2025/12/07 のログ
影時 > 「なら、ちと夕飯の量は調整しといた方が……否、余計なお世話か。

 根っから、という表現が正しいのかは、どうだろうな。正しいのかどうなのか、今もまだ定め辛い。
 ……そうあれ、それが正しいと刷り込まれながら、ガキの頃を過ごしたものでな。
 
 褒めてくれているのは有り難いが。囮も盾も生き延びる、若しくは確実に敵を屠れる手管があってのこそ、だ。忘れンな」
 
人道、というよりは他の目線、視線を得られるようになったのは……どういうところ位だったろうか。
切っ掛けは色々あろう。だが間違いなく任務ならぬ忍務により、人に交わる、関わる処からだったろう。
最終的には今の身体となり、色々あって里を出奔した、抜けるに至ったことで今の自我、流儀が固まったと。そう考える。
命令があれば、と聞けば。そう云うならば、敏い弟子ならば分かるだろう。

同時に釘差しもしておくことも抜かりない。
生き延びる、または己が身を捨ててでも敵を確殺する。前者はまだしも後者は、猛者ばかりのこの国では難しいかもしれないが。

「ああ、俺としてもそうしておいてくれると有難い。
 悪い例なら盗品の売買以外なら、余程のことがない限りは商会でも扱いかねるようなものは無かろうよ。
 
 なーに、承服しかねるものだったら、今のような生活もそれ以前のことも無かったろう。
 ――……森一つ喰らうような勢いの野生だったからなァ、昔のラファルは。
 だが、な。何かのきっかけでタガが外れかねない、踏み外しかねないのが、人であり、竜もまた然りであろうよ」
 
この俺とて例外じゃない……と。肝に銘じるように心中で嘯く。
人と。人と同じかそれ以上の知性あるものは、抱く心の精緻なまでの複雑さ故に、何かのきっかけで狂いかねない。
世の中に絶対はないのだ。暴走し出す際の掣肘、制止の役が要る。其れも含めての教導である。
忍術も限らず、どのようなチカラも悪く使おうと思えば、易く世を乱せる。
大儀じみた務めを宣うにしても、きっと一番弟子についてはそれよりももっと、注力すべきことがある。言葉にするまでもないものが。

「可愛いだろう。……うむ、可愛いじゃあないかね。
 ……なンだね、大事に想っている心境を述べたつもりだったが、中々どうしてむつかしいもんだなぁ。
 篝よ。そういう嬉しいの欠片という奴は、存外に言葉にし難いものよ。
 少なくとも、まずは間違いなく、健やかに在り、魔道に迷わず生きていてくれるなら、云うことなしだ。
 
 ――極論、国が滅んでも価値を失わないものが、蓄財の対象になる。覚えとくといい。
 宝物庫に金銀財宝を唸らせる絵面は嗤っちまうが、金の有難みを噛み締めると嗤えなくなっちまうぞ」
 
改めて口にする。かわいいと再度声に出す。見える仕草はヒトにないものを持つものらしく、可愛らしいものだ。
その有様は見た目通りの年頃と見えて、和む。その一方で抱く思い、願いとは難しいものだ。
どうも今の弟子は、兎に角己から何か証、言質めいたものを、己が存在価値として得たいと思っている節も見える。
“使う”“使える”ばかりが全てではあるまいに。育ち方を恨み、悔やみ等するにしても、今更過ぎる。
一先ずは、金言というには大仰でも、よくよく蓄財の対象の定義を命じておくとして。
 
「ははは、性分だからなァ。何より、閃いたのなら見たくなるのは自然の道理という奴よ。
 ……少なくとも、今も警戒、注意を抜けない。抜く理由に欠ける。
 この館に移ったのは、他所に飛び火させねェためでもあり、少しでも守りにも堅い場を求めた結果でもある」
 
