2025/09/22 のログ
■桃花 > 「何、自分は無害だと示すのだ
弱い者だと誇示しすぎるのは鬼の反発が大きいであろうから、村の周囲の妖異でも退治して
"力はあれど、実は腹が減ってしまい…"などとひょうきんなところも見せればよかろ
ただ、一所に居るのはこれも良くないだろう。色々な村を渡り歩く必要は……。ん…♪」
強いは強いが、食事を与えれば危害を加えられない、と第一印象を付ける
そうすれば、しばらくは食事にありつけるだろうという予想
ただ、これは人里とかかわりが薄い少女の考え、いわゆる物語的側面も持っている
うまくいくとは限らないが…奪う以外ならこういった手段が考えられる――
そんな、良く舌が回る話の途中でも、胸をたどたどしく愛撫されれば嬉しそうに体を揺らす
元々、交合に忌避感があるわけではない
いくらたどたどしくとも、そこに誠実さが含まれていれば嬉しくもなる
軽い吐息を漏らしつつも、お返しのお返しとばかりに逸物に刺激を加えていこう
「ん……。これは。
やはり、母君の術が無ければ、これだけでも危うかったかもしれんな…」
鈴口から滲み出た先走りを舌に乗せる
たったそれだけで、自分の呪詛返しが苛烈に反応していく
仙人だろうと真人だろうと、"女"という生物そのものを改竄し、鬼の良い様に加工、懐妊させるための代物だとはっきり理解していく
薄められてこれなのだから、かつての仙人を孕ませた鬼の精はそれは凶悪だったことだろう
一先ず気を付けるべきは先走り及び精液
どのように術を組むのが一番効率が良く、効果が高いかは…サンプルを更に得て検証していく必要があるだろう
殺精であれば恐らくは人よりも多量であろう精蟲に負けない強度が必要であるし
呪詛を食い破るのであれば同様に、精に含まれる呪詛の強さを正確に把握して対抗する必要がある
なんにしても、時間はある
修行以外にも生まれた"宿題"にわずかに顔をほころばせつつ
「んっ、ふふ。…嬉しいの。
――受け入れながらも、"人の身で受ける刺激"の方が好きだと…優位に立たせられれば…正気を失うことも抑制できるじゃろ
なに、儂の身体は丈夫じゃ。好きなだけ、揉むが良い――…、ん、ふぅ――…♡」
胸だけで絶頂できるほど、少女の体も開発されきっているわけではない
ただ、丈夫であるからこそ…強い刺激の方が届きやすいことは伝わるか
乳首を軽く圧し潰されれば、桃尻から腰にかけてが僅かに揺れて…少女もまた快感を感じることができている証拠を示しつつ
遂に、鼻息を吐きだしながら…少女の小さな口が男の逸物の先端を咥え込み
温かな口内の入り口と、ぬめる舌で精の糖蜜を強請るように刺激を加える
もちろん、子袋で受けなければ大丈夫という確信の元…口内で射精を受け止めてようとしている
■軍鬼 > 「……そうだな、桃花にはかなり本気で向かってそれで上をいかれた。
だから今こうして理性的に接することのできる下地が整っている。
弱い、と見せるのは抵抗があるのも確かだ。
桃花からもらった桃や助言もある内に、人里を見て回るのも良いか。」
人里を【見る】分には問題はないだろう。
鬼の眼は遠くを見通すことも出来る。それで人の交流などを見聞していく事から始める必要はありそうだ。
しかし、奪う以外の手段であればとこちらの目線に立って考えた事。
それを無碍に扱う事はしない。
真正面から受け止め、それを実行できるようにするにはどうすればいいのか。
それが物語的な物であっても、精神論であろうと。必死に。少女の言葉通りに反発心などをばねにして一つ一つ、トライアンドエラーで行くのも悪くはないだろう。
……エラーの規模が問題になるかもしれないが。
自分の精についてはそこまで真摯に向き合った事もない。
女という物を孕み袋にするための禍々しさ。大鬼の強大さを遺伝し得る要素を持っている。
もしも彼女が先ほどの戦闘で負けていれば。もしくは、理性を取り戻させるように騙りかけることが無ければ。
それはさぞ凄惨な事になっていた可能性がある。
シェンヤンの衣服を魅力的に盛り上げるもう一つの部位、尻の方に目を向けないのは、そちらに興味を持ってしまえば良くない影響が出る事を懸念しての物だった。
だから少女の乳首をカリカリと爪を立てるようにして甘く掻き、ぽよぽよむにゅむにゅと乳房を柔らかく揉み捏ね、お互いにお互いを刺激していく。
