2025/09/21 のログ
ご案内:「シェンヤン山中」に桃花さんが現れました。
■桃花 > 「ふ――――――――――――………」
尖った岩山が立ち並ぶシェンヤンの深山幽谷、昼
その一角で…尖った岩の先端に人差し指を突き、逆立ちをしている少女の姿がある
その姿はぴん、と一本の線のように指先から足先まで伸ばされ
不思議なことに纏っているシェンヤンの伝統的衣装も垂れることなく重力に逆らっている
現在、この少女…真人桃花は修行中であった
とはいっても、彼女にとっては準備運動のようなもの
全身に気を纏い、岩山を崩さずに自分の体を支える
指先に纏う気が強すぎれば岩山を崩してしまうし
身体を支える気が弱ければ、体勢を崩して落下する
緻密なバランスによって、訓練を継続する少女であった
この場所は半ば異界化しており、普通に来ることは難しい
古文書を調べれば、昔からここを根城にしている…性に少し奔放な真人が居ることはわかるし
それを目指せば、異界に入ることも可能だろう
この異界が拒むのはここを知らないもの。この場所のことを多少知っているのであれば、入ることも可能だ
「―――――――――………」
真人は同時に耳を澄ませる
悪鬼、妖怪の類が暴れていないかなど
このシェンヤン周辺でそれらを討滅するのも、真人の仕事である
一見愛らしい少女は、今日も俗世とのかかわりを自分からは断ち切って、修行している――
ご案内:「シェンヤン山中」に軍鬼さんが現れました。
■軍鬼 > その真人はやがて耳にする。人の声が悲痛に響く。
ここ数十年で稀に災害の様に現れる鬼仙の高笑いする声。
頑丈なはずの鉄の武具が、紙切れの様に折られ、破られていく。
人間の悲痛な声は首都からは遠く離れた村から発生されている。そして鬼仙は土地を荒らし、作物を。冬を迎える前に準備されている貯蔵された保存食を食い荒らしている。
「ハッ、腹の足しにもなりゃしねぇな!
この程度の飯で鬼が満足すると思ってんのか――――よ!」
語尾に力が込められた時に寒村にたっている、鬼や妖怪の群れの対策で作られていた櫓が吹き飛ばされる音が響く。
響くが――人の悲鳴に、人の哀願に。その少女に届くだろうか。
■桃花 > 逆立ちのまま、すぅ、と赤い目が彼方を捉える
事前に察知できなかったのは、自らの修行不足故
「――鬼、か」
呟けば、指先に力を込めて自身の体を上下反転させ
岩山の頂に足が着く前に空を蹴り、視線の先へ
魔導の弾丸よりもなお早く、空気を裂きながら空を跳んでいく
あっという間に異界を抜け、村を目指し
数分で、上空から…隕石のように村に向かって着陸する
「童、いたずらはそこまでにしておけよ
それ以上やれば、手痛い拳骨を喰らうことになるぞ」
着陸したのは鬼仙の正面
地面には浅いクレーターができており、そこから立ち上がれば
自身の何倍も大きな相手に対し、弟を叱りつける姉のように…普通に声をかける
古いシェンヤンの言葉。今では人間はほとんど使わない言語である
鬼仙の釣り眼を見上げ、自分の腰に手を当てて…正に説教する姿勢であった
これで大人しくやめるなら、軽い拳骨程度で許してやろう
その程度ならば、滅却するまでもない、という判断である
■軍鬼 > その数分で村の在り様は変わっている。
冬を迎える前の厳しさにも笑いあいながら人同士のつながりがあった筈。
人は生きる事を前向きに捉え、大人も子供もその生存の為に労働を惜しまず、狩猟に農耕、さらには漁と言ったことを惜しまなかった村。
その村は倉庫が破られ、食料は奪われ。更に働き手の筈の男達が土地を耕すための農具まで武器にしては返り討ちにあったのか、そこかしこで人間が倒れている光景。
食事も足りない。食欲は満たされない。
眠れない。これほどに開放感のある鬼の血の開放は久々だった。
興奮感と高揚で目が冴える
その瞳は両方ともに赤い輝きが宿されている。危険ともいえる兆候を宿す。
食欲、睡眠欲が満たせないなら残るは?