いつまで警戒を続けるのか――さて、どうであるか。敵が全て消えるか和議を結ぶか。
この辺りの心理、考え方は忍びの道理、並びに仕えてきた、見てきた大名たちの動き等でも参考にしよう。
何せ、だ。続く弟子の言葉が、否応なく警戒の継続を己に促してくる。
何か言いたげな。そんな気配を前置きの如く感じつつ、察しつつ、乱れた髪を叩く手の心地良さを束の間煮えて。

「……それは、俺以上に篝。お前さんの親父殿の方こそが何倍も申し伝えたいことがあろうがなあ。
 かと言ってお前さんに何度も血を流させるのは、……――ほう?」
 
嘘、ではあるまい。元より嘘が下手なのは、己にも相通じると思うが故に嗤えないが。
いつぞやの降霊の際、実父殿により深く切り込んで尋ねるべきであったか。今、この瞬間で素直に悔やむ。
内心の悔やみを増すように、言葉が続く。誰が。どのように。如何にして。伝手をつけたか。

「…………続けろ」

顔を付したまま。突っ伏させたまま。声を放つ。その響きは奇妙な反響を以って弟子の背後から聞こえるだろう。
感情が籠らぬ飼い主の声に、窓辺の毛玉達がびびく、と震える。
ちょいと心配げに見遣れば、ぴょいと飛び降りて、飼い主の寝床にも近い辺りに置かれた巣箱に隠れて。

> 師がどのような幼少時代を経て青年、壮年へと至ったか、その詳しい所まではまだ聞いたことは無い。
だが、若かりし頃の忍として極まった今の話から察するところ、相応に厳しく昏い所も多い中で育って来たのだろう。
仲間や親しい仲の者もいたかもしれないが、件の化物退治でそれも失われ……。

否。あまり深く探るのも、想像だけで判断するのもいけないことだ。余計な先入観が生まれる。
目の前にいる師だけを見る。今はそれだけで良い。

さりげなく釘を刺されたと気付いているが、その忠告が身に染みているか怪しい。
澄まし顔で沈黙の中頷いて返しつつも、耳は他所へ向いてしまっていた。
囮は前に一度やったし、新しい術を使えば盾にもなれる。ちゃんと出来る。
そう考えているのが、ありありと見て取れるかもしれない。

「はい、先生。遺跡の掘り出し物で良い鑑定結果……例えば、珍しい刀とか出たら、先生にも報告します。
 ……う? 森……は、単位間違ってる……。間違って、無い……? ぅー、う? ん、と……はぃ……」

小さな幼女の姿からは想像できない単位が出てきて、聞き間違いかと耳を疑ったが、どうも間違いではないらしい。
何度か頭を傾けた後、とりあえず頷いておいた。
齢十歳でも竜は竜。かの幼女の食欲旺盛さは食事の席でいつも見せつけられている。
大げさな表現とも言い切れないのが恐ろしい所であった。
人が、竜が、どのようにして狂うのか。それをこの目で見ないで済むように願おう。

「……先生に褒められるのは、嬉しい……。けど、恥ずかしい……。むぅ……っ、ん。
 大事に思われるのも、う……れしぃ、です……。ぁー、うぅー……。
 先生の言葉が何処まで本気で、何処からが冗談か、私には判断が難しい……ので、冗談の時は冗談だと言って頂けると助かります。

 ――……は、はぁ……。健やか、あと魔道に墜ちない……こと。承知しました。
 なんだか、先生……今のは親では無くもっと年上の言葉……のように聞こえる。

 ん。今後も笑っていられるように、肝に銘じます」

どれだけ澄まして見せようとも隠しきれない正直者な耳と尾のせいで、羞恥は煽られ僅かに頬に色が乗り始めようとしていた。
それを隠して俯き、ふるふると歓喜して震える尾の先を荒く手櫛で梳いて誤魔化して。
和んで見守るような視線にいたたまれず、心ここにあらずな浮ついた返事を返しながら、つい、思ったことを口にする。
誤魔化し言葉を濁してはいるが、要は爺くさいと言っているようなものだ。

