2025/09/20 のログ
ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
メイラ・ダンタリオ >  

   「―――ふぅ。」


 この日のメイラは、最初は真夜中の狭間地区で酒場に出向くつもりだった。
 なんの目的もない ただ普段飲んでいる白桃ワインのようなものではなく、もっと度数の高い
 ウィスキーにハーブやハチミツなどで味付けされたリキュールでも、と思っていたところ
 同輩の一人がこの時期の温泉もいいものだという横からの意見に、一歩違えば血が
 荒々しい出来事もあったかもしれない選択から一転、今は長い黒髪をまとめ上げ、白めのその肌
 全裸姿で見せるよりも、動きやすい丈で抑えた湯襦袢を着て両手を自由にしている。

 すでに髪を労わり、体を磨いて、後は湯熱で満たすだけの時間のように木製の木々の香りに包まれ
 その右手を浴槽の縁で大きく伸ばして預け、背もたれ代わりの縁。
 預けた体から延びる脚は交差する形をとって湯の水面でゆらゆらと覗け見えた。

 白い肌は湯熱で少し赤みを帯び、頬も少し色づく
 その多重環の赤い瞳と白いギザ歯に比べ見れば、確かに少し桃色を帯びるだろうほんのり具合。
 じわじわと首から上 汗が滲み出て不純物を出し、肌に艶が出ていく感触。
 暴れ狂いのケダモノ扱いのメイラも、この時ばかりはまるで伏せした忠犬のようにおとなしい。
 時間帯が深夜のこともあり、人はまばら。
 せいぜい今は一人占めの感覚で、ただ温泉気分を満喫しようとこの独特な旅館の愚者らに害されることもなくいる。
 

 

ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。