2025/12/17 のログ
ご案内:「タナール砦」にセニアさんが現れました。
■セニア > 【夕暮れ:タナール砦 外壁部】
カチャ、と着込んだ鎧の金属音が鳴る。
適当な箇所に腰かけ周囲を軽く見回しながら。
今も砦の外壁を職工が資材を使い攻撃を受け崩れている部分の修繕を行っている。
そろそろ陽も落ちる刻限ではあるが、限界ぎりぎりまで修繕を進めるようで未だに意気高くカンカンと打ち据える音が鳴り響いていた。
そんな彼らを尻目にただただじい、と辺りを眺めて。
ふう、と周りに誰もいない事を確認してから息を吐く。
乗り気ではないにせよ、余りそういう姿を他人には見せない。
特にこういう命がかかっている場所では、だ。
ここに来たのは、断れない筋からの依頼。
普段であればここに来る依頼は受ける事など滅多にない。
とある貴族商人のタナール砦までの護衛、と言うもの。
兵士時代、世話になっていた、と言うべきかさせられていたというべきか。
兎角、その商人が資産・資材を投げ打って砦の修繕を名乗り出たというモノである、が。
「……そんなタマじゃないよなぁ」
ふん、と鼻で笑いながら呟く。
兵士時代、知りうる限りではあの男はしっかりと貴族であり商人であった。
大方、ここで資材と資産を使うという事で王国での風評を手に入れる、という目論み、なのであろう。
そうすれば多少の後ろ暗い事は覆い隠せない事もない。
その辺りの損得勘定の聡さは評価されるべきものではあるのだろうが。
今しばらく、修繕の為に砦へと滞在するという事で。
護衛で雇われた傭兵やらも一緒に滞在する事になる。
勿論彼女だけではないので各々ある程度は好きに護衛やら巡回を受け持っている。
彼女もまた、色々と勝手知ったるという事でわざわざ名指しで呼ばれてはいたが、近くに居る気もなく、そもそもの身辺の警護は自らが選出した者が行っている。
そういう訳で今は辺りを見回せる位置で巡回、物見といった所。
この砦の責任者が誰か、までは見ていないし興味もない。
一応どういった者たちが駐留しているのかなどは確認しておいている。
まぁただ個人の感情で言うのなら、そういう商人の後ろ暗い所をしっかりと見通せる人物であればな、とは思うが。
肩に相棒の槍を乗せ、また一つため息を吐き出した。