使う、使える。役立つ。有用。優良。褒め言葉としてよく聞いた言葉を師に求めているのは事実。
駒として生きて、人らしく生まれ直してまだ日は浅く、()の望みに応えようと動いている節は大いにある。
しかし、一様にそればかりが理由という訳でもなく――。

「……そうですね。あのまま宿にいれば、また何かしらのトラブルで周囲の迷惑になりかねません。
 先生の引っ越しの判断は的確なタイミングでした。……ありがとうございます、影時先生」

見えていた地雷(任務にしくじった暗殺者)を拾い上げた時点で、トラブルに見舞われることは想定していただろうとはいえ、労わらない理由にはならない。
その嘆きの原因が“弟子の暗殺者志望を如何にして思い直させるか”であったとしても、だ。
ぽん、ぽんっと硬い黒髪に軽く振れてあやしつつ、父のことを持ち出して訴えかける声から視線を逸らす。

視線を逸らした理由は、低く反響した男の声を背で感じ、ぶわりっ、尾が逆立ったからでもある。

「――……っ、…………。
 数日前、冒険者ギルドで知人に会いました。以前、暗殺者ギルドについて教えてくれた人です。
 そして、その人から暗殺者ギルドの、“挑戦権”なる手紙を頂きました。

 ……恐らく、あの聖騎士が言っていた、情報漏洩と暗殺者未満が起こした襲撃の詫びが此れなのだと思います」

言葉に詰まりながら、ゆっくりと深呼吸を二度繰り返し、事の経緯についてを語る。
途中で言葉を止めると、腰に下げた鞄から一つの封筒を取り出し、其れを机の上へ。

「知人曰く、これは暗殺者ギルドに入るに相応しいか否かを見定める試験。
 特に、私のように後ろ暗い実績を……表上で、まだ上げていない者は、難しい暗殺を課されると。
 この手紙には暗殺対象の名前が記されている。
 封を開けて、手紙を燃やせば受託とみなし、決められた日数を迎えるまでに一人で対象を暗殺しなければなりません。
 手紙を破れば無効となり、効力は消える。私以外の者が手紙を燃やすと、その者は死ぬとも。
 ……まだ封は開けていません。ですが、中に書かれている名は見当がついています」

赤い封筒は蜜蝋で閉じられ、まだ開いた痕は無い。
娘は緊張した面持ちで机に伏せたままの師を見下ろし静かに返答を待つ。
あの二匹のように巣、もとい部屋のベッドに逃げ込みたい衝動はあるが、そう言うわけにもいかないのだ。

影時 > 忍びを名乗ることの許しは、一応した。だが、それは過去の己と同じではない。
忍びの技能を持ち、十全に振るえるものとしての許しだ。第一、この国で己と同じ過去を繰り返すのは、望まない。
一から忍者を育てることはできる。己にやられたようにやるなら、遣れるだろう。死者も出る前提で、だが。
そんなものがさて、この国で流行るかどうか。
気乗りはしない上で向け遣る忠告に見える仕草は、……

(……ともすれば、まーたやらかしかねンな……)

聞いているか否か。半々の確率から否の方角に踏み込んでいそう――といった具合か。
まだまだ教えが甘いのか。やり方が温いのか。教導(おしえ)とは全く、難しい。

「嗚呼、其れなら俺も興味があるな。是非見せてくれ。
 ……いいや、間違いじゃァなかったぞ。ばり、ぼりと、な。初めて会った時は百本位は樹をばりぼりやってたように思う」
 
弟子は弟子であり、それ以前に竜である。竜が忍者の如きワザを振るうという特段の変わり種。
その素はやはり超常の、未だ計り知れぬイキモノである。共にする食卓で満ち足りてくれていると良いが、と思う程に。

「おいおい、そりゃ無茶な相談だな。あれやこれやと戯れた後に、冗談だ、ってぇのは……どうにも締まらんぞう。
 まあ、諦め半分で聞いとくといい。どうせ今後も云うのは我ながら疑いない。
 
