると此方が立たなくなるのですか、と――っ」
覗かれるやら剥かれるやら。なまじ妄想過多な分、ついイメージもしてしまったのだろう…
目の前の異性に、そんな事をされるかもしれない、等と顔に出しそうになる辺り。何やらのハラスメント扱いされかねないのだが。
何はともあれ良からぬ妄想が長続きせず、頭の中から追い出されたのは。
野生の小動物に準えて考えたのなら、夜の空を翔るにはモモンガの方が似合いそうだ…等としたり顔で述べてみたものの。
それはそれでシマリスの方が、ぷぃーとそっぽを向いてみせたせいである。
小動物の齧歯類、だがこちらにとっては完全に大先輩。どうにか機嫌を直して貰おうと、お土産の個包装を剥いて差し出したり、てんやわんや。
最終的には後発含めた三匹纏めて、少女の膝上に置かれた皿の周りへ移動して。追加のナッツ類を頬袋へ詰め込む行為に勤しむらしく。
小さいとはいえ三匹分の重量を載っけた両膝を。ぷるぷると震わす事になるのだった。
格好の善し悪し――についてまでは。お陰で頭の中から押し出され、悩まずに済むというか、悩む暇も失せてくれそうである。
実際お洒落に意気込んで通うより。遠出の為に装備を選んで集う場所なのだろうから。
或いはそれこそ彼の言うように。日常的な運動の拠点としてであれば。今のような格好こそ相応しい訳で。
「ぅぅ、ん。流石に全部をジョギングはー…む、む、む。
そぅぃぇば小耳に挟んだのですが。忍とぃぅのは、長ぃ距離を移動するのに…そぅ、ヒキャクだったでしょぅか。
そのよぅに情報等国元に持ち帰るべく、少しでも早く少しでも長く、歩ぃたり走ったりを続けるバランスを存じてぉられる…とか?
……まぁ。貼り合ぅ訳では、と言ぃますか。実際張り合ぇるとも思ぃません――生き方は、適材適所なのでして。
ですので意識するとしましたら、まぁ、案の定私達……育ったり伸びたりが。それこそ、バランス悪ぃのではと。なのですはぃ」
何処で聞いてきたのやら、だが。実際忍の役目というのは、必ずしも敵地に忍び込む事、密かに命を奪う事、等だけでなく。
これ等によって得た情報を持ち帰る事や、疑われず市井に溶け込む事…といった昼間の部分も大きい筈。
そんな中で確か、何たら街道を日にどれだけ移動しただとか。お陰でとある武将が、大返しだかどんでん返しだかでその時歴史が動いただとか。
相変わらず出所あやふやだが漠然とした、忍びという物に関する情報だけは。着々と蒐集しつつあるらしい。
…弁えている、というのも確かだが。此処はもう生物学的な必然と言っても良い。
同じ血を引く姉妹達とはいえ、それぞれ片親が違うというのなら、種族としての差が出てくるのは必然だ。
特に普通の人間の因子が目立つ自分なので、直近の姉達のような力は無く、だから別の所で…出来る事とやりたい事とで、生きていく。
だからこそ今はこうして、遺物や博物目当てで冒険にも出たいと思うし、先日の山中の如く、新規商売についても頭を巡らせているのだった。
――その癖。人それぞれ、みんな違ってみんな良い、と。頭で解っていても心の納得出来ないのが、実年齢と完全に乖離した見た目の問題であるらしいのだが。
正直あの双子の、特に魔法寄りの方を見たら。誰だってそう思うに決まっているではないか。…あれは破壊的だ。ヒトを超越した兵器その物だ。間違い無く。
「はぃ―― …流石に。其処までさせてぃただくのも、とぃぅか私がぇぇっと…枕を変ぇるの、なかなか難しそぅなのですが。
ですがですが、その、もし宜しければ。…私にも笠木様のよぅに――繋がって、移動出来る、部屋を。小さくて良ぃので使わせてぃただければと――」
今の処少女の鞄は。あくまで収納するだけの空間である。彼の背嚢のように出口は存在しないから、流石にキャパシティとして及ばない。
…だから、もし部屋を使わせて貰えるのなら。彼の倉庫と同じように出来ないか、と。
この少女の中で一番竜らしい部分である、蒐集癖。寝床イコール宿泊場所よりコレクションの保管場所。
…どうやら、所謂ドラゴンの宝物庫が。屋敷の中に作られそうである。
■影時 > 「忍びも、そうだな。必要が生んだ戦の申し子のひとつと云えなくもない。