ただ、男の方は少女の柔らかさや帰ってきた反応。何よりこれまでの少女の言動で満たされている部分が大きく、指の動きはせいぜい人間で言えば経験不足の男の動き。
巧妙なものではなく、ただ感謝の意識と言葉の代わりに刺激を与えるための動かし方だった。
ただ、強い刺激の方が好みとわかると鬼の爪をもう少し伸ばして乳首の先に突き立て、くにぐにと乳首を爪でこね回しながら乳房へ埋没。
カリカリカリ♡と今度は高速で甘痛く乳首を掻く事で刺激を重ねて見せる。
「お―――おぉぉ。
桃花の口内が不思議な――。柔らかく、締め付けるのではなくて舌先が……お、う。喉の粘膜っていうのはこんなに――で、出す、ぞ!」
桃花への射精予告と共に、胸への愛撫が中断してしまう。
咄嗟に少女の頭を掴んで、自分の股に引き寄せてしまう。
この時だけは欲望に強く突き動か【された】のではなく、自分の意思で反射的に動いた結果だった。
喉の奥に、ぐにりと肉の砲台がぶつかり、それと共に
どっぶぅん!という糖蜜よりも粘度の高いそれがのどの粘膜に衝突し、弾けると飛沫が粘膜から胃袋に降りていく。
その精液の打ち上げ花火じみた射精は最初の一発からほんの僅か後。さらに肉棒が震えると、どぶどぶ❤と立て続けに精液が破裂し、少女の呪詛返しをさらに苛烈に攻めてくる。
呪詛がもし呪詛返しを貫通していれば、脳に近い粘膜だっただけに――鬼の精により脳髄まで支配を受ける可能性すらあった危険な代物。
今は残さず呪詛返しにより無力化されているとは思うが。
ただ、鬼の精にも不穏な部分がある。
最後の先走りの時と。射精の最後、残滓の精ではほんの少し呪詛返しの反応が異なっている。
まるで、少女の呪詛返しを学び、自らを変質させようとするかのような――進化を見せているとも受け止められる些細な変化。
■桃花 > 前向きになってくれるのは良い事であった
鬱屈し続けていれば、それこそ鬼の本能が強く出てきてしまうだろう
危ういバランスではあるが、受け入れ、そして試行していくこと
それこそが、根本からの対策になると少女は考えている
エラーに関しては。酷くなりそうであれば自分が拳骨を入れるか、あるいは山々に住む他の存在が誅するか、と考えている
世というのは、それほど狭量ではないとも考えているが故の多少の投げやり思考であった
語り掛けたのは、それこそ男が理がある戦い方を見せたが故
獣のようにひたすら襲い掛かられていれば、結局は酷い結末となったことだろう
要するに、運が良かった、といったところが…今回は、大きい
「ん…。ちゅ。――並の女であるなら、奉仕に集中できないところかもしれんなぁ…
んぐっ!?―――……っっっ!! ん、ぐ んぐ ――んぐ………、ん、ぐ――……♡」
軽口を叩きながら、悶える男の様を楽しんでいた
ただ、元々口内で受け止めるつもりであったとはいえ、いきなり引き寄せられては少し驚くも
一時呼吸を阻害された程度では、気功は切れることはなく
鼻から多少でも呼吸が通ればそれだけで気功の発動には事足りる
――細い喉でぶちまけられた呪詛精液は胃に滑り落ちて暴れまわる
同じ温かい場所とは言え、本来その役目を果たすべき場所ではないことに怒り狂っているのか
薄い腹に重さを感じながらも…自身の内に入っていくのなら話は早い
その呪いを弾きながら、"攻撃"の性質を事細かに取り入れていく
強度、精蟲の数、どういった術であれば妙に干渉せず鎮められるか、あるいは殺せるか
ただ跳ね返すだけでは得られない情報を体内から得ていく
もちろん、非常に危険な行為であることに間違いはない
本人も知らぬ効果があれば、意識した祓気功をも貫通していた可能性もある
とはいえ、今時点では…自分の抵抗力の方が強い状態であった
危うくなれば無力化し、あらゆる面から観察する
ただ、当然外から見れば…ただただ精を喉奥で受け止めているようにしか見えず
眼を閉じ、口を、喉を、舌を…もごもごと動かす姿は逸物を味わっている様
胃に入るのが丁度良いため…押し込められた格好から逃げようとしないのも…愛しい相手にする献身のような、扇情的光景であった
(―――…………――…なるほど、これが仙人でも対策できなかった、要因…か?)
