2025/11/16 のログ
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」にエレイさんが現れました。
エレイ > ──温泉旅籠内の、主に宿泊客向けに用意されたサービスの一つが、このマッサージ室である。

その施術室はいくつかの個室に分かれており、客は専用のカウンターで受付を済ませた後、各個室で待機しているスタッフと
一対一でマッサージを受けることになる。

なお、客にどのような施術を行うかは、スタッフの判断にすべて委ねる、というあたりはこの旅籠らしいといった所。
ついでに、各個室内には客に安心感を与え、施術への抵抗感を知らず知らずのうちに薄れさせてゆく効果を持った、
ほのかな香りのアロマが炊かれていたりもする。効果がどれほど出るかはその客次第なのだが。

「──はーいお疲れチャン。また来てくれたまへ」

そんな中の一室から、満足げに出ていく宿泊客を笑顔で見送る、スタッフ用の作務衣姿の金髪の男が一人。
今日も今日とて知り合いからの依頼で、臨時のマッサージ師として仕事に精を出しているのだった。

「ふぃー……こういう普通のマッサージも悪くはないのだが、そろそろ一発エロマッサージでもしたいところであるなぁ」

個室内に戻り、施術用のベッド脇の椅子に腰掛けながらそんな詮無い独り言を漏らす。
今日は現状、立て続けに男の『標的』にならない客の来訪が続いたため、男はごく普通のマッサージ師として
仕事をこなすばかりであった。
男としてはそれもそれでやりがいを感じなくはないのだが、やはり役得の一つぐらいは欲しいところであった。

「まああそれも時の運というヤツなのだが……──おっとと一息つく暇もなさそうだったな」

ボヤキを続けようとしたところで、閉じたばかりのカーテンが開く。
各個室は廊下に面しているため、稀に受付を経ていない誰かも紛れ込むこともあるようだが、それはさておいて。
現れたのは男の『標的』になりうる客か、それとも……。

エレイ > ともかく、男は客を迎え入れ。カーテンは再び閉ざされて──
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にガルディさんが現れました。
ガルディ > 樽に突っ込んだ雑な武器スペース、数本を飾ったスペース。
その隣に鍛冶場があり、道具の散乱する大机が置かれる。
その奥にちょっとした湯浴み場所と寝床。
庭に井戸。
とある男の秘密基地、とでもいう店だ。

今日は女衒の仕事ではなく、半分趣味の鍛冶仕事。
趣味と言ってもそれなり以上に出来は良く、中級までの冒険者にはお値段以上。
駆け出しから下級冒険者にとっては、かなりの掘り出し物という具合。

利率は半ば度外視でそんな値段設定になっているのは、趣味と実益をかねて。
ベテランの冒険者よりも駆け出しの冒険者の方が色々と『商品』価値が高いということだ。

勿論、冒険者以外に本業絡みの人間やらも顔を出しにやってくることもある。

今しがた出来上がった剣の出来を眺め、滴る汗をタオルで拭って。

――さて、本日の来客は。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」に枢樹雨さんが現れました。
枢樹雨 > それは偶然。
賑わいを見せる大通りを通り抜け、温かな陽光を受けながらの気儘な散歩を楽しんでいた時のこと。
ふと目に留まった見覚えのある建物。
自然と其処へ歩みが向いたのは、その場に悪い記憶がないが故。

カラ、コロ――。

白木の下駄が石造りの道を歩く、軽やかな音。
それが扉の前で止まり、数秒。
長い前髪の隙間から覗く仄暗い蒼の双眸が、閉じられた扉をじぃ…と見つめる。
扉の奥の気配を探るように、はたまたどうすべきか迷うかのように。

そうして更に数秒後、持ち上げた左手で扉を開ける妖怪。
右腕には林檎が数個と焼き菓子の入った紙袋を抱えている。
動けばガサ…と鳴る、簡素な紙袋。
扉を開ける音に、紙袋の音が重なり。

「………ガルディ。」

名を呼んだのは、貴方を見つけたからか。それとも見つけられなかったからか。
控えめに扉開くまま、抑揚の薄い声が室内に落ちて。

ガルディ > 剣をとりあえずで拵えた鞘へ収めて机へ置く。
瓶から冷たい水を掬い、喉へと通して一息を吐き出す。

さてこの後は、軽く水を浴びてからもう一つの仕事場の通りへ繰り出そうか。
そもそもの熱気、出来上がりを見た火照りを放つにはちょうどいい。
くたびれてしまっていればそのまま眠りこけようと思っていたものの。
終わってみれば、起床直後よりも元気だった。

「――あ?あぁ、くるるか」

常なら店先に紛れ込んだ気配にはすぐ気づくのに。
まあ満足のできる仕上がりに思ったよりも集中していたようだ。
気付いたのは、呼びつけられてから。

グラス片手に振り向いて濡羽色を見つければ。
初対面のそれよりもだいぶぶっきらぼうに。
しかし顔面には笑みを浮かべ、知った名を呼び返す。

まだ内から浮かんでくる汗を、ぐい、と拭い。

「この間は運び屋助かったよ、どうしても街を離れられないタイミングだったんでね」

扉の向こうでは冬へ向かう風が吹いていても、鍛冶場の中は暑い。
被る白絹は取ってしまうといい。髪を掻き上げる仕草で促し。
軽い荷仕事への謝辞を述べ。
まさか顔を見せておいてご挨拶だけでもないだろう。
女の分のグラスを棚より引き出しながら奥へおいでと手招く。

