2025/11/19 のログ
ご案内:「タナール砦」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
メイラ・ダンタリオ >  
 白い吐息すら出てくるような、冷え込んだ日だった。
 朝焼けと真夜中だけのものではなかったその日は、指先も冷え込み狼も出にくいだろうとするような風が出ている。
 乾燥した、ゆったりとした風。
 冷え込みは鎧に冷気を吸わせ、肌熱を奪い、一時の発汗運動が終わってしまえば歯を鳴らしてしまいそう。

 だから動きを止めることを逆に拒み、終わった後の温もりと酒を欲し、苛立ち
 やってられるかという気持ちよりも、早くお前達が死ねと、心で叫ぶ。
 欲望的で有るがゆえに義務と混ぜ合うことで上手く噛み合った者ら
 黒い塊が、動き続ける。
 その狂気が伝染し、追従する群れ
 狂獣の如きメイラの戦場行動と合致したそれらは、アスピダではなく
 今だ活発に明滅し続けるようなタナールで殺し合いを繰り広げている。


   「―――シャアアァァ゛ア゛ア゛アッッ!!」


 赤い瞳と白いギザ歯
 メイラは普段愛用する兜が脱げてしまっており、その面貌を晒しながら額からは一筋の血を垂らして声を上げる。
 兜を身に着け大剣を振るいあげる時とは違い、逆手に握る肉厚で身幅のある半月ののような双剣鉈
 一手一手は無論、特大剣級の一撃は繰り出せないものの、体ごと回すようにして剛力と繋げ続ける連撃
 それはすれ違いざまの出来事であり、耐え抜く者を削り続ける出来事でもある。

 剣で攻撃を閉じ続ければ、剣と握り手を狙い武器は折れ、零れ
 その空いた脇や肋骨したの動脈と臓物袋を掻っ捌く。
 首や目、手首も対象だ。

 超近接による攻撃的で獣的な行動は間合いが小さく、回り続け、周囲も特大剣ほど間合い空けを必要としない
 続く 続く、続いていく。
 一撃二撃を加えたメイラが視線を外した敵も、背を狙う敵も、剣と槍を以て。


   「――――シ、ィィ、ィィィ、ィイイイッッ……!」


 白い吐息が、奥歯まで噛みしめるギザ歯故にいろんな歯の合わさりから、こぼれ出ては
 まるで動力の熱源が湯気を出すかのよう。 
 人型人丈の体躯に対する敵には、まだ特大剣を握らずにいるらしい。

ご案内:「タナール砦」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。