2025/06/18 のログ
ネフェルティ >  
しかし程なくして撤退の時はやって来る。

「──? 随分疾いな…。
 こんなハリボテ同然の砦がそんなに大事か」

王国軍の接近に気づいた見張りの男が怒声を上げる。
長生きの盗賊団ともなれば撤退戦は慣れたもの。
それまで罵声と共に女を輪姦していた連中もやれやれと立ち上がり、支度を始める。

「イヤ、大事なのは面子か。
 …そうとなればさっさと退散するぞ。牢の男は放っておけばいい。女は───」

腰を上げると歩み寄り、その身体の表から中身までを白濁に溺れさせた女冒険者のたぷついた腹を踏みつける。
潰れた蛙のような悲鳴をあげ、女が意識を取り戻せば、その絶望に染まった顔を真上から覗き込む。
ゆるく垂れた編み髪の隙間から、一切の温情を感じさせない冷たく暗い紅の視線が降りかかり──。

「……お前は生かしておいてやろう。良かったな。
 生きていれば何かいいことがあるかもしれないぞ」

立て、と。
横腹を蹴りつけ、まともに腰が立たないだろう女に苦悶の声をあげさせる。

「人質だ。まあないだろうが、追いつかれそうになったら使う。
 不要だったら捨てようが、アジトで玩具にしようが好きにしろ。──行くぞ」

首領の言葉に異議を唱える者はいない。
迅速に撤退の支度を済ませ、あわや接触となろうとも人質を使い華麗にその場から逃げ去るのだった。

ご案内:「タナール砦」からネフェルティさんが去りました。