2025/08/04 のログ
回想 > ―――ケストレルは呆気にとられた
彼女自身は術師だから、敵の注意を惹き付ける前衛(タンク)を必要としている
そう言ってギルドで同行者を募っていたはず……だったが

(いや、こんだけ手早く術式が回せるなら、前衛要らないでしょうよ……)

ケストレルも魔法の心得はある
というか、近接主体そうな見た目とは裏腹に、本職は術師側である
だからこそ、アリージュの扱う魔法が規格外に思えた

「えっ、あ――じゃあ、俺が惹き付けてる間に確固撃破で」

唖然としている間に彼女の術式によってケストレルの防御がモリモリになったのを感じる
俺、要る?と降って湧いた疑問は一度振り払って、オークを誘き出しに向かった

予定通り配置に着き、巣の入り口近くから誘い出しては各個撃破して巣の奥へと進んでいく
一度に多く接敵した場合は入り口付近まで戻った辺りでケストレルが惹き付けてアリージュが一網打尽、という流れになっていた

回想 > 要るか、要らないかでいえば、要る、なのだ。
 何故ならば、アリージュは魔導士だから、身体能力は、そこまで高くはない。
 そして、オークの巣となれば、大量のオークがいるし。
 上位種のオークだっている。

 ケストレル君が頑張ってオーク達を惹きつけてくれる間に。

「ピット、ピット、ピット。」

 ぼこん、ぼこん、ぼここん、と、地面に穴が開き、オーク達が生き埋めになっていく。
 それでも、やはりハイオークなどは、ケストレル君の守り抜けてくるのだ。
 
「あ。」

 間抜けな声を出して、ハイオークのこん棒が、アリージュのお腹にめこり、とぶち当たる。

「かふっ。」

 体をくの字にするアリージュ、そして、オークのこん棒がさらに振り……着られなかった。

「痛っ……たいなぁ!」

 嫋やかな、と言って良い、綺麗な白い肌が、ハイオークの頭を掴む。
 ごしゃぁ、と、地面にたたきつけるのだ。
 そして、追撃、とばかりに、踏み込めば、ハイオークの頭はつぶれてしまう。
 ハイオークは動かなくなる。

「ケスト君ごめん、中断しちゃった!もう少し耐えれる?」

 そう、大きな魔術はそれなりに時間がかかる。
 中断したから無くなるということは無いが、もう少しかかるから、耐えて頂戴と。
 疲労回復と、持続回復の魔法を追加でケストレル君へ。

「もうすぐ、完成するから!」

 アリージュの中にある魔法陣に、魔力がぎゅんぎゅん回転し、魔法陣を作り上げている。
 大火力殲滅魔法の準備が、もうすぐ、終わる。

回想 > 本当に俺、要る?って顔で見てたら心情を見抜かれたのか、要る、と力強く頷かれた気がした
まあ、報酬の山分けもあるし、居て良いなら居るのだが、如何にも気が引けるというか何と言うかだ
まあ、接敵してしまえばそんな気まずさなんて吹っ飛ぶのだが


「くっ、しまっ――――」

本職ではないとしても、あの手この手でどうにかオークを挑発しては注意を引き付ける
しかし、並のオークであれば乗ってくれる挑発も、上位のオークには通じない場面もある

複数のオークに囲まれ、その上でハイオークまで引き付けることが出来ず、その攻撃が後衛(アリージュ)へと襲い掛かる

「アリージュさ……ッ!」

最悪の事態を想定してしまったが、そんなものは次の瞬間にはハイオークと一緒に地面に叩きつけられていた

――身体能力は、そこまで高くはないって言ったじゃん……

ますます自分の必要性に疑問を抱きつつも、これ以上オークを後ろへ向かわせない様に気を入れ直す
知らず知らずのうちに淫魔由来の魔力を用い、魅了を応用した挑発まで仕掛けて敵の注意を引き付ける

「っ、はいよ!もうアリの子一匹そっちにゃ行かせねえんで!!」

(――まあ、あのバインバインなら雄だったら気が向くのも無理ねえけどな!)