村の女に手を伸ばそうとしたその瞬間に。
空より流星の様に一条の閃光が下りてきたのだ。
地面が揺れる。鬼の白い髪の毛は揺れるが、動揺も驚きも見せていない。
浅いクレーターが出来ているが、それなら自分も出来る、と。
降りてきたのがタダの小娘だと見くびっているのか、むしろ美味しそうな獲物が下りてきたとしか見ていない。
「――あ?古語か?」
古いシェンヤンの言葉はあまり多くを学んでいない。
小言ではなく古の語と判断したのは聞き覚えのある単語も混ざるからだ。
【童】という単語。それにひきつったような笑みを浮かべながら、気丈にも見上げてくる小娘にしか見えない相手に鼻で笑う。
その日に焼けた肌の腕が女の胸倉をつかもうと伸びていく。それは肉体強化を施されていないながら、中々の速さだ。
並の冒険者では胸倉をつかまれるどころか、空気圧で一瞬呼吸が阻害されるほどの勢い。
「いたずらはこれからだ。飯もたりねぇ、眠れもしねぇ。
じゃぁ鬼が後求めるものと言えば一つだよなぁ?童だと言うなら、おねえちゃんが村人の代わりになるってか?」
拳骨という単語はわからない。
だが童、いたずらという単語だけはかろうじて理解出来る。
忌々しくも記憶にある大鬼の知識の一部だからだ。対して自分の声は普通のシェンヤン語。
相手にどこまで伝わるか。
■桃花 > 大風などの災害でも、この程度の被害は出るかもしれない
けれど、村の惨憺たる有様を見て、一つため息
本当の真人であるならば、感知した瞬間にはその場に居た事だろう
豊かな村がここまでの被害を受けたのは未熟な真人である自分の責もある
「――、繋げるのも面倒。
故に予想になるが
…改める気はないようじゃの」
友好的な相手であるなら、意思疎通ができるように見えない経路を繋ぐのだが
敵対する相手とわざわざ会話しやすいようにする少女ではない
見れば、女を襲うところだったらしい
――相手が改める様子無く、自分の胸倉を掴もうとするなら、そのまま掴めるだろう
見た目通り女の体は軽い。大男からすれば持ち上げることすら容易である
けれど、呼吸が止まった様子も無く…じぃ、と血のような目が鬼を見据えて
「…わからんのなら、これが一番早いか」
直後、膨れ上がる闘気
一瞬で沸き上がった力が脚に集中し、無造作な前蹴りを打つ
武道の心得があるものなら、ただの子供の…遊びの蹴りにも見えるような動作
速さこそそれなりだが、鬼仙に見えないほどではない
けれど、その威力は一瞬で大岩を破壊する程度に高められている
まともに喰らえば、大男と言えど強化無しでは筋と骨は砕けるであろう破壊力
それが男のどこかに当たればいい、という適当さで放たれる
危機を察知できれば、少女を離して距離をとって回避、あるいは反撃で対抗できるだろう
けれど察知できなければ、手痛い拳骨ならぬ足蹴りを受けることになる
■軍鬼 > 女の体は軽く持ち上がり、自らの瞳と同様。赤く染まるそれを見据えながらシェンヤンの伝統的な衣服を破り捨てるべく、鬼の指に力が入る。
ただ、それを許さないタイミングで仙人からの威圧感が変わった。
美味そうに見えていただけの小娘から、膨れ上がる得体のしれないモノ。
闘気と呼ばれるものが自分の皮膚を打ち、まるで攻撃でも受けたかのように呼吸に詰まる。
小娘?とんでもない、目の前の相手は何者なのかと見直す頃合い。
女のそれなりに早い前蹴りが繰り出されてくる。
先程までなら鼻で笑って受け止めてやろうとも思ったが、今の威圧感は相当な物だ。
弱い命であればその威圧感だけで叩き潰されて圧死しそうな程の闘気は鬼仙の警戒を呼び覚ますに十分だった。
「地王混合――!」
肉体強化。最初は大鬼1匹程度の耐久や頑丈さが引き出される物という縛りから逃れられない。
めり、と男の肉体の内側から筋肉が膨張し、鬼仙は小娘と呼んだことからのささやかなプライドにより受け止める方を選ぶ。
膨張した筋肉。頑丈な皮膚。それらが女の、鍛えられているとはいえ華奢な足の一撃なのだ。
――まるで大砲が直撃したかのような音が響く。女の蹴りは皮膚を紙切れの様に破り、筋肉の鎧すらところどころ寸断し。
鬼の血液による文字通りの血の雨を降らせるように肉の中に深々と足が食い込んでいた。
「ご、」
血の塊を口から吐き出し、声にならない声があがる。
筋肉を貫き、衝撃波の一部が体内に発生したのだろう。軽くはないダメージを受けている。
しかし、その蹴りに使った足を逆に鬼の筋肉の中に引き込み。がっちりと固定させて足を抜けなくさせる肉体強化を重ねていく。
金剛石の様に硬くなり、密度を増していく筋肉が女の足首を挟み込む事で次の行動を阻害させつつ。
今度は鬼の反撃だとばかり、その状態から彼女が抜け出せなければ鬼は女の挟んだ足を起点にする様にして、胸をそらせる。
そうして女の体を少し持ち上げると、鞭を地面に打ち付ける時の様に真人の肉体を地面に叩き付けようとすると同時に、その動きから鬼の髪の毛が力に従いふわりと舞い上がり。
「ご、り、らが!」
罵倒と共に地面に叩き付けるタイミングで髪の毛の質量が増し、腹部を狙い音の速さを越えて振り下ろされていく。
女の頭を地面に打ちすえ、更に髪の毛による強靭な鞭の一撃が女の腹部めがけて振り下ろされることになる。
上下の同時攻撃は真人の頭を強く揺らすか。それとも腹部に強烈な打撃を見舞えるか。それとも両方が成功するか。
はたまた、相手がそこから容易く脱出するならば自分の劣勢を悟るだろう。
■桃花 > 普段はひけらかすものでもないため、修行以外であれば抑えている気功
それを解き放った一撃を受けて破裂しない肉体を見、一つ息を漏らす
「ほう」
辺りに衝撃が響き
半壊した村が揺れ、硬く強いもの同士がぶつかり合った影響で…先の鬼仙の破壊によって飛び散った材木や石が吹き飛んでいく
