2025/09/12 のログ
ご案内:「黄昏時の通学路」にリセさんが現れました。
リセ >  ――少し遅くなってしまった。早く帰ろう。もう日が暮れる……。
 学院を出て足早に家路を辿る一人の女子学生。
 9月に入って日が暮れるのが早くなってきた。もう西の空へ没しかけた斜陽が茜色の光りを一筋投げかけて影を伸ばす。
 暗くなってしまうとさすがに一人で帰るのは心細い。
 早く、早く家に帰ろう。

 気は急くものの足の遅い女学生であったから、家に着くよりも日没の方が早そうだ。
 学院から離れると、次第に人気のなくなっていく街路。足元を横切る黒猫の影にびく、と肩を震わせ。なんとなく落ち着かない気持ちでいれば。
 ふと気づく――足音。
 それ自体は別段、なんの不審もない。けれど。

「…………」

 しばらく進んで、どうも一定間隔で背後にいることに気づく。
 抜かすでもなく離れるでもなくぴた、と同じ速さでずっと。

 まるで尾けられているような――……
 いつしか、時折すれ違っていた人影もさらに失せてきて。

「………………」

 後ろの誰かはまだそこにいる。足音がついてくる。
 ただの気のせい。自意識過剰、というだけならばいいのだけれど……、人気が失せて来たところで少し近づいているような。
 少し小走りに足を速めてみた。………後ろの足音も同じく速度をあげてきた。
 やっぱりついてきている……。

 ……まだ家まで距離がある。

 どうしよう、と少し泣きそうに縋るような表情で辺りを見回した。

ご案内:「黄昏時の通学路」にオズワルドさんが現れました。
オズワルド > 「はぁー…疲れた。」

今日まで続いた色々な物事を片付けた、後の時間。
夕飯の調達を忘れていたからと、どこぞの露店で飯を買っての帰り道。
片手にバケットを揺らしながら、学院の寮の方へ向けて歩いていたのだけど。

「この辺になると人気薄いよなあ。」

時間も時間のせいか、人通りが薄れて来る辺りまでたどり着き、少し考えた後明かりになる光の魔法をちょいと指先に灯して、辻を一つ曲がった、ところで。

如何にも泣きそうな顔で周囲を見渡している女学生の姿に気づいた。
…少しばかり考えた後、ちらり、女学生の顔を確認。…可愛い系だな?よし。

「おーい、どしたん君。迷子ー?」

めちゃくちゃ軽薄な様子で、そう声をかけた。どう見てもナンパ男だ。
ただ少なくとも――貴方の背後から迫っていたものとは、別の人ではある。

リセ >  後ろを振り返って確認するのすら怖くて。
 誰か、いないだろうか……と酷く漠然と周囲を当てにした。
 誰かいたところで何と云えばいいのか。
 それはそれでどうしたものか。
 その点についての冷静な思考力は欠如していて。
 取り敢えず他に人がいれば……後ろの人物も諦めるかもしれないし。
 通りかかった人とそれとなく同じ方向に行って人気のあるところまで撒ければ……と、考えていた所で。

「ぇっ、あ………」

 とにかくどなたかいないかと通りすがる人を探していたところで、ふと角を折れてひょっこりとお誂え向きに背の高い人影。
 制服を着た男子生徒らしき彼は、むしろ声をかけてきてくれて。

「ぁ……、あの……あのっ……」

 思わず光明が差したような顔で、小さく燈る魔光に淡く照らされてそちらへ近づいていくと。
 普段から小さな声をさらに潜めて、周囲に聞こえないようなぎりぎりの声量で。

「す……すみません……あ、あの…き、気のせい…なら、いいん、です、けれど……う、うしろ…に、さっきから、どなたか……いるような…気がして……」

 とひそひそと告げる――振り返らないままだが、対面している彼の方からは通りの暗がりに紛れた人影が視認できたかも知れない。

オズワルド > 「ん?なになに。」

声ちっさ。
もとい、聞き取りにくい声量につき、そっと頭の位置を下げて小さな声に耳を傾ける。
ふんふん、なるほど。小刻みに何度かうなずいて。
視線が一瞬、少女の後方を見た。わずかに見えた動く人影。確かに付け回している奴はいるようだ。

「ちょいまち。んー…ひとまずは一緒に行こうか。
 合図したら走れるようにして置いて。」

ひそひそ、と小声でささやいてから。

「一人で寂しいならオレがナンパしちゃおっかなー。
 オレんとこにくる?楽しいとこに案内しちゃうよー。」

まるっきり普通のナンパ男のそぶりをしながら――こっちのが素かもしれないが――
魔法の光を帯びてない方の手で、少女の手を取って、人影に背を向ける形で歩き出そう。

…少女狙いのストーカーの類なら、これで寄ってくるだろうという目論見もある。

リセ >  同じ学院の制服だ……何の根拠もないが安心感がある。
 それに急におかしな話をしだしたけれど、一笑に付したりせず耳を傾けてくれる。
 悪い人ではないように思えるし、少なくとも後ろから付け回してくる類よりも大分ありがたい。
 だからたどたどしく状況を伝えてみれば。