それほど詳細に見ていけば
鬼の精にも変質が見られることには気づく
単一の術で対策して安心してはいけないことを心に刻み…
ようやく、じゅるるるるるる…♡ちゅぽっ、と音を立て、口内から逸物を引き抜けば
いくら無力化できているとはいえ…一時、体内に多量に呪詛を取り込んだ関係で少しの間軽微な影響を受け…頬がぽお、と染まっている
予防接種の後のような、ほんの一時的なもので…半刻もすれば問題なくなるだろう
「はぁ。…うむ…♡、十分じゃ。これをもとに、次に会うまでに対抗の術を編んでおこう
そしてまた蓬達の精を受け、効果を確かめる――…といった繰り返しかの」
こほん、と一つ咳ばらいをしてこれからのことを軽く話しつつ、身体を離し始める
サンプルも得たところであるし、ひとまずは一区切りといったところか
■軍鬼 > 今は呪詛の方が精蟲より強く影響を及ぼしている。
そのため呪詛が弱体化され矮小化された影響であっても少女の呪詛返しがそこまでの反応を示すなら。
お互いに運がよかったのかもしれない。鬼仙の方は命が助かったとも言える、運命の切り替え軸に辿り着けた幸運が強い。
前向きにもなろう。鬱屈した物を吐き出し、言葉を交わす。
理性あるものであればごく当たり前のことがこれまで出来なかったのだ。
それが出来た。小さいとはいえそれは成功と言っても良い。
最初の一歩は小さい成功から始めれば、悪い方向に進むことは少ない。
まして今回は少女という真人が舵を取ったのだから猶更だ。
最後の一滴までを余さず吐き出した。
呪詛精液が呪詛返しに丁寧に焼かれ、精蟲はそこが望んだ粘膜ではない無念からも死滅していく。
無力化されていくさなか、分解、腑分けしていく少女の観察眼。
呪詛の強度は弱体化されても少女の呪詛返しが強く反応する。
――もし青い戒めが無ければ呪詛の強度は跳ね上がり、粘膜を満たし、粘膜からの浸透は例え相手が人でなくとも。
破滅的な未来に突き進む事となる。
呪詛が浸透するための隙間を精蟲が粘膜に食い込み、僅かな隙間からウィルスが広がっていくように呪詛が体の隅々に行き渡る。
呪詛は鬼仙ではなく。封印されているはずの大鬼の意思による強度が強く、シェンヤンの仙人。真人であろうと。
例えそれが魔族の国にいる魔族であろうと。感染してしまえば解除が難しくなる自己進化型の呪詛ウィルスとでもいうべき物。
呪詛対策の障壁や呪詛返しに見せた精液の動きは、精蟲がまず呪詛返しに食らいつき、隙間を生み出そうとする動き。
もっとも、その活動も弱体化の影響を受けているために桃花の意識や気功で遮断できる物になっていた。
そのため。
今の段階で言えば殺精の対策を優先する事で呪詛返しの強度を維持し、強大な呪詛は呪詛返しの完全汚染を防ぐ意味で呪詛の逃し先を経路としてつくるのが今は一番効率がよく、危険性は低いだろうという物。
それと。ほんの僅かだが、鬼仙自体の気質にも左右される事が理解できよう。
陰鬱としていた時より。少なくとも【会話】などのクッションを挟み、前向きになった今はその精蟲の働きや呪詛が弱くなっていた。
性質として炎、雷といった熱に弱いのが精蟲。
呪詛は純粋に五行とは離れた陰に属する物。太陽や炎。雷など、光を生み出す物は効果的に干渉する事だろう。
総じて炎・雷。五行で言う火と金を用いて対策を編む方が効果的に思う。
「……おい?桃花?大丈夫か?」
呪詛にでも酔ったのか。
僅かにぽぅっ、としていた真人とはいえ少女に見える相手だ。乳房から手を離すと鬼の掌が。
柄にもなく無意識で少女の頭を撫でている。鬼の髪と同じ白い髪の毛の相手の頭部をいたわる様に。
その後の言動から悪影響は受けていなそうだと胸をなでおろす。
離れようとする相手の頭の上から手を離すと、十分に自分の中の性欲が解消されていることを確認する。
貪欲な、ただ暴れまわるだけの鬼は当面現れる事は無いだろう。
「俺としては助かるんだが、なぁ。
桃花も無理はするなよ。合一を成した後で見返す相手がいないのは――。
あぁ、そうか。これが寂しいという感情か。寂しいもんだ。」
くつり、と喉を震わせる。感情などという物に思いを馳せることが出来たのは真人の少女が適切なアプローチをとったからだ。
自分がゆっくりと立ち上がると、襤褸布はいつの間にか清潔な襤褸布に戻っている。
柔らかい叢に汚れや穢れが染みついていないかの方が不安だ。自分の呪詛とはそういう物なのだから。
「出発前に桃を幾つかもらっていって良いか?
人里見ながら狩猟や漁だけでは足りないモノを補えそうだという話だったからな。」
■桃花 > 元々が、仙桃を食べただけの人間の状態から
学び、鍛え、ここまでやってきた真人である
学習する力がひときわ強いのも、その影響
丁寧に、咀嚼するように呪詛を調べる
一滴でもまともに粘膜に通せば解呪が途端に難しくなる悪辣な代物であること
更には、精蟲そのものもこちらの障壁に対する攻撃力を持っているため、呪詛だけの対策では足りないことも理解した
まともに受け止め続けていてはいつかこちらが敗れる…
弱い者はもちろん、力を過信する強大な相手に有効なものであることまで読み取っていく
ならば徹底的に焼きながら、呪詛自体は直接受け止めないことを優先する術を組むのが建設的である…と頭の中で理論を組み立てていく
この調子なら、次に会う時には試作版ともいうべき術が出来上がっていることだろう
それまでに、更に変質などが起こっていなければ…だが
「ん?ああ、大丈夫じゃ。一気に取り込んで祓った故…
まあ、疲れた、というところじゃ」
返す言葉は至って正気の声音
穢された様子も、改竄を受けた様子もない正常な受け答えを返してから
「何、一度拾った童を軽々に捨てるのは心地が悪い
勿論、限界であればそう伝えるが…蓬達にせっかく寂しいという感情が芽生えたのじゃ
それを大きくしすぎないよう、けれど育てるのも楽しみじゃよ」
人の感情というのは、どれかが要らないなどということは無い
どれも必要で、過不足なくあればよりよくなる
寂しさもまた、人と繋がりたい、という正の欲望に繋がるものであると理解している
「もちろん、桃はもっていけ。儂が言うたことじゃ
丁度今熟したものがいくつか生っておる
ああ、それと人里に降りるまで間があるなら、家も使ってよいし。すぐに降りるならこの後出口まで案内しよう」
立ち上がり、軽く口元を舐めてから歩き出す
陰の呪詛が入った鬼の精とはいえ、男の精自体に陽の気が含まれている
彼女に取っても、得はあるのだ
桃は齧れば甘い酒精があふれ出し
夢のような酔いで、心理的負担をある程度軽くしてくれるだろう
術式や祝詞などの特別な効果こそないが、非常に果汁が多い仙境の植物である
その後、男の返答によって…家の寝台を貸すか、あるいは出口まで案内し…今回のところは幕引きとなるだろうか
■軍鬼 > 「くく、母親みたいな事を。いや、見た目からは姉みたいなものか?
……姉?」
小柄な少女を見ながらも、自分を童と称し老婆とも思える言葉遣い。
奇遇にも真人と半分仙人でもある自分が縁を持てたのは何らかの意思があって物か。
正気の声音であり、正常な様子の返答に安心をしたのだろう。
その後についていきながら、向けられた声には――。
「あぁ、いや今日は直ぐに出る事にしとくか。
桃花の家に泊まる事も考えたが。悪い童になって拳骨を振るうのも大変だろ?」
理性が強く働く。全ての欲が鎮められた状態ではあるが、目の前の少女は鬼仙から見て上質な女性であることに違いはない。
必要以上に長くそばに居て、また不本意な欲により面倒を掛けるのは、という理由もあるが。
一度まともにやりあって、痛みは感じている。もう一度そんな取っ組み合いをしたいとも思わない。
理性的であるが故の引き際でもあった。
桃を受け取り、一度この世界より退去することを選んだ鬼。
次に少女と会うのは不本意な形か、意識的な形になるかは運命次第と言った具合だ。
数日ほど後。もし今日と同じように修行している真人がいれば、耳に聞こえるのは――鬼仙が力仕事をしているときの唸り声と、よほどの大岩でも動かしたことによるものか。
人間の歓声染みた声が聞こえる事にもなるはず、だ。
■桃花 > 「は、腕白な弟じゃな
――そうか。ま、好きにするが良い
過保護にしすぎるつもりもない、気が向いた時にまた来るが良い」
どこまでも見守る、などということはしない
結局、立ち上がるのは自分の力であるから…その力を鍛えるのに他人の力が入りすぎるのは良くない
姉か、という言葉に笑いを見せてから桃を受け渡す
さて、次に会う時にはこの弟はどうなっているか
楽しみになりながらも、術の構築と修行を繰り返す日々になろう
「――――――――、………、ふふ♪」
そうして後日
同じように岩山での逆立ち修行中
ふと、異界の外から唸り声と歓声が聞こえれば
楽し気に口角が上がる
あの暴れまわっていた童が、大きな歓声を受けるとは
これは、自分も負けていられないと
"弟"に触発され、一層研究と修行に身が入るのであった――
ご案内:「シェンヤン山中」から桃花さんが去りました。
ご案内:「シェンヤン山中」から軍鬼さんが去りました。
ご案内:「平民地区・冒険者ギルド 訓練場」にエレイさんが現れました。
■エレイ > まだ日の高い時間帯。
冒険者ギルド裏手の訓練場へと、男は足を進めていた。
戦闘術の指導をしてほしい、という依頼を受けてのことで、手の空いていた男が引き受ける流れになったわけなのだが──
「さて、どんなヤツが出てくるかねぇ……」
どこか楽しげなつぶやきが口から漏れる。
男はまだ、その依頼者の顔も名前も、男か女かも知らない状態であった。
伝えられなかったわけではなく、『知らないほうが面白い』と男が敢えて聞かなかったのだ。
どのみち人となりは直接会わねばわからないのだから、自分の目で
見定めたほうが早い──それが男の理屈である。
依頼の内容にもよるが、この男は時にそういう雑なノリで依頼を受けることがしばしばあった。
「まあああっちの態度次第では即刻お帰り願うが……そんな案件でないことを祈るばかりだな。
──およ、時すでに先に来ていたようだったな。感心感心」
そうして訓練場に足を踏み入れれば、先客の後ろ姿が見えた。おそらくあれが今回の依頼者だろう。
ちゃんと先に来て待っている姿勢にまず感心しながら、ざしざしとそちらに近寄っていって。