何度見ても…、鬼の肉を貫いたのは小枝のような少女のものだ
けれど少女にとって意外であったのはその先
貫いている足が強化された筋肉に絡め取られ、踏ん張りのない少女では流石に簡単には引き抜けない
そのまま、そこを起点に地面に叩きつけられれば
返ってくる音は、地面と肉体がぶつかった柔らかい音ではなく。地面と硬い金属がぶつかり合ったような硬質なもの
更にそこに音を裂く鞭も加えられ、直撃
こふ、と少女が口から僅かに吐血を見せる
叩きつけられる直前…気を集め、頭部を防御する姿勢を見せていた
それ故に腹部への同時攻撃の通りがよく、損傷が与えられた形であるが…まだ、少女は生きている
「けほ。……その術理を持ちながら、なぜ人の世を脅かす?」
今度は経路を繋げての、言葉であった
一度経路を繋げば…相手が拒絶しない限りはお互いの言葉が正しく伝わるはずだ
そして、ただただ暴力を叩きつけて来るならまだしも
自分の体で相手を引き込み、更には反動も利用して攻撃してきた
そこに理性を認めた故に、話しかける
叩きつけられた際の土煙が晴れれば…無傷とはいかないものの
仰向けのまま、まだ赤い瞳で鬼を見上げる少女が五体満足で居る
硬気功と癒気功…強化と回復によって、損傷を受けた端から回復していた
それも無尽蔵ではないが、ただの少女ではないと更に確信させるには十分か
「本当に嗜虐の性しか持たぬなら、屠ってやるのも一つの手だ
――だが、他の想いがあるのなら、まだ間に合う。鬼といえども、人と生きる道もあろう」
言いながらも、闘志は衰えていない
また同じように叩きつけるつもりであるなら…肉に埋め込まれた足先から外気功を発し
内部から破壊する心算であった。その証拠に、少女の足先には気が高まってきている
■軍鬼 > 頑丈なのは鬼の血。鬼の肉。鬼の力。
そしてそれを操り、髪の毛にまで意志を通し真人を打ち据えたものは鬼ではなく仙人の術。
そして昂っていた鬼の血が、鮮烈な。落雷の様な蹴りを受けて飛び散ったのは結果的に鬼の方に好都合に作用したかもしれない。
土煙が晴れていく。今の数秒で力関係はある程度示された。
実力は、今は女真人の方が上手。あくまで、今は。
血を吐いた少女の姿を見て筋肉の膨張が終わりを告げた訳でもないのに緩みを見せる。
真人が足を抜くのは簡単になるだろう。
そして白い艶のない髪の毛もまたふぁさ、と鞭の様に振舞われる前の、ぼさぼさのただの髪の毛に戻り。
――赤い瞳のうち、片方。右の目が紫色の様に青い色が戻りつつある。
理性を取り戻しつつある証。
「強いやつが、食うに困って弱いやつを食う。
それは、術に限らず世の理ってやつだ。」
真人から繋げられる経路により、はっきりと相手の言葉が伝わり、紫色からさらに青い色が右の瞳に差し込まれていく。
昂りの象徴でもある赤い色合いが薄れるならば言葉での交流に不都合もない。
自分には常にある理由で肉体修復が掛けられ続けている。ゆっくりと女真人の足が抜かれていなければ、自分の再生の邪魔になるどころか追撃の気配を察して足を掴み抜き取って地面に【下ろす】。
「はん、鬼が人と?鬼は人を喰らい、人は鬼を恐れ、やがて討伐をする。
……実際、お前も仙人なら理解できるだろう?」
肉体の再生は双方行われていく。先程の鞭のように女の肉体を振舞ったことで足首等も痛めていたとしても容易く回復される。
目の前の少女は実に美味そうではある。だが、それは鬼の欲に身を浸しきっていた先ほどまでならばだ。
今は似たような力を振舞った関係もあり、遠く、そして近くもある存在だと認識を改めた様子でもあった。
「――長い話なんぞ聞くつもりがあるならいくらでも。
ここで村人を巻き込んで長話をするもんでもないだろう。」
気が付けば鬼の手首にはミサンガの様な物が結ばれている。
言葉が次第に冷静に、理性を取り戻せば周囲を見やる。鬼の破壊、略奪はあれど。
女真人が動いたことによるものなのか。死人は居ない。
怪我で済み、今は残されている家屋などに避難している村人に聞かせるような話でもない。
「――話の出来るような場所はねぇか?」
■桃花 > 腹に感じたのは、純粋な膂力だけではなく
仙人としての術
つまりは、この鬼は…『面倒なこと』になっている可能性があると察することができた
それも、単純な殴打ではなく髪を使った攻撃を受けたからであった
「――獣ならば、こうして術を繋げてもそうは言うまいよ
ただ唸り、食欲を向けて来る。危うかったようじゃがな」
綺麗な瞳ではないかと、蒼い目を見て呟いてから
「ああー…ま、そうじゃな
儂らも裏返れば人の世を脅かす化け物。間違いない」
邪仙と呼ばれる存在は仙人と表裏一体だ
行き過ぎた力は誅されるというのは理解できる
理性を取り戻したらしい相手を見て一つ頷く
やはり、何かがあって暴虐を働いていたらしいと、少女は感じている
「それならば、いいところがある
少し待て。連れて行ってやろう」
管理者である自分であればここからすぐにでも自身の仙境へ向かえるが
その前に
先ほどの気功を使用し、けがをしてその辺りに転がっている村人へ治療を施していく
もちろん、深入りはしない。村人が礼を言おうとして引き留めても無視をして治療を続け
感知できる範囲のけが人を治して来れば、男の元へ戻って来る
「…よし。行くか」
短くそう言えば、び、と空間を裂くような仕草
同時、桃の香りがふわりと…裂かれた空間から漂う
もちろん、どこでも移動できるわけではない。
限定的に、迷い込む入り口を作り上げ。自分の仙境への一方通行の道を繋げているようだ
男が通れるほど大きく裂け目を広げれば先に入っていく
中は短草が生い茂る草原で、爽やかな風が吹いている