全く……その力と技を抱え、我欲に奮う俺がその手の話題を語る、というのも笑い話にもならんが
とは言え、トゥルネソル商会は武器のみを商う訳じゃあるまい。
戦いは、血が流れずとも、是が非もなくどんな物事にも起こりうる。
フィリが云うように、ただ忌避されるべきものじゃあない。
確か、……平和を欲するなら備えよ、だったか?その金言を常々頭の片隅に置いとくといい」
戦いと記せば矢張り一番印象深くなるのは、国家間、種族間等と云った大きな枠組み、縄張り的な争いか。
だが、それだけではない。それらが全てではない。故に少女の思考の転換は正しい。
小競り合い、行商を襲う野盗や魔物を退ける戦い、商人同士の矢玉の代わりに金銭が飛び交う競り合い。
時に、国を傾けるような経済戦争とも云うべき概念の争いだって、起こり得ない保証はない。
猛きものもいつかは滅ぶ――奢らぬようにするにも、備える、強くなるべき。改めて古人の格言を思う。嫌いではない言葉だ。
「下手に遣ると、全力で噛まれるからなぁ――痛いンだよな、マジに。
モモンガは、云われてみりゃ確かに、か。……平気な顔でうろついてンだがな、お前。
っ、は。いやはや、全く。思わぬ八方塞がりの問題だったか。
だが、ヒテン、スクナ。クロジロウにはお前らにゃ気乗りし難い、この館の留守居役を任せてる。
暫くは食い物多めにしてやるから、な? ……クロジロウが出かける時は、先達としてよろしく頼むぞ」
己が流儀、ポリシーと仰々しく書くと、余りに仕様もないことこの上ない。
とは言え式紙の耳目を借り、その口を介して語らうのは、間違いない。急用、重要時にのみ。そんなことがないことを願いたい。
館のお守りをするとなると、滑空がウリのモモンガよりも機敏なシマリスの方が、というのは式紙の再利用の点でもあった。
毛玉達の生態といえばという言葉に、内心で手を叩き、ご機嫌ちょっと斜めなモモンガを見る。
こてんと首を傾げ、たしたしと尻尾で卓を叩くさまは、……今更気づいたでやんすか、と云わんばかりかもしれない。
その一方で、少女の言葉に白法被の先輩シマリスがぷいー、としてくる色々塞がりな有様。
……今しばらくは食事を多めにしよう。その分は、彼らも運動して欲しいが。
三匹一様に尻尾を躍らせ、少女の膝上に集合しては、もしゃもしゃと詰め込む作業は――前祝いなのだろう。恐らく。
「走る、は兎も角、歩くは実際万事に通じる運動だ。癖をつけて悪いことじゃあない。
……確かに、千里を走る、突っ走る位はあるな。下手に馬を探すよりは走る方が手っ取り早い、ってのも、だ。
ふぅ、む。……分かった。煽ったり焦らせたりする心算はそもそも、ない。先ずは今まで通りに、行くか」
ヒキコもりのような少女を少しでもアクティブに出来ているだけでも、日々のアレコレの賜物だ。
より運動的に、活動的に――という点は考えない。そもそも考慮の範囲外といってもいい。
とはいえ、歩く習慣、時折走る習慣ばかりは、癖を付けさせても良いのではないか。
己のように走るを極める、超人の如く成るまでとは言わない。腕組みして肩も揺らさず、無限に走れてナンボ――とは言い過ぎだが。
だから、先ずは今まで通り。基礎を絶やさず、崩さず。気侭に遠出と模索。それが良い。危なげない。
……超絶は良くも悪くも人目を引く。故に恐ろしくもある。
超力に心法が伴って釣り合うとするなら、後者があやふやなままでは、どうなるか。――心配になる。
「はは、さもありなん、だ。……ふむ? 良いだろう。面白そうだ。じゃぁ、もう少ししたら、二階に上がるか。
すでに埋まってる部屋はあるが、それ以外ならフィリが気に入った部屋を、遠慮なく先取りできるぞぅ」
寝床の、枕の問題は、確かに。からりと楽しげに笑い声を零し、続く言葉に少し考える。
断る理由は、特にない。先ずは部屋の位置でも確かめて、お気に召した処が定まれば部屋の鍵も託そう。
ポットの中の茶は、少し濃くなったかもしれないがまだ残っている。
三匹の詰め込みが落ち着いた、腹が満ちてぽてんと卓やソファで転がり出したのを見計らったら、立つとしよう。
――きっとあっというまに。ドラゴンのお宝部屋、出張版的なものが、出来そうだ。