枢樹雨 > 扉を開けてみれば、外の冷気が室内へと入り込む。
それと同時、室内に足踏み入れた妖怪の肌には熱気が届く。
魔導機械により温められた室内とは少し毛色の違う、暑さ。
数度瞬いた妖怪は、応えた貴方を視界に捉えた後、ゆるりと室内見渡して。

「…どういたしまして。荷運びなら、いつでも呼んで。」

ひょんな出会いから舞い込んだ依頼。
己が異能で足りる荷であれば、運ぶことに特段苦はない。
だからこそ平気と答えれば、室内を巡っていた視線が貴方へと戻る。

己とは違い、明確に浮かぶ笑み。
細められる碧眼と、汗濡れた金の髪。
見つめるままにもう一歩室内に入り込めば、自重に従い扉は閉じて。

「…鉄、打っていたの?」

それは気になっていたこと。
角隠す白絹を取り払い乍らに問いかければ、着物特有の小さな歩幅で貴方の傍へと歩みより。

ガルディ > 小さな歩幅がカラコロと近づいてくるのを、ゆったりと待つ。
グラスへ果実水を注ぎ、大きくひらけた襟を更にはためかせて水場の冷気を取り込み。
無防備に晒される角を見遣り、笑みに若干の色がつくのは隠せない。

「少しイイ材料で打ってくれって言うもんで、気づくのが遅れちゃって悪かったよ」

もしかしたら、槌を振るっている間から店先にいたのかもしれない。
呼びかけていたかもしれないし、待たせていたかもしれない。
汗だくの姿で迎えることと共に申し訳なさを声にのせて肩を竦め。

手の届く距離まで歩み寄られると、目に付く鬼角に手を伸ばす。
曲線をつるりと撫でて。許されるなら尖りに口づけまで落としたい。

「そういう、くるるは?」

その細腕にわざわざと抱えて見せびらかしてくれている、紙袋。
着の身着のままというか。無手でふらふらとしている印象の強い女。
用事を伺うよう、蒼の瞳を覗き込む。

枢樹雨 > 貴方に出会ったときよりも厚手の着物。足を覆う白足袋。
冬香る装いに部屋の温度は高く感じるも、貴方の様に汗かく程ではない。
外気に冷えた肌を、そもそも低い体温を、じんわりと温めていくくらいの温度。
それが鉄溶かす熱由来と推察すれば、妖怪の好奇はそこへと向かうが必然で。

「遅れてない。大丈夫。入って良いか、少し迷っていただけ。」

扉をノックしたわけでもなければ、呼び鈴の様なものを鳴らしたわけでもない。
だから貴方が気に病むほど、呼びかけと反応にラグがあったわけではない。
それを素直に伝えれば、伸ばされる手に自然と視線が向く。
その手は、手袋に覆われているだろうか。
角に触れればくすぐったいような感覚に少し顎を引く。
其処へ唇も触れるなら、感じる貴方の魔力に小さく肩を震わせ。

「っ―――、…散歩、してた。…ら、美味しそうなもの売ってたから。」

そっと零す吐息。
伏せ気味になった視線を改めて持ち上げ、貴方の碧眼を見つめれば、それが己の手元に向いていると気が付く。
右腕に抱える重み。それに己も視線落とせば、言葉を付け足して。

「ガルディも食べる?林檎と、フィナンシェと、マフィン。」

ガルディ > なんだか矢継ぎ早に紡がれた“大丈夫”の言葉たち。
そうかい、と肩を揺らして応え。
触れよう、とした手は一旦停止。
覆う手袋の中指を噛み、手を引っこ抜いて――角へ触れたのは素手。
右の腕に抱える袋がなければ、舌先まで覗かせていただろう。
女が何をしたわけでもない。ただ、今はそういう“火照った”タイミング。
触れるどちらも魔力が帯びていたのは必然。

「……それでわざわざ、ココへ?」

ちょっとした悪戯を終え。
誘いの言葉まで、ぱちぱちと瞼を瞬かせて耳を傾けた。
続く言葉も、付け足すほどに、また男の心を擽るものだ。
出会いの日から興味を示す炉の熱に誘われたでもなく。
美味そうなものをわざわざ買い付け、手元まで潜り込みにきたのかと。
未だ目の前の女のことを多く知るわけではないが。
野良猫かくやという女がそう言い放つのに。まあ、喜ばない男はいないだろうと思う。

見下ろす視線は手元から唇、そして蒼の瞳へ戻り。
僅かに首を傾げ見つめる口元は、悪戯な笑み。

「もちろん頂くよ。
 とりあえず、――閉めてくる」

用意してしまった果実水は、お茶には不向きか。
グッと自ら飲み干してしまおう。冷たさが胃袋へ落ちて、しかし一層熱が湧き上がるのを感じた。

ポン、と女の尻を叩いて椅子へ腰掛けるよう促して。
自身はその横を抜ける。
語らおうというのに横入りがあっては堪らない――表の看板を、裏返してしまおう。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からガルディさんが去りました。
枢樹雨 > [部屋移動にて]
ご案内:「王都マグメール 平民地区」から枢樹雨さんが去りました。