桃の香りが風に混じり、遠くには小さな家と大きな桃の木が見える
そんな穏やかな空間に、相手を誘い
付いてくるなら、草原にどか、とあぐらをかいて腰を下ろす少女
「ここならば邪魔はそう入らん。好きなだけ語ればよい。真人として、お前の身の上を聴こう」
■軍鬼 > 獣には違いない。鬼である以上性格は悪寄りなのも間違いはない。
だが、野生の獣でも。手に武器を持って恐れから攻撃してくる存在と、話を聞くべく目線を合わせてくる相手。
どちらの方に軸を合わせた行動をするのかは分かり易い心理の一つ。
青い瞳にほぼ戻ってしまえば精神的な均衡は取り戻される。先程までの語気の荒々しさや攻撃性は影を潜めているのだから。
「…………。」
言葉は発しない。襲った側の責任の後始末。怪我を負わせた村人への治療を行う相手の行動一つ一つを見る視線には複雑なものが混ざっている。
敵意とかそういう物ではなく、罪悪感とも違う。
強いて言えば子供の不始末を親が尻拭いして回っているときの姿を見る様な物だ。
言葉にしにくい苦味と酸味。もっとも、自分を癒す能力はあっても他人を癒す能力を持っていない自分では何かが出来る訳でもない。
待て、と言われている間暴虐の類を働くことなく、犬の様に待つ。
地面に座り込み、胡坐を掻きながらも真人という人種の働きには目を見張るものがあった。
無駄な行動が無い。感知、移動、治療を手際よく雑音を封じて行う姿は村の人間からすれば善の側の行動だろう。そして見た目が良い少女は天女の類と思われるかもしれないが。
「――良い風だな。」
戻ってきた相手が空間を切り裂く仕草。
ただそれだけで漂ってきたのは、鉄錆の様な匂いが混ざる村の空気とは別種の空気。
世界が異なると言われても信じることが出来そうな程そこの風には暴虐。邪悪と言った物を感じない。
自分の背丈に合わせたような入り口に無言でついていく。
少女を一定は信用しているのだろう。だからこそ自分のいた環境とまるで違う空間か。違う土地か。
穏やかな、争いごととは無縁な土の。桃の。草の香が風に応じて鬼の邪な部分を抑え込む薬の様に作用している。
ざ、ざ、と大きな足裏で草を踏むが無駄に力強い踏み込みはしない。
他者の土地でもあり、ここには争いを仕掛けるために招かれた訳ではないのだから。
案内されるがままについていくと、草原にどっかりと胡坐を掻く少女。
先程と異なる反応は、ぷい、と鬼の方が視線を逸らす事。そんな服で胡坐を掻いてはいけません。
「――大した話でもねぇ。昔シェンヤンに太古から生きていた大鬼がいた。
そいつを問題視した女の仙人とシェンヤンの一部の人間が手を結んでそのクソと対峙した。
人間と大鬼では勝負にならねぇ。
仙人の女は大鬼に捕まり、まぁ、なんだ。
色々あって俺が生まれた。」
この大鬼については真人の修行中でも耳にしたことはあったかもしれない。
神出鬼没だったこともあり人間も仙人も手を出すのが難しかった。
その大鬼の出現位置を人間が星見の力で予測し、先回りしていたという話。
伝承では人間が盾となり、仙人は命を振り絞って大鬼を封じて平和を取り戻したとなっているが。
――実際には違う。大鬼が仙人を打ち破り、色欲に耽り。
仙人に鬼の子を産ませ、女の力は大きく落ちた。だが最後に残された力で、大鬼を封じ。
仙人の力を失った女は、鬼と仙人の子をどこぞの村に放り投げたという話を聞かせる。
鬼としての肉体、鬼としての血。これらが昂りを蓄積していく。
その昂りが我慢の限界を超えてしまえば――先ほどまでの様に食欲。性欲。力を解放して遊ぶ子供の欲求の様に暴れまわって見せる、という物。
「人間に恨みがあるわけじゃねぇ、俺自身はむしろ大鬼を封じたんなら大したもんだって手を叩いて喜ぶくらいだ。
だが、体の中を流れるクソみてぇな鬼の血はそうじゃない。
人間は搾取をされる側。
人間は鬼を迫害する側。
こんなクソみたいな思考が混ざっている。
んで、こんな思考を持つ鬼が、いつ暴れるともわからん厄災を引っ提げて人間と共存できると思うか?」
■桃花 > せめて目の届く範囲は、と自身の力を使って治療を施した
村に居てくれと縋り付くその手は振り払う
――真人は人の世と隔絶されていなければならない
これは、未だなりきれていない少女の甘さであった
他者に施す治療は体力の消耗が激しいが、まだ戦うだけの気力はある
まだ相手が暴れるようならそれで対処しようと思っていたが
理性を取り戻した相手は大人しく自分が戻って来るのを待っていた
その事に笑みを浮かべてから
そのまま、自分の領域へ相手を誘い
地面に座れば、何故か目を逸らす鬼に小首を傾げるも、ひとまずは話を聴こう
術は繋げたままのため、意思疎通はスムーズだ
「――ははぁ
仙人を孕み袋としたか。埒外のものよな…
大鬼については知っているが、そのようなことになっていたか
その思考が爆発したのが、先ほどのお主ということじゃな」
まだ真人として幼い頃であった
大鬼の話は聞いていたが、その討伐に参加できるほど合一が果たされていなかったため、話だけを知っているような状態であった
"最近"封印されたとも聞いてはいたが、その種がこうして生きている
古い歴史の物品を見るかのように、前かがみになって顔を観察する少女
そして、共存できるか、という問いには姿勢を戻して
「今のお主には厳しいじゃろうな。だが可能性はある
長い時を経て鍛え、己の鬼と向き合い、合一する
そうなれば…鬼の力も思考も、お前という柱に従わざるを得ないだろうよ」
今はまだ恐れている、と付け加える
言いぐさからして、この男は鬼を十分憎んでいるし、逆に人と関わりたいと思っているはず
リスクを考えれば、何も考えず滅するのは可能だが…
「はは、仙人の血を引いておるなら見た目通りの年齢ではなかろう?