 歳もそういや聞いてなかったが――年上にもなろうなあ。否応もなく。
 死人は、歳を重ねん。もしかするとタメであっても、いずれ疑いなく年上にもなっちまう。
 
 どまぁ、情の通った人の子の親なら、きっとそう願うさ。きっと、な」
 
ミレーの境遇は知っていても、だ。人にはない部位に否応に出る処ばかりは、眺める側には全く得だ。
感情の動きを、心の動きを隠しきれない有様は全く、愛らしい。
誤魔化しの仕草に目尻を下げて笑っていれば、爺臭さばかりはもう否定し難い。全く、ジジィと呼ばれるのも已む無しである。
それでも、だ。いざという時に捨て駒に、矢除けにするために拾ったわけではない。その命を惜しんだからこそ。

「礼には及ばねェとも。とはいえ、とはいえ、だ。心を緩ませることを全く、許してくれないのは嗤える限りだ」

面倒、厄介を覚悟して拾ったつもりだが、こうも波及する、転がるとまでは思っても居なかった。
命令だとごり押せば一旦は収まっても、また湧き上がるかもと思えば、解決とは言い難い。
如何にすれば翻意に至るやら。突っ伏したまま、ちらと上目にあやすように触れてゆく様を見遣りつつ――声を出す。
氣を使った技でもない。氣を使うまでもない。突っ伏したまま出す声は、娘の上から、横から響いて。

「……篝よ。暗殺者ギルドへの挑戦権の授与とやらが、“詫び”と思える手合いは相当に能天気に見得るぞ。
 篝。いいか。面倒でも、今口にしたことを改めて考えてみよ。
 この吾が、この俺が、普通を語るのも笑い種だが、まっこと胡乱が過ぎる。舐め腐っている話だぞこれは」
 
日差しが差し込み、温かい筈の書斎が。急に冷たくなったように思うかもしれない。それ程に言葉に感情がない。
娘の志望、進路は、さておき。それを汲んだうえで、挑戦権とやらを斡旋できる、騎士?
清濁併せ吞むのが貴族、高貴な者等の在り方、だとしても、必要悪、日陰者、表を歩けぬ者等々の道を示せるのは、疑念が疑念を呼ぶ。

「ほう。燃やして死ぬのは、誰だ?篝か?標的か?差出人か? 篝ではないなら、嗤ってそうしたい処よ。
 
 ……続けろ。――続けよ。
 
 今の俺に希いたい処でもあるなら、最後まで聞いてやろう」
 
突っ伏したまま。否、顎を天板に乗せ、糸で引っ張られるような動きで音もなく上体を起こす。
そうして見遣る。炯々と輝く暗赤の双眸が。娘の心の奥を貫くように見る。
冷ややかすらある声音は、毛玉も耳を伏せて巣箱に蓄えた藁や枯草に頭を突っ込む程に乾いている。

> 武器、とりわけ刀と聞けば師の興味を引くこと請け合い。その予想の通りの返事を聞いて、当然と頷き返す。
姉弟子の食に関する擬音が、もぐもぐとか可愛らしい音でないのは、骨ごと美味しくバリボリ肉を食べていた音を聞いていなければ半信半疑だったことだろう。
今は違和感なく、あの愛らしい白い健康な歯で豪快に森一つ食べる姿も想像できなくはないのが恐ろしい限りだ。
規格外なのはあの隠密能力、身のこなしの他に食欲もそっと足しておくことにしよう。

「……んと、それは、冗談を言わなければ宜しいのではないでしょうか?
 今のお言葉で先生が悪戯(あそび)を好んでいるのは理解しましたので、今後は本気に捉えない事にします。
 
 歳? 誰の……父上の、ですか? ……私も、知らないです……ね。
 そこまで、長生きが出来るかあまり自信は無いのですが、健やかに……過ごせば、そうなれるかもしれません。
 ……はい。同意します。真っ当な人間の親なら、きっと」

