2025/06/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にナイトさんが現れました。
■ナイト > 夕暮れ沈みゆく平民地区。賑わいが陰り出した表通りの裏。更に寂れた路地の裏。
一本通りが外れれば貧民地区に差し掛かろうと言う境界線に、長く伸びる影が一つ、二つ、三つ。そこから一歩離れてもう一つ。
向かい合う形で対峙する彼らは、何やら揉め事の真っ最中であった。
離れた影――仁王立ちで腕を組んだメイドは高らかに言い放つ。
「――ったく、はっきりしない連中ね!
こんな場所まで人のこと引っ張って来たんだから、何か用があるんでしょ!?」
ぎゃんぎゃんと良く響く声に耳をキーンッとさせながら、連中と呼ばれた男たちは微妙な表情で顔を見合う。
メイドが一人で歩いていたから声を掛け、あわよくば根城に引っ張り込もうなどと考えていたのに、これなのだ。
可憐清楚に見えなくもない奇麗な黒髪に騙された。
こんな煩いの連れ込めねぇよな、どうするコイツ?とアイコンタクトを交わしつつ渋る彼らを睨み上げ、メイドは烈火の如くずいっと距離を詰め責め立てる。
「ちょっと、何黙ってんのよ!! 返事は?!」
■ナイト > 「は? 何? 用もないのに、この私を呼びつけたなんて言わないでしょうね?」
しどろもどろでたじたじな彼らは更に鋭い眼光に睨め上げられ視線を泳がす。
人違いでした、と誤魔化せる雰囲気でもなく。かと言って、このまま放置して帰らせてくれる感じでもない。
このメイド、後ろから見た時はスカートの影になり見えなかったが、腰にはちゃっかりロングソードを携えている。
『なんでメイドが、んなぶっそうなもん持ち歩いてんだよ。』
と、突っ込んだのは心の中だけで、路地に誘い込む前に気付けていたならさっさとおさらばしていただろう。
しかし、だ。どんな物騒なものを持っていようと、所詮は多勢に無勢。
数で囲めば何とかなるか?これ以上騒がれる前に口を塞いで――
「……ははーん。さてはアンタ達、何か悪さでも働くつもりだったんでしょ?」
内心を見透かしたような発言にギクリと男たちは一瞬止まった。
その反応だけで黒と確信したか、メイドは二ッと犬歯を見せて勝気な笑みを浮かべる。
まさに狂犬。ギラつく碧眼が愉快気に弧を描いた。