2025/10/03 のログ
■ベルク > 「せめて金目のものでも手に入れないとやってられねぇな……」
また雑兵ばかりじゃ楽しむことも出来ない。
あとは見た目相応の死体漁りに勤しむこととした。
一応の兵員だ、応急手当に使うような薬やら消耗品やらがあれば足しにはなるだろう。
比較的装備が豪奢な奴を見繕っては蹴り転がして、ポーチを一つ一つ開いてひっくり返していく。
「金が少し……携帯食かこりゃ? あとこれは……はっ、とっ捕まえた女にぶち込むつもりだったのか? 死んじまったらもったいねぇだけだな」
怪しげな薬が入った小瓶をつまみ上げ、薄桃色の液体を揺らして眼前で眺める。
書かれていた文字から中身は大凡分かるのもあり、にやりと唇の端を釣り上げて嘲ていく。
星空の紺色が青く融けて、橙色が伸びていく頃にはいつもの戦跡となった光景だけが残るのだろう。
ご案内:「タナール砦」からベルクさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
■メイラ・ダンタリオ >
タナール砦
秋の風で涼し気に感じる。
夏は熱く鎧を火照らせ、冬は足を取られ鎧が凍てつく。
春に比べて体は限界熱を感じるまでまだまだ先の中、奪う途中 守っている途中
どちらであろうとも、皆殺しとはいかず、ある程度逃げ道を造りながら戦場を仕上げていく。
覚悟を決めすぎた死兵が何も考えずヤケになれば被害は拡大し
覚悟を決めすぎず逃げを選択する理性と本能を選択させれば、皆の勢いを適度に抑える。
―――だが殺したほうがいいと思える者は殺しておく
―――それがデカブツとやりあうわたくしの役割、そうでしょう?
「シ、ィ、ィ、ィ、ィイィッ…ッッ…ッッ!!」
呼吸は浅く、息を詰め、体は息をする為にではなく剣を振るうために使う。
エイコーンのような劣化した動きでも、長期戦になれば確実に負けを見る機械と生物の戦い
それで叩き上げられ、決着がつかず、もはや意味もないあの戦場の結末に手が届く前に足を踏みしめるここで
体も感情も理性も全てがアレよりマシだと体が悲鳴を上げるどころか喜んでいる。
愚鈍な棍棒の振り抜きも、その棍棒や石削りの大剣級も
砕け得ぬアレに比べれば確実に一呑み、一呑み、と小さく喉へ飲み下すようにすり減らさせる。
数えきれない虚しいあれに比べて、黒い鎧に身を包み、アドレナリンと鎧作用からくる高揚作用
この多重輪の赤い瞳が、かっぴらいたまま栄養行き届かせギラギラと醜悪な女兜の向こうから見つめている。
「―――ォアアアアア゛ア゛ア゛ッッ!!」
重量互角、剣速有利、斬れ味有利
イーヴィアの鎧が上乗せされたメイラの駆動が責め立て、剣戟の嵐の中で一手腰を回して避けに入るや
上段に構えていたそれが両手首を渾身の力で斬り落とす。
肋骨下の内臓よりも、首よりも、目の前で役立たずに変えてしまってしまえば
もう逃げるか空の手首を振るいながらやるしかないだろう巨体。
つなげることすら距離するように、斬り落ちたそれを遠くへ剣先で弾き飛ばしてしまおうか。
■メイラ・ダンタリオ >
殺しすぎてはいけない
退路を断たず、追い込むように。
しかし、両手首を断ち、腹を横一文字に貫いて、援護する槍の伸びた刃先
首を狙うそれ 内臓は穂先を鋭く 切り裂くようにするには刃を伸ばし
貫くそれらで血を浴びる。
赤とも青ともつかないどす黒いそれ。
鎧が、兜が、それらを吸い上げる。
雷撃傷のように伸びた細い溝が吸い上げ、全身がまるで痛手を負ったようにすら見える血に飢えた鎧。
刃、打撃 それらが血脂で一撃に食い込むそれが滑り、ただの一時の衝撃にしかならなくなってしまう
手の込んだ鎧の物理的な打撃斬撃減少効果。
その外側に剥いた乱杭歯の兜の奥 荒い息となってもまるで唸り声のように兜は声を籠らせ、響かせながら
片腕で水平にその特大剣擬きを浮かせ、まだあきらめていない奴らから仕掛けていく。
狂気 伝染 狂奔 勢い 士気
混ざり合う勝てるという流れに呑み込まれ、多少の傷も刺激にしかならない。
だがそれが負け戦となれば、多少の怪我を嫌って逃げていく。
魔杖、弓、礫すら、この黒い鎧では致命傷も動きも止められない。
一振り一振り 剣先が地面に触れることなく、常に浮かせ続けながら剣を振った先の軌道に合わせ
また刃の向きを変えて、時には強引に、時には逆らわず。
重量あるそれを抱えたまま足ですら動かして、そうして躯と欠損の魔兵を除き
一時の鼬ごっこのようなこの戦 メイラ側が砦に残る結果となれば、鎧の血脂が固まらない内にと
休息とざっと鎧をブラシで洗い流させる作業に移るだろうか。
今回、メイラの高ぶりが収まりづらく、今だ兜を脱ごうとしないせいか、普段お嬢、姐さんと呼ぶ回りの皆々は
何とか落ち着けようと四苦八苦していたという。
ご案内:「タナール砦」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。