「ぇ、あ、は、はぃ……っ」

 走り……にはしこたま自信がなかったが。生真面目な顔をしてこくりと首を縦にし。
 それから続く……いけしゃあしゃあとした諸ナンパな科白に、一瞬ぴきり、と固まる。
 多分調子を合わせた方がいいのだろうが……素直に困惑気味に目を泳がせ。

「ぅ、え、と……は、はい……た、楽しい…ですか… それはとても……タノシミデス……」

 びっくりするほどわざとらしくなった。
 不器用に手を取るのに従って、かくかくと肯いているのが…非常に嘘くさい。

 後ろの人影も微妙な様子で首を捻った模様。
 どうしたものか、とひとまず窺うように歩き出す二名に不自然ではない距離を保ってつけてきた。

オズワルド > めちゃくちゃぎこちないな…!?
思わず内心でツッコミを入れながらも、ふす、と笑う声が零れた。
少なくともこの子は、美人局の類は無理だろうなあ…とひどく納得した様子で。

「うんうん、ほんとに楽しいトコだから楽しみにしててよ。
 ゆっくり休憩もできるからね。大丈夫!」

どう聞いてもいかがわしいところに連れ込むナンパ男のセリフである。
そんなわけで、手を引き歩くわけだが、歩幅はかなり狭い…背の小さい少女の歩幅に合わせたものだから、多分歩きやすくはあるだろう。
急ぐ様子を見せないのは、背後の不審者に対応する余裕を維持するためと同時に、少女に落ち着いてもらって走る準備が出来るように…という時間を稼ぐためでもあるので。

すい、と歩きながらに軽く身をかがめて、

「少しの間歩くから、その間に息整えて、ね?
 大丈夫、オレがついてるから安心して。」

囁きかける声は、ナンパな様子を見せない落ち着いた声音。

しかして、少し考える。さて、どこに逃げ込んだものか…。
……連れ込み宿でいっか!休めるし!
思考回路はナンパ男のままだった。

そんなわけで、駆けだすのにちょうど良い場所とタイミングを探るようにしばし歩いて。

リセ >  方便の類だとしても……なんだろう、素直に肯き難い程に、内容が不穏である。
 あとものすごい手慣れてる感がある。
 本当に変な所にお連れされないだろうか?
 ひょっとして助けを請う人選を間違えただろうか。
 一抹の不安が過る。道端で変質者が背後からやってくるのと、ナンパ少年に捕まるの、どっちも順当にやばい気がした。
 歩調を合わせて紳士的な面ではやっぱり手を取る彼の方がまだ安心だろうか。そうあって欲しい。

「…………う、うわあ……ホント……ですかぁ……」

 本当にそんなところに連れ込まれたらどうしよう。
 それは多分わたしは楽しくはない所では?懸念しかない。
 後ろの追跡者と手を引いて歩く学院生の少年。
 ……もしかして、わたしは今……詰んでいる?
 どう転んでも心に平穏が訪れない気がして、冷や汗を伝わせ。

 身をかがめる所作に思わずびくっと肩を震わせ。

「は、は、ぃ……あ……りょ、了解、です……お、お願い…し、ます……」

 今ちょっとあなたのことも不安なんです……。
 とはとても云い出せないまま、囁きかける声に微かに肯いて。

 後ろからわたしの人生を詰ませようとしている誰かもそのままついて来ます。
 はぁ、ふう、とちゃんと走れるように準備しながら、呼吸を整え。つなぐ手に汗が滲む。

オズワルド > 「ホントホント。」

言葉が軽い、とてつもなく軽い。
何なら歩幅がゆっくりなだけで足取りも軽い。
どう考えても、女子を連れ込むのに慣れている手合いである。

あまつさえ、ふんふふーん なんて鼻歌も交え――この鼻歌が、一種の魔術詠唱。
少しずつ、作り出すのは空気の壁。音の響きをごまかす魔法を、周囲にゆっくりと張って行き。
それらがしっかりと張られたタイミングでたどり着くのは、十字路。

とんとん。 つないでいる手の甲を指先で数度叩いて、少女の意識を軽く引いて。

「走るよ。 Lightia.」

告げる。同時背後で炸裂する閃光。 いわゆる一つの目つぶしだ。
同時、タッと駆け出して十字路を右に曲がる方向で走り出すが。足音は先ほど作り出した魔法の壁によって、左の方へと走っているように響く――目つぶしの閃光と音の誘導による二重の騙しで、背後の誰かを引っかけながら、

「がんばって、もうちょっと…!」

そう少女に声をかけながら手を引いて向かうのは、夜間でも開いている喫茶店の一つである。
なお、夜に開いているだけあってお酒も出るし、なんなら上の階には連れ込み宿になるお部屋もある。
要するに、ナンパ男が連れ込んだ女子をほっと一息つかせるためのスペースである…!

「はい、ここまでくれば大丈夫でしょ。」