2025/10/27 のログ
ご案内:「魔族の国・水晶の谷の宵闇城」にロザリアさんが現れました。
ロザリア >  
魔族の国、魔族の領域の中でも奥の奥に位置する魔水晶の谷が在る。
そこには黒鉄の居城が聳え立ち、その城に棲まう姫によってか弱き魔族達がその庇護の下、城下に過ごしている。
その領域には魔王ですらも手を出すことが出来ず、戦えない…力のない魔族達の拠り所の一つとなっている。
──そんな噂も嘯かれる谷の、城内。

「欲望の街のほうも落ち着いているようだな…。
 最近は魔王同士の争いも昔程には見なくなった、か」

純白のゴシックテーブルにチェア。それにかけるは薄金の髪の城主。
手元には同じく真白いティーセットがあり、アールグレイの芳醇な香りが漂う。
周辺は白い薔薇の埋め尽くす、巨城の吹き抜けとなった大庭園にて。

「理解った。序列戦があればまた吾が案内をしよう」

誰ともなしに言葉を紡ぐ。
そんな少女の隣には使い魔だろう、紅の蝙蝠が羽搏き、言葉を受け取れば吹き抜けの月空へと飛び立ってゆく。

「………ふぅ」

コトリ、と。
ティーカップを白い皿へと置き、嘆息する。
他者との関わりを煩わしく思う城主──古の縁から最近は少しだけ余所事に出張る機会が増えたが、その本質は変わらず、引き籠もり気味の日常。

場所が場所であるだけに城への客人なども滅多には訪れない。
城下から様々な献上で訪れる者がいるといった程度である。

「…整理整頓、そのうちせねばならんか」

それも持て余し、城のあちこちにある宝物庫には溢れんばかりの献上品が並ぶ始末。
基本的に怠惰な城主は翠の瞳を薄め、面倒そうにそう口にしていた。

ロザリア >  
城内は広大である。
客人であれば──城主の嫌悪するタイプの人間を除いて──使い魔蝙蝠がこの場まで案内する。
悪意ある人間であれば…言うまでもなく、城内の魔物に襲われることとなる。

今日は謁見の日でもない。
客人が訪れるのも稀であろう、と。
城主はゆったりとしたティータイムを過ごしていた。

それに飽きれば、久しぶりに書庫に籠もり魔導書を読み耽るのも良いか。

ロザリア >  
「……いや、今宵は月も丸い」

再びティーカップを口につけ、温かな吐息と共に天を仰ぐ。
紅く、煌々と庭園を照らす満月。

「久しく、夜歩きに興じるとしよう」

カップを戻し、チェアから腰を上げればその背にはばさりと闇色の翼が現れる。
羽搏き、吸血薔薇の白い花弁が庭園に舞う。
そんな美しくも幻想的な光景の中、黒紅のドレスを纏った少女は舞い上がり、月光の下を飛翔する。

そんな吸血姫の夜歩き、といえども城下…水晶の谷に在る集落と街に留まるのだが。

ご案内:「魔族の国・水晶の谷の宵闇城」からロザリアさんが去りました。