そんな事を考える余裕もまだ、一応ある程度には彼女のバフも機能し続けている

回想 > 正直、彼が前衛に立ってくれているから、アリージュは集中ができている。
 これが一人だったら、複数のハイオークなどに倒されて、捕まえられて犯されているだろう。
 ちゃんと、彼は仕事をしているのだ。

「ありがと、ケスト君……!」

 体内に作り上げた、魔術回路、魔法陣に、魔力が行き渡る。
 大魔法の発動の準備が出来上がった。

 ――― 範囲指定 指定対象 敵生体【オーク種】―――
 ――― 効果指定 重力100 目的 圧殺 ―――――

 指定成功・効果確定・発動準備………完了。

「全はーに
 ーは全に。

 円環よ廻れ、魔力よ、踊れ。

 圧殺術式起動

 頭が高い【be proud】」

 空気が変わる。
 ケストレルの周りに居たオーク達が、一斉に倒れ込む。
 苦しそうに鳴くも、動くことができず、みし、みし、と音を立て肉がつぶれていく。
 地面に押し付けられて、動こうともがき、しかし、動けず。
 オークの巣にいる、オークが全て、地面に押し付けられてつぶれていくのだった。

回想 > ――アリージュの準備が整ったことを、周囲の空気が変わったことで感じ取る
ふつ、と肌が粟立ち、オークたちを引き付けながらも自然と逃げ道を探している自分に気付き、意図して足に力を籠める

(大丈夫、きっと大丈夫……)

詳細は不明だが、これから“何か”が確実に起こる予感を覚えつつも、自分の役割に専念しようと覚悟を決め――
――その直後、オークがバタバタと地に伏し始めた
それが背後でアリージュが起動させた魔法に因るものだと察するのは難しくなく
目聡く異変を感じ取って後衛へと向かおうとするハイオークの進路に回り込み、ほんの数秒足止めさえ果たせば、
オークたちはひとつの例外も無く地に伏して、そのまま押し潰されていく

「……あんまり間近で見たいもんじゃねえなあ、これ……」

圧死していくオークたちから目を逸らし、万一まだ立っているオークが居れば其方へ向かえる様に辺りを見回す
……どうやら、効果はこの場だけに留まっていない様で、少し離れたところからもオークの断末魔が聞こえて来た

(――終わった、かな)

その断末魔も聞こえなくなり、辺りが静寂に包まれた頃、ケストレルは手にしていた重盾を地に下ろしたのだった

アリージュ > ―――という事で、時間は現代に巻き戻る。

「やー、やっぱ、ケスト君連れてって正解だったよぉ。」

 くぴり、くぴくぴ、と、お酒を呷りつつ、ふにゃぁ、と笑って見せるアリージュ。
 片方1k在りそうな肉饅頭(意味深)が、テーブルの上に乗っかってたりする。
 白い肌は、ほんのり赤く染まり、お酒を、エールを楽しそうに呷っていて。

「ほんと、一人だったら今頃、どーなってたか。」

 ねー?と同意を求めるように首を傾ぐ。
 一人でもやりようはなくも無いが、やはり、前衛がいるというのは安心感が違う。
 助かったよぉ、と、再度の感謝の言葉を、ケストレルに。

ケストレル > 乾杯をしてから、今回の依頼を思い返しながら大いに飲んで食べて
結局本当に自分が必要だったのか、という疑問は拭いきれなかったが、
依頼を終えてもなお必要だったと言って貰えているのだ柄、同行して良かったのだろうという結論で落ち着いた
結果良ければ全て良し、だ

「アリージュさんならソロでも達成しそうな気はするけどもなあ
 けれどまあ、そう言って貰えたなら壁役冥利に尽きるってもんだ」

ぐい、とジョッキのエールを呷って、おかわりを注文する
それにもし仮にあの場で自分が居らずとも、彼女が同様の結果を得たとして
圧死していくオークたちを間近で見る事になるのは彼女である、そう考えれば身代わりとして自分が最前線に居たのは、やはり正解だったのだろう

(まあそれはそれとして目の保養はさせて貰うけども)

ふにゃっとした笑顔と、重量感たっぷりにテーブルに乗る肉饅頭をしかと目に焼き付ける
……そういえば、と一つ思い出して

「そういや、ハイオークに一発貰ってたのは大丈夫で?
 痣になってたら悪いし、一応軟膏とかあるけど使う?」

アリージュ > 「んー。三割、だったかな。
 やってできなくはないけど、やっぱハイオーク居たし。
 オークロードが居たら……なんとかできるけど、それだと、ね。
 ケスト君について来てもらって、本当によかったよ。」

 オーク程度なら、大丈夫。
 しかし、ハイオークに囲まれると、延々と魔法を中断して、となりそうだ。
 ただし、オークロードがいるなら、全力で当たった上で、証拠部位なども消し飛ばす。
 依頼と考えるなら、討伐証明ができなくなるので、失敗となるからなぁ、と。
 酒を飲みながら解説して見せる。