人の世で生きられぬというなら、ここで修行していけばよい
憎むのではなく、従えるでもなく、鬼を受け入れるための修行
儂も、まだ教えられるほど鍛えているわけでもないが、多少手助けするくらいはしよう」
これで相手が人ならば問題だが、仙人と鬼の血を引く相手とかかわったところで俗世と深く関わったとはならないと考え
「――まァ、修行をせずとも。欲が溢れそうになればここに来るがいい
いくらでも発散させてやろう。――普通はそうそう見つからない場所じゃが、お前ならば大丈夫じゃろう」
この周辺は異界ではあるが、相手は鬼と仙人の合いの子
その血をもってすれば、一度訪れた場所ならば来れるだろうという提案であった
村々を襲うくらいなら、自分がそれを受け止めようという狙いである…
■軍鬼 > 先程までの古語から、少なくとも相手は自分よりも年上ではあろう。
実用的にその言語が使われていたのは、それこそ自分が生まれるよりも前の世代の話の筈だ。
胸にため込んでいた物。それを話す相手に巡り合えたのは幸運というべきだろう。
少なくとも相手は一方の側に立ち、糾弾するでも非難するでもない。
故に言葉を選び、少なくとも自分の感情。自分の思考を交えて自分自身を見つめ直した話が出来た。
ふぅ、と話しを終えた後で一息をついたのは会話のボールを相手に渡す契機になる。
首から下を見ない様に視線がもう一度少女の方に向かいなおせばしっかりと視線が絡むはず。
それには動じた様子が無かった。おそらく色欲の類もため込むと先程の様に自分が自分でなくなる一要素なのだろう。
鬼の本能を縛り付けることが出来ているのは仙人の孕み袋がよほど優秀だったか。
それともあらかじめ準備していたがためにこの程度で済んだのか。
そこに親子の愛があったのかどうかまではもう知る由もない話。
少女の思考が爆発、という言葉には首を縦に振る。
先程までの負傷はこのころになるともう傷口がふさがりかけている。
そして前かがみになって顔を観察してくる少女には怪訝そうな表情――実に人間臭いその表情を浮かべ。
左側の燃えるように赤い瞳は今は先ほどまでの赤さが少し色あせた様に冷静な、弱火の炎。種火とでもいうべき、小さな小さな焔の証を見せる。
だがその奥にあるのは紛れもない邪悪な鬼の血。そしてその鬼の血の根源にある大鬼の存在感。
見つめてきた少女の視線は。元の世界とより僅かに封印されている大鬼の場所に近いのか、ぎょろり、と少女の目に感じたのは目の前からではなく、どこか遠くからの確かな視線と敵意だ。
青い瞳は少女との【会話】を通じて冷静さを取り戻している。
すっかりと分厚い氷の様に理性を補強し、そうそう欲望のままに暴走することもないだろう。
こちらの瞳が本来の物なのか。顔立ちは鬼の角こそ持っているが人間に近い。
――ギザ歯と言った要素は鬼の側面が出ているともいえるが、本来は人間の。もしくは仙人の側が強く出ているのだろう。
「鬼と向き合う、ねぇ。確かに1回、アホみたいに自分の鬼の血を捨てたらマシになるんじゃねぇかと心臓を引き裂いた事はあったな。
結果、20年前の大嵐の一件覚えてるか?一つの山が丸ごと打ち上げられ、山脈に一つの山が追加されたアレ。
アレを引き起こした。合一、合一……」
合一については思い当たるフシはある様子だった。
自分が合一するとするなら自然を取り込み自然の中での一要素を丸ごと自分と合一させて太い柱を確立する。
そうすれば柱がしっかりしている分、欲に流れる事があったとしても柱は折れず、曲がらず。今の自分より少し好戦的で、少し好色な程度で済むだろう。
やり方がわからず挫折したのだが。
「修行、か。やり方がまずわからん。
手解きから始めても頭は俺は良くねぇ。理解するのには時間がかかるだろうよ。
それとな。これは俺からの――そうだな、経験談だが。
俺の中のクソ鬼の精はろくでもねぇ。仙人を孕み袋にしただけではなく、その力まで奪い取る様な悪辣なもんだぞ。」
恐れている、のはこれに当たる。
自分の母親の力の大半を奪い取った鬼の精、さすがにそんなものを相手に浴びせればどうなるか。
いくら半分の物、と言っても少なくとも、こうして会話が出来る相手にそういった目には合わせたいとは思わなかった。
「――あぁ、そうか。そういやこうやって話聞いてもらうのも初めてかもな。
修行の方はやり方を受けて地上に降りる。じゃねぇとあんたは善い側のモノだ。
人間を助けたから、とかじゃねぇよ。こうやってこっちの話をきちんと聞いて考えてくれてる。」
友人、という単語は知らない。知人と言えるような間柄を見つけたのは初めてだったこともある。
だから今は色欲を意識しない様にしているというのに。
腰回りの襤褸布はいつの間にか巻かれているが、少女の肉体を目にしてしまったために半分程度勃ち上がっている。
性欲そのものは失ったのではなく、違う物で満たし、鬼の血を放出して一時的に抑え込んでいるのだから当然と言えば当然か。
