2025/12/03 のログ
ご案内:「タナール砦」に魔王ニルヴァローグさんが現れました。
■魔王ニルヴァローグ >
その日、タナール砦に屯していた兵については不幸であった──としかいいようがない。
魔族の国からふらりと現れた一人の少女。
たった一人の、その小柄な魔族によって砦はほぼ壊滅状態にあった。
黒肌の少女が身振り手振りを行うだけで羽虫のように重装備の兵が宙を舞う。
睨みを効かせるだけで発狂し同士討ちがはじまる。
まさに地獄絵図──。火の手が上がり、王国軍が慌てて撤退をはじめる中。
魔王、ニルヴァローグは煌々と紅く染めあげられる戦場を見下ろしていた。
人が見上げる程度の高度、まるで重力の影響を受けていないかのように空に佇み、滑るようにして緩やかに移動しながら。
「──こんなものか」
実に退屈そうに、そう呟く。
手ずからやってきたのは、目覚めたばかりで手勢がいなかったこともあるが──。
今のこの戦場に、人魔問わず…見るべき者がいるのかどうか、それを見に来た…というのが大きかった。
………今のところは逃げ惑う人間の矮小な背中、そして巻き添えを喰って死んだ魔物の死骸を眺めるのみだったが。
■魔王ニルヴァローグ >
人間側が瞬く間に敗退すれば、多くの魔物が魔族の国から流れ込んでくる。
それが誰ぞかの手勢か。野生の魔獣かは知ったところではないが。
逃げ送れた者を魔物が殺し、凌辱劇がはじまる中。
然程それ自体には興味も湧かないのか、少女は宙空に脚を組み上げたまま、退屈そうに己の長い黒髪を手指で弄りはじめる。
──まぁ、聞こえてくる悲鳴くらいは楽しめるか、と。