 改めて、ありがと、と笑った。
 しゃべるたびに肉饅頭はプルンたゆんと揺れていて。

「ん?あ、あれ。
 大丈夫だよ、治ったから❤
 痕も残ってないから。」

 それともー、なんて、にぃんまり、といやらしい笑みを浮かべる。

「軟膏を塗るにかこつけて、かわいーいおんなのこのお腹触ろうとしたー?」

 このすきものめー❤とか言う程度には酔っているらしい。
 問題はない、という事は確かそうだ。

 

ケストレル > 「三割……謙遜を、と言いたいとこだけどハイオークの数とロード級が居たら確かに不味かったかもだ
 けどま、今回は俺もいい勉強になったし、同行させて貰って良かったよ」

魔法を扱う身としては、彼女の規格外とも言える術式の扱いは大いに参考になるところがあった
とはいえ、種族の違いから同じ様に出来ることは大分少なく思えたが
アリージュの解説を聞きながら、うんうん、と神妙に頷きを返す

いやホント良かった、と真面目に頷いているが視線はどうしても二つの特大肉饅頭に向く

「へ?……治った?
 いやいや、あんな一発貰ったら俺でも数日はエグい痣が……」

冗談だろ、と目を瞠る
その視線の先、心配された側はにんまりとした笑みを向けていて

「はっ!?……いやいや、さすがにお腹なら自分で塗って貰います!
 ……まあ、確かめるっつー名目で?アリージュさんのお腹が拝見出来りゃ眼福極まるなーとは思うけども?」

そりゃ当然でしょう、と大きく、今日一大きく頷いた
幾ら埒外な魔法を使い、オークを地面に叩きつけ、頭を踏み潰す様な存在でも、見た目は可愛くでっかい女の子である
しかも露出少なな服装がデフォとあれば、ワンチャン期待してしまうというものだ
そんな風に思う程度にはケストレルもだいぶ酔っていた

アリージュ > 「君がいたなら、そうだね、8割。
 もう少し、訓練して、連携取れるならオークロード確殺、かな。
 ぶっころ、だけならできるけどさ。討伐と、証明となると……ね?
 残さないといけない分ねー。」

 初めての、訓練も大したことのない状態でこれだから、と、アリージュは思う。
 姉といるなら、ドラゴンだって刈り取れるというのは、此処では秘密だ。
 それに、本気の魔法を使うなら、討伐証明がなくていいならいくらでも。
 一人でも十分だけど、依頼としては駄目だしねぇ、と酒を呷って。

「そっかそっかー。
 しかたがないなー。
 今回は、自分から困難に立ち向かってくれたしー?
 ご褒美の一つでも、あげないと、ねー?」

 お酒をくぴり、と飲んで。
 そして、指をパチリ、とはじく。
 アリージュと、ケストレルの周囲の空間が歪んで。

「これでよし、と。」

 周りの何もしなかった冒険者たちの視線はシャットアウト。
 そして、おもむろに、ローブに手を伸ばし。
 ほら、と、まくり上げる。

 かわいらしい白いショーツと、怪我の一つない白いお腹とおへそ。
 そして、隠されていた、おっきなおっきな、おっぱい。
 ケストレル君に、晒す。

「さすがに、見せるだけ、だよー?」

 お触りは禁止だから、と。
 赤い顔のままに、見せよう。
 怪我一つない、綺麗なお腹と、おっぱい。

ケストレル > 「そうだねえ、ほぼ初対面で組んでの今回の成果を考えれば……8割は妥当過ぎる
 本職のタンクなら、もっと上手く引き付けられたんだろうけど……俺も精進しなくちゃあな
 耳くらいは残せ……ないのか、それはすげえな」

つまり、あの大規模な重力操作でも加減した方、という事だろう
相手の底知れなさに、素直に畏怖の念を抱いてこちらも酒を呷る
他の冒険者に聞くところによれば、彼女は彼女の姉と共に依頼を熟す事が多いらしい
なるほど、姉妹とあれば連携も他の者よりは数段もやり易いだろうと納得するしかない
その二人がともに依頼に出向いた場面を見てみたいものだ、と思わなくもなく

