2026/01/27 のログ
ご案内:「魔族の国」にイオネさんが現れました。
■イオネ > 任を解かれたその日の事。女はさして多くを持たぬ儘に在った。
契約が、解かれる。
心の奥底に或るのは、主が居ないという空虚。
役割を失えば、放逐されたこの身体に意味も理由もない。
影は仕える先を失った瞬間、存在理由そのものを失うのだから。
魔族の国は、広い。そして冷たいほどに合理的だった。
役目を失った者に向けられる視線は憐れみでも敵意でも揶揄でもない。
――――無関心。
仕えぬ影は、炉端に転がる石と同じ。
役割を持たぬ存在は、ただの風景となって溶け込むだけ。
女は其れを、至極当然のものとして受け入れた。
夜を選び、魔族達の往来を避け建物の隙間を縫って歩く。
ただ其処にあるだけの存在として、あてもなく彷徨い続けた。
短期の護衛や、一夜限りの依頼。緘口令を厳守する条件付きの仕事。
それらを請け負い果たす事はあれど、長く留まることはしなかった。
この身に流れる血は、まだ見ぬ主を求めている。
梟の血統にとって仕える事は本質であるが軽々しく主を選ぶことは、魂に刻まれた禁忌。
焦らない。求めない。
――血は、今は待て、と己を律していた。
再び影として名を呼ばれ、存在に意味を与えられ。
夜明けを共に越える、未だ見ぬ誰彼を追い求めるように。
ご案内:「魔族の国」からイオネさんが去りました。