2025/08/26 のログ
ご案内:「魔族の国」にルージェさんが現れました。
ルージェ > 月明かりの庭園。
影絵のように伸びる尖塔のシルエットを望むテラスの一席。
夏の、狂奔じみた夜がどこかで繰り広げられているのかもしれないが──ひとまず女の周囲は静かだった。

月明かりに伸びる影、その裡に何を呑み込んでいようとも。

蒼褪めた月光を浴びる死蝋の肌。背に流した黒髪が夜風にわずかにそよいだ。
血赤の双眸を隠すまつ毛は長く、頬へと濃く影を落とした。

爪紅で染めた指先が、白いティーカップの取っ手を取り上げる。
薔薇の花びらが、お茶の中に静かに揺蕩う様を眺め、ゆるりとした仕草で口を付けた。

そこだけ、切り取られたように停滞する時間は、夜の中に座す女にとっては常のことでもある。

ただそうして咲き初める花の違い、頬を撫でる風の違いに時間の移ろいを感じるだけで。

ルージェ > ──しばし花の香りを堪能していたが、やがてソーサーに戻せば椅子の背に軽く身を預け。

蒼く夜に沈んだ庭園を照らす月を見上げる。
白く、やや欠けた形のそれ。
自身の変わることのないだろう生活の中で、同じように存在するそれを。

ゆっくりと流れる時間の中でしばし。
変わらぬ観月の時間を過ごすことにしよう。

ご案内:「魔族の国」からルージェさんが去りました。