2025/11/10 のログ
ご案内:「王都狭間地区のどこか 」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
■メイラ・ダンタリオ >
真夜中の王都 狭間地区
冷え込みが強くなってきたと思う。
雨が降った後まだ霧が出てくる余裕があるものの、それでも厚い上着一枚では痩せの平民では寒いことだろう。
白い吐息が出ない代わりの、薄い霧漂う雨上がりの空。
メイラは、薄い霧の中、この冷え込みを心地よく受け止めていた。
先ほどまで、狭間地区のどこかにしけこんでいたのか。
酒を干した後と思われるアルコールの強さを感じる甘い香り
それを発散させるように体は火照りを持ち、それが外気で削られていく。
呑み出かける際に腰に差した二刀は、変わらず大小一刀ずつ。
先ほどまで“濃淡混じる白灰色の菱編み柄”と“紫の雁木巻”が左の腰から、伸びていた。
外套はなく長袖とコルセットガードによる黒の覆い
唯一の違う色は首から垂らす赤いタイ。
―――“ビシャッ”―――
右手に握る濃淡混じる白灰色の柄
厚みのある真円の鍔と先で伸びる反りがキツイ刀身
大して考えていることも無さげな顔は、頬の発熱を出した表情で赤い瞳が多重の輪を浮かべている。
振るい掃った、刀身に纏って滴っていた赤。
鍔元まで正に構え正せば柄の中まで血が入り込むのを嫌がるように、切っ先を下に向けるか
または掃うかをしてその刀身に残りがないのを見ている。
「全く、久しぶりに腰に差したからと、はしゃぎすぎですわよ。」
乙女の珠肌に弾かれた水のように血脂を剥し落とした刀身
道具に語り掛けるメイラの目じりは、だからお前が差しづらいのだと言いたげ。
イーヴィアの打った刀は傲慢に見えて実に仕事ができる。
対してお前は本当に自分勝手だ 自分で納得して自分で終わらせるだけだ。
足元の二つまとめて落とした躯にはまるで目を向けていない。
いや、逆に切れ味が良すぎたせいでまだ蟲の体を分かつばかりのように、体についた二本が動いている。
迷わず背骨事断つように、動きを止める逆手持ちの貫き。
肺だの臓だの生半可。
背骨の節目を落とした気儘な刀は、それで役目を終えたようにハンケチで拭われたことを喜ぶように
少しばかりの霧の中、鈍い存在感を放つ。
恨まれるも憎まれるも、ダンタリオのそれではあるけれど
ゆっくりと鞘に納める頃には、まだ遠出の余韻が残る子供のように
ィ―――ンッ と嬉しそうに伸びを見せる鍔鳴りを見せ、メイラに仕方のない奴と顔をほころばせさせる。
ご案内:「王都狭間地区のどこか 」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。