「仕方ないんだよー、俺も一応男なもんでねー
 アリージュさんみたいな可愛い子にはどうしても下心ってもんがねー……はい?
 ……ご褒美?」

ゴホウビ?と一瞬何のことか分からずにきょとんとするケストレル
報酬ならさっきギルドから受け取って、今こうして飲食代へと化けているわけだが
そもそも、今回は殆どが彼女の功績で、自分は囮になってただけで――と言い訳を並べる間も無く

周囲の空間が魔力の干渉によって歪む
それをしたのが目の前にいる彼女であることは疑い様が無い

「これでよし、って何を――――」

ちょっと、と彼女を止めるよりも、ローブがまくられる方が早かった
晒されるショーツ、そして懸念していた痣などは一切ない白いキャンバスの様なお腹とワンポイント的に窪んでいるおへそ
それらが晒されたと思えば、1拍遅れて、ばるるるん、と

彼女の大きな大きな双丘(おっぱい)が文字通り目の前で晒された
思わず絶句して見入ってしまうケストレルであった

アリージュ > 「そうだね、あの時も、防御力を中心にしたけど……。
 ケスト君の事をもっと知っていれば、ケスト君に合ったバフもかけられただろうし。

 地属性はねー、攻撃が大味だから。だからいいんだけど。
 他のも使えなくはないけど……ね。

 あとさ、ほら。
 パーティやチームを組む理由ってのを、考えてみると、一人は余り良くないっていうか。」

 大地属性は、地震とか、溶岩とか、そんなのばかりだ、それが好きで使ってるからいいのだけど。
 全力を出せば生き埋めで、耳を残すとか、そんな器用なことはできないし、と笑う。
 風属性や水属性、光や闇、やれるのはやれるけれどね、と。笑う。
 
 パーティを組むのは、それこそ、依頼の独り占めを防いだり、チーム同士仲良くなる。
 何より、生存確率や、作業効率、作業の幅の増大を見越しての事だ。
 できるから一人、と言うのは、かっこいいとは思えないよね、と。

「そ、ごほうび。
 可愛い子を、頑張って守ったんだから。
 相応の、良い思いくらいは……ね?」

 ぱちり、と軽くウインクして見せる。
 安く売るつもりはないが、頑張った人に見せる程度の度量は持ってるつもり。
 ちゃんと乙女ですから、なんて、判る人にしか判らない言い回し。

「ま。
 ほら、最初声かけてくれたことも嬉しかったし。
 守ってくれたのも、喜ばしかったし。

 このくらいは、するよ。」

 顔は赤いまま。
 酒に酔っているのかもしれないけれど。
 柔らかく白く大きい双丘。
 その先端のピンク色の……。
 もう、いい?と問いかける程度には、恥ずかしいらしい。

ケストレル > 「一応俺も魔法を使う身として、自分のバフは自分で……って言いたいとこだけど、アリージュさんの方が練度が段違いだしな……
 
 地属性か……良いじゃん、エフェクトは地味かもだけど、俺も好きよ?
 今度は落とし穴以外の魔法も、見せて貰えたら良いんだけども
 
 ……ま、それはそうだわな
 もしまた今度、他に誰も組んでくれなかったときは声掛けてよ、俺なんかで良ければ、だけど」

肉の壁兼賑やかしくらいにはなるよ、と笑う
彼女と同行することで得られるものは多い事も知れた
……勿論魔法の技術的な側面の事である
こうして冒険者同士切磋琢磨するのがあるべき姿だよな、とつくづく思う

「良い……思いって、この打ち上げで十分……」

あわあわ、と言葉を紡ごうとするも視線は正直である
というか確実に自分の功績と見合っていないご褒美に、思考が停止してしまい

「このくらい、って……いやいや
 さすがに俺の身に余り過ぎるっつーか……じゃあ見るの止めろって話なんだけども」

目が離せない
おっぱいに魅かれるからだけではない、微かに恥じらいを見せるアリージュの姿も愛らしい
出来る事ならこのままいつまでも見ていたいし、出来ることなら飛びつきたいくらいの魅力があったが、
お触りはダメ、と事前に釘を刺されているのを思い出し、どうにかこうにか理性を働かせる

「も、もっと見てたいけど、さすがに、もう、しまってください……」

ギギギ、と軋む様な声音で告げた
断腸の思い、を形にするとしたら今のケストレルがまさにそれだろう

アリージュ > 「自分で出来るなら、自分でやったほうが良いよ。
 特に身体関係のバフは、自分では無いと、感覚狂うことも有るし。
 他人のバフは、慣れるまでってのがあるからね。
 今回無難だったのはそれが大きいかな。

 重力も、大地属性だよ、それで、この間見せたあれがそうだよ?