「師匠、という呼び名はしねぇよ。
俺は軍鬼――真名は蓬達
蓬に到達すべくとして名付けたんだとよ。あんたは?」
■桃花 > 人を捨てているという意味では、対極にあるとはいえ鬼とそう変わりは無い
じい、と目を見据えれば…拳を交えたのがよかったか、相手の爆発は未だ遠いようだ
一度発散すれば、しばらくは…状況によって差はあるだろうが、ある程度安全、というくらいにはなるのだろう
勿論、その奥にある邪悪な大鬼
かつて名のある仙人を孕み袋としたその血を、確かに感じられる
「20年……。
ああ、確かに嵐があったあった。どこぞの仙人がまた珍妙な術を使ったのかと思うたが、お主じゃったか」
宙を見て、手を打つ少女
確かに…遠い山が大変なことになっているのは察知したことがあった
距離もあり、人を害するようなものではなかったため放置したがそんな理由があったのかと
僅かな疑問が解決したことに喜色を滲ませる。やはり、嵐を起こせると言われても恐れた様子はない
あぐらをかいたまま、片膝に肘をついて笑う少女
「時間なぞ、少なくとも儂には止める理由にはならん
お主が儂ほど長生きせんとしても、あと百年二百年は確実に生きるじゃろ
行く道が短いなら、頭が良くないなどと言わず、必死にやってみろ
――実がならんでも、幹は育つかもしれん
僅かな時間だけだとしても…クソと評する自分の中の半分に反逆できるなら、してみたくはないか?」
もしかすると寿命の方が先に来るかもしれない
流石に、仙人と鬼の交ざりものがどこまで生きるかなど…占っても正確には出ないだろう
だから焚きつけてから――
「精の方は安心し。恐らく呪詛に近いもの
確かに、無防備で受ければ――儂はお前の母君と同じ道を辿る
ただ、わかっていれば対策程度はできるじゃろ」
力が惜しいかと言われれば首を傾げる
元々は仙桃を偶然食して真人となった身であるから
けれど、奪い取ることによって…この相手が苦しむのなら話は別だ
偉そうに合一などと、修行中の身で言った以上。自分が負けてはもうこの男は何も信じられなくなるかもしれない
幸い、相手は理性的だ
男の母のように…問答無用で注がれることはないだろう
「呵々。呼び方などどうでもよいし、地上に降りるならそれでいい
――桃花。ああ、そういえば儂も久々に名乗ったなあ」
はっはっは、と笑う少女
仕草が老人臭いのはご愛敬
師と呼ばれないことについても特に気にしてはいないようだ
なにせ、自分も修行中の身であるから
「うん。良い名じゃ、蓬達。
――ならば、地上に戻る前に…蓬達の中に眠る悪辣さに対抗するための材料を貰おうか
丁度、そこに溜まっておるようじゃし?」
鬼の精に対抗しようと思うなら学習が必要だ
ならば、それ自体を採取する方が早いと…する、と胡坐から四つん這いになった少女が男の股座、そこを覆う襤褸に手をかけて
反応を伺うように…細く柔い指で輪を作り、半分ほど勃ちあがっているそれを包み込もうとしていく
浴びるだけでも問題なら、それなりの対応をすればいい
注ぎ込まれるのが問題なら簡単だ。手や口でその精を搾ればよい…という考えのようだ
■軍鬼 > 「自分の命数なんぞ数えてねぇな。
――種を植えて貰った事は覚えておく。芽が出るかか幹が育つかどうかは、必死の具合と。
クソへの反逆精神次第か。
……ただただ鬼の血を抑え込むことに汲々とする日々よりは確かにマシだな。」
抑え込むだけ。自分の不都合な部分から目を背けるだけの日々が面白いはずがない。
それよりは自分の意思が少なくとも反映される日々を送る方が有益であり。
生を楽しむというのは欲以外の部分にもあると気付かされる。
そういう意味で交流を図り。焚きつけてきた少女の手管は見事な物だ。
コミュニケーションを取って有効な方向からの興味の引き方を見せてきたのだから。
釣り目の下、口元が邪悪ではなく。楽しい事を見つけた時の様に緩むのも、今の状態では初めてと言えた。
「桃花か。風の中にも良く表れている。
自覚していると思うが、まぁ。鬼のモノだからな。
あまり見て気持ちいものでもないだろうが。」
逃げる事はしない。指で輪を作られ、半分ほど勃ち上がる物に触れようとする相手を拒むことはしなかった。
自分と互角以上であり、話を偏見なく聞いた上でこうしよう、と提案まで向けた相手だ。
信用は少女の思うように確かに生まれていた。鬼仙から少女への信用を示す様に。
既に十分なサイズを示す様に襤褸布を持ち上げている肉が、より太く、より長くより硬く。
ゆっくりと反り返っていくと、存外黒ずんでもいないモノが露になる。
形状は人のモノより馬のモノにも近いかもしれない。ただ、その根元。袋の部分には少女の言うように禍々しい鬼の呪詛にも等しい精の力が潜んでいる。
鬼の血の暴走のままに放出すれば浴びるだけでも危険な劇物かもしれないが。
理性が働く今は、その禍々しい気配のある袋の上。精を届け放出するためのパイプ役の部分に青い仙人の力の欠片。
