2025/08/16 のログ
ご案内:「平民地区 歓楽街」にエレイさんが現れました。
エレイ > 夜でも多くの人々で賑わう平民地区の歓楽街。
大通り沿いのとある店の前で、些細な騒ぎが起きていた。

「──まあまあ落ち着くべきそうすべき。こんな通りで騒いでいてはもつわけもない」

特徴的な銀のジャケットを羽織った金髪の男が、酔っ払いに絡まれている。
相手は男よりもやや大柄で、男の胸倉をつかみながら赤ら顔で何やら男にガミガミと怒鳴りつけているが、
酔って舌が回っていないのかあまり内容はよく聞き取れない。
対する男は、そんな酔漢に対し眉下げてへらりと笑いながら、両手を上げてどうにか相手を宥めようと試みている。

また、酔漢の後ろでは平均的な体格の男性が困り顔でオロオロしている。
酔漢の連れらしく、こちらも赤ら顔だが酔漢ほど酔っ払ってはいないようで。

エレイ > 「──わかったからそのヒットした頭をそろそろ冷やしたほうがいい。騒ぎが続くと面倒なことになってもうだめ」

などと説得を試みてみるも、酔漢は聞く耳を持たず。
相手側はといえば男の態度がどこまでも気に入らなかったのか、やがて握り拳を振り上げる。
男の手が胸ぐらを掴む酔漢の手首に音もなく添えられたのは、まるで最初からわかっていたかの如くそれとほぼ同時で──

──かくん

酔漢の片膝が、急に地面に落ちた。
姿勢が崩れ、振り上げた拳も勢いを失くし。
酔漢にとってそれは不随意だったのか、急に自分の膝が崩れてしまったことに驚いているのが表情にも出ていた。

「……ほれもう立ってもいられないぐらい酔っ払ってしまっているあるさま。
今日はもうとっとと帰ったほうがいいという意見」

そんな酔漢に、男は変わらない笑みのままそう言って、胸ぐらを掴んでいた手を引いて立ち上がらせようとし。
後ろに居た連れも、それを手伝おうと近づく。

エレイ > だが酔漢は男の手を振り払い、連れも肘でぐいっと押しのけて立ち上がると、『何をしやがった』と低い声で呟く。
眉下げた笑みのまま答えない男に、同じ台詞を今度は大声で繰り返しながら、今度こそ拳を男の顔面に向かって勢いよく振るい──

──スカッ

男の頬を捉えるはずだった拳は、しかしその鼻先で空を切る。
酔っているせいか踏ん張りが聞かず泳いだその体を、男は片手をぽんと添えて支え。

「ほれ見たことかもう目測まで不確かな始末。ケンカなら覚えてたらまたシラフのときに買ってやるのでホラ帰った帰った」

にへらと笑ってやはり変わらぬ態度で告げる。
あくまで相手の酔いが深いのでまともにケンカにもならない、という論調で。
酔漢は納得いかないように男を睨んでいたが、やがて舌打ちしながら男に背を向けやや怪しい足取りで去ってゆく。
連れは男に何度か頭を下げてから、酔漢の後を追って小走りに駆け出し。

それを見送り、男は笑みのままふ、と小さく息をついた。

エレイ > やがて男も踵を返して歩き出し。その姿は人混みに紛れていって──
ご案内:「平民地区 歓楽街」からエレイさんが去りました。
ご案内:「診療所」に射干さんが現れました。
射干 > 夜になると明かりが灯る、平民地区の住宅街から少し離れた診療所。
昼は王立の診療所の邪魔にならぬよう。ひっそりと、困った患者の駆け込み寺のよう。

勿論、訪れるのは怪我や病気だけでなく、帰りたくない子供や居場所を失った若者に宿り木にもなっており……。

「閑古鳥が鳴くのは嬉しい事だけど、持て余すね……。」

かといってこの場を開けるわけにもいかない。いつもなら診察室に居る所、待合室のソファに寝そべりダラダラと過ごす。
消毒液の香りに包まれても平気でうとうと出来るのは環境適正の高さ故だろう。

ご案内:「診療所」から射干さんが去りました。