落ち着きのなかった尾と耳だが、やがて冷静になり、また揶揄われたのだと気付いた今は耳は反ってしまっていた。
やはり、表情に乏しい顔とは違って、ありありと感情を表す獣の特徴であった。
年齢を尋ねられれば一度首を傾げ、少し記憶を辿ってみるが聞いた覚えが無いことに思い至り。
あの夜、彼岸の焔が揺れる山中に現れた娘の父の亡霊は、どれだけ見積もっても三十半ばに届かない、三十路に入るかどうかと言う働き盛りの姿をしていた。
つくづく命を燃やし生きる一族らしい享年の若さとも言える。

物として扱わる奴隷から転じて、主の命に従う駒の一つ暗殺者として生き、今は人であれと望まれ生まれ直した猫である。
猫の魂は9つなどと言うお伽話もあるが、ようやっと人になったのだから平和に生きるべきなのだろう。
だが、本人は暗殺者志望と来て、更に知らぬ内に厄介ごとを持ち帰ってくる始末。
師が呆れてしまうのも仕方がないと自覚はあった。

――あったが、厄介な拾い物だと笑った後の重苦しい空気までは予想していなかった。
叱られる気はしていたが、ここまでになるとは。シュレーゲル邸に火を放った時でも、ここまでの威圧はされなかった。
何が其処まで師の機嫌を損ねてしまったのか理解できないまま、狼狽えて何度か口を開けるも空気を食むばかりで言葉が出ず。

「……っ、……、も、申し訳、ありません…………。
 でも、詫びを寄こすと……言われたので……。嘘……だったのでしょうか?
 罠……に、私をかける理由が思い当たらないので、違う……と、思ったのですが……。

 そ、そんなに……変な話、なのですか……?」

びりびりと響く低い声に怯え切った尾が毛を逆立てたまま腹につき、それを隠す余裕もない娘はしどろもどろになりながら小さくなるばかり。
そのまま顔を上げずに俯き続けてしまえば、圧に追いやられてその場に平伏してしまいそうであった。
否、実際に平伏とまではいかずとも、片膝をついて頭を下げてしまっていた。

静かに体を起こす気配を感じても、顔を伏せたまま師の一挙手一投足に心がざわつき平常心ではいられない。

「わ、私以外が燃やせば、燃やした者が……死ぬとっ。だ、だから……あの、気を付けて……って。
 私は……、わたし……は……」

口を噤み、罰を望めと怯える本能が頭の中で警笛を鳴らす。
今ならまだ鞭打ちだけで済むかもしれない。多くを望めば捨てられるぞと、脅しをかける。
師は主とは違うと頭では理解していても、それを否定しきれずに、迷い沈黙が重く書斎を満たしていく。

そうして、不安に圧し潰されそうな震えた声を、どうにか絞り出し伝えた。

「――私、は……暗殺者に、戻りたい……です。
 でも、先生の言いつけを守っていたら、ギルドから誘いがかかることは……きっともう、無い。
 だから挑めるな挑みたい気持ちはある。私では到底勝てない相手だとしても、命を賭してでも……。

 でも……。でも、影時先生とも、一緒にいたい……。
 ギルドに入ったら……先生の迷惑になる……疫病神って、役に立たないって……嫌われたくない。捨てられたくない。

 ごめんなさいっ、先生。……どうして良いか、わからない……です……っ」

暗殺者として生きたいと言う望みと、このまま師の下で生きたいと願う感情の板挟みに悩み、答えを出せず縮こまって背を丸める。
どちらを選んでも後悔する未来が待つのだ。選ぶことに怯えて、娘はまた選択を放棄しようとしていた。
命令されることに期待すらしてしまっている現状を、師がどう思うかまで考えるだけの余裕も無かった。

影時 > 【次回継続にて】
ご案内:「富裕地区/私邸」からさんが去りました。
ご案内:「富裕地区/私邸」から影時さんが去りました。