 ん、その時は、そうだね、お姉ちゃんと三人とかもあるかもだし。
 よろしくね、ケスト君。」

 重力は、目に見えるものでは無いから、見せたとは一概に言えないだろうけれど。
 ちゃんと使っていたのだ。まだまだだねぇ?と、ニンマリ笑う。

 にぎやか師はとてもだーいじと、アリージュはよろしくー、と右手を挙げて歓迎。
 姉はどうだろうか、と考えるも聞いてみないとわからないので、それはそれ、と置いておく。

「これは、私のご褒美も含まれてますのでー。」

 パーティとしてのご褒美、という物でしょう。
 酒場の酒宴なんて、そんなものだ。
 なので、個人的に、ケスト君へのごほーびです、と。

「はぁい。」

 これ以上は、多分ダメだ。
 と言うのも、ケストレル君の理性が限界ぽいのが判る。
 見えないとしても恥ずかしいし、彼の言葉に同意して、ローブを戻す。
 ちゃんと隠れましたとさ。

「さて、まだまだお酒もあるし、つまみもある。
 酒宴を続けようではないかー!」

 かんぱーい。
 新しいジョッキを注文し、ジョッキを打ち合わせ。
 楽しい酒盛りは続いていくのだろう―――。

ケストレル > 「やっぱり?
 練度は落ちても自分の身体との相性があるか……じゃあ、次の機会には自分のバフは自分でするよ
 その分、アリージュさんの方は別の事にリソース割けるしね

 じゃないかとは思ってたけど、如何せん潰れてくオークの印象が強過ぎて……

 はは、そん時はお荷物にならない様に気を付けねえと
 こちらこそよろしく、アリージュさん」

潰れてくオークたちの最期の光景が、まだ目に焼き付いている気がする
それも今の内だけで、すぐに別の事で上書きされるのだが

荷物持ちと道中の賑やかしと、後は囮くらいしか今の自分では出来ることが無さそうだ
それに、今後彼女の誤解が解け、他の人とも組む様になればその機会自体が減る事にもなるだろうし
社交辞令として受け取って貰えれば御の字、と密かに思う

「そりゃ、そうかもだけど……!」

依頼達成の功績自体は彼女の方が多いのだから当然と言えば当然だ
それでも、そんな席を設ける事ができ、ともに卓を囲めるだけで自分には十分、そう思っていたのだが
これは次回、いや次々回まで含めたご褒美の前払いをしてるのでは?と本気で思うケストレルだった

「はぁ……はぁ……ごちそうさまでした……」

視界から大きな白い塊が隠れる瞬間まで、ケストレルは光景を目に焼き付けていた
もう眼福どころの騒ぎではない、一周回って明日にでも何か不幸があるのでは、と思えそうなほど
そして理性もだいぶ危なかった 依頼前に娼館に行ってなかったら間違いなく保たなかっただろう
それだけの魔力が、彼女(のおっぱい)にはあった

「こ、この状況でまだ続けるってのも肝が据わってるっつーか
 ……ああもう、とことんまで付き合うさ!かんぱーい!」

肌を晒した異性を前に酒宴を続ける精神性は見習いたい、と思いつつ
二人だけでも十分に賑やかな宴は長らく続いたのだった―――

ご案内:「平民地区 冒険者ギルド 併設の酒場」からアリージュさんが去りました。
ご案内:「平民地区 冒険者ギルド 併設の酒場」からケストレルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」にヴァンさんが現れました。
ヴァン > 椅子に座っている男はどこか気だるげに息をつく。
昨日一昨日と少し遠出をしており、今日も一日働いてようやくゆっくりと休める時間ができたところだ。
普段はカウンター席の一番奥が男の定位置だが、今日は奥の席に座っていた。
カーテンで仕切って半個室のようにできる四人掛けのテーブルはくつろぐにはもってこいだ。

一人の時間を楽しんでいるが、来客を拒んでいる訳ではない。もしそうなら自室に篭って鍵をかけている。
男に用事がある人間が訪れたなら、店員が案内する手筈になっていた。
戦う者、祈る者、働く者。どの貌に用があるのかで、男の反応も変わるだろう。

ヴァン > ことり、とジョッキを置いた。
疲れが身体の自由を奪いつつある。大人しく眠っておくとしよう。
肩掛け鞄を手に取ると、階段へと歩き始めた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」からヴァンさんが去りました。