2025/06/07 のログ
ルージェ > 花の額を指の腹で撫でながら。少々手持ち無沙汰になるのは、この場があまりにも平穏だからか。
贅沢な話ではあるのだが、と夜会ドレスの裾を手繰り、庭園に通じるテラスへと歩み出た。

ぼんやりとした月の光に心地よく目を細め。
けれど嘆息を一つ零し。
特に得るものがないのなら、こちらで涼んでいるほうがよほどいい。
己にとって夜は、自由な時間。
影はどこまでも伸びるし、深くなりもする。

石造りの床に伸びる影を眺めつ、石柱に軽く身を預け。
己の領土とは違う様式の庭園を無感情に血赤の双眸で眺め、愛で。

ルージェ > 花がくしゃりと、その花びらを散らすのと同時に。
女もまた影に沈んで、宴の席から退けば。

ぼんやりとした光が照らすテラスには、散り散りになった花びらだけが残されることになり。

ご案内:「魔族の国」からルージェさんが去りました。