2025/09/04 のログ
■ネロ >
人間を超える圧倒的なサイズの益体が、手に持つ凶器を手に片っ端から眼前を薙ぎ倒してゆく。
無論抵抗もしているだろうが、軍勢はまさに軍と呼べる程の数。
奇襲にも似た襲撃に陣形を組めずに食い下がっている状況だった。
しかし。
「……しぶといわね」
食い下がる様子に苛立ちを隠さない魔王の娘はゆっくりと地へと降り立つ。
「あんな蛆虫ども、さっさと蹴散らしなさいよね」
そう冷たく言い放ち、胸の前へと掲げた掌から凝縮された魔力を無造作に撃ち放つ。
魔力の塊は着弾と共に爆散し、広範囲を次々に薙ぎ払ってゆく。
自らの手勢すら巻き込み吹き飛ばしてゆく一撃を放ち──ただでさえ形勢が苦しい人間側の兵たちを追い詰めてゆく。
■ネロ >
地に降り立った魔王の娘が行っているのは、ただの身振り手振り。
人が手を強く投げばささやかな風が起こるが如く。
魔王の血を色濃く継いだこの娘が手を投げば、破壊の化身かのような魔力の波動が巻き起こり眼前を薙ぎ払う。
石畳を砕きながら広範囲を削り進む魔力の壁が全て圧し潰し、跳ね上げてゆく。
そんな破壊劇を大きなその蒼の瞳に納めながら、その表情は実に冷ややかで、退屈を宿す。
「──飽きた」
「アタシはもう帰るから。
アンタ達、ちゃんと奴隷連れて帰ってきなさいよ」
飽きっぽい性格でもあるのか。
相思いのほか粘る相手に興が削がれたか。
そう言い残すとさっさと踵を返し、またも身振り手振り。
爪で空間を引き裂くようにして転移魔法の空間を開き、欠伸をしながらその場から姿を消す。
残された魔物の軍勢は各々の人間に対する敵意と破壊衝動もあるのだろう、言いつけに従うかのように蹂躙を続けるのだった。
ご案内:「タナール砦」からネロさんが去りました。