2026/01/15 のログ
■影時 > 結局のところ、敵――が居ると仮定した際、その狙いがいまいち掴めない。
“何故?”という疑問に客観的にこう、と読みうる、判断しうる材料が揃っていない。
その上で今の己の現状、身分、肩書を踏まえよう。
兵法者、武芸者、冒険者、盗賊ギルド構成員――以前に、れっきとした表向きとしては、武術指南役という家庭教師という肩書が勝る。
その後に王立コクマー・ラジエル学院の教師の籍が来る。名乗り易い社会的な立ち位置とも云える。
今の現状は、却ってそれが足枷、縛りにもなりうる。
想定するものたちが何処まで、この国における自分、自分達の情報を知悉しているかどうかは、判断し難い。
雇い主たちから漏れる、ということはあるまい。諸々の特異性を踏まえると、考慮すべき材料としては除外しても良いだろう。
洩れうるとするならば、それ以外。学院に開示している、登録している情報、冒険者ギルドでの実績含む登録情報。
それらを正規、不正規両面で閲覧可能である者としたならば、……否、そんなものが名も知れず、悟られずして裏社会で動けるものか。
――想定すればするほど、気が重くなる。
己が仕出かし、采配を誤った際、飛び火することが起こればさて――その始末、己が命一つで果たして済みうるや否や。
逆に想定するなら、それだけのことを為し得るものが秘匿するものとは、翻って色々と大事になりうるだろうが、はてさて。
「…………全く、いかんな。思った以上に、響いてンなぁ」
酒がまずい、と思えるのはいよいよ相当か。こけてきた風情もある頬や顎の無精髭を摩り、肩を竦める。
この時期、私邸の暖炉の傍で丸くなる毛玉達から、気づかわしげにぺちぺちされたりする時点で、想像以上に響いているやもしれない。
縛りを抱えるのは鈍ったようでもあり、捨てがたい、無碍にできない縁を大事にしている証左ではあろう。
とは言え。とは言え、だ。差し方を考えるべきだろう。同時に待ちに徹するしかないこともまた、ある。
己が生死にも関わり得るとも思えば、気も重くなるが、其れしかないのならば、そうせざるもえないのだろう。
酒飲みが酒がまずいと思える有様は、どうにもよくない。
そう思いつつ、深酒に掛かる前に切り上げよう。
先に帰ったもの含むお代を卓に置き、羽織袴姿は鞘篭めの刀を手に、ゆるりと雑踏に踏み出し――。
ご案内:「酒場」から影時さんが去りました。