仙丹の成りそこないと言った具合の物が呪詛をある程度越し取る。
今ならば浴びる事くらいなら少女の精神や肉体に悪影響もないだろう。
「流石に注ぎ込んだら無事を保証できねぇぞ。
子袋で受けるのだけはやめておけよ。」
冷静に、理性的に。今の状況で少女が唯一危険に陥る可能性がある、膣の中にそれを注ぎ込む事だけは警告を発して止める。
しかし少女の魅力は高い。顔立ちに似合わぬ肉付きの良さ等、鬼の血で暴走していても魅力的に見える訳だ。
すっかりと立ち上がり、据えた男の匂いには普通の女ならば精神の錯乱や混乱を引き起こしそうな呪詛の残り香が混ざる。
それもこの甘く馨る桃の風で影響力はさらに落ちるのだが。ここの空気は不思議と肌になじむ。
■桃花 > 「呵呵
…いかな修行も、やる気が無ければ成果にはならん
ああ。目標ができれば、多少はマシじゃろうよ」
くく、と笑う
もし自身で抑えきれなければ、自分がストッパーになろう
それくらいは、種の世話をするというところから逸脱はしないはずだ
これが吉と出るか凶とでるかは本人の努力と巡り合わせ次第
修行など、それをほんの少し手助けする手段でしかない
「名乗らなさ過ぎて忘れるところじゃったわ
――ふむ。なるほど、確かにどす黒い気が溜まっておる
…ただ、やはり…蓬達の母君は立派な仙人だったようじゃ。
うむ、これなら、口などに含む分には問題あるまい」
自分には常時呪いを祓うための力が働いている
それに加えて、呪詛に対抗するための青い仙人の力も働いていれば
男の言う通り、直接無防備な子袋に注ぎ込まれなければ自分が悪影響を受けることは無いだろう
残り香も同様だ。桃の香りに僅かに呪詛が混ざるが…すぐに溶けて消えていく
警告は素直に聞きつつも、サンプルとして子種は必要だ
事故が起き、男が暴走したとしても…備えがあれば取れる手段も変わってくる
「いいや、生を受けたのなら…まずは自分の体を少しずつ受け入れたほうが良い
ただ…急に全てを受け入れれば、乗っ取られてしまうからな
少しずつ、これは蓬達の体だと、自覚を強めていくがよい。…こうやって刺激を与えていけばその手助けにもなろう」
まずは外側から
否定、気持ち悪がるなどではなく
徐々に自分の体であることを受け入れていくのが第一歩だと告げて
襤褸から現れた、馬の逸物に似たブツに指輪を回して優しく扱き始める
「ふふ。蓬達はどのように刺激されるのが好きか、探ってみるとしよう
材料の効率的な採取にもつながるし、の?
―――少し強く、弱く。――吐息をかけて、根元から。先だけを――……」
精を出させるには、それなりの刺激が必要だ
鬼の逸物に恐れることなく、指を動かす
言葉に合わせて、扱く力を変え、扱く位置を変え
あるいは綺麗な口内を見せつけて吐息でアクセントを加えながら
より良い反応を、優しく探っていこう
■軍鬼 > 「修行も一朝一夕で芽が出るようなものでもねえだろうしな。
欲は――あぁ、言うまでもねぇがこういう欲以外にも、食欲ってのが付いて回る。
自然のモノだけで凌ぐのは限界が出る。どうしても人の手が加わったもの。塩。砂糖。そう言ったものを食べたくなる欲求は出てくる。
そのあたりも抑える必要があるか。」
指輪で括られたカリ首は人の物よりも一回り太くエラを張る事で自己主張を見せている。
弱い摩り方を見せると物足りなそうに打ち震え、強くカリに指が触れた時にはびくん、と強い脈を打つ様に。
吐息で焦らされるとその膨張は僅かに緩く、緊張度合いが崩れる。
悪い意味ではなく、吐息での行為は安心感を覚えさせるらしい。
根元に触れると禍々しい袋から、ず……と黒い雰囲気が指に触れてくるも、少女の抵抗力で今は霧散していく。
ただ根元の刺激は心地が良いようで、カリ首の時と同じようにびく、びく、と力強い脈動を見せて応えている。
跳ね上がるような強烈な反動を見せるのは先っぽの鈴口、カリ首、根元の3か所を同時に指で強めにこすった時だ。
「……これは俺の肉体で。俺そのもの。
有るのではなく在る。
鬼の血もクソの様な欲求もあらゆる物が自分の中の物。」
少女の言葉と動きに応えるように、そして自分で翻訳して心構えを刻み込ませていく。
欲望から逃げてため込むのではなく。
欲望と向き合い一部を受け入れつつ。少しずつ処理しきれない部分を、範囲を狭めていく。
今はこうして目の前にいる仙人――とも違う真人の少女の手管によって欲の一部を吐き出していく。
当然だがそんな奉仕の様な動きを受けることは初めてであり、自分勝手に犯していた時とはまるで違う。
心地よい指の動き。風の動きに魅力ある少女の肉体と顔立ち。声に素直に欲を委ねる。
鬼の手が少し悩むようにしてから四つん這いの姿勢になっているなら釣り下がるだろうか、少女の桃の果実部分に触れて良いか、というように指先で少女の首筋をとん、と叩いた。
「俺だけが気持ち良くなるのは少し、違うからな?
……桃花のこの果実に触れても?」
■桃花 > 「ふむ。その通り
ただ…流石に食欲には手が回らんな。
ならば、奪い取るではなく、何か仕事でもして報酬として食料を貰うか、料理を振舞って貰うが良い
いくら特異な身であっても…下手に頼み込めば、若い男の人手はどこの村も欲しいだろうよ
先ほども言ったが、それで衝動が危うくなりそうなら、ここへ来い
後は。効くかはわからんがここの桃も持っていくが良い
普通の果実とは違うものじゃ。良い効果があるかもしれん」
未だ未知数の部分が多い相手の事
占いをしても、やはりわからないだろうからできうる限りの案を出す
ここの木になる桃は、自然のものとは言い難い故に案の中に含めておいた
そうしつつも、長年陽の気を得るために学んできた手管で…心地よい箇所を自分の指に覚えさせていく
その途中の男の呟きにくすりと笑ってから
首筋に与えられた刺激に視線を男にやる
「もちろん良い。これは禁欲をするためではない
むしろ、呑み込まれない程度に…欲を自覚するのが肝要。…触れたいと思うなら、触れるが良い」
逸物を弄る手を止めずに、そう告げて少しだけ体を寄せる
男の股座に入り込む形になれば、果実に手を伸ばしやすくもなろう
背丈の割に育ったその果実は、木になる実のように垂れさがり
触れれば水が入った柔布のように男の手を迎える
しっとりと重く、少女の生命を感じさせる温かさを持ったそこを
揉んでも、摘まんでも、あるいは少し強く握ったとして…心地よさそうに息を吐くことはあっても、桃花が怒ることはない
「それに…。すぐにそちらに集中できなくなるかもしれんしの…♪」
などと、いたずらっぽく笑った少女は次に――
両肘をついたかと思えば、鈴口に小さな舌を這わせ
自由になった両手のうち、左手でカリ首を。右手で根元をゆるりと刺激し始める
舌先をとがらせ、つん、つん、と突くように鈴口を舐め
雁首は細い指で段差を掻くように
根元は輪を作って包み込み、下から上へ扱きあげる
力自体はそれほど強くないものの…反応が良かった三か所の同時責めによる奉仕を続けていく
■軍鬼 > 「角が見えなくなるような術でもあればな。
仕事……まぁ、仕事なら……力仕事は問題ないだろうが。
下手ってなんだ?」
それは真顔の問いかけ。仕事、報酬、食料などはわかる。
だが下手という単語は知らないモノだったので質問へつながる。
その質問を向けつつも、桃を持っていけという相手には素直に感謝の言葉を向けるだろう。
感謝の言葉を向けるのも、初めてのことかもしれない。
水桃を思わせるように実っている少女の果実。衣服の上から包み込む鬼の手。痛みを与える目的ではなく、快楽の刺激を与える。
愛撫というのは初めてともいえる。自分の意思で女にこういう行為を行おうとしたのも初だ。
たどたどしくも鬼の指が柔らかな感触を確かめつつ、指がゆっくり衣服の上から杭恋、柔らかな果実を押しつぶすことが無い様に指が浅く、徐々に深く果実に食い込む。
乳首の感度が優れている事が多かった事から、確かめるように鬼の指先の爪が少しだけ伸びる。
くり、くりと軽く転がす様に。彼女の様に手際よくは出来ないが、たどたどしくも女には誠実に立ち会おうという意識で乳房への愛撫が始まった。
同じように反応を探りつつなのでぎこちない動きは明白に経験の差を伺わせる。
「む、負けるつもりはねぇぞ。
桃花の……おうぅ……?」
その声が腰砕けになったのには理由がある。
少女の責めが的確に男の弱点を捕らえ攻めてくるのだから。
自分が主導権を握る強姦などは経験があろうと、相手上位の行為には慣れてない。
先程までの声よりも明白に腰が抜けたような、力が抜けた声が漏れる。
その瞬間に少しだけ乳房という果実を包んでいた鬼の指に力がこもり、胸の柔らかな曲線をぎゅ、と握り。
その指と乳房によって乳首は軽く押しつぶされるような刺激になる。
ほぉぉ……という長い吐息を吐き出したのは女々しくもあるが、鬼の嘘偽りがない感情。気持ちの良さに圧倒されているのだ。
鈴口に舌先が触れると、浄化されたために薄い呪詛を纏うだけの先走りの液体。
人間のような粘度とは異なった水あめを思わせるねっとりとした粘度のそれ。
今は抑え込まれていてもその中に秘められている呪詛は、根元の封が無くなれば強烈な女性を支配し得る能力に繋がる事を匂わせている。
肉体に触れれば感度を引き上げる
粘膜に触れれば粘膜から呪詛が浸透していく事で鬼の改造を受ける事になる意志や肉体の改竄を迫る物。
そして何より精の中に含まれる女を孕ませるためのモノの数と動きの力強さが呪詛により非常に強化されている。
こんなものを無防備に、薄められることなく受け止めれば迷惑をかけていたどころか、真人である少女は力を無様に吐き出させられていたかもしれない。
活動を制限するか。粘膜から浸透する呪詛の方に対策の術式を組んでおくか。呪詛への対抗手段が1つならば貫通してくる可能性からも、ここで少女がサンプルを得ようとしたのは賢明と言えた。
二重に防壁を張るだけでは、網の目を掻い潜って来る呪詛は防げない。
精に特化させた殺精の術か。呪詛を食い破る呪詛対策を別途組み込んでおくか。
それがあれば、今の状態で受けたとしても大事になる事は無いだろう。
そういうもの、というのは流れてくる先走りから少しずつ分かるはず。
根元からゆっくり精液。呪詛の塊が装填されていく。
鈴口から水飴よりも濃厚な精の糖蜜が重なっていく事が伝わるはず。
「――おおう。上手いもん、だな。
こういう気持ちよさがあるっていうのは初めて知った。
何時もは――欲望のままに、自分だけ好き勝手に振舞っていたからな。
桃花の手指に、舌に溺れそうだ。」
自分が満たされるだけの行為よりも。
今の、身に受ける心地よい行為が良いと感じるのはその欲望。
肉欲、色欲を自分の中の一部だと自覚して、受け入れた上での考えと言葉。
恐らく鬼の精も何かしらの学びを得るとしても。ここで少女がサンプルを採取すれば下手を打つ可能性は大分下がるだろう。