2025/08/08 のログ
ご案内:「北方帝国シェンヤン「八卦山」」に宿儺姫さんが現れました。
■宿儺姫 >
──かつて在り、今は廃墟となった鬼の集落。
そこに突き立てられていた巨大な石碑へと、何の前触れもなく轟雷が落ちる。
一瞬の轟音の後に静寂が訪れ、その場にあった石碑はま白き灰となり崩れ落ちた。
そんな灰の山から、這い出す者がいる。
「………」
浅黒の肌を晒した、一糸まとわぬ女鬼が灰の山から腕を擡げ、そしてその身を持ち上げ、現れる──。
「…二度経験しても慣れぬな」
裸身のままに八卦の山の天を仰ぐ。
同時に感じる──己の身を縛る、呪詛の楔。
「…あの妖仙くずれの言った通りじゃな。……小癪な」
■宿儺姫 >
かつて道士どもがこの身に施した、剛力縛りの呪詛。
鬼が不滅の存在であることを鑑み、二重に掛けられていた仕掛け。
つまりは自死により肉体の滅びによって呪詛の効果を消滅させる…ということが可能であったために。
それを条件として時限式にもう一つの術が発動する様、仕込まれていた。
「………」
雷音が鳴り、大粒の雨が降り始める。
めき、と音を立てる己の右掌に視線を下ろし……そのまま無造作に腕を振り上げ──近くに在る岩塊へと、強烈に叩きつけた。
稲妻の音に混じり、轟音が響き…岩塊が罅割れる。
…しかし鬼姫の全盛の力を以ってすれば、割れるどころでなく粉々に砕ける筈であった。
「──やれやれ。こいつは…前以上じゃな」
ぷらぷらと手を振りながら、憎々しげに言葉を零す。
■宿儺姫 >
「あの腐れ妖仙の言うことが真実であれば…厄介なことじゃぞ」
深々と溜息を吐く。
この呪詛は、血の螺旋を礎とするもの。
術をかけた道士達が寿命で潰えてもなお、その血に連なる者がいれば効果を発揮する。
つまり──。
道士どもの子孫を見つけ出し──殺し、喰らうことで呪詛は解呪されてゆく。──と。
女鬼が封印の術を喰らったのが数百年前。
子孫なぞ、それこそ散り散りになっていてもおかしくはない。
国境すら越えている者もいるだろう。
「──………」
「ええい、細々としたことを考えていてもわかるものか。
……気晴らしに酒でも探しに往くか……」
細かいことを考えるのが苦手な女鬼はそうしてその場を去ってゆくのだった。
ご案内:「北方帝国シェンヤン「八卦山」」から宿